『ヘタリア大帝国』




                          TURN6  北京星域会戦

 北京ではだ。既にだ。
 中帝国軍が大艦隊で日本帝国軍を待ち受けていた。その数はかなりのものだ。
 その大艦隊を見てだ。中国は妹に述べた。
「五十個艦隊あるが」
「艦隊数はかなりあるな」
「そうある。ただ」
 それでもだった。ここで中国妹はその眉をやや顰めさせて言った。
「質は」
「そうある。これを何とかしたいあるが」
「ガメリカからの技術援助はどうあるか?」
「結構高くついているある」
 中国はこのことを妹にだ。困った顔で話す。
「ガメリカも足元を見てふっかけてくるあるからな」
「アメリカさんはともかくあの四人姉妹あるな」
「その通りある。やっぱりあの四人は手強いある」
「ガメリカを実質的に動かしているあるしな」
「ガメリカだけでなくソビエトもあるあるが」
「あそこは絶対に駄目ある」
 中国妹もだ。ソビエトへの警戒は強かった。
「我が国を真っ赤にしようとしているあるからな」
「気付いていないのはリンファとその周りあるが」
「困ったことあるな」
「リンファは真面目で純粋ある」
 中国はリンファの性格もよくわかっていた。
「けれどそれだけに、ある」
「そうあるな。あのゾルゲに唆されているある」
「ゾルゲは僕も知っているある」
 中国もだ。彼のことはだというのだ。
「危険極まりない男あるよ」
「ソビエトの太平洋方面の工作の責任者あるが」
「韓国のところに金という男がいたあるな」
「金制止あるか」
「あの男は伝説の金羅鳴と自称していたあるがな」
「実はソビエトの工作員だったあるな」
「紛れもない偽者だったある」
 その金という男はだ。そうだったというのだ。
「韓国に入り込んであの星域を乗っ取るつもりだったある」
「けれど日本さんの軍に敗れて」
「死んだある」
「偽者ということも暴かれたあるが」
「あいつはゾルゲの手下だったある」
 中国は顔を曇らせて金のことを話していく。
「そうしたこともしてくる男ある」
「偽者を仕立ててでも仕掛けて来るあるか」
「だからリンファも下手をすれば」
「洗脳されている今よりも酷いことになるあるな」
「外見は同じでも急に中の人が入れ替わっているということも」
「考えられるあるな」
「ゾルゲは超人の能力を持つ狂信者ある」
 共有主義のだ。それだというのだ。
「恐ろしいことになるあるよ」
「ううむ、何とかあいつを排除したいあるが」
「どうしたらいいあるか」
 二人で首を捻りながらだ。あれこれと話すのだった。今彼等は中国の旗艦の中で話していた。
 そしてだ。そのリンファはだ。今港から出撃するところだった。
 紅のあちこちが露出しているチャイナドレスを着ている長い絹の様な黒髪の持ち主だ。髪で顔の右側がかなり隠れている。
 その目は大人しく優しい光を放つ黒であり睫毛が長い。純粋なものである。楚々とした顔立ちは提督には見えない。
 そしてその彼女にだ。白髪で何処か狐を思わせる背の高い男が話していた。見れば黒い服と帽子だ。
 その彼はだ。こうリンファに囁く。
「いいだろうか、同志リンファよ」
「はい、同志ビッグ=ゾルゲ」
 リンファも彼に応える。全幅の信頼を向けている声だった。
「この戦いで、ですね」
「日本帝国軍を破りだ」
「彼等を撃退したうえで」
「満州を奪還しよう」
「そしてそれから」
「君の名声が高まる。中帝国の中でな」
「それが、ですね」
 リンファはゾルゲを恍惚とした顔で見ながら話す。
「共有主義を」
「中帝国に広めることになるのだよ」
 ゾルゲは穏やかな声でリンファに告げる。
「だからこそ」
「はい、私は勝ちます」
「そうしてくれ。そしてだ」
「やがてはですね」
「全人類を共有主義者にするのだよ」
「そうなれば人類は」
 恍惚としたままだ。リンファも言っていく。
「幸せになれますね」
「あらゆる差別がなくなり」
「そして財産といった貧富の源もなくなり」
「誰もが幸福になるのだよ」
「だからこそ」
「君には期待している」
 ゾルゲはリンファに対して微笑みを見せた。
「ではだ。宜しく頼む」
「お任せ下さい」
 リンファは一礼してゾルゲに応えた。ソビエトの敬礼だった。そのうえで己が率いる艦隊と共に出撃した。ゾルゲはその彼女を見送ってからだ。
 ある場所に通信を入れた。自分の部屋でノートパソコンを入れた。
 そしてそのうえでだ。ノートパソコンのモニターに出て来た者にこう話すのだった。
「経緯は順調だ」
「そうか。そちらはか」
「安心していい。そしてだが」
