『ヘタリア大帝国』




                          TURN16  南京沖会戦

 日本軍は南京に向かっていた。それを受けてだ。
 ランファも指揮下にある己の艦隊を出撃させようとしていた。その中でだ。
 己の旗艦の司令室。中華風の紅い木造を思わせる部屋の中でだ。一人の金髪の男を向かい合って席に座りお茶を飲んでいた。無論中華のお茶である。
 見れば男は金髪で青い目の青年だ。何処か耽美的な顔をしていてすらりとした長身である。着ている服はガメリカ軍の青い軍服である。
 その彼がだ。優しげな笑みでランファに言ってきた。
「援助のことは気にしなくていいよ」
「そうなのね」
「うん、俺が中国さんと話をしたから」
 それでだというのだ。
「皇帝陛下にもね」
「それで万歳爺は何と仰ってたの?」
「援助を喜んで受けるってね」
 そう言われたとだ。この男デビット=キャヌホークはランファに答えたのだ。
「言ってくれたよ」
「だからこの艦隊もなのね」
「そうさ。ガメリカの艦艇が揃っているんだ」
「やっぱりガメリカよね」
 ランファはお茶を飲みながら笑顔で述べた。
「万歳爺にも祖国さんにもいつもお話してるの」
「ははは、それは有り難いね」
「そうでしょ。それでね」
「わかってるよ」
 ランファを見てだ。キャヌホークは微笑みながら言った。
「戦いの後はね」
「通商条約を結びましょう」
「ガメリカとしても願ったりのことだよ」
 それが狙いだからだ。ガメリカが中帝国に接近しているのだ。そしてそれが為に今こうして援助もして軍事顧問、デビット等を派遣しているのだ。
 そのキャヌホークがだ。こう言うのだった。
「プレジデントだけでなく四姉妹、いや長官達もね」
「あっ、アメリカの財閥の」
「そうさ。あの人達も中帝国には思い入れが深いから」
 様々な思惑によりだ。そうなっていることは言うまでもない。
「戦いの後はね」
「米中通商条約を締結して」
「やがては太平洋経済圏を築くんだ」
「そしてその為には」
「日本が邪魔なんだ」
 両国の間にあるだ。その国がだというのだ。
「だから彼等を叩いておこう」
「叩くのはいいけれど」
「彼等の経済や産業は破壊しないよ」
 そうしたものには手をつけないというのだ。
「何故ならね」
「日本帝国は私達の属国とする」
「そう、使い走りにするんだ」
 戦争の後だ。彼等は日本をそう扱うつもりだった。
「ソビエトにぶつけよう。若しくはエイリスとね」
「どちらにしても露払いをしてもらえばいいわね」
「歴史は古いかも知れないけれど所詮は小国だからね」
「小国には小国に対する対応があるのよね」
 まさにだ。大国の論理だった。
「それをしていけばいいだけね」
「ガメリカにしても中帝国にしてもね」
「それじゃあこの南京で日本軍を破って」
「彼等を黙らせよう」
「それから失地を回復するわ」
 北京や香港、そうしたところをだというのだ。
「それからね。戦後の政策は」
「ソビエトが厄介だけれど」
 キャヌホークは彼等を見ていた。あくまで。
「共有主義はね」
「リンファはいい娘だけれど」
 既に日本に投降したことがわかっているのでこうした表現だった。
「共有主義に染まっていることがね」
「問題だったね」
「ええ、何とかしたかったわ」
 これは友人としての言葉だった。
「是非共ね」
「まあ日本にいるからね、今は」
「どうしようもないわね」
「彼女のことは後で考えよう」
 戦争の後でだ。そうするというのだ。
「それじゃあ今はね」
「ええ、もうすぐここに祖国さんも来るわ」
「あっ、中国さんもなんだ」
「ええ。だからお話しましょう」
 こうした話をしているとだ。実際にだ。
 中国が妹と共に来た。二人は黄色い中帝国軍の軍服を着ている。
 二人はそれぞれリンファ達と同じ席に座ってだ。こう言うのだった。
「ガメリカからの援助は有り難いある」
「そのことは感謝しているあるよ」
「そう。それはよかったよ」
「ただ。それでもある」
 お茶を手にだ。中国は難しい顔でキャヌホークに言ってきた。
「香港とマカオが向こうにいってしまったのは困ったあるよ」
「占領されたからね」
「国家は占領した国に加えられるある」
 それがこの世界の決まりだった。無論アイスランドの様に逃亡もできるがだ。
 香港、マカオとその妹達は逃げなかったのだ。それで今日本にいるのだ。中国はこのことについてだ。溜息と共にキャヌホークに話したのだ。
「困ったあるよ」
「まあそれはね」
「戦って勝ってあるか」
「彼等を取り戻せばいいよ」
「そうよ。それだけよ」
 ランファは気楽な感じで自分の祖国に話した。
「万歳爺もそう仰ってるよね」
