『ドリトル先生と和歌山の海と山』




                第三幕  和歌山到着

 先生達は連休ががはじまる前日のお昼過ぎに早速でした、八条大学の正門のところに集まってそうしてでした。
 王子がキャンピングカーに乗って皆をお迎えしてそのうえでお話しました。
「じゃあ皆でこれに乗ってね」
「そうしてだね」
「和歌山に行こうね」
 こう先生にもお話します。
「そうしようね」
「それじゃあね」
「和歌山に着くのは夜かな」
「そうだね、しかしね」
「しかし?」
「いや、先生もトミーも僕達も講義とかが終わってね」
 お昼過ぎ、二時半にはです。
「今行けていいね」
「そうだね、今出発して高速に乗って和歌山に向かえばね」
「夜のうちに和歌山に着けるからね」
「夜に着いたらホテルに入って」
「八条グループが白浜に経営してるね」
「そこに入って晩御飯を食べて」
 そうしてというのです。
「温泉にも入ってね」
「そうしてだね」
「最初からはじまろうね」
 和歌山に入ってすぐにというのです。
「そうしようね」
「是非ね、じゃあ今から乗ろう」
「三時になればです」
 いつも王子のすぐ後ろに控えている執事さんもお話してきました、とても丁寧で礼儀正しい口調です。
「その時はです」
「ティータイムですね」
「その用意もしていますので」
 だからというのです。
「まずはそちらをお楽しみ下さい」
「それでは」
 先生は執事さんにも笑顔で応えました、そうしてです。
 王子とトミー、動物の皆と一緒にキャンピングカーに乗り込みました。皆が乗り込むとキャンピングカーは出発してすぐに高速に入りました。
 高速に入りそこからまず大阪への道を進む中でティータイムとなりました。動物の皆は和風のティータイムを楽しむ先生に車窓の外の風景を見ながら尋ねました。
「和歌山ってどんなところか大体聞いたけれど」
「海と山の場所なんだよね」
「木も凄く多くて」
「そうした場所だよね」
「そうだよ。それは日本の殆どの場所がそうだけれど」
 海と山に囲まれた場所ということはです。
「和歌山もそうだね」
「前は海でね」
「そして後ろは山で」
「山は木が生い茂っていて」
「そうした場所よね」
「青と緑が一緒にあるのね」
「そう、日本ならではの光景だよ」
 先生はお抹茶を飲みつつ皆に答えます、お菓子は上は三色団子中はきんつば下はどら焼きの和風三段セットです。
「まさにね」
「先生が今食べているティーセットと一緒で」
「まさに日本ね」
「そしてその日本を今回も楽しむ」
「そうしていくのね」
「そうだよ、景色を見てサファリパークも行くし」
 それにでした。
「高野山も行くしあとね」
「あと?」
「あとっていうよ?」
「和歌山城も行くよ」
 こちらにもというのです。
「紀伊和歌山城にね」
「あれっ、和歌山にもお城あるんだ」
「そうだったの」
「大阪や姫路や松山は見てきたけれど」
「和歌山もお城あるんだ」
「そうだよ、紀伊徳川家のお城だったんだ」
 そのお城はというのです。
「徳川吉宗公も住んでいたよ」
「その人って確か」
「そうだよね」
 オシツオサレツはそのお名前を聞いて思い出したことがあります、その思い出したことはといいますと。
「時代劇の人だよね」
「よく出てるよね」
「何か結構な人気シリーズじゃなかった?」
 ジップも日本のテレビで観たこの人を思い出しました。
「再放送でやってたよね」
「いつもオープニング白い馬に乗ってるね」
 老馬は自分と同じ生きものを思い出しました。
「そうだったね」
「チャンバラもあって明るい作品だね」
「観ていて面白いのよね」
 チープサイドの家族も知っています、この番組のことは。
「姫路城も出て来るし」
「奇麗な映像でね」
「あの人和歌山の人だったんだね」
 ダブダブは意外といった面持ちになっています。
「江戸の人じゃなくて」
「けれど時代劇じゃ江戸よ」
 ポリネシアも時代劇の中のその人のお話をします。
「江戸で活躍してるわよ」
「そうそう、江戸の街の悪い奴等を成敗する」
