『ドリトル先生と沖縄の蛇達』




                 第二幕  沖縄へ

 沖縄に出発する時が来ました、ですが先生は準備万端整ってもどうにも浮かない顔でお家にいました。
 その先生にです、今回は留守番を務めるトミーが尋ねました。
「飛行機ですか」
「今回はね」
 先生はトミーに困っているお顔で答えました。
「それで行くことになっているんだ」
「大阪の新国際空港からですね」
「そうだよ、けれど」
「先生飛行機苦手ですからね」
「そうなんだよね」
 だからというのです。
「今回はね」
「僕達も一緒だから」
 チーチーが先生に言ってきました。
「僕達は行き来荷物扱いだけれどね」
「動物って移動の時そうなのよね」
 ガブガブはその荷物扱いのことについて言いました。
「基本は」
「先生と一緒にいない時もあるんだよね」
 ホワイティも言います。
「今回みたいに」
「それがね」
「どうも残念だけれど」
 チープサイドの家族は自分達でお話します。
「仕方ないよね」
「こうしたことは」
「そう、我慢してね」
 行き来の間はとです、ジップも言います。
「先生と一緒に行くんだよ」
「飛行機の荷物庫って寒いけれどね」
 お空は寒いからです、ダブダブはこのことが少し嫌なのです。
「皆で寄り添えば暖かいからね」
「そう、そこは乗り切って」
 トートーはそのダブダブの横にいます。
「そのうえでね」
「沖縄に行きましょう」
 ポリネシアは先生と一緒に行くことを楽しみにしています。
「皆でね」
「ホテルでは一緒にいられるから」
 老馬は沖縄に着いてからのことを考えています。
「それでいいよ」
「沖縄に着いたらね」
「先生が学会に出る時以外は」
 オシツオサレツも沖縄に着いてからのことを考えています、身体の前後にある二つの頭でお話をします。
「沖縄を巡って」
「色々と学問を楽しむんだね」
「行くのも飛行機、帰るのも飛行機」
 先生はまだこのことを気にかけています。
「そのことがね」
「だから今言ってもね」
「もう決まったことだし」
「仕方ないじゃない」
「だから今回はね」
「皆で我慢して行こう」
 こうお話してでした、そして。
 先生は皆にです、あらためて言いました。
「じゃあ飛行機はね」
「そう、我慢してね」
「大阪から沖縄まで乗って」
「帰る時もそうして」
「もうそれでいいじゃない」
「そうだね」
 また言った先生でした。
「それじゃあね」
「よし、行きましょう」
「今からね」
「大阪まで行って飛行機に乗って」
「沖縄に行きましょう」
「よし、そうしよう」
 先生も覚悟を決めました、そしてでした。
 皆でお家を出ました、トミーに笑顔で送られて。そのうえで電車で大阪の新国際空港まで行ってでした。そのうえで。
 動物の皆は荷物扱いで飛行機に入って先生は乗客席に向かいました、しかし座っても先生は不安そうなお顔です。
 その先生にです、同じ飛行機に乗る子供達が言ってきました。
「おじさん怖いの?」
「飛行機が怖いの?」
 黒い髪の毛の男の子達です、言葉に大阪の訛りがあります。
「僕飛行機に乗るのはじめてだけれど怖くないよ」
「僕もだよ」
「全然ね」
「怖くないよ」
「僕は何度か乗ってるけれど」
 それでもと言う先生でした。
「それでもね」
「おじさんは飛行機怖いんだ」
「落ちるって思ってるんだ」
「そうなんだね」
「大丈夫だよね」
 こう言うのでした、子供達に。
「別に」
「そんなこと言ったら電車も事故あるし」
「車だってね」
「船だって沈むじゃない」
「飛行機が落ちるって言ったら」
「それはそうだけれどね」
 どうしてもというのです。
「怖いよ」
「どうしてもなんだ」
「おじさんは」
「電車や車、船はいいけれど」
「飛行機は苦手なんだね」
「それで怖いんだね」
「そうだよ、大丈夫かな」