「西方だな」
「そちらはどうなっているか」
「私が直接工作を行っている」
 女だった。眼鏡の女がゾルゲに話している。
「ドクツが問題だがな」
「あの国か」
「そのドクツから話が来た」
 女はゾルゲにその話をはじめた。
「中立条約を結ぼうかとな」
「中立条約?」
「期間限定だがな。ほんの少しの間だが」
「そうか。その条約はだ」
「こちらも読んでいる。条約の期間が切れればだ」
 どうなるかというのだ。そこでだ。
「何かを仕掛けてくるな」
「そうだな。ドクツは我が国の西方を己の勢力圏に加えたがっている」
「ドクツ生存圏」
 女は言った。
「レーティア=アドルフは己の著作で既に言明している」
「我が戦いだな」
「あの本はドクツの聖書になっている」
「我等のカテーリン書記長の本と同じく」
「あの女とカテーリン様は何処か似ているか」
 女はゾルゲにこうも話した。
「いや、ファンシズムと共有主義自体がだ」
「似ている部分があるのは否定できないものがあるな」
「そうだ。しかしだ」
「共有主義こそは人類の辿り着く究極のものだ」
 ゾルゲは静かに断言した。
「ファンシズムはその過程にあるものでしかない」
「その通りだな。では同志ゾルゲよ」
 女はゾルゲの話を聞いたうえで彼に返す。
「太平洋方面での工作を続けてくれ」
「了解した。ガメリカにもキューバから工作を進めるか」
「そうしてくれるか」
「エイリスはまずは日米中の三国を取り込んでからにする」
「その頃には我々もエイリス本土に工作を進めているだろう」
「では順調にだな」
「こちらも動いている」
 女は鋭い目でゾルゲに述べた。
「だから安心してくれ」
「うむ。そしてその日本帝国だが」
「そちらはどうなっているか」
「低所得労働者や所謂社会の不穏分子」
 そうしたどの国にもいる者達の存在に言及してだった。
「マスコミ関係者や知識人に浸透していっている」
「知識人か」
「あの者達が一番工作を仕掛けやすい」
 ゾルゲは仮面の様に無表情で淡々とだ。女に述べる。
「自分達が何でも知っていると思ってな」
「何もわかっていないからこそ」
「共有主義を吹き込むのは容易い」
「そして操ることも」
「実に容易い」
 こう言うのだった。
「マスコミ関係者も同じだがな」
「いいことだ。その国のマスコミを牛耳ればだ」
「その国に十個艦隊を駐留させるだけの効果がある」
「だからこそだな」
「彼等を取り込んでいる」
「日本帝国には皇帝がいるが」
 女は帝のことをこう呼んだ。
「だがそれでもだな」
「そうだ。あの国の知識人達は愚か者が多い」
 完全に手駒と見なしている言葉だった。同志ではなく。
「彼等を煽動し不穏分子に影響を与え」
「革命を起こさせるか」
「そう考えている。若しくはだ」
「若しくはとは?」
「皇帝自身を変えるのも手だな」
 ゾルゲはこんな考えも述べた。
「あの少女をな」
「皇帝自身をか」
「そうだ。本物の皇帝を拉致監禁し」
 テロリズムから話すのだった。
「偽者を仕立ててだ」
「日本帝国を操るか」
「それも手だな」
「あらゆる手段を考えていく。ではだ」
「うむ。健闘を祈る」
「人民の為に」
 二人で別れの挨拶を述べ合いだ。そうしてだった。
 ゾルゲは今はモニターのスイッチを消した。そのうえで今は何処かに消えたのだった。
 日本帝国軍は北京に入った。その中でだ。
 日本は東郷にだ。こう言ってきた。
「さて。新生連合艦隊の初陣ですね」
「緊張しているか」
「少し。東郷さんはどうでしょうか」
「緊張はしているさ」
 東郷はいつもの余裕の笑みで話す。
「ただ。それでもな」
「それでもですか」
「勝つ自信はある」
 絶対の自信を向けて。そのうえでの言葉だった。
「ちゃんとな」
「我が軍は十六個艦隊」
「それに対して中帝国は五十個艦隊だ」
「数にして三倍ですが」
「しかしやり方はある」
 その余裕のある表情でだ。東郷はまた日本に話す。
「少数の軍でもな」
「それをこの戦いで、ですか」
「行うだけだ。さて」
「さて?」
「祖国さんはこの艦についてどう思う」
「長門ですか」
「新しく連合艦隊の旗艦になったな」
 このだ。近代的な艦艇はどうかというのだ。見れば艦橋は実に機能的で完全に機械化されコンピューターやそうしたもので制御されている。銀色のその艦橋の中でだ。東郷は日本に尋ねたのだ。
「どうかな。この艦は」
「そうですね。かなりいいですね」
「気に入ってくれたんだな」
「流石は最新鋭です」
「何でも本来は第四世代の艦らしい」
「今我々が使っている第一世代のものではなく」