 チーチーはそのシリーズの具体的な内容をお話しました。
「和歌山じゃないよ」
「どうして和歌山と関係があるのかな」
 ホワイティは首を傾げさせて言いました。
「一体」
「そこが気になるわ」
 ガブガブも興味津々です。
「どうしてなのか」
「先生はやっぱり知ってると思うし」
 トートーはこのことを確信していました、それで先生に聞いたのです。
「お話してくれるかな」
「うん、徳川吉宗さんは徳川幕府の八代将軍だけれどね」
 まずはこのことからお話する先生でした。
「最初は紀伊徳川家、紀州藩の殿様だったんだ」
「そうだったんだ」
「最初は和歌山の殿様だったの」
「そうだったのね」
「その藩の殿様の四男で小さな藩の殿様だったけれどお父さんとお兄さん達が全部亡くなってしまってね」
 そうしてというのです。
「紀州藩の殿様になってね」
「そして将軍様にもなった」
「そうだったの」
「将軍様の血がその時途絶えてね」
 その結果というのです。
「尾張と紀伊、水戸から将軍を選ぶことになって」
「それでなんだ」
「吉宗さんが次の将軍様に選ばれた」
「そうだったの」
「そうだよ、そうなってね」
 そうしてというのです。
「江戸に入ったんだ」
「だから時代劇では江戸なの」
「江戸で活躍してるの」
「将軍様として」
「そうなんだ、あとこの人はかなり大柄でね」
 このこともお話する先生でした。
「当時の日本人は平均身長は一五五センチだったけれど」
「あっ、小さいね」
「そうね、随分とね」
「当時の日本人って小さかったんだ」
「欧州でもそうだったっていうけれど」
「昔の人は栄養の問題で小柄だったんだ」
 それで小さかったというのです。
「日本人もそうだったんだ」
「昔のローマ人も小さかったっていうしね」
「鎧とかでわかるけれど」
「カエサルさんは一八〇超えていたらしいけれど」
「オクタヴィアヌスさんは小さかったらしいね」
「例えばモーツァルトは一五八センチだったんだ」
 この天才音楽家のお話をした先生でした。
「今じゃかなり小さいね」
「大人の男の人としてはね」
「物凄く小さいわね」
「じゃあ本当に昔の人は小さかったの」
「そうだったんだ」
「そうだよ、それで吉宗さんはね」
 あらためてこの人のお話をする先生でした。
「一八〇超えていたらしいよ」
「一五五センチ位の人達の中で」
「何かカエサルさんみたいね」
「凄く目立っただろうね」
「そこまで小さいと」
「うん、実際に目立ったみたいだよ」
 そう言われているというのです。
「頭一つ大きくてね」
「そんな感じだったんだ」
「そんなに大きな人だったのね」
「何か意外ね」
「大柄って感じは時代劇じゃなかったから」
 皆も驚くことでした。
「そんなに大きな人だったなんて」
「初耳だったわ」
「目立って大きくてね」
 それでとお話する先生でした。
「何処にいてもわかったらしいよ」
「そのことは意外だったよ」
 一緒にティーセットを食べている王子も言います。
「吉宗さんが大柄だったなんてね」
「和歌山の人だってことは知ってたよね」
「そのことはね、けれどね」
「背のことまではだね」
「僕も知らなかったよ、そういえば先生もね」
 ここで先生を見てお話する王子でした。
「大きいよね」
「僕のことも言うんだ」
「うん、普通に一八〇超えてるからね」
「子供の頃から背は高かったんだ」
 先生はそうだったというのです。
「それで成長するとね」
「そのまま大きくなってだね」
「一八〇を超えているんだ」
 今みたいにというのです。
「一九〇はないと思うけれどね」
「そこまではないかな」
「けれどイギリス人の平均身長は超えてるね」
「そうだよね」
「イギリス人の成人男性の平均は一七七だけれど」
「それかなり高い方だよ」
 世界的にと言う王子でした。
「日本人と比べてもね」
「日本人は大体一六七か一六五か」
「それ位なんだ」
「その中だと余計にだね」
 先生はというのです。
「先生の大きさも目立つよ」
「じゃあ僕は吉宗さんかな」
「将軍様じゃないけれどね」