「それはその通りある」
 中国はそうだと言う。
「そしてこの戦いに勝てばあるな」
「その時はお願いするね」
 キャヌホークは笑顔で中国に応えた。
「是非共ね」
「わかっているある。ガメリカとはこれからも仲良くしていくある」
「そう言ってもらえるとこっちの祖国さんも喜んでくれるよ」
「アメリカもあるな」
「いや、こっちの祖国さんは陽気でね」
 キャヌホーク自身も陽気に話す。
「明るい太平洋にしようって言ってるよ」
「まず日本を倒してあるな」
「そう、あの暗い共有主義は排除しよう」
 キャヌホークがこう言うとだ。中国妹が両手にお茶の杯を持って飲みながら言った。
「ただ。ロシアあるが」
「あの国だね」
「一筋縄ではいかない相手あるよ。冬将軍スノーもいるある」
 それがロシアだった。その国もまた原始の八国である。
「勝てないあるよ、簡単には」
「わかってるさ。だから戦後はね」
 その時はだとだ。キャヌホークは中国妹にも話す。
「彼等には日本をぶつけるんだ」
「私達が今戦っている国をあるか」
「そう。彼等にはやるべきことがあるんだ」
 それがソビエトとの戦いだというのだ。
「別に彼等を滅ぼすつもりはないからね」
「というか日本からは満州を奪回するだけある」
 中国妹が日本に求めているのはそれだけだった。
「後はもういいある」
「そうそう。それは我がガメリカも同じだよ」
 特にこれといってだ。彼等も日本に対する領土的野心はなかった。そしてそれがどうしてかもだ。彼はお茶と一緒に置かれているごま団子を食べながら述べた。
「あの国についてはね」
「あんな資源に乏しい地域ばかりだとね」
「特に韓国あるな」
 中国は深刻な顔になって日本帝国の中の韓国について言及した。
「あそこには何もないある」
「あそこまで資源も何もない国はないでしょ」
 ランファも韓国についてはよく知っていた。かつて属国だっただけに。
「だからね。そんなところはね」
「取っても何にもならないある」
 中国妹が簡潔に述べた。
「だから満州奪還だけでいいある」
「そうそう。まあ日本には戦後はソビエトとぶつかってもらおう」
 キャヌホークは実にあっさりと日本の仕事を自分達だけで決めてしまっていた。
「それじゃあね」
「ええ。今からね」
「頑張ってね。俺が戦場にいたら外交問題になるからね」
 軍事顧問だがガメリカはまだ日本とは交戦していない。だからだ。
 キャヌホークは今は戦線に出ないというのだ。こう言ったのである。
「ではね。後は頑張ってね」
「勝つから。期待していてね」
「そうさせてもらうよ」
「北京からだけじゃなく香港からも来てるけれど」
 日本帝国軍は香港とマカオも占領したからだ。そちら方面からも彼等が攻め入っているというのだ。
「勝つからね」
「念の為に万歳爺は重慶に退いてもらったある」
 中国はシュウ皇帝について話した。
「あんな田舎に行きたくと仰っていたあるがそれでもある」
「行ってもらったのね」
「だから安心して戦えるある」
 国家元首を戦いに巻き込まない、だからだった。
「南京で何とか終わらせるある」
「ええ、そのつもりよ」
 ランファはその右目をウィンクさせて述べた。そうしてだった。
 中帝国軍も出撃していた。そのうえで布陣してきた彼等を見てだ。東郷は長門の艦橋からだ。こう秋山に言った。
「兵器の殆どがガメリカ製だな」
「そうですね。旧式のものばかりにしても」
「それだけ関係が深いということだな」
「かなりおおっぴらに援助していますからね」
 ガメリカと中帝国の関係は既に誰もが知るものになっているのだ。
「ですから」
「兵器の殆どがガメリカ製か」
「キリング家も動いていますね」
「あの家か」
 キリング家と聞いてだ。東郷はその眉をぴくりと動かした。
 だがそれは一瞬だけであ。すぐに表情を戻してこう言うのだった。
「そうか。関わっているか」
「だからこそあれだけの艦艇が援助されたかと」
「そうだな。そうでなければな」
「おかしいでしょう」
「全く。ガメリカも色々とやってくれるな」
 飄々としたいつもの笑みだがこう言う東郷だった。
「あの手この手でな」
「ええ、我が国に絡んできますね」
「やはり避けられないか」
 東郷はこうも言った。
「あの国との戦いは」
「この南京戦の後で何を言ってくるかですね」
「おそらく最後通告だな。今もな」
「宇垣閣下ですね」
「あの人がワシントンで交渉にあたってくれているがな」
「不調に終わりますか」
「そこで最後通告だな」
 そうなるというのだ。
「間違いなくそうしてくるだろう」
「この南京戦の結果次第で」
「俺達が勝てば最後通告だ」
「そして若し負ければ」
「俺達にこれまで手に入れた権益を全て手放せと要求してくる」
