まず始めにこの小説を読む上での注意をさせていただきます。この物語の主人公はオリジナルキャラです。オリジナルのキャラクターが苦手な方はご遠慮ください。また、この物語の本編キャラは多少壊れ気味なところがあります。キャラのイメージが壊れるのが嫌な方は読まないほうがいいかもしれません(そんなに酷く壊れることはないと思いますが;;)。最後に作者はマリみての原作を読んだことがありません。TVアニメと他の作家さん達が書いた二次創作、またはマリみて関連HPのDBを元に小説を書かせていただきました。原作と細部が異なることがあるかとも思いますがその点はご了承ください。ここまでのことを気にしないという寛大な方は是非先にお進みください。

 

 

 

 

 「(おや、支倉さんどうしたんだろう?)」

 

 祐介は、令の先ほどまでとは違う様子に気がついた。

 先ほどまでトマトの様に赤かった顔が、いつの間にか真っ青になっていた。そして、その表情は、何かとてつもなく恐ろしいものを見たときのように引きつっていた。

 祐介は、令が自分の方をみて固まっていることに気がついた。

 

 「(やはり、女子高であるリリアンに、自分のような部外者の男がいることで、彼女を怖がらせてしまったのだろうか・・・)」

 

 まったく的外れな事を考え、祐介は申し訳ない気持ちになった。

 

 「あの、支倉さんどうかしましたか?」

 

 気遣うように声を掛ける祐介に、令の体が我に返ったようにピクリと反応する。

 

 「え、えぇと・・・あの、ですね・・・(汗」

 

 しかし、令から返ってきた答えはひどく曖昧なものだった。

そこで祐介は、令が自分と何かを交互に見ていることに気づく。祐介は、令の視線を追って、それが祐巳に向けられているものだと理解した。

 

「自分と祐巳がどうかしましたか?」

 

そう答え、祐巳の方に視線を向けると、そこには先ほどと変わらず、満面の笑みを浮かべ、自分の腕に抱きついたままの祐巳がいた。

 

 

 

 

マリみてif〜お兄様もみてる?〜

第三話 まさかの展開、祐介の仕事とは?

 

 

 小さな鬼に気がついたのは、令だけではなかった。

 他の山百合会メンバーは、令の様に殺気を感じたわけではなかったが、令の様子の変化と、視線の行方から不幸にも小さな鬼を発見してしまった。

 祐巳が、祥子の妹候補として薔薇の館に来て、まだほんの数日足らずだがこんな表情はみたことがなかった。いつもの百面相している祐巳ではない、全員がそう思った。

 

 「自分と祐巳がどうかしましたか?」

 

 祐介が、そう言って祐巳の方に振り向いた瞬間、そこには、自分たちのよく知る祐巳がいた。満面の笑みを浮かべて兄である祐介の腕に抱きついていた。

そんな祐巳を見て全員が

 

 「(((((((さっきのは自分の見間違いだったんだ。うん、きっとそうだ)))))))」

 

 と必死に思い込むようにした。

 

 「そういえば、さっきも聞いたが何で祐巳がここにいるんだ?」

 「えぇと、それは・・・」

 「そのことについては、私が説明しましょう♪」

 

 祐巳に振り返った祐介は、薔薇の館に入ったときからの疑問を祐巳にたずねた。

 しかし、祐巳も自分がここにいる経緯が複雑なだけに、うまく説明できずに口ごもってしまう。そんな祐巳に、聖が救いの手を差し出した。しかし、彼女の顔は悪戯をする子供のようだった・・・

 

 「実は、祐巳ちゃんは今、祥子の妹候補として山百合会の手伝いをしているのよ♪」

 「えぇぇ、そうだったんですか!?」

 

 聖の思いもしなかった言葉に驚く祐介。

そんな祐介の反応を楽しみながら、聖が今までの経緯を説明していく。ただ、自分たちと祥子が行っている賭けのことは、祐介には話さなかった。

それは、そのほうが後々面白いことになるといった予感がしたからだ。

 

「そういうことだったんですか・・・小笠原さん、少々落ち着きのない妹ですが、素直な良い子ですので、祐巳のことをよろしくお願いします。」

「え、あ、はい。こ、こちらこそよろしくお願いします(////

 