 このことは笑ってお話する先生でした。
「確かにね」
「先生も背が高いからね」
「目立っているのは事実だね」
「そうだよね」
 ご自身でも言う先生でした。
「やっぱりね」
「そうだよね、それと今回のお菓子はね」
「うん、今日のお菓子も美味しいよ」
 どら焼きを食べて笑顔になっている先生でした。
「きんつばもお団子もね」
「実はどれもね」
 今のお菓子達はというのです。
「そんな高いお店で買ったものじゃないんだ」
「そうなんだ」
「商店街のお菓子屋さんで買ったんだ」
「八条町のだね」
「うん、駅前の方のね」
 そちらの商店街でというのです。
「うちの運転手さんが美味しいって話しててね」
「それで王子も買って食べてなんだ」
「凄く美味しかったからね」 
 それでというのです。
「こうして買ってね」
「今もだね」
「先生にも食べてもらってるんだ」
「そうなんだね」
「こうしてね」
「そうなんだね、そういえばスーパーでもこうしたのが売ってるけれど」
 お団子等がというのです。
「どれも美味しいんだよね」
「そうそう、日本のスーパーのものもね」
「美味しいよね」
「こうして売られているものもね」
「普通に美味しいよ」
「お店やスーパーで普通で売っているものでも」
 それでもと言う先生でした。
「素敵な味なのが日本だね」
「侮れないよね」
「全くだよ、これも努力の結果だよ」
 まさにというのです。
「お店で作っている人達のね」
「和菓子屋さんもスーパーもね」
「だから美味しいんだよ」
「美味しいものを作ってだね」
「食べてもらって売る為にね」
「資本主義だね」
「いやいや、資本主義だとね」
 先生は食べつつ笑顔で経済のこともお話しました。
「競争、そして努力もするから」
「売る為に」
「だからね」 
 それでというのです。
「どんどん美味しくなるんだ」
「そうなるんだね」
「資本主義のいいところだよ、じゃあお店の人に感謝して」
「その売り上げアップの為にも」
「このお菓子を食べようね」
「これからもね」
「あれですよね、日本っていう国は」
 トミーも和菓子達を食べています、勿論動物の皆もです。
「資本主義も発達してますよね」
「そうなんだよね」
「それも昔から」
「商売が盛んだったからね」
「特に江戸時代以降ですね」
「そうだよ、こうしたお菓子が発展するのもね」
 先生達が今食べているこちらもというのです。
「江戸時代から発展してね」
「それまではですね」
「お砂糖もなかったしね」
「あっ、お砂糖は日本でも貴重品だったんですね」
「そうだよ、室町時代には狂言でもあるけれど」
 こちらの作品でというのです。
「住職さんが毒と偽ってお砂糖を一人占めしていたけれど」
「住職さんだけでこっそり甘さを楽しんでいたんですね」
「貴重品だったらこんなことしないね」
「皆で楽しんでますね」
「そうしているからね」
「お砂糖はそれだけ貴重だったんですね」
「それが江戸時代にね」
 まさにこの時代にというのです。
「吉宗さんが広めたんだ」
「今お話した」
「白砂糖の栽培を認めて広めてね」
「そうだったんですか」
「あと吉宗さんは青木昆陽という蘭学者に薩摩芋の栽培を許したけれど」
「それも甘いものですね」
「結構甘いものに縁がある人でね」
 先生は今度はきんつばを食べつつお話しました。
「お砂糖も日本に広めて」
「お菓子の発展にもですね」
「貢献しているんだ」
「そう考えると凄い人だね」
 王子はお団子を食べつつ思いました、串に刺されているそれを横から食べてそのうえで言葉にも出すのでした。
「徳川吉宗という人は」
「色々な政治をして名君を言われているけれどね」
「お砂糖とお菓子の発展にもだね」
「貢献しているんだ、薩摩芋だってね」
「あれは痩せた時でも栽培出来るからね」
「しかも沢山採れるからね」
「日本人のお腹も満たしたね」
 このこともわかった王子でした。
「吉宗さんはそうした意味でも名君だね」
「僕もそう思うよ、日本人のお腹を膨らませお砂糖も広めた」
「甘いものに縁がある人だったんだね」