「満州や他の星域の」
「そのうえでどうせソビエトと戦えと言ってくる」
 ここまでだ。東郷は読んでいた。
「そうなるな」
「つまり我々をソビエトの当て馬にするつもりですか」
「そうだ。剣であり盾だ」
「ガメリカ大統領は共有主義には寛容な様ですが」
 それはそれで問題があるがあえてだ。秋山は東郷にこのことを話した。
「しかしそれでもなのですね」
「大統領がそうでも祖国や四長官はどうだ」
「ガメリカの四姉妹ですか」
「大統領を支え実質的に国を動かしているな」
 今のガメリカは大統領の下に四人の長官がいて彼女等の権限が大きいのだ。そしてその彼女達がだ。ソビエトに対してどうかというのだ
「あの四人は言うまでもなく資産主義だ」
「それもかなり強い」
「しかもあちらの祖国さんは大のロシア嫌いだ」
「その点は中帝国やエイリスと同じですね」
 中国だけでなくイギリスもだ。ロシアとは仲が悪いのだ。
「しかし彼等が直接戦うのではなく」
「番犬をけしかけようと考えている」
「我々は番犬ですか」
「彼等から見るとそうだ」
 ガメリカや中帝国から見ればだ。そうだというのだ。
「俺達は所詮その程度の存在だ」
「侮られたものですね」
 東郷の話をここまで聞いてだ。秋山はその眉を顰めさせて述べた。
「しかも勝手に国家戦略まで決めてくれるとは」
「どのみち我が国とソビエトは戦う運命にあるがな」
 これはその通りだった。日本もまたソビエトとは抜き差しならぬ間柄にあるのだ。これはソビエトがまだ帝制だった頃と変わっていない。
「だがそれでもだ」
「そうですね。しかしです」
「俺達のことは俺達で決める」
「その通りです」
「ガメリカや中帝国が決めることじゃない」
「彼等はそれがわかっていませんね」
「お零れの繁栄も悪くないだろう」
 東郷は繁栄そのものはいいとした。しかしだった。
「ソビエトはそう簡単な相手でもないからな」
「うかうかと当て馬にされてはたまったものではないですね」
「熊とやり合うにはそれなり以上に用意と覚悟が必要だ」
 熊が何なのかも言うまでもなかった。ロシアの象徴は昔から熊なのだ。尚ガメリカは鷲、中帝国は龍と昔から言われている。ソビエトがそれに対して。
「当て馬にされたら大怪我では済まない」
「こちらにも事情がありますから」
「とりあえずは中帝国と戦う」
「そしてですね」
「おそらくガメリカともな。そうなるからな」
「はい、それでは」
 こうした話をしてだ。そのうえでだった。
 日本軍もまた布陣した。その中でだ。
 先陣を務める田中がだ。中帝国軍の大軍を前にして威勢よく叫んだ。
「よし、今日もやってやるぜ!」
「おやおや、総長さんは今日も元気だねえ」
「それも無駄に」
 その田中に南雲と小澤がモニターから言ってきた。
「まあ先にビームとかミサイルであたし達が仕掛けておくからね」
「田中さんはその後で突撃して下さい」
「ああ、邪魔するんじゃねえぜ」
 田中はモニターの二人にも威勢良く返す。
「中帝国の奴等に止めを刺すのは俺だ」
「俺もなんだぜ」
 韓国もモニターに出て来て言い出す。流石に今は海軍の軍服だ。
「俺が田中さんと一緒に敵をやっつけてやるんだぜ」
 こう威勢のいい顔で目を輝かせて言うのだった。
「だから南雲さんと小澤さんは俺達の援護を頼むんだぜ」
「まあ。韓国さんもねえ」
「やんちゃですから」
 二人から見た韓国はそんな感じだった。
「ちょっと周りも見なよ」
「さもないと田中さんみたいに大怪我しますよ」
「おい、そこで俺かよ」
 田中は小澤の今のぽつりとした言葉にすぐに言い返した。
「何でなんだよ」
「前のマカオ戦のことがありますから」
 彼が大損害を出しただ。その会戦のことだった。
「山本さんが命令を出されるより前に突出されましたね」
「あの時かよ」
「全滅は免れましたが大損害でしたね」
「ちっ、そうだよ」
 舌打ちをして苦々しい顔になるがそれでもだった。田中はそのことを認めるしかなかった。
「やっちまったよ、本当にな」
「もう少し周りを見られることです」
 また言う小澤だった。
「さもないと今度は大怪我じゃ済みませんよ」
「そうです。くれぐれもお願いしますよ」
 日本妹もモニターに出て来た。そうしてだ。
 かなり切実な顔を見せてだ。こう田中に言ったのである。
「田中さんも大切な提督なんですから」
「うっ、妹さんに言われるとな」
 田中にしても日本達、自分の祖国達に言われると弱かった。それで怯んで言うのだった。
「まあな。気をつけるからな」
「本当にお願いしますね」
「俺だって下手な損害は出したくないさ」
 これも田中の本音ではある。
「人の命がかかってるからな」