 落ちないかどうかです、本当にこのことを心配していた先生でした。そしてそうしたことを話してそのうえでなのでした。
 飛行機は離陸しお空を飛びました、先生はその間緊張した面持ちでいて額からはうっすらと汗も流れていました。
 そのうえで沖縄に着いてです、合流した動物の皆に空港で言いました。
「いや、今回もね」
「緊張していたんだね」
「ずっと」
「そうだったんだね」
「飛行機はどうしても慣れないよ」
 苦手なままだというのです。
「僕はね」
「けれど船と一緒だよね」
「そうそう、底の下は海でね」
「沈んだら大変だし」
「飛行機もそうじゃない」
「じゃあ何で飛行機だけ怖がるの?」
「先生のわからないところね」
 動物の皆は船の板一枚下は何とやらです、日本にある言葉から先生に対して言うのでした。
「船は好きで飛行機は駄目」
「どうしてかしら」
「同じなのに」
「何で飛行機は怖がるのか」
「わからないわ」
「そう言われるとそうだけれど」
 先生も皆に答えます。
「どうしてもね」
「そっちは怖いんだ」
「飛行機は」
「どうしても」
「感性の問題だね」
 それでというのです。
「僕は飛行機が怖いんだ」
「だから今回も怖かったの」
「そうだったのね」
「先生今凄くほっとしたお顔だけれど」
「怖かったからなの」
「そうだったけれど」
 それでもとです、先生は滑走路の方を見ました。さっき降り立ったそちらをです。飛行機達は空港にいて飛び立ったり着陸しています。
 その飛行機達を見てです、また言いました。
「まあ着いたからね、沖縄に」
「沖縄のことを考えていきましょう」
「学会のこともね」
「そして観光のことも」
「楽しもうね」
「うん、王子ともお話をしたけれど」
 それでもというのでした。
「まずはね」
「沖縄料理ね」
「それを食べるのね」
「これから」
「そうするのね」
「そうしよう、お腹が空いたよ」
 笑顔に戻って言う先生でした。
「だからまずは食べよう」
「じゃあ何を食べるの?」
「沖縄料理も一杯あるけれど」
「まずは何を食べるの?」
「そーきそば?」
「そうだね、お昼だし」
 時間から考えて言う先生でした。
「ステーキかな」
「それ食べるんだ」
「ステーキなんだ」
「そっちにするのね」
「あとタコライスだね」
 こちらもというのです。
「食べたいね」
「あのタコスから作ったっていう」
「あれも食べるんだ」
「ステーキとタコライス」
「これでいくんだ」
「うん、そうしよう」
 こう皆に言いました。
「今回はね」
「それじゃあね」
「ステーキとトルコアイス」
「今から食べに行こうね」
「そうしようね、しかしね」 
 お昼に何を食べるのかを決めてからです、先生は額の汗をハンカチで拭きながらです。こんなことを言ったのでした。
「やっぱり暑いね」
「沖縄だからね」
「暑いのは仕方ないね」
「沖縄は暑いよ」
「先生もそう言ってたじゃない」
「わかっていたし何度も来てるけれど」
 それでもというのです。
「それでも暑いね」
「そして暑いのが沖縄」
「南国だから」
「しかも夏だし」
「うん、けれど上着は脱がないよ」
 見れば先生は今もスーツです、薄い生地ですが上着もネクタイもちゃんと締めていて頭には帽子を被っています。
「これはね」
「先生は脱がないよね」
「いつも通りスーツだね」
「そのスタイルは変わらないね」
「どうしてもね」
 スーツ姿はというのです。
「僕は崩せないよ」
「どうしてだよね」
「先生的には」
「それは」
「イギリスではね」
 先生のお国ではというのです。
「学者さんはスーツだから」
「上着も脱がずに」
「それでだね」
「そう、上着を脱ぐこともね」
 日本では普通にそうしていてもです
「出来ないから」
「だからなの」
「それでなの」
「上着も脱がない」