「そうした名君だったと思うと面白いね」
「そうだね、ただ和歌山っていうと」
 笑ってこうも言った王子でした。
「蜜柑と梅干だね」
「蜜柑は甘いけれどね」
「梅干しは酸っぱいからね」
 それでというのです。
「そこは違うね」
「そうかもね、けれどね」
 それでもと言う先生でした。
「梅干しからもお菓子は作るね」
「言われてみれば」 
「そう思うとやっぱり甘いものに縁がある人かな」
「背のこと以上に意外な一面だよ」
「言われてみればそうだね」
 トミーは王子のその指摘に気付いて頷きました。
「暴れん坊将軍は甘いものに縁があるなんて」
「そうだよね」
「梅といい蜜柑といいね」
「お砂糖といい薩摩芋といい」
「あと米将軍って言われたけれど」
「お米からもお菓子は出来るし」
 それでというのです。
「相当に甘いものと縁があるね」
「不思議な位にね」
「僕も思うよ、吉宗さんは甘いものに凄く縁がある人だったんだよ」 
 和歌山が生んだこの将軍様はというのです。
「だから暴れん坊将軍というよりはね」
「甘党将軍?」
「そうなるかな」
「そう言われるとコミカルですね」
「どうにも」
「そうだね、何かこうしてね」
 今の先生みたいにというのです。
「甘いものを食べて楽しんでいてもね」
「不思議じゃないですね」
「実際にそうしていたのかな」
「将軍様も茶道を嗜んでいたと思いますし」
「茶道にはお菓子が欠かせないし」
「そうかもね、お菓子はね」
 先生は今はお抹茶を飲みつつ思うのでした。
「食べるとね」
「お茶が欲しくなりますね」
「一緒に飲みたくなるね」
「お茶を飲んでもですが」
「もう完全にセットになっているよ」
「僕もそう思うよ、本当にね」
 お抹茶の独特の苦くそのうえですっきりとする味を楽しみつつ言う先生でした。
「茶を飲んでるとね」
「やっぱりですね」
「お菓子が欲しくなるから」
「吉宗さんもお菓子を楽しんでいた」
「そうだったんですね」106
「そうだったと思うしね」
 それにとお話する先生でした。
「甘いものとはとかく縁がある人だったんだよ」
「それで和菓子まで僕達に残してくれたなんて」
 今はきんつばを食べつつ思う先生でした。
「偉大な人だね」
「そうだよ、人をお腹一杯食べられる様にしてね」
「薩摩芋でね、お米のことも熱心に考えて」
「そうして甘い美味しいものを食べられる様にしたんだ」
 そうしたことをしたからというのです。
「吉宗さんは本当にね」
「偉大な人だっていうんだね」
「そう、色々と善政を行ったけれど」
「その中でも特にね」
「人をお腹一杯にする」
「このことは本当に大事だからね」
「じゃあ先生が思う吉宗さんの最大の功績は」
 王子はあえて先生に尋ねました。
「薩摩芋かな」
「青木昆陽さんのお話を受け入れてね」
「それになるんだ」
「幕府を立て直して民生にも尽くしたけれど」
「その中でも特になんだ」
「だって人は食べないと生きられないからね」
 このことは絶対だからというのです。
「そこはね」
「ポイント高いね」
「うん、そう考えるとやっぱりね」 
 何といってもというのです。
「吉宗さんの最大の功績はね」
「薩摩芋と白砂糖なんだ」
「この二つだろうね」
「何かその視点面白いね」
「吉宗さんの最大の功績がこの二つだっていうのは」
「そう、とてもね」
「そうかもね、けれど本当に薩摩芋やお砂糖を広めたからね」
 吉宗さんがそうした政治を行ったからだというのです。
「日本人は薩摩芋を沢山食べてその分お腹が膨れたしね」
「栄養もあるしね」
「そう、そしてね」
「お砂糖でだね」
「お菓子をより甘く沢山食べられる様になったからね」
 お菓子の種類も増えてです、これまで餡子等位しか甘い要素がなかったのですがそれが変わったというのです。
「このことも大きいよ」
「今僕達が食べている和菓子達にもお砂糖が入っているしね」
「当然の如くね」
「そう思うと先生の言う通りだね」
 王子も納得しました、そしてまたお団子を食べて言いました。
「このお団子にもお砂糖が入っているしね」