「そうだよ。まああんたの性格上難しいけれどね」
「ほぼ暴走族ですから」
 南雲と小澤はそんな田中の短所も含めて暖かい目で述べた。
「それでもしっかりとね」
「妹さんを悲しませない様に」
 日本妹という意味である。
「女の子は泣かせるものじゃないよ」
「そうしたら最低ですよ」
「だからわかってるさ。俺だって女の子は泣かせないさ」
 田中の性格はそれも否定する一面もあった。
「よし、じゃあ今日は少し慎重にやるか」
「おお、ではわしが揉んでやるぞ」
 今度は山本がモニターに出て来たのだった。
「そうしてやるぞ」
「爺さんがかよ」
「ははは、御前さんは筋がいいからな」
 いつもの屈託のない顔でだ。山本は田中に言う。
「若いうちははねっかえりがいい。御前さんはいい男になる素質があるぞ」
「へっ、そんなのは自分でもわかってるさ」
 本当にはねっかえりの顔でだ。田中は言った。
「俺はいずれは連合艦隊司令長官になるんだからな」
「ほう、海軍長官にか」
「ああ、頭になるぜ」
 こう言うのだった。
「あいつからその座を奪ってやるぜ」
「さらにいい。その意気だぞ」
「魚で戦ってな」
 実は日本軍はこの南京戦も主力というよりかはほぼ全ての艦艇が魚だ。ようやく第二世代の艦艇も配備されてきたがまだ魚の方が遥かに性能がいいのだ。
 その魚についてもだ。田中は言う。
「俺は次の海軍長官になるんだよ」
「野郎共と共にじゃな」
「ああ、そうだよ」 
 彼は部下をだ。仲間とみなしているのだ。
「やってやるからな。爺さんも見てろよ」
「ははは、御前さんは本当に威勢がいいな」
「で、その俺を揉むってのかよ」
「そうじゃ。御主はまずはそのまま進め」
 先陣らしくだ。切り込めというのだ。
「わしが小魚で援護してやるからな」
「あれでかよ」
「あれもよいぞ」
 山本は魚から出される小魚についても話した。
「ビームよりも遠くから攻められるからのう」
「ああ、あれだね」
「確かに。あれはいいですね」 
 南雲も小澤もだ。小魚と聞いて山本にそれぞれ言ってきた。
「あれは確かにいいね」
「便利なものです」
「そうじゃろ。ガメリカやエイリスではもう空母を配備しておるがな」
 新たな艦種だ。兵器は日進月歩なのだ。
「それへの参考にもなるかのう」
「そうだ」
 何とだ。モニターに今度は平賀が出て来た。ただし喋るのは久重である。
 その久重がだ。平賀の言葉を一同に伝えてきた。
「今試作型空母を開発しているがだ」
「ああ、それだね」
「そうだ。それが間も無く完成する」
 そうなってきているとだ。南雲に答える。
「思ったよりも早く進んだ。全ては魚のお陰だ」
「へえ、魚って開発にも役に立ってるんだね」
「他の艦の開発の参考にもしている」
 それは空母だけではないというのだ。
「戦艦や巡洋艦、駆逐艦にもだ」
「ではこれからの我が軍は」
「飛躍的によくなる」
 平賀は小澤にも答えた。
「兵器の質から見てもだ」
「よし、では魚の後はじゃな」
「新兵器で戦える」
 即ちだ。新しい艦艇でだというのだ。
「特に空母だ。楽しみにしておいてくれ」
「ふむ。では楽しみにさせてもらうぞ」
「こっちとしてもね」
 山本と南雲が楽しそうに応える。しかしだった。
 ここでだ。小澤はぽつりとだ。こう南雲に言うのだった。
「南雲さんは空母よりむしろです」
「戦艦の方が向いてるかい?」
「はい、そんな気がします」
「まあ元々戦艦畑だしね」
 南雲は生粋のだ。水雷、そして砲術の人間なのだ。所謂砲雷の人間なのだ。
 だからこそだ。小澤もこう言うのだった。
「ですからどちらかというと」
「そうだね。じゃああたしは新型戦艦を楽しみにしておくよ」
「長門もバージョンアップするだけでなく」
 また久重が平賀に代わって述べる。
「新しい旗艦も開発中だ。その旗艦はだ」
「どんなのなんだよ」
「第六世代、来たるべきそれを超えている」
 田中に言う。そこまでの艦だとだ。
「それもまた配属されることになる」
「それは有り難いな」
 東郷もだった。モニターに出て来た。
「では楽しみにしているぞ」
「うむ、君にも健闘を祈る」
 平賀はその東郷にも話した。
「これからもな」
「そうだな。では祖国さんいいか」
「はい」
 何時しかモニターに日本もいた。真面目な顔である。
「戦闘開始ですね」
「そうした新型艦を見るのもこの戦いの後だ」
 南京戦、その戦いに勝利してからだというのだ。
「ではそれを見る為にもだ」
「勝ちましょう。戦うからには」
 日本も意を決した顔で応える。こうしてだった。
 日本帝国軍は南京沖に布陣する中帝国軍に向かった。それを見てだ。
 ランファは意を決した顔になってだ。モニターに映る中国と彼の妹に告げた。