聖からの説明を一通り聞き突然、祥子のほうを向き、神妙な顔で頭を下げる祐介。

そんな祐介の表情を見て、一瞬顔を赤くして固まってしまった祥子だったが、祐介が頭を下げていることに気づき自分も慌てて頭を下げる。

二人で頭を下げあっている様子は、少々おかしなものがあった。特に顔を真っ赤にし、慌てて頭を下げる祥子は、姉である蓉子でも始めてみるものかもしれない。

まるで祐介から交際を申し込まれ、それに真っ赤になりながら祥子が答えているようにも見える。

 

「お、お兄ちゃんやめてよ、まだ祥子様の妹になるって決まったわけじゃないんだから(汗」

 

祐介の突然の行動に慌てる祐巳、身内が自分のことで頭を下げているというのは、少々恥ずかしいものがある。

 

「そ、そうか、すまない(汗 小笠原さんも、早とちりしてしまい申し訳ありません(///

「い、いいえ、お気になさらないでください(////

「(む・・・)」

 

自分の勘違いに、顔を赤くし頭を掻く祐介。先ほどまでの凛々しい顔とは違い、どことなく幼さを感じさせる祐介の照れた顔をみて、頬を染める祥子と山百合会メンバー達。そんな面々をみてさらに祐巳の警戒心は強くなる。

 

「紅薔薇様、お兄ちゃんは生徒会長さんの代役として、学園祭の打ち合わせに来たんですから、早く打ち合わせを始めましょう!そうしないと、時間がなくなってしまいますよっ!」

「そ、そうね、早速打ち合わせを始めましょう!」

 

祐巳から感じる威圧感に、思わず背筋を伸ばし直立不動で蓉子が答える。

 

「それじゃ、とりあえずみんな座りましょう。いつまでも立ったままでも仕方がないし。祐介くんも座って。それから志摩子、お茶の準備をお願い。」

「はい、わかりましたお姉さま。」

「あ、志摩子さん。私も手伝うわよ。」

 

祐介に椅子を勧め、志摩子に聖がお茶の準備をお願いする。お茶を入れに向かう志摩子の後を、由乃が自分も手伝うと追いかけていった。

 

「聖、いきなり下の名前でよぶなんて失礼よ・・・」

「えぇ〜、だって祐巳ちゃんも同じ福沢なんだもん、苗字でよんでいたら、ややこしいじゃない。」

 

生真面目な蓉子が聖を咎めるが、聖の方はどこ吹く風である。

 

「俺はかまいませんよ、確かに苗字だと祐巳と間違えてしまうかもしれませんし。」

「ほらね、祐介くんもこう言っているじゃない。それと私のことも聖ってよんでくれていいよ♪」

「しかし、初対面の女性を下の名前でよぶというのは・・・」

 

祐介は、自分のことを名前でよぶことは了承したが、初対面の女性を名前でよぶことにはやはり抵抗があるようだ。

 

「気にしないで、そのほうが平等でいいじゃない。私も祐介くんってよばせてもらうわ。そして私も江利子でいいわよ♪」

 

聖に同意するように江利子も答える。

 

「そうですか?わかりました。それでは名前でよばせていただきます。聖さん、江利子さんよろしくお願いします。」

「「えぇ、こちらこそよろしく♪」」

 

多少ぎこちないが、祐介の答えに満足そうに聖と江利子が頷く。

 

「それじゃ、みんな席に着きましょう。祐介さんもどうぞお座りになって。」

「あれぇ〜、蓉子ぉ〜♪名前でよぶのは失礼なんじゃなかったのぉ?w」

 

祐介を名前でよぶ蓉子を、面白そうに聖がからかう。

 

「あ、あなた達が名前でよんでいるのに、私だけ苗字なのはおかしいじゃない。それだけよ(////

「ふ〜ん、まぁそういうことにしておいてあげるわよ♪」

 

顔を真っ赤にし、慌てて弁明する蓉子に、聖はからかうような笑みを浮かべる。その様子をみて、祐介は穏やかな笑みを浮かべていたが、祐巳はまた一つため息をつくのだった。

 

「それでは、さっそく学園祭の打ち合わせを始めましょうか。」

 