「だからね」
「吉宗さんのその功績を忘れない」
「そうしていこうね」
 こうしたことをお話してそしてでした。
 先生達は三時のティータイムを楽しみました、そうしつつ車での和歌山への旅を楽しむのでした。車は神戸から大阪を縦断してです。
 和歌山に入りました、すると右手に和歌山の海が見えてそれで動物の皆も笑顔になって先生に言いました。
「先生、海だよ」
「海が見えてきたわよ」
「和歌山の海がね」
「見えてきたわよ」
「うん、そうだね」
 先生もその海を見て笑顔になります。
「見えてきたね」
「そうだよね」
「海が見えてきたからね」
「和歌山に来たって思えたね」
「目的地に来たって」
「そうだね、神戸や大阪も海はあるけれどね」
 どちらの街も海に面しています、先生も神戸の海によく行ってそれを見ます。とはいっても泳ぐことはなくいつもの正装ですが。
「それでもね」
「和歌山の海だよね」
「和歌山には和歌山の海があるのね」
「その海を見てね」
「楽しむのね」
「そうもしようね、僕も海を見ているよ」
 その和歌山の海をです、見れば先生は確かに車窓の外の和歌山の海を見てそうして目を細めさせています。
「いい海だね、ただ荒い感じがするね」
「波が強い?」
「そうだね」
「白い波が目立つわね」
「神戸や大阪の海と比べて」
「どうにも」
「太平洋に直接面していて今は冬だからだね」 
 それでと言う先生でした。
「だからだね」
「海が荒いんだ」
「波が高いのね」
「それでなんだ」
「神戸や大阪と比べて荒い感じがするんだ」
「同じ日本の海でもね」
 神戸や大阪の海とはまた違うというのです。
「そうなんだよ」
「成程ねえ」
「何か違うって思ったら」
「海も地域ごとに違うね」
「和歌山の海は和歌山の海ってことだね」
「そうだよ、海はね」
 さらにお話する先生でした。
「それぞれの場所でまた違うよ」
「太平洋に直接面していてしかも日本の冬ですと」
 トミーもその和歌山の海を見つつ言います。
「こうして荒い感じになるんですね」
「うん、風や潮の関係でね」
「黒潮ですね」
「その潮もあるからね」
「和歌山の海は荒くて」
「それでね」
 さらにお話する先生でした。
「当然海の幸の味も違うよ」
「神戸や大阪、つまり瀬戸内海のもとはですね」
「そう、同じ種類のお魚でもね」
「それで和歌山独特の海の幸もですね」
「あるからね」
「ウツボですね」
「それも食べようね」
 先生はトミーに笑顔でお話しました。
「是非ね」
「ウツボって毒あるんだよね」
 ここでトートーが先生にこのことを聞きました。
「確か」
「あれっ、じゃあ河豚と一緒だよね」
 ジップはそのお話を聞いて言いました。
「それだと」
「河豚みたいに毒のあるところは切って捨てるの?」
 こう考えたのはダブダブでした。
「河豚はそうして食べるけれど」
「じゃあ特別な調理の免許が必要かしら」
 ガブガブも河豚と同じ様に考えました。
「毒があるのなら」
「そう思うと怖いお魚だね」
「狂暴だっていうし」
 チープサイドの家族は毒だけでなくウツボの気性についても思いました。
「それならね」
「かなり危ないよね」
「オニカマスみたいなの?」
 老馬はバラクーダとも呼ばれるとても怖いお魚を思い出しました。
「あれも毒あるし」
「というか狂暴で毒があるなんて」
 ポリネシアが思うことはといいますと。
「物凄いね」
「どうして食べたらいいのか」
 ホワイティは困った感じになっています。
「困るよ」
「それでも日本人って食べるんだ」
「河豚みたいに」
 オシツオサレツの二つのお顔はある意味感嘆しているものでした。
「毒があるならオコゼも食べるし」
「あのお魚も美味しいけれどね」
「実際にどうなの?」
 最後にチーチーが先生に尋ねました。
「ウツボって毒あるの?」
「うん、ウツボは海の食物連鎖のかなり上の方にいてね」
 先生は皆に応えてウツボの毒のことをお話しました。
「食べている生きものの毒が溜まってね」
「それでなんだ」
「ウツボには毒があるんだ」