「じゃあ祖国さん達、行くわよ」
「わかっているある。それなら」
「今から戦闘あるな」
「敵は数は少ないけれどね」
 ランファもわかっていた。彼等のことは。
「それでも質がいいから。ここは慎重にいきましょう」
「それではどうするあるか?」
 中国がランファに尋ねる。
「慎重策とはいっても色々ある」
「前方に機雷源を置いてるから」
 既にだ。ランファは対策を用意していた。
「敵は左右から来るからね」
「ではその左右から来る敵をあるな」
「迎え撃つあるな」
「そう。何処から来るのかわかってるのなら対応しやすいじゃない」
 ランファは右目をウィンクさせて中国の兄妹に述べた。
「だからなの。後はね」
「ふむう。そうあるな」
「左右から来る敵を迎え撃てばいいあるな」
「ガメリカの兵器だし。こっちもやれるわ」
「では、あるな」
「これから戦闘開始ある」
「そう。勝つわよ」
 前方の機雷原、モニターにはそれも映っている。
 その無数の機雷達も見ながらだ。ランファは言うのだった。
「中帝国だって負けてないんだから」
「では。ここで勝って」
「この戦いを終わらせるあるよ」
 中国と妹も応えた。こうしてだった。
 中帝国軍は日本軍を迎え撃つ。その日本軍はというと。
 正面に向かって突き進む。だがそこにはだった。
 日本妹がモニターからだ。東郷に対して言ってきた。
「東郷さん、前にはです」
「ああ、機雷原だな」
「このまま正面に向かえばです」
「当然損害が出るな」
「ですからここはです」
 日本妹は焦る顔で東郷に進言する。
「敵の側面に回りましょう。そのうえで」
「いや、それはしない」
 しかしだった。東郷はこう日本妹に返したのだった。
「側面に回ることは敵も呼んでいる」
「それはそうですが」
「その我々にだ。敵は総攻撃を仕掛けてくる」
 そうなるというのだ。
「数で劣る我々は負ける」
「敵もそう見ていますか」
「数で劣るなら正面からぶつからないことだ」
 この場合の正面は側面だった。敵が待ち受けている。
「わかったな。それではだ」
「正面からですか」
「敵の機雷原を攻撃する」
 そうするというのだ。
「わかったな。そうするぞ」
「機雷原をですか?」
「砲撃だ」
 具体的にはだ。それを行うというのだ。
「ビームで機雷を薙ぎ払う」
「それじゃあかなりの砲撃になりますよ」
 今度は台湾だった。彼女がモニターに出て来て東郷に言ってきた。
「敵の機雷の数はかなりのものです」
「ここでも数を使ってきてるな」
「はい、それを薙ぎ払うとなると」
「だからこそだ」
 台湾にもだ。東郷は告げた。
「実際に総攻撃を行う」
「そしてその後は」
「ミサイルの用意だ」
 ビームの一斉射撃の後でだ。即座にだというのだ。
「いいな、そうするぞ」
「ミサイルですか」
「当然水雷戦も用意しておく」
 田中が得意とするだ。それもだというのだ。
「二段攻撃だ。敵軍に突進しながらだ」
「思い切っていますね、今回も」
「機雷原を攻撃してなんて」
「ははは、思い切ってやってこそだ」
 東郷は日本妹と台湾にも笑って述べる。
「勝てるんだからな」
「では、ですね」
「まずは機雷原を攻撃して」
「進む。そうする」
 こう告げてだ。東郷は日本軍を進ませるのだった。そうしてだ。  
 ビームの射程に入るとだ。即座にだった。
「撃て!」
「撃て!」 
 東郷が叫ぶと現場の士官達も指示を出した。そのうえでだ。
 日本軍は機雷原にビームの一斉射撃を浴びせた。それでだった。
 機雷原を薙ぎ払う。それを見てだった。
 ランファ、機雷原を置いた彼女はだ。旗艦の艦橋の己の席から立ち上がり思わず叫んだ。
「何っ、これ!?」
「機雷原に攻撃を仕掛けています!」
「それにより機雷を次々に破壊しています!」
「それはわかってるわよ」
 驚愕の顔でだ。部下達にも言う。
「けれど。機雷を避けるんじゃなくて」
「はい、まさか攻撃するとは」
「そうしてくるとは」
「確かに機雷は吹き飛ばせるわ」
 攻撃でもだ。そうできるのは事実だった。
「けれど。それでも」
「はい、まさかこうしてくるとは」
「ビームの一斉射撃で薙ぎ払うとは」
「これは想像外でした」
「こうしたやり方で来るとは」
「有り得ないわよ」
 まだ呆然としているランファだった。その次々と誘爆して消えていく機雷達を見ながら。
 そしてだ。こうも言うのだった。
「まずいわ、機雷がなくなったら」
「敵が正面からもですね」
「そこからも来ますね」
「何処から来るかわからなくなるわ」
 機雷を置いたのは敵を倒す為ではない。進路を制限させる為だったのだ。
 だがその機雷がなくなってはだ。どうなるかは自明の理だった。