「いつも通りそうしてるのね」
「そうだよ、脱がないよ」
 そうするというのです。
「僕はね」
「それじゃあ」
「今はだね」
「ステーキハウスに行って」
「タコライスも食べるんだね」
「そうしようね」
 汗をかきながらもです、先生はスーツのまま空港を後にして那覇の繁華街に出てでした。そのうえでまずはです。
 ステーキハウスに入りました、そして皆と一緒にステーキとタコライスそれにお野菜がたっぷり入ったサラダを注文しました。
 ステーキを見てです、皆は驚いて言いました。
「大きいね」
「そうだね、このステーキ」
「かなり大きいね」
「分厚いしね」
「これは日本ではね」
 先生もそのステーキを前にして言います。
「あまりない大きさだね」
「そうだよね」
「この大きさはないね」
「ちょっと以上にね」
「日本ではないわね」
「日本人は少食だからね」 
 それでなのです。
「ステーキも他のものね」
「そうそう、量が少なくて」
「日本に来た時そのことに驚いたけれど」
「このステーキは違うわね」
「あとはタコライスね」
「サラダもあるわね」
「そのサラダも」 
 サラダも来ています、そのサラダはレタスと胡瓜にトマトそれにアスパラガスやセロリが入っていてさらにでした。 
 パイナップルも入っています、動物の皆はそのパイナップルを見て言いました。
「沖縄らしいわ」
「パイナップルが入っていてね」
「甘酸っぱい感じもして」
「南国って感じね」
「そうだね」
 先生も目を微笑まさせてそのサラダを見ています。
「こちらも美味しそうだね」
「それで最初にどれを食べるの?」
「ステーキにするの?」
「それともサラダ?」
「うん、最初にサラダを食べるのが欧州だけれど」 
 それでもと言った先生でした。
「それよりもね」
「ステーキなんだ」
「今回はそっちを先に食べるんだ」
「そうするんだ」
「そうしようかな、焼きたてが来たからね」
 ステーキからは湯気が立っていてです、鉄板の上でしゅうしゅうと音が出ています。ステーキに乗せているバターが溶けています。
「こっちを先に食べようかな」
「じゃあそうしよう」
「ステーキを先に食べよう」
「実際かなり美味しそうだし」
「先にこっちだね」
「うん、こっちを食べよう」 
 こうしてでした、皆は最初はステーキを食べました。焼きたての分厚いステーキは食べがいがあってです。
 先生は食べつつです、笑顔で言いました。
「美味しいね」
「そうだね」
「このステーキ美味しいよ」
「焼き加減もいいし」
「味付けもいいね」
「柔らかいけれど」
 先生は食べつつ言いました。
「これは玉葱だね」
「玉葱?」
「玉葱がどうかしたの?」
「切った玉葱の中に置いてだね」
 そしてというのです。
「柔らかくしているね」
「そうなんだ」
「このステーキはそれで柔らかくしているんだ」
「成程ね」
「だから柔らかいんだね」
「日本人は柔らかいステーキが好きだけれど」
 お肉がです。
「このステーキはそうしてるね」
「玉葱でなんだ」
「柔らかくしてる」
「そうしてるんだ」
「元々このやり方は日本からはじまったんだよね」
 この国でというのです、先生達が今いる。
「玉葱で柔らかくするやり方は」
「ううん、そうなんだね」
「日本からはじまったやり方なんだ」
「面白いやり方だね」
「どうも」
「僕もそう思うよ、このことは」
 また言った先生でした。
「いや、柔らかいステーキもいいね」
「イギリスじゃそういうのもないよね」
「ステーキって固いものでね」
「こんな丁寧な焼き方もしてないし」
「全然違うんだよね」
「同じステーキでも」
 日本のものとイギリスのものではというのです。
「本当に違うね」
「というか全然違うね」
「同じお料理とは思えない位にね」
「本当に違うわね」
「外見は同じ様でも」