「ああ、平賀長官も気合を入れて開発してな」
 そうしてだというのだ。
「一気にそこまでの艦にしたらしい」
「それはまた凄いですね」
「長官もな。頑張ってくれているってことだな」
「そうですね。本当に」
「なら俺達は」
「はい、この戦い勝ちましょう」
「この長門の他にもな」
 東郷は日本にさらに話していく。
「第六世代すらも超えた凄い戦艦が開発中らしい」
「第六世代も超えた」
「名前だけは決まっている」
「その名前は」
「大和だ」
 それがだ。その開発中の戦艦の名前だというのだ。
「その大和がだ」
「開発されそうしてですか」
「次の連合艦隊の旗艦になるらしい」
「いい名前の艦ですね」
「そうだな。俺もだ」
「東郷さんも楽しみにされてますか」
「ああ。この長門もいいがな」
 その大和もだというのだ。
「期待している」
「そうですか。やはり東郷さんも」
「ああ。しかしその大和を見るのもな」
「まずはこの戦いに勝ってからですね」
「戦わないと生き残れない」
 東郷はこの現実も日本に話した。
「だからこそな。戦いそして勝って」
「そのうえで、ですね」
「生き残ろうか」
「それでは」
 日本も東郷の言葉に頷く。二人の話が一段落したところでだ。
 秋山がだ。こう二人に話してきた。
「今回の作戦ですが」
「俺の今の作戦でどうだ?」
「はい、いいと思います」
 秋山は東郷の言葉に静かに応えた。
「あのままで。ただ、です」
「変更する部分はあったか」
「そうです。第一世代の艦艇も入れていて」
 魚類や動物の艦艇だけではなくというのだ。今の日本帝国軍は。
「索敵能力、艦艇速度も速いので」
「それを考慮してか」
「より機動的な作戦にしてみました」
「それで一体どんな作戦だ?」
「はい、こうなっています」
 秋山はここでその作戦計画を書いた計画書をだ。東郷に出したのである。東郷もそれを読みそのうえで秋山に対してこう言ったのだった。
「成程な。俺の計画より動きが速いな」
「はい、中央突破とその後の回り込む速度をです」
「速くしたか」
「今の艦隊速度や索敵能力では可能と思えましたので」
「それでだな」
「その通りです。如何でしょうか」
「戦いは迅速であれ」
 東郷は秋山にこう答えた。
「それならな」
「いいのですね」
「いいと思う。ただしな」
「ただしとは」
「問題は統率だな」
 東郷が次に問題にするのはこのことだった。
「艦隊全体の統率だが」
「一部艦隊が突出しない様にですか」
「むしろ一部艦隊をあえて突出させてみるか」
「というとまさか」
「田中の艦隊は第一陣に置こう」
 彼の艦隊だった。まずは。
「攻撃力と艦隊速度を考えてな」
「あえて突出させますか」
「そうだ。変に後ろや横から出てもらうよりはな」
「あえて先頭に立たせますか」
「それに今の田中は前より少し慎重だ」
 このこともだ。東郷は見抜いていた。
「だからだ。ここはあえて田中を第一陣に置こう」
「そうされてですね」
「戦う。それでいいな」
「わかりました。それでは」
「そしてですね」
 ここで日本がまた言ってきた。
「戦いの後ですが」
「惑星占領の際ですか」
「山下さんとお話をしたいのですが」
 日本はこう秋山に話す。
「一つ宜しいでしょうか」
「北京にいると思われるあの男のことですね」
「はい、是非お話がしたいです」
 こうだ。日本は深刻な面持ちになって秋山に話す。
「そうして宜しいでしょうか」
「わかりました。それではです」
「それではとは」
「私も同行致します」
 日本と山下が会う、だ。その場所にだというのだ。
「そしてそのうえで」
「三人で、ですね」
「お話をしましょう」
「東郷さんは」
「ははは、俺は彼女に嫌われてるからな」
 東郷は日本の今の言葉は気さくに笑ってこう返した。
「その俺が行けば彼女もそれどころじゃないだろう」
「お二人の仲が悪いのは考えものです」
 秋山はこのことに眉を曇らせてこう話した。
「山下長官はどうも厳しい方で」
「あれっ、東郷さんの方についていませんか?」
「そうでしょうか」
「それは海軍だからでしょうか」
「そんなつもりはないのですが」
 秋山は少し後ろめたい顔になって日本に答える。
「確かに長官のいい加減なところは問題がありますが」
「それでもですか」
「山下さんは海軍に対抗心が強過ぎるので」
「海軍と陸軍の対立ですか」
「その要因にもなっています」
「そのことは何とかしたいのですが」
 日本としてもだ。憂慮していることだった。
「そうしたものか」
「それは以前からのことですからね」
「そうですね。それだけにです」