志摩子と由乃がお茶をいれてきて、全員が席に着いたところで蓉子がきりだした。ちなみに祐巳は、祐介の隣である。椅子を祐介によせて、いまだに腕に抱きついている。先ほどの祐巳の顔を思い出してか、だれも文句は言わなかった。祐介はただただ苦笑していた。

 

「祐介くんは、代理で着たわけだけど、会長さんからどこまで聞いているのかしら?」

「実は、ほとんど聞いていないんです。花寺がリリアンの学園祭の手伝いをするというくらいで、代理には俺が適任だと言われて、頼まれてしまったので来てはみたんですが。」

 

江利子の質問に、今までの打ち合わせの内容をよく知らない祐介が、恐縮したように言う。

 

「まぁ、急な代理じゃしかたないよね。実は山百合会主催で行う劇の手伝いをしてもらうことになっていたのよ。」

「劇の手伝いですか。ということは花寺が舞台づくりの手伝いでもするんですか?」

 

聖からの説明で、劇をやるならば男手の花寺は、力仕事を手伝うのかもしれないと祐介は思った。

 

「いえ、花寺学院の方々にも劇に出演していただくんです。劇には男役も必要ですから。」

 

 令の言葉に、祐介はなるほどと、理解を示した。リリアンの女生徒でも男役は出来るだろうが、実際に男が演じた方がリアリティは出るだろう。

 

「なるほど、それで今回の劇は、何を行うんですか?」

「今年はシンデレラをやることになっているんです。それで花寺の方々にも出演していだくことに。」

 「なるほど、それでは今日はその配役を決めるのですか?」

 「いえ、配役は前回までの打ち合わせで、一役以外は決まっているんです。今日はその役の決定と、劇の練習スケジュールについての打ち合わせなんです。」

 

 確かに学園祭まで後わずかなこの時期に、配役が決まっていないということはないだろう。しかし、蓉子の話を聞いた祐介は、まだ決まっていない役があるということがひっかかった。

 

 「まぁ、その役も今決まったけどね♪」

 「そうね(笑」

 「え、何の役だったんですか?」

 

 聖と江利子が、楽しそうに話す。その様子に何故か祐介は、嫌な予感を感じて聞き返した。すると三人の薔薇様達はその疑問に答えるように口を開く。

 

 「決まっていなかった役は、王子様の役で♪」(聖)

 「その役に決まったのは♪」(江利子)

 「祐介さん、あなたよ。」(蓉子)

 

 「えぇぇぇぇぇぇぇ〜!?」

 

 祐介の隣で、話を聞いていた祐巳が、驚きの声を上げて立ち上がった。そして、張本人の祐介は・・・

 言葉もなく、ただ固まっていた・・・

 

つづく

 

 

 

 

 


あとがき

 

 お久しぶりです、シュウです。

 予定よりも第三話をお届けするのが、遅くなってしまいました。やはり、勢いだけで書き続けるのは限界があったようです(

 そのため、前回の倍以上の時間が掛かってしまいました。だけどあんまり話が進んでないんですよね・・・、まぁ次回からなるべく話が進むように、考えて続きを書きたいと思います。今回ついに祐介の役割が決まりました。まぁ、予想していた人は多いでしょうが、ベタな展開です(

 祐介は、柏木にしてやられたってところです。しかし、柏木も祐介を代理に選んだのには、しっかりとした理由があります。その理由についてもそのうち書いていきたいと思います。

 マリみてという作品は、登場人物が多いので会話のシーンはとても大変です。なんとか多くのキャラにセリフを与えたいのですが、なかなか割り振りがうまくいかないんですよね。まぁ、そこら辺は私の力不足なのでこれから努力して行きたいと思います。

 このように、牛歩戦術のように少しずつ進行している、兄みてですがみなさん長い目で見守ってくれれば幸いです。それではまた次回までごきげんよう♪




王子役に決まった祐介。
美姫 「って、ことは、シンデレラ役を祐巳がやりたがるかもね」
うんうん。さて、どうなるんだろう。
美姫 「次回は、どんなお話かしら」
次回も楽しみにして、首を長くしながら待ってます。
美姫 「それじゃあ、ごきげんよう」



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