「この日本人の工夫が嬉しいよ」 
 ステーキ一つ取ってもというのです、先生はフォークとナイフを紳士的な作法で使ってステーキを切ってお口の中に入れつつ言いました。
「本当にね」
「ステーキといってもね」
「ただお肉を焼くだけじゃない」
「切ったお肉を」
「それだけじゃないんだね、日本のステーキは」
「そうした工夫もしてるんだね」
「その工夫が嬉しいよ」
 本当にというのです。
「だから美味しく食べられるよ」
「そしてだね」
「ステーキの後はサラダ」
「パイナップルが入っているサラダを食べて」
「それからだね」
 その次にというのです。
「タコライスだね」
「あと甘いものも食べて」
「楽しみましょう」
「そして三時にはね」
「またお茶ね」
「うん、その時はね」 
 ティータイムの時のこともお話する先生でした。
「沖縄のお菓子を食べたいね」
「そして沖縄のお茶を飲んで」
「そのうえで楽しみたい」
「先生はそうしたいのね」
「そだよ」
 その時はというのです。
「あらためてね」
「じゃあね」
「その時も楽しみにして」
「今は食べようね」
「ステーキもタコライスよ」
「そうしようね」
 こう動物の皆に応えながらです、先生はステーキとサラダを食べてです。そのうえでタコライスを食べるのですが。
 そのタコライス、お肉や玉葱、トマトを細かく刻んだものが上に乗っているお皿の上の御飯を見てでした。
 動物の皆はです、こう言いました。
「何かね」
「タコスは日本で見たけれど」
「八条学園の売店にあるから」
「それで見たけれど」
「あの学園にはメキシコから来ている人もいるからね」
 先生が応えます。
「だから売店もあるんだよね」
「そのタコスのお店もね」
「ちゃんとあるんだね」
「先生も時々タコス食べてるけれど」
「美味しいよね」
「そしてね」
 さらにお話する先生でした。
「メキシコからアメリカにもタコスは伝わったんだ」
「お隣同士でね」
「メキシコ系アメリカ人の人も多いし」
「だからだね」
「沖縄にアメリカ軍が来て」
「その中にメキシコ系の人もいて」
「それで伝わったんだ」
 日本にタコスがです。
「それでアレンジされてね」
「小麦を焼いた生地じゃなくて御飯」
「御飯を使ってなのね」
「タコライスになった」
「そうなんだね」
「そうだよ、お料理はね」
 まさにとです、先生はそのタコライスを食べつつ言うのでした。
「色々な国の影響を受けているんだ」
「そうなんだね」
「それは沖縄でもそうなんだ」
「この場所でもそうで」
「こうしたものが食べられているんだ」
「そうだよ、いや本当にね」
 先生はタコライスの味を楽しんでいます、そのうえでの言葉です。
「これは美味しいね、それとね」
「それと?」
「それとっていうと?」
「意外な発見だよね」
 こうも言うのでした。
「この味はね」
「ああ、タコスと御飯」
「この組み合わせが合う」
「そのことがなんだ」
「こんなことよく見付けたね」 
 しみじみとして言うのでした。
「確かにメキシコからアメリカ、沖縄と伝わったけれど」
「御飯に合わせるってね」
「確かに普通はないよね」
「これは美味しいよ」
「とてもね」
「そうだね、これだけ美味しいと」
 それこそと言いつつさらに食べる先生でした。
「さっきステーキとサラダも食べたけれど」
「タコライスもだね」
「全部食べられるね」
「デザートまで」
「そう出来そうだね、それと」
 さらに食べつつ言う先生でした。
「さっきの話だけれど」
「さっきの?」
「さっきのっていうと」
「うん、タコスと御飯を合わせる」
 それがというのです。
「いや、普通はないよ」
「確かにこれはないね」
「凄い発想だよね」
「沖縄も日本だからね」
「それで御飯だとしてもね」
「そう、けれど普通はタコスをそのまま食べるのに」