「一朝一夕でどうにかなるものではありません」
 秋山も憂いの顔で日本に答える。
「やはり軍は一つに統一した方がいいのですが」
「他の国の様にですね」
「そうも考えます」
「ですがそれをしてもです」
 どうかとだ。日本は難しい顔で首を捻りながら言う。
「双方の対立はすぐには」
「そうですね。それはそれで主導権争いやそうしたことの元になります」
「私としては対立は終わらせて欲しいのですが」
「難しいですね。ですが」
「ですがとは?」
「少しずつでも交流を深めていってはどうでしょうか」
 少し考えながら言う秋山だった。
「御互いにパーティーを開き合うなりして」
「親睦会ですか」
「そうです。飲み、食べながら」
「ですがそれはそれで」
「問題がありますか」
「海軍さんの食事は陸軍さんの批判材料になっています」
 日本はこのことを指摘するのだった。
「贅沢だ、美食だと」
「あれは国民生活に合わせていますが」
「ですがそれでも。武人たるものはと」
「そのことも知っていますが」
「陸軍さんの食事は質素です」
 あまりにも質素過ぎて他の組織や国家から驚かれる程だ。
「ですから海軍さんのお料理を目の前にされては」
「確かに。そうなれば」
「特に山下さんはです」
 何につけても彼女だった。
「それこそどうなってしまうか」
「考えるまでもありませんね」
「はい。かといって陸軍さんのお料理ですと」
 それはそれで問題だった。
「白米と少量のおかずとです」
「お味噌汁ですか」
「そういったものです」
「宴会に出すものではありません」
「ですから。それはそれで」
「これが他国の方も交えたものなら何を出してもいいのですが」
 だが、だ。国内の者同志の親睦会ならばだというのだ。
「その辺りが問題ですね」
「そうです。どうしたものか」
「厄介ですね。本当に」
「親睦会を考えましても」
 海軍と陸軍の亀裂は深刻だった。そしてだ。
 そうした話をしている中でだ。日本帝国軍は敵の大艦隊を前にしていた。その艦隊にだ。
 秋山は一隻の戦艦を見た。それはというと。
「我が国のものですね」
「そうだな。あれはな」
「第三艦隊の旗艦、渡邊です」
「それだな。つまりあの艦にはだ」
 東郷もだ。その戦艦を見ながら述べる。
「樋口が乗っている」
「早速出て来ましたか」
「しかしだな」
「はい、裏切り者ですから」
 裏切り者はどう扱われるか。それは裏切りを仕掛けた側でも同じだった。
「ああして楯にされていますね」
「自業自得だな。しかしな」
「はい、樋口が敵の先陣にいるならばです」
「戦いが楽になる」
「あの男は無能です」
 あっさりとだ。秋山は言い捨てた。
「敵としてどうということはありません」
「それならばだな」
「倒しましょう」
 実に素っ気無く言う秋山だった。
「まずは樋口の率いる艦隊から集中攻撃です」
「敵の弱点を徹底的に攻めて攻略する」
 東郷は戦術の基本を述べた。
「そうするか」
「では戦力を敵の樋口艦隊に集中させます」
 秋山は鋭い目でモニターに映る敵艦隊を見ている。
「それではです」
「よし、攻めるか」
「第一艦隊から第十艦隊まで敵樋口艦隊に戦力を集中して下さい」
 秋山が東郷の指示を全軍に伝える。
「そして国家艦隊は一から三までが右翼」
「畏まりました」
 日本が応える。
「四から六が左翼、中央の主力艦隊を援護して下さい」
「わかりました」
 今度は日本妹が応える。こうしてだった。
 日本帝国軍は軍を展開させていく。それを見てだ。
 紅い中華風の艦橋、司令官の椅子は広い場所に玉座の様にしてある。それに座りながらリンファは日本帝国軍の動きを見ていた。そのリンファにだ。
 モニターからだ。青い丈の短いチャイナドレスを着た青い目のアジア系の少女が声をかけてきた。顔立ちはまだ幼さが残り悪戯っぽい笑みを浮かべている。
 長い髪をツインテールにしており蝶を思わせる形の髪飾りを付けている。その少女がリンファに声をかけてきていた。
「リンファ、そちらはどう?」
「ええ、戦いは今はじまるけれど」
「私の軍が行かなくていい?」
「大丈夫よ、ランファ」
 リンファは親しい微笑みでその少女ランファに答える。
「敵は十六個艦隊だけれどこっちはね」
「五十個艦隊ね」
「三倍以上の数があるし」
「それによね」
「私だって素人じゃないから」
 自分自身の提督としての自信もだ。リンファは見せる。
「大丈夫よ」
「そうね。じゃあ頑張ってね」
「ええ。あと南京の方はどうなの?」
「こっちは平和よ」
 ランファは微笑んでリンファに答える。