「まずいわ。敵の攻撃ポイントは」
「閣下、ここはどうされますか」
「一体」
「まずは方陣よ!」
 防御の為のだ。それを組むというのだ。
「軍単位で組むわ!いいわね!」
「はい、わかりました!」
「それならば!」
 部下達も応えてだ。すぐにだった。
 中帝国軍は方陣を組もうとする。だが。
 日本軍はビームの一斉射撃で消え去った機雷原の残骸の中を潜り抜けて突進する。速度全く緩めていない。
 しかもミサイルの射程に入るとだ。即座にだった。
 東郷は長門の艦橋からだ。こう命じた。
「いいか、今は照準を定める必要はない」
「ミサイルをですね」
「放つのですね」
「そうだ。このまま放つ」
 一斉射撃でだ。照準を定めないというのだ。
「それでいい。敵は今方陣を組もうとしているがだ」
「そこにあえて攻撃を仕掛けて」
「それをさせませんか」
「陣は組む前が最も脆い」
 こう己の幕僚達にも述べるのである。
「だからだ。ここはだ」
「わかりました。それでは」
「ミサイルも」
 こうしてだ。ミサイルも放たれる。照準は定められていないが一斉射撃だ。それを受けてだ。
 陣を組む最中の中帝国軍は混乱した。陣を組む最中だが。
 そこで動きが混乱した。それを見て中国が己の旗艦から叫んだ。
「危険ある!動きが乱れたあるよ!」
「兄さん!ここはどうするあるか!」
「艦隊単位で陣を組むあるよ!」
 こう言ってだ。中国は咄嗟に己の艦隊を方陣にさせた。そしてだ。 
 ランファにもだ。モニターからこう告げた。
「軍単位では危ないある!こうなったらある」
「艦隊単位の方陣ね」
「そうある。すぐに日本軍の水雷攻撃が来るあるぞ!」
「わかったわ。それじゃあ!」
 ランファとて無能ではない。この状況を見てだ。戦術をすぐに切り替えた。
 軍単位から艦隊単位での方陣を組ませた。それを見てだ。
 東郷もだ。軍を進ませながら言った。
「敵も無能ではないな」
「そうですね。動きが速いです」
「水雷攻撃の前に陣を組まれました」
 秋山とモニターに出て来た日本が言ってきた。
「これでは軍単位への攻撃はできません」
「それではこれからは」
「艦隊単位への攻撃にかかる」
 予定を変更してだ。そうするというのだ。
「いいな、敵の各艦隊をだ」
「攻撃してですね」
「撃破していきますか」
「二個艦隊で一個艦隊を狙え」
 そうしろというのだ。水雷攻撃はだ。
「そうして敵艦隊を確実に潰す」
「敵の数は我が軍の三倍以上ですが」
 秋山がその数について言及した。
「それでもですか」
「そうだ。ここは各個撃破だ」
「そうして敵の数を確実に減らしますか」
「そうしていく。わかったな」
「わかりました。ではです」
 こうしてだった。水雷攻撃はだ。
 二個艦隊で一個艦隊を襲う形になった。すぐにだ。
 日本帝国軍は方陣を組む中帝国軍の艦隊に襲い掛かる。狼の様に。
 田中は先頭に立ちだ。部下、即ち仲間達に叫んだ。
「よし、突撃だ!」
「へい提督!」
「そうしてですね!」
「敵を確実に仕留めろ!」
 これが彼の指示だった。
「いいな、確実にだ!」
「了解!」
「わかりやした!」
 彼の仲間達も妙にガラが悪い。やはり族の様だ。
 だがそれでも彼等は勇敢に敵軍に向かいだ。そしてだった。
 敵艦隊に接近して鉄鋼弾を放ちだ。敵艦を仕留めていく。
 敵艦は次々に被弾し真っ二つになり炎に包まれ宇宙の塵となっていく。日本帝国軍の水雷攻撃はここでもかなりの強さだった。その水雷攻撃でだ。
 中帝国軍はその数を大きく減らした。日本軍の水雷攻撃が終わった時にはだ。
「全軍の損害が一割に達しています」
「敵のミサイルと水雷攻撃によって」 
 部下達がランファに報告する。
「まさか。一瞬で、です」
「ここまで減らされるとは」
「ええ、わかってるわ」
 ランファは苦い顔でその報告を聞いていた。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「けれど。凌いだわね」
「はい、何とかですが」
「それはできました」
「それなら。今度は小魚の攻撃が来るけれど」
 だがそれもだというのだった。
「その後でよ」
「反撃ですね」
「ビームで」
「残った艦艇で敵の全軍に一斉射撃よ」
 今度は彼等がだ。一斉射撃を行うというのだ。
「いいわね。まずは小魚を凌ぐのよ!」
「了解!」
「わかりました!」
 中帝国軍の面々はガメリカ式の敬礼で応える。そうしてだった。
 日本帝国軍の小魚の攻撃も耐えた。その瞬間にだ。
 今度は彼等が一斉射撃に移った。それに対してだ。東郷もこう命じた。
「こちらも撃つぞ」
「正面からですね」
「そうだ、全軍一斉射撃だ」