 それがというのです。
「御飯に合わせる発想がないよ」
「本当にそうだね」
「そこはね」
「しかも美味しい」
「そこまで合わせるなんて」
 そうしたことをお話しつつでした、先生は皆と一緒にタコライスも食べて最後は黒糖アイスを食べました。それから。
 繁華街を回って三時にはティータイムでした、さんぴん茶にちんすこう、のー饅頭、三月菓子です。それをお店の中で注文してです。
 ティータイムとして口にしてです、先生はまた言いました。
「これもいいね」
「お茶もだね」
「そして沖縄のお菓子も」
「どれもだね」
「いいっていうんだね」
「うん、いいね」 
 実際にと言うのでした。
「こちらもね」
「お昼にも随分食べたけれどね」
「アイスも食べて」
「それでもね」
「こっちもいいよね」
「そうだね、美味しいよ」
 実際にというのです。
「お茶もね」
「やっぱり沖縄もお茶だね」
「日本人はお茶好きだよね」
「それでそういうのも食べて」
「そして楽しんでるんだね」
「そうだね、お茶もね」
 本当にと言いつつです、先生はさんぴん茶をにこにことして飲んでいます。そのうえで言うことはといいますと。
「やっぱり毎日飲みたいね」
「先生はそうだよね」
「イギリスにいた頃からね」
「お茶大好きだからね」
「ミルクティー派だからね」
「イギリスにいた時はそればかりだったね」
 ミルクティーが大好きでした、先生はその頃から。
「本当に」
「そして日本に来てね」
「色々なお茶飲む様になったね」
「日本のお茶もね」
「紅茶も色々飲む様になったね」
「レモンティーも」
 それもでした。
「いいよね」
「そうそう、イギリスでは殆ど飲まないけれど」
「それがね」
「美味しいよね」
「これもまた」
 こうしたことをお話しつつです、先生はけんぴん茶を飲みました。ティータイムはそうして楽しんでそれからでした。
 那覇市を時間の許す限り回ってです、それから。
 ホテルに入ってシャワーを浴びてでした、夜の九時位にです。
 居酒屋に入りました、そこで泡盛を飲みますが。
 ゴーヤチャンプル、ミミガー、足てびち、海ぶどう、グルクンの唐揚げ、そーきそばそれにジーマーミー豆腐と山羊のお刺身を注文しました。そして。
 先生は泡盛を飲んでから山羊のお刺身を食べて言いました。
「言っておくけれどね」
「うん、僕じゃないからね」
「山羊は山羊でもね」
 オシツオサレツが応えます。
「僕は頭が二つあってね」
「ちょっと独特な山羊だからね」
「そう、だからね」
 それでと言う先生でした。
「安心してね」
「それはそうとしてね」
 トートーは先生が注文した沖縄料理を見ています。
「独特だね」
「ゴーヤは神戸でもあるけれど」
 ジップはゴーヤチャンプルのそれを見ています。
「海ぶどうとかはあまりないよね」
「お豆腐が何か」
 チーチーはジーマーミー豆腐を見ています。
「普通のお豆腐と違うね」
「普通の日本料理と少し違う」
 ポリネシアはこう言いました。
「沖縄独自の感じだね」
「そーきそばがよさそうだよ」
 ダブダブはこの麺を見ています。
「おうどんやラーメンとはまた違うね」
「足てびちにミミガーはね」
 ガブガブはそうしたものに注目しています。
「豚肉料理だけれど」
「それは他の地域にはあまりないね」 
 ホワイティは和食全体から考えています。
「日本の」
「そうそう、日本はお魚だからね」
「そちらが主体だから」
 チープサイドの家族も言います。
「ここにも唐揚げがあるけれど」
「沖縄は豚もよく食べるのね」
「この豚がね」
 老馬も豚肉料理を見ています。
「沖縄料理の特徴かな」
「その一つと言えるね、じゃあね」
 あらためて言う先生でした。
「皆で食べようね」
「今夜も飲んで食べて」
「そして明日からだね」
「いよいよ学会」