「安心していいから」
「そう。じゃあここで日本帝国軍を退けて」
「満州奪還ね」
「そうするわ」
「わかったわ。それとね」
 ここでだ。ランファは急にだ。
 モニターにある男を出してだ。きつい顔で言うのだった。
「わかってるわよね」
「は、はい」
 樋口だった。彼は慌てながら出て来てランファに答える。
「それはもう」
「若し作戦に失敗したらね」
「その時はですね」
「あの写真ばら撒くわよ」
「わ、私の密会現場ですか」
「あんたがあの娘とホテルから出た場面をね」
 つまりだ。所謂フォーカスをだというのだ。
「ばらすから」
「わ、私はその様な趣味は」
「あんな小さな女の子とホテルで何をしてたのよ」
「何もしていません」
 必死にだ。樋口は嘘を言う。
「特にやましいことは」
「けれどあの娘の告白も録音しているわよ」
 そうしたこともしているというのだ。
「だから。わかるわね」
「は、はい。それでは」
 樋口を脅して釘を刺してからだ。ランファはモニターから消えた。かくしてだ。
 戦闘がはじまった。まずは中帝国軍が動く。
「樋口艦隊を先陣にしてです」
「そしてですね」
「そのうえで」
「はい、敵軍を左右から包み込みます」
 そのだ。日本帝国軍をだとだ。リンファは将校達に告げる。
「そのまま包囲して殲滅します」
「畏まりました。それでは」
「これより敵軍を」
 それぞれの艦隊司令達が応えてだ。そのうえでだ。
 樋口艦隊を楯にしてだ。中帝国軍は左右から日本帝国軍を覆おうとする。それを見てだ。
 東郷はすぐにだ。秋山に言った。
「ではこちらもだ」
「はい、動きますね」
「田中に伝えてくれ」 
 こちらの先陣のだ。彼にだというのだ。
「敵の扇の要を攻めろとな」
「樋口の艦隊をですね」
「楯は最初に壊す」
 そうするというのだ。
「そしてそのうえでだ。
「一気に攻めますか」
「こちらは数が少ない」
 このことはだ。東郷は誰よりも強く認識していた。
「それならだ。いいな」
「中央突破を仕掛けて」
「そのうえで機動戦を挑む」
 これがここでの日本帝国軍の戦術だった。
「そうするからな」
「では」
 こうしてだ。日本軍はまずは田中に攻撃命令を伝えた。それを受けてだ。
 田中はいきり立ちだ。こう言った。
「よし、やってやるぜ!」
「では田中さん頑張って下さい」
 その田中に小澤がモニターから言ってきた。
「次には私が続きます」
「ああ、頼むぜ」
「敵の先陣はあの助平親父だね」
 南雲もモニターに出て来た。
「あんたあいつは嫌いだったね」
「俺はセクハラとか大嫌いなんだよ」
 田中は顔を顰めさせて南雲に答える。
「だからな。あいつは一度な」
「ぶん殴ってやりたい」
「そう考えてたんですね」
「ああ、だからここはやってやるぜ」
 またこう言う田中だった。
「いいな、野郎共!」
「へい提督!」
「やってやりましょうぜ!」
 田中の部下達もだ。こう田中に応える。そのうえでだ。
 彼の艦隊は一直線に突き進みだ。そうして。
 攻撃射程に入るとだ。即座にだった。
「撃て!」
「撃て!」
 まずはビームが放たれる。それでだ。
 樋口艦隊の多くを吹き飛ばした。その攻撃を受けてだ。
 樋口は旗艦の艦橋でだ。慌てふためきながら叫んだ。
「なっ、強い!?」
「馬鹿な、魚や動物ばかりの艦隊だというのに」
「あの強さは」
「しかも魚の質だけじゃない!?」
 樋口はその田中艦隊を見ながら言っていく。
「敵の指揮もいい!」
「あの提督は一体!?」
「何者!?」
「やい、セクハラ親父!」
 ここでだ。モニターに田中が出て来た。木刀を担いで叫ぶ。
「神妙にしろ!ぶん殴ってやるぜ!」
「げえっ、田中!」
「ああ、今は日本帝国軍の提督だ!」
 それが今の彼だと自分で言う。
「手前は今から殴る!覚悟しやがれ!」
「ひ、ひい!」
 田中の宣言を聞いてだ。樋口はだ。
 これまで以上に狼狽してだ。そうしてだった。
 部下達にだ。蒼白になった顔で叫んだ。
「て、転進!」
「転進!?何処にですか」
「一体!」
「と、とにかく逃げるんだ!」
 こうだ。部下達に叫ぶのだった。
「いいか、逃げろ!」
「で、ですが提督!」
「ここで我等が逃げれば!」
「いいから逃げるんだ!」
 田中の攻撃を受けてだ。樋口はとにかく逃げようとしていた。
「さもないと殺される!早く!」
「ですがここで退けば」
「戦局が」
「構わん!これだけの大艦隊だ!」
 樋口は艦隊の数を理由にした。
「早く逃げるんだ!後はどうでもなる!」
 こう命じてだ。樋口は真っ先に逃げだした。それを受けてだ。