「そうなのね」
「そうした種類のウツボの種類があるんだ」
 実際にというのです。
「ドクウツボという種類はね」
「成程ね」
「そうしたウツボがいてなんだ」
「ウツボには毒がある」
「そうなのね」
「そうだよ、ウツボに毒があるのは事実だよ」
 先生は皆にはっきりとお話しました。
「そうなんだよ、ただ種類によるから」
「だからなんだ」
「ウツボには毒があるて言えるんだ」
「種類によるんだ」
「そうなのね」
「そうだよ、ウツボはね」
 それこそというのです。
「そうした意味での毒があるんだ、ただ僕達が食べる種類のウツボはね」
「毒がないんだ」
「そうしたウツボなの」
「だから食べていいの」
「普通に食べても」
「干物や唐揚げにして食べるからね」
 調理方法のこともお話する先生でした。
「ウツボも楽しみにしていようね」
「そうだね、じゃあね」
「ウツボを食べるのも楽しみにしていよう」
「他の海の幸もあるし」
「海老に蛸もあるだろうし」
「栄螺あるかな」
 この貝のこともお話に出ました。
「海ならではだからね」
「あと他のお魚のお刺身」
「これは外せないよね」
「どうしてもね」
 このことは絶対にというのです、そしてです。
 皆は和歌山の海を進んでいきます、もうすっかり夕方で海は赤くなってきていて次第に夜の闇の中に消えていってしまいそうです。
 その海を見ながらです、王子はお話しました。
「もうすぐホテルに着くからね」
「それでだよね」
「そう、着いたらね」
 早速というのです。
「お料理を食べようね」
「そうだね、そのウツボも出るかな」
「出たら嬉しいね」 
 笑顔で応える王子でした。
「そしてその時はね」
「皆でウツボを食べようね」
「そしてそのうえで」
「ウツボの味も楽しもうね」
「いや、しかしウツボなんかね」
 こうも言った王子でした。
「よく食べる気になったよね」
「日本人はね」
「あんなに獰猛な魚をね」
「日本人は海の幸は何でも食べるけれどね」
「河豚やオコゼだってね」
「それでもだね」
「鮫といいウツボといいね」
 こうした狂暴な魚達もというのです。
「よく食べようと思ったよ、しかもだよね」
「食べたらね」
「鮫美味しいしね」
「エイだってね」
 エイは鮫の仲間です、実はノコギリザメも厳密に言うとエイの仲間なのです。
「美味しいしね」
「アカエイは毒針があるけれど」
「そのアカエイだって美味しく食べるしね」
「煮凝りにしたりしてね」
「あの煮凝りがまた美味しいんだよね」
「そうなんだよね」
 本当にというのです。
「鮫にしてもね」
「蒲鉾にもするし」
「あれも美味しいんだよね」
「そしてウツボもなんですね」
 トミーも言ってきました。
「食べるんですね」
「そうなんだ、じゃあね」
「ホテルに着いてウツボが出たら」
「皆で食べようね」
「そうしましょう」
「そしてお酒もね」
 先生は笑顔でこちらのお話もしました。
「飲もうね」
「和歌山のお酒ですね」
「そう、それをね」
 まさにというのです。
「飲もうね」
「日本酒ですよね」
「そう、和歌山のお酒も楽しみたいよ」
 是非にと言う先生でした。
「あちらもね」
「それも忘れたら駄目ですね」
「お酒がないとね」
 それこそというのです。
「旅行に来た気がしなくなってるね」
「何かあちこちのお酒飲んでますよね」
「行った先々でね」
「日本各地のお酒巡りにもなってますね」
「ははは、あと駅弁もね」
 こちらも忘れていない先生です。
「食べているね」
「そうですよね」
「これは日本全土の駅弁を制覇出来るかな」
「関東の方も」
「そっちもかな、どうも今は本当にね」
 ここでまた関東のことを思う先生でした。
「僕も皆も関東に縁はないけれどね」
「それがですね」
「何時か縁が出来たら」
 その時はというのです。
「その時はね」
「関東のお酒も飲んで」
「駅弁もね」
 こちらもというのです。
「食べたいね」
「そちらも期待ですね」
「本当にね」
 こうしたお話もしてです、先生達は夜にホテルに着きました。するともう早速お料理が出てきましたが。