「それだよね」
「うん、僕も論文を発表するよ」
 学会のその場においてです。
「そうするよ、そしてね」
「他の人の論文の発表もあるから」
「それも聞いてだね」
「論文も読む」
「そうするんだね」
「うん、そうするよ」
 そのことも楽しみにしている先生でした。
「是非ね」
「お食事も観光も楽しんで」
「そして学問もだね」
「先生らしいね」
「僕もそう思うよ、それと今回は沖縄の環境のことだけれど」
 先生はさらに言うのでした。
「実は僕は生態系についての論文を発表するんだ
「沖縄の?」
「それの?」
「主に陸地のね」
 そちらのというのです。
「それを書いたからね」
「ええと、沖縄の生きものっていうと」
「ヤンバルクイナ?」
「イリオモテヤマネコはあっちの島で」
「少し離れてるね」
「うん、イリオモテヤマネコはまた特別だから」
 この猫はというのです。
「それにあの島にはもう一種類ヤマネコがいるそうだね」
「あっ、そうなんだ」
「イリオモテヤマネコだけじゃないんだ」
「もう一種類いるんだ」
「そうだったんだ」
「うん、そうなんだ」
 こう皆にお話するのでした、先生はまずはそーきそばを食べています。泡盛を飲みつつそうしています。
「実はね」
「へえ、そうだったんだね」
「もう一種類いたんだ」
「そうだったんだ」
「そうなんだ、ただらしいで」 
 今の時点ではというのです。
「まだ発見されていないからね」
「イリオモテヤマネコもそうだよね」
「ずっとらしいだったんだよね」
「いるらしい」
「そうだったって」
「あのヤマネコとツシマヤマネコは非常に珍しいんだ」
 こうもお話した先生でした。
「ネコ科の生きものの中で」
「そうだったんだ」
「そんなに珍しいんだ」
「普通の猫にも見えるけれど」
「ヤマネコに」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「それがなんだ」
「特別なヤマネコなんだ」
「他の場所にはいない」
「そうした種類なんだ」
「だからね」 
 それでというのです。
「貴重なんだよ」
「そしてなんだね」
「あの島にはもう一種類いるんだ」
「特別なヤマネコが」
「そう言われてるよ、出来れば」 
 先生はこうも言うのでした。
「存在がはっきりして欲しいね」
「そのヤマネコの」
「それがなんだ」
「いるのはどうかはっきりして欲しい」
「そうなんだね」
「僕としてもね、いるかも知れないと思うと」
 それこそというのです、学者として。
「はっきりさせたいね」
「いたらいる」
「いないならいない」
「そこをはっきりさせたい」
「そうだっていうんだね」
「うん、学者はね」
 どうしてもというのです。
「この世のことをはっきりさせるお仕事だね」
「その為に学ぶしね」
「はっきりしたことが人類の知識になる」
「だからこそだね」
「そのヤマネコについてもなんだ」
「はっきりさせたい」
「そうなんだ」
 実際に心から言う先生でした。
「僕もね、その為にも西表島行きたいね」
「あの島に」
「その為に」
「狼は見付けたけれど」
 奈良県の南部に行った時のこともでした、先生は思い出しています。その時のことは先生にとっても懐かしい思い出です。
「あのヤマネコもね」
「出来ればだね」
「先生が見付けたい」
「そう言うんだね」
「そう考えてるよ」
 先生はそーきそばから足てびちを食べています、もうそーきそばは全部食べています。
「神様がそうさせてくれるなら」
「じゃあ神様にお願いしようね」
「そのヤマネコも見付けさせて下さいって」
「そうお願いしようね」
「是非ね、それと」
 ここでさらに言った先生でした。
「沖縄自体のことをお話するとね」
「沖縄の生きもの?」
「ここの」
「うん、ヤンバルクイナ以外にも面白い生態系なんだ」