 田中は部下達にだ。さらに命じたのだった。
「よし、追うぞ!」
「はい、そしてですね」
「敵を」
「ああ、あの助平親父の首を取る!」
 そうするというのだ。そしてだ。
 田中は逃げる樋口を追う。その前にいる敵艦隊はだ。
 次から次にだ。薙ぎ倒していっていた。
「へっ、取り乱してる艦隊なんてな!」
「他愛もないですね」
「大したことはないね」
 小澤と南雲も続く。二人の艦隊は田中に続いて敵に攻撃を浴びせている。
「このまま樋口の艦隊を追って」
「そのまま敵陣を崩すんだね」
「皆俺に続け!」
 とにかくだ。田中は攻め続けている。
「いいな、中央突破だ!」
「はい、では田中さんいきましょう」
「ここで一気に決めるよ」
 二人が田中に続きだ。そのうえでだ。 
 パンダや手長猿達動物艦隊が続く。その中心にはだ。
 柴神の艦隊がいた。彼は艦橋から指示を出していた。
「では前の三個艦隊に続こう」
「はい、それでは」
「今より」
 コーギーと猫がモニターから柴神に応える。
「我等も田中さん達に続き」
「中央突破ですね」
「敵陣は思いの他呆気なく崩れた」
 樋口の逃走がだ。そのまま全軍の崩壊を招いたのだ。
「あそこで楯がなくなったのがな」
「そうですね。そのままです」
「敵軍の崩壊につながっています」
 今度はパンダと手長猿が述べる。
「ではこのまま攻めれば」
「順調にいけますね」
「そうだ。祖国殿達の艦隊も来てくれている」
 その六個艦隊はだ。柴神達の艦隊の横にいた。
「ではこのまま攻めれば」
「いけますか」
「そうだ。この戦いは勝てる」
 柴神は己の旗艦の艦橋から断言した。
「新生日本帝国軍の初陣を飾れるぞ」
「ではこのままです」
「我々も」
 こうしてだった。柴神や日本達の艦隊もだ。一斉に攻撃に加わる。だが、だ。
 柴神の周りは妙に和やかでだ。女性士官達が柴神を囲んで言っていた。
「うわ、ふかふわかですね」
「尻尾が可愛いですね」
「待て、そんなに触るな」
 困った顔で彼女達に言う柴神だった。
「今は戦闘中だぞ」
「わかってます。けれど」
「柴神様って何か可愛いんですよね」
「毛並みもいいし」
「まるで柴犬だな」
 そうした扱いだとだ。柴神も言うのだった。
「全く。困ったことだ」
「だって。そのままじゃないですか」
「柴犬ですよね」
「そうですよね」
「とにかくだ。今は戦闘中だ」
 だからだというのだ。
「いいな。戦闘には専念してくれ」
「はい、わかっています」
「それでは」
 戦いに対して自体は真面目だった。かくしてだ。
 柴神も日本も戦闘に入る。その中でだ。
 日本もだ。左右から来る中帝国軍の相手をしていた。その中でだ。
 日本は敵の動きを見つつだ。こう言うのだった。
「敵の動きが」
「遅いですか」
「いえ、遅いのではなく」
 違うとだ。日本は台湾に対して返す。
「やはり樋口提督の逃走がです」
「戦局を動かしましたか」
「中帝国側にとっては悪く」
 そしてそれは言い換えればだった。
「我々にとってはよくです」
「なっていますね」
「そうです。おそらく彼等は樋口提督を楯にしてです」
 そうしてだというのだ。
「その隙にです」
「我々を囲むつもちだったというのですね」
「そうです。そうなれば危うかったです」
 彼等にとってだ。そうなっていたというのだ。
「しかしそれがです」
「楯、囮となる樋口帝国の艦隊が壊乱してですね」
 指揮官が逃げてはどうしようもなかった。
「そういうことですね」
「そうです。その為我々は迅速に樋口提督の艦隊を叩かねばなりませんでした」
「しかしですね」
「彼の逃走がそれを迅速にさせてくれました」
「我々にとっては喜ばしい計算外のことですね」
「その通りです。では」
「はい、それでは」
 二人はモニター越しに頷き合いだ。そのうえでだった。
 彼等も戦いに入る。そしてだった。
 中帝国軍をさらに攻める。その攻撃でだ。
 一気に敵軍を突破した。それを見てだ。
「よし、次はだ」
「反転ですね」
「田中に伝えてくれ。もう樋口を追うのはいい」
 東郷は秋山に話す。
「反転してそしてだ」
「敵艦隊の後方を攻める」
「そうする。いいな」
「畏まりました」
 こう命じてだ。そのうえでだった。
 すぐに反転攻撃命令が出される。しかしだ。 
 その命令を受けた田中はだ。思いきり抗議したのだった。
「おいおい、裏切り者を放置かよ!」
「そうだ。それは後でいい」
 東郷が直接その田中にだ。モニターから話す。
「問題は戦局だ」
「あの助平よりもってんだな」
「そうだ。わかったな」
「ちっ、わかったぜ」