 今度は敵軍に向けてそうするとだ。モニターの台湾兄に答える。
「敵のビームに向かってだ。いいな」
「それでは数が足りない分です」
「こちらが不利だというんだな」
「そうです。ましてやガメリカ軍の兵器のビームは強力です」
 このことについてもだ。台湾兄は言及した。
「ですあkら。それをされても」
「いや、それでもだ」
「それでもですか」
「敵の攻撃の威力を軽減する。そしてだ」
「そしてですか」
「すぐにまたミサイルを放つ」
 ビームの応酬の直後にだ。そうするというのだ。
「わかったな。それではな」
「わかりました。では」
「全軍一斉射撃だ」
 こう命じて。そのうえでだった。
「亀を持っている艦隊はそれに頼れ」
「バリアですね」
「それに」
「そうだ。あのバリアなら相当なビーム攻撃も凌げる」
 水族館の中からだ。そういった生き物も出して来て艦隊に加えているのだ。
「頼れるものは頼れ。いいな」
「バリアもですね」
「それも使いますか」
「使えるものは何でも使うんだ」
 東郷はこうした考えも持っていた。勝つ為にだ。
「だから頼れ。いいな」
「了解です。では」
「バリアも使いましょう」
 こうしてだった。日本帝国軍は亀のバリアも使ってだ。まずは中帝国軍のビーム攻撃に大した。確かにそのビームの威力は軽減させた。自分達の一斉射撃で。
 だがそれでもビームは来た。それを受けてだった。
 日本軍はダメージを受けた。撃沈される艦艇も出た。
「駆逐艦白雪撃沈です!」
「給養員と衛生員に戦死者が出ました!」
 こうした報告もあがった。
「教養の新米兵士と看護長が戦死です!」
「他の面々は無事ですが補給の兵長も瀕死の重傷です」
「今その兵長が死にました!」
「他にも機関の三十歳の伍長が吹き飛びました!」
「損害は軽くないね」
 白雪の所属する艦隊を率いているのは南雲だった。その南雲が苦い顔で言う。
「白雪もいい船だったんだけれどね」
「はい、ですが沈みました」
「他の乗組員は何とか脱出中です」
「すぐに退艦させて後方に行かせるんだよ」
 南雲はすぐに指示を出した。
「いいね、そうするんだよ」
「わかりました、では彼等はです」
「すぐにそうさせます」
「さて、残った艦艇でね」
 どうするか。南雲はこのことを言った。
「反撃に移るよ。ミサイルは撃てるね」
「はい、何時でも攻撃可能です」
「後は提督の指示だけです」
「よし、旦那も言ってきたよ」
 南雲の乗艦金剛のモニターにだ。指示を出す東郷が映った。それを見てだった。
 南雲もすぐに指示を出した。ミサイルを放たせた。
 今度は日本帝国軍が先に仕掛けられた。それで再び中帝国軍を撃った。それでだ。
 そこから再び突撃してだ。水雷攻撃に移った。日本帝国軍は確かに損害を出した。だがそれでもだった。
 中帝国軍も気付けばだ。その損害は。
「うっ、随分とやられたあるな」
「そうある。ビームを凌いでもだったある」
 中国の兄妹が今の自軍を見てモニター越しに話す。
「三割はやられたあるよ」
「またここまでやられたある」
「やっぱりあれね」
 ランファも困った顔で二人に応える。
「機雷原を突破されたせいね」
「そうあるな。あれで流れを掴まれたあるよ」
「全く。してやられたある」
「まだ数は我が軍の方が上だけれど」
 ランファは指揮官の席から立ったうえで言う。その眉を曇らせながら。
「どうしたものかしら」
「こうなったら正面から数を頼りに攻めるあるよ」
 中国妹だった。彼女が提案した話である。
「まだ。何とかいけるある」
「そうね。それじゃあ」
 ランファも中国妹の言葉に頷いた。そうしてだった。
 中帝国軍は一旦集結して日本帝国軍を正面から押し潰そうとする。しかしだった。
 山本はその彼等の動きを見て楽しげに微笑んだ。そのうえでだ。
 田中の旗艦のモニターに出てだ。こう言ったのだった。
「ではじゃ」
「今からあんたのやり方を見せるってのかよ」
「そうじゃ。まず小魚を使う」
 山本の艦隊にあるだ。それをだというのだ。
「それで敵の司令官の艦隊を叩く」
「敵の司令官はランファ提督だにゃ」
 アストロ猫が山本に言ってきた。
「丁度敵軍の先頭にいるにゃ」
「そうじゃ。だからこそじゃ」
「爺さん、あんた何するつもりだよ」
「戦争に勝つ方法の一つは知っとるじゃろ?」
「戦争の?」
「御前さん風に言えば喧嘩じゃな」
 こうも言う山本だった。その右目を悪戯っぽく瞑ってみせつつ。
「喧嘩で相手の数が多いとどうする?」
「そんなの決まってるだろ。頭を潰すんだよ」
 田中は山本の問いにすぐに返した。
「そうすりゃ終わりだよ」
「そういうことじゃ。それではそのやり方を教えてやる」
「そんなに上手にいけばいいけれどな」