 沖縄のそれはというのです。
「とてもね」
「というと」
「それは一体」
「どんなものなの?」
「蛇は知ってるけれど」
「そう、蛇でね」
 まさにその生きものはというのです。
「ハブやウミヘビが有名だね」
「どっちも毒あるよね」
「それもかなり強い」
「こっちじゃかなり怖がられてるんだって?」
「特にハブは」
「ウミヘビは大人しいけれどね」
 エラブウミヘビです、この蛇も確かに毒はあります。ですがそれでもその気質はそうしたものだというのです。
「ハブは神経質だからね」
「ちょっとしたことで攻撃してきて」
「噛まれたら危ない」
「そうなんだね」
「そうだよ、そしてね」 
 先生のお話は続きます。
「ハブ以外にも蛇はいるんだ」
「あっ、そうなんだ」
「沖縄には」
「他にも蛇がいるんだ」
「ハブ以外にも」
「そうだよ」
 こう動物の皆にお話します。
「ただ、凄く少ないんだ」
「その蛇の数は」
「そうなんだ」
「だから滅多に見られないんだ」
 こう皆にお話します。
「その蛇達はね」
「蛇達?」
「じゃあ一種類じゃないんだ」
「そうなんだ」
「ヒャン、ハイといってね」
 先生はその蛇達の名前を出しました。
「沖縄の一部の島にそれぞれいるんだ」
「ふうん、そうなんだ」
「そうした蛇もいるんだ」
「ハブだけだって思ってたら」
「そうじゃないんだ」
「そうなんだ、ただ本当に数は少なくて」
 それでというのです。
「見た人も少ないし会うこともね」
「ないんだ」
「それこそ滅多に」
「最近まで実在もね」 
 本当にいるかどうかということもというのです。
「わからなかったんだ」
「そうだったんだ」
「何かイリオモテヤマネコみたいだね」
「最近までいるかどうかすらわからなかったって」
「そこまで珍しい蛇なんだ」
「そうだったんだ」
 まさにというのです。
「何かの見間違いとかね」
「そうも言われてたんだ」
「そこまで珍しい蛇なんだ」
「そのヒャンとかハイって」
「そうだったんだ」
「そう、ハブは見られても」
 それでもというのです。
「ヒャンやハイはね」
「そうはいかない」
「そこまで珍しい蛇なんだ」
「稀少価値なんだね」
「この辺りはそうした生きものが結構いるね」
 沖縄にしても西表島にしてもというのです。
「そうしたこともいい勉強になるよ」
「成程ね」
「そのこともいい勉強になったよ」
「沖縄は珍しい生きものが一杯いる」
「そうした場所なんだね」
「そうしたことも食べものも色々な文化もね」
 まさにというのでした。
「魅力的なのに」
「何か基地ばかり言う人いるよね」
「まず基地ありきで」
「他のことには注目しないで」
「基地から入る人いるね」
「それはね」 
 先生は足てびちの後は山羊のお刺身を食べています、お箸はお話をする間も休むことなく動いています。
「どうかと思うんだ」
「基地ばかりにこだわることは」
「沖縄について」
「そのことばかり言うことはだね」
「沖縄のことをね」
 まさにというのです。
「見誤ってしまうからね」
「だからなんだ」
「先生はそうしたことはしないんだね」
「そうなんだね」
「そう、僕は軍事については」
 こちらの学問については。
「あまり縁がないけれどね」
「そうそう、先生はね」
「軍事とはあまり縁がないよね」
「戦争に行ったこともないし」
「軍隊に入ったこともなければ」
「軍医さんになることもね」
 そちらもというのです。
「お誘いすらなかったから」
「本当に縁がないんだね」
「色々と知ってるけれど」
「軍事に深く関わることはないね」
「基地にも」
「自衛隊についても」
 日本のこの組織についてもというのです。
「特に興味を持ったことはないね」
「そうなんだね」
「特に」
「うん、そうだよ」
 本当にというのです。
「僕の場合はね」
「だから空き地についても」