 嫌々ながらも頷く田中だった。
「俺だってそれ位はわかるさ」
「ならいい。それではだ」
「全軍取り舵!そのまま回るぞ!」
 反転とはいうが田中の指示はこれだった。彼の艦隊だけでなく日本帝国軍全体を見てだ。彼が先陣のまま敵の後方を衝く為にこの指示にしたのだ。
「いいな!」
「わかりやした!」
「そうしやす!」
「逃げた奴は今は追うな!」
 田中はこの指示も出した。
「敵の後ろを衝け!いいな!」
「了解!」
「それなら!」
 部下達も応えてだ。敬礼をしたうえでだ。
 すぐにだ。取り舵から方角を変えてだ。そのまま突破され混乱が続く中帝国軍を襲う。こうして日本帝国軍は再び中帝国軍を攻めるのだった。
 中帝国軍は突破されたうえで後方から攻撃を受けてだ。それによりだ。
 まさに総崩れとなった。それを見てだ。
 リンファはだ。苦い顔でこう部下達に言った。
「まさかと思ったけれど」
「敗北ですね。このままでは」
「我が軍は」
「敗北は決定的だわ」
 リンファもこのことは認めるしかなかった。
「だからここは」
「撤退ですか」
「止むを得ませんか」
「ええ、全軍撤退よ」
 苦々しい顔で言うリンファだった。
「それで万歳爺は」
「はい、既にランファ様が南京にお連れしました」
「そうされました」
「そう。ならいいわ」
 国家元首の身の安全が確保されたと聞いてだ。まずは安心したリンファだった。
 そしてそのうえでだ。今度はモニターを開きそのうえで中国に対して言った。
「まことに申し訳ありませんが」
「撤退あるな」
「全軍南京まで撤退しましょう」
「わかったある」
 中国はリンファの言葉にすぐに頷いた。
「ここまで敗れては仕方ないある」
「すいません、本当に」
「いや、リンファのせいではないある」
 中国はこう言って沈痛な顔になっているリンファを慰めた。
「全ては作戦計画が破綻したせいある」
「樋口、まさか」
「所詮は裏切り者だったある」
 中国も今は苦々しげな言葉だった。
「今更言っても仕方ないあるがな」
「まさか即座に逃走するとは」
 しかも部下を見捨ててであった。
「それであいつは今何処にいるあるか」
「消息不明です」
 何処に行ったのか、生死すらわからないというのだ。
「ですから処罰するにもです」
「どうしようもないあるか」
「今は」
「わかったある。では」
「はい、全軍撤退です」
 今度は決意した顔になりだ。リンファはモニターの向こうの中国に告げた。
「後詰は私が引き受けます」
「そうするあるか」
「そうさせてもらいます。それでは」
「頼んだある。僕は国家艦隊と残った主力をまとめるある」
「そうしてですね」
「軍を南京まで退かせるある。任せるよろし」
 こう言ってだ。中国は自国の軍をまとめにかかった。そうしてだ。
 壊乱状態になっている軍をまとめられるだけまとめて撤退に入る。その間にだ。 
 リンファは己が率いる軍でだ。攻め寄せる日本帝国軍の前に立った。そのうえで攻撃を浴びせていた。
「怯むな!ここで退いては駄目よ!」
「は、はい!」
「ここで我等が退けば」
「それがそのまま全軍の全滅になるわ」
 これ以上の損害を出すとだ。リンファは部下達に言う。
「だから今は」
「わかりました。では今は」
「何としても」
「踏み止まってね」
 切実な声で部下達に告げる。リンファは撤退する軍の最後尾でだ。日本帝国軍を防いでいた。
 そのリンファの艦隊の攻撃を見てだ。東郷が言った。
「あの敵将中々やるものだな」
「リンファ提督ですね」
「中帝国軍北軍司令官だったな」
「はい、あの人物です」
 秋山がこう東郷に話す。
「共有主義者でもあります」
「イデオロギーはともかくとして采配は見事だ」
 東郷は戦いながら言っていく。
「特にミサイル攻撃がな」
「そうですね。ミサイルの使い方が上手いです」
 中帝国軍のミサイルは生き物の様に動き日本帝国軍を襲う。そしてその攻撃により日本帝国軍の動きを止めていた。それは東郷をして賞賛させるものだった。
「いい攻撃だ」
「はい。ですが」
「それでもですね」
「やり方はある」
 攻撃の仕方はだというのだ。
「またミサイル攻撃が来る」
「その次にですか」
「あの提督はミサイル攻撃、それにビーム攻撃は得意だ」
「しかしですね」
「接近戦はどうかな」
 不敵に笑ってだ。東郷は秋山に述べた。
「それはな」
「ではここは」
「我が日本帝国軍の十八番の一つを仕掛けるか」
「水雷戦ですか」
「ああ、それを仕掛けるか」
「では敵のミサイル攻撃の後で」
 秋山は東郷の言葉を察した。そしてその意図も。