「そういかせるのが喧嘩じゃよ」
 山本はまた右手を瞑って見せて言った。
「では見ておるのじゃ」
「ああ、わかったぜ」
 田中もこう返してだ。そのうえで山本のやり方を見た。見ればだ。
 山本は小魚を出して敵軍の先頭にいるランファの艦隊を攻撃した。その攻撃を受けてランファの艦隊は当然ながら損害を出した。特にランファの旗艦が。
「司令!中破です!」
「動きが鈍ります!」
「くっ、まだよ!」
 部下達の報告を受けてもだ。ランファは怯まなかった。そのうえでだ。
 彼女は指示を出す。今度の指示は。
「突進!このままよ!」
「は、はい!」
「わかりました」
 その言葉を受けてだ。ランファの乗艦も何とか前に進もうとする。だがここでだった。
 山本はまた指示を出した。今度の指示は。
「イソギンチャクじゃ」
「イソギンチャク?あれをですか」
「ここで使われるのですか」
「そうじゃ。敵の司令官の旗艦を捕まえる」
 そのだ。イソギンチャクを使ってだというのだ。
「よいな。そうするぞ」
「では。今から」
「かかりましょう」
 こうしてだった。イソギンチャクの無数の触手が延びてそうしてだった。
 ランファのガメリカの戦艦が捕らえられた。ランファはその中で叫んだ。
「何っ、拘束されたの!?」
「し、司令どうします!?」
「これは!」
「は、早く振り解かないと!」 
 触手から逃れる、そうしなければというのだ。
「さもないと捕虜になるわよ!」
「し、しかしです!」
「触手はこの艦を完全に捕らえています」
「これでは」
 部下達もわかった。この状況ではだ。
 動けない。日本帝国軍の捕虜になってしまうことにだ。そして実際にだ。
 ランファの乗艦を拘束させた山本はすぐにイソギンチャクを後方に送った。こうしてランファは捕虜になった。その顛末を見た中国は仰天して叫んだ。
「アイヤーーーーー、大変ある!ランファが捕まったあるよ!」
「司令官が捕虜になったある!」
 中国妹も驚いて叫び声をあげた。
「まずいある、全軍が動揺しているあるよ」
「このままだと大変なことになるあるよ」
 動揺しているその状況ではというのだ。
「日本帝国軍に攻められるある」
「司令官もいないし今攻められれば総崩れある」
 二人はすぐにこう判断した。そしてだった。
 中国はこの危機にだ。国家として咄嗟に決断を下した。
「全軍重慶まで撤退ある!」
「撤退あるか!?」
「司令官が捕虜になった今どうしようもないある!」
 こう妹にも答える。今も日本帝国軍は小魚を出そうとしている。小魚を出せる艦隊は山本だけが持っているのではないのである。それでだった。
「どうしようもない状況になる前にある」
「今すぐにあるか」
「そうある、撤退ある」
 即座にだ。中国は決断を下したのだ。
「これ以上の戦闘は無駄に損害を増やすだけある」
「わかったある。それならある」
 中国妹も兄の言葉に応えて言う。
「殿軍は私が務めるあるよ」
「御前があるか?」
「兄さんはすぐに主力艦隊を率いて重慶に向かうある」
 日本帝国軍が迫る中でだ。彼等はやり取りをしていく。
「そうしてある。重慶で落ち合うよろし」
「御前は無事あるか?」
「私のことは心配無用ある」
 実は兄より強い妹だったりする。尚これは中国兄妹だけではない。何故か国家は基本的に兄より妹の方が強くしっかりしているのである。
 その中国妹がだ。こう言うのだった。
「無事に帰って来るあるよ」
「ではその言葉信じるある」
 兄は妹の確かな笑みを見てから頷いた。こうしてだった。
 司令部を失って混乱状況に陥ろうとしていた中帝国軍は中国兄妹の咄嗟の判断で重慶に撤退することになった。中国は即座に自軍をまとめて撤退した。そしてだった。
 中国妹は何とか後詰を務め全軍の壊滅を止めた。そのうえで彼女も重慶に逃げ延びた。こうして中帝国軍の撤退により南京星域での戦いは終わった。
 日本帝国軍は南京も占領することになった。陸軍は無事南京を占領した。中帝国はいよいよ重慶に追い詰められた。しかし戦争はまだ続いていた。


TURN16   完


                           2012・4・9



ランファを捕獲できたみたいだな。
美姫 「南京の占領もできたしね」
中帝国は中国妹の指示で重慶に撤退したから、壊滅は免れたようだが。
美姫 「態勢をいかに立て直すかよね」
逆に日本帝国はどれだけ素早く進軍できるか、だな。
美姫 「さてさて、次回はどうなるかしらね」
次回も楽しみに待っています。
美姫 「待ってますね」
ではでは。



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