「あまり興味がない」
「そうなんだね」
「平和であるに越したことはないよ」
 先生は平和が好きです、平和が嫌いな人もそうはいないでしょうが先生もまたそうなのです。
「それでも軍隊は否定していないけれどね」
「銃やナイフも必要だしね」
「それを考えるとね」
「身を守る為には」
「だから軍隊も必要だね」
「どうしても」
「そう、だからね」 
 それでというのです、先生も。
「軍隊は必要なんだよ」
「何であの人達はそれがわからないのかしら」
「日本だけのことかしら」
「こうしたことは」
「そうかもね、若しアメリカ軍の基地がないと」
 その場合についても言及した先生でした。
「自衛隊の基地が出来るよ」
「じゃあその基地にも?」
「ああした人達って文句を言うの?」
「そうなの?」
「そうだろうね」
 このことは先生の予想ですがそう考えているのは事実です。
「あの人達は」
「何かテレビで観る限りあの人達の方が怖くない?」
「自衛隊やアメリカ軍より」
「凄く乱暴に見えるけれど」
「暴れていて」
「僕もそう思うよ、平和を守りたいのなら」
 それならというのです。
「戦争を知ってね」
「最低でもだよね」
「そのうえで考えないと」
「平和平和ばかり言って騒いでも」
「基地をなくしてもね」
「何にもならないよ」
 まさにというのです。
「それに基地ばかり言って沖縄の他の部分を見ないことは」
「先生がいつも言ってるよね」
「それだけで全体を判断したらいけないって」
「考えてもいけないって」
「他のあらゆるものを見て考える」
「そうしないといけないよね」
「そうだよ、沖縄料理も他の文化もそうで」
 それにというのです。
「生きものもね」
「そのヒャンとかハイとか」
「そうした蛇とかもだね」
「ちゃんと見て考える」
「そうしないといけないね」
「そうだよ、こんな魅力的な場所なのに」
 沖縄という島はというのです。
「基地だけを見て考えることはね」
「よくないよね」
「だから先生はそうした人達とは違うんだね」
「そうした考えなんだね」
「そうだよ、沖縄は基地だけじゃないんだ」
 このことを強く言う先生でした。
「このお料理にしても凄く美味しいじゃない」
「そうそう、何でもね」
「本州や九州のお料理とはまた違うけれど」
「いい味だよね」
「とても」
「そうだよ、蝉やウミヘビも食べようね」
 こうしたものもというのです。
「是非ね」
「よし、それじゃあ」
「そうしたものもね」
「食べてそして」
「楽しもうね」
「是非ね、明日は学会に出て」
 先生はお仕事もちゃんとしています、イギリスにいた時はお仕事自体がない状況でしたが今は違います。
「そしてお仕事の後で」
「うん、どうするの?」
「また観光?」
「そっちに行くの?」
「首里城に行こう」 
 皆もそこに誘うのでした。
「そうしよう」
「うん、じゃあね」
「明日は首里城に行こうね」
「そうして明日も楽しもうね」
「是非共」
「明日も楽しみだよ」 
 先生は泡盛を飲みつつ上機嫌になっています。
「首里城に行くのもね」
「それじゃあ今日は明日の学会と観光に備えて」
「そしてだね」
「たっぷり食べて」
「それからだね」
「ゆっくりと寝ようね」
「そうしよう」
 先生はお箸を動かしつつ皆に応えました、そのうえで沖縄料理を全部食べてでした。皆とホテルに帰って気持ちよく寝ました。



先生たちは沖縄に。
美姫 「とりあえず、初日だし特に何もなくね」
流石にな。でも、明日は学会と観光をするみたいだが。
美姫 「どうなるかしらね」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」



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