「一気に接近してですね」
「懐に飛び込み鉄鋼弾をありったけ打ち込むぞ」
「わかりました。それでは」
「もっとも。敵の主力はもう逃げたな」
 見れば中国がまとめた中帝国軍の主力艦隊はだ。既にだった。
 北京星域を離脱しようとしていた。リンファの捨て身の後詰は成功していた。
 しかし東郷はここでだ。こう言うのだった。
「敵は少しでも減らしておく」
「今後のことを考えて」
「そうだ。戦いはこの北京だけじゃない」
「さらに続くからですね」
「北京の後は西安だ」
 そこを攻めるというのだ。
「そしてそこを攻略してからだな」
「南京攻略ですか」
「南京については少し考えるか」
「少しとは?」
「いや、正面から攻めるばかりが方法じゃない」
 東郷は思わせぶりな笑みで秋山に話していく。
「まあとりあえずは攻撃を仕掛けるぞ」
「水雷攻撃を」
 こうしてだった。彼等はだ。まずはだった。
 リンファの艦隊のミサイル攻撃を待った。リンファはそれに気付かぬままだ。
 迫ろうとする日本帝国軍にだ。躊躇せずにだ。
「ミサイル発射!」
「了解!」
 すぐに黄色の軍服の男達が答える。そうしてだった。
 リンファの艦隊からミサイルが一斉に放たれ日本帝国軍の動きを止めると共にだ。
 その数を減らそうとした。しかしだ。
 日本帝国軍は突進しなかった。ミサイルの群れの中に。その射程ぎりぎりで止まった。
「何っ、我が軍のミサイルの射程を見切った!?」
「馬鹿な、それも寸前で」
「見切ったというのか!?」
 中帝国軍の艦長達が驚きの声をあげる。何と彼等のミサイルは日本帝国軍の艦隊の直前で射程ぎりぎりになり動きを止めた。そしてそのうえでだ。
 彼等の目の前で爆発して消えてしまった。その瞬間にだ。東郷は指示を出した。
「よし、今だ。全軍突撃!」
「了解!」
「わかりました!」
 コーギーとパンダが応える。そしてだ。
 日本帝国軍は一斉に前に突進し中帝国軍に向かう。中帝国軍はそれを見てすぐに対応しようとする。しかしだった。
「くっ、鉄鋼弾が間に合わん!」
「ぬかった!」
 彼等は水雷戦の用意ができていなかった。それでだった。
 日本帝国軍を攻めることはできず戸惑うばかりだった。その彼等にだ。
 東郷は即座にだ。攻撃命令を出したのだった。
「よし、鉄鋼弾発射!シュモクザメを軸にしろ!」
「はい!」
 そのシュモクザメを中心にだ。一斉に鉄鋼弾が放たれてだった。
 リンファ率いる中帝国軍は吹き飛ばされた。接近から放たれる鉄鋼弾は避けようがなかった。その中でリンファが乗る旗艦も被弾し炎に包まれた。
「し、司令!」
「ご無事ですか!?」
「・・・・・・・・・」
 返答はなかった。全くだ。それを見てだ。艦長達は即座に決断した。
「司令は戦死された!仕方ない!」
「これ以上の戦闘は無理だ!我等も撤退だ!」
「南京まで退くぞ!」
 こう口々に叫び全速力でだ。撤退にかかったのだった。
 かくして北京での艦隊戦は終わった。しかし戦いは終わりではなかった。
 揚陸艦が北京星系に接近する。その中には陸軍がいた。
 その陸軍を指揮する山下がだ。刀を抜いたうえで部下達に告げた。
「いいか、戦いだ」
「はい、惑星占領ですね」
「いよいよ我等の出番ですね」
「そうだ。確かに宇宙での戦いは海軍の仕事だ」
 山下は己の後ろにいる部下達に毅然として言った。
「しかし海軍は惑星での戦いはできない」
「惑星占領は我等の仕事」
「だからこそですね」
「今ここで我等の力を見せるぞ!」
 東郷への対抗意識をそのまま出しての言葉だった。
「わかったな!」
「了解です!」
「それでは!」
「全軍降下用意!」
 山下は部下達にまた告げた。
「そしてだ。北京を占領する!」
 こう部下達に言いそのうえでだ。自ら先頭に立ち北京に降り立ちだ。北京を占領したのだった。
 北京星域会戦は終わった。戦いは日本帝国軍の勝利に終わった。東郷は即座に西安星域への進出も命じた。北京での戦いは彼等に多くのものをもたらした。


TURN6   完


                         2012・2・19



遂に本格的に開戦か。
美姫 「先陣は田中提督だったわね」
だな。裏切り者の樋口が真っ先に逃げたお蔭でいい感じに混乱も引き起こせたしな。
美姫 「とりあえず、緒戦は日本帝国の勝ちね」
ああ。そのまま次の西安を目指すみたいだな。
美姫 「次はどうなるかしらね」
次回も待ってます。



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