 ウツボもありました、そのお料理はといいますと。
「ああ、唐揚げだね」
「そうだね」
「唐揚げ出て来たね」
「そのウツボの」
「いいのが出て来たね」
「丁度お話をした時に」
「そうだね、これはいいね」 
 先生も笑顔で応えます、皆もう席に着いていますがお風呂はまだ入っていないので着替えてはいmせん。
「お刺身はハマチでね」
「舟に乗せてね」
「そうしてだからね」
「サザエもあるし」
 こちらはそのまま焼いています。
「それに茶わん蒸しもあって」
「天麩羅もあるわよ」
「イカのお刺身もあるし」
「たこわさだって」
「それにお野菜のお料理まで一杯あるし」
 本当に何でもです、そしてお酒もあります。先生はそのお酒も見て言いました。
「日本酒もあるしね」
「和歌山のお酒だね」
「じゃあ先生はそちらも楽しんで」
「そしてよね」
「後でお風呂も入るし」
「ゆっくりとくつろごうね」
「いやあ、校則を順調に行けてよかったね」
 王子はこのことをよしとしていました。
「お陰でぎりぎりいい時間に着けたね」
「そうだね、今食べてお風呂に入ればね」
「快適に休めるからね」
「だからね」
 それでというのです。
「今から食べてね」
「お風呂にも入ってね」
「楽しく過ごそうね」
 ホテルでの夜をというのです、そうして実際にです。皆でウツボやお刺身を食べるとこれがなのでした。
 とても美味しくて、です。動物の皆は笑顔で言いました。
「あっ、美味しいね」
「そうよね」
「ウツボもね」
「これはまた」
「そうだね、はじめて食べたけれどね」
 先生も実際にウツボを食べてみてわかりました、そのお味が。そのうえで皆に応えて言うのでした。
「これは美味しいね」
「そうだよね」
「これはまたいいね」
「一体どんな味かと思ってたけれど」
「美味しいわよ」
「本当にね」
「ハマチも新鮮でいいよ」
 こちらも食べて言う王子でした。
「プリプリしててね」
「イカも」
 トミーはイカのお刺身を食べています、そのうえで言うのでした。
「いいよ」
「サザエもいいし」
「お野菜のおひたしや天麩羅もね」
「お吸いものも最高だし」
「どれも美味しいよ」
「御飯だって」
 これは欠かせません、和食なら。
「どれも凄く美味しくて」
「和歌山に来てよかったわ」
「今こぼご馳走を食べただけでそう思えるよ」
「本当に来てよかったよ」
「そうだね、お酒もね」 
 先生は上機嫌で和歌山のお酒を飲みつつ言いました。
「いいしね」
「そしてこれもだよ」
 王子は梅干しを出すのを忘れていませんでした、そちらを使ったお料理も梅干しそのものもちゃんとあります。
「あるからね」
「そうそう、和歌山だからね」
「忘れたらいけないよね」
「ちゃんとこの食卓にも出てるしね」
「だったらね」
 それならというのです。
「こっちもね」
「楽しもうね」
「じゃあ梅干しでもだよね」
「お酒は沢山注文してるからね」
 このことはお酒も大好きな先生らしいです。
「それも飲もうね」
「そうしていこうね、じゃあ飲んで食べて」
「そうしてね」
「お風呂もだよね」
「入ろうね、あとお風呂も後もかな」
「飲むんだよね」
「そのつもりだよ、むしろ今は軽くてね」
 飲むのは程々にというのです、夕食の時は。
「お風呂に入るから」
「それで程々にして」
「お風呂から出たらね」
「本番だね」
「梅干しで飲もうか」
 まさに和歌山名物のこれでというのです。
「そうしようか」
「それがいいね、和歌山だし」
「ホテルの人に梅干しを注文して」
 梅干しそのものをです。
「そうしてね」
「梅干しを肴にね」
「飲もうね」
「上杉謙信さんみたいに」
「これもいいからね」
 梅干しを肴にして日本酒を飲むこともというのです。
「是非楽しもうね」
「そうだね、けれど謙信さんって粋な飲み方していたんだね」
「梅干しで日本酒を飲むことだね」
「うん、それも縁側に座ってお月様を見たりしてだよね」
「そうして飲んでいたんだ」
「風流な人だったんだね」
「詩人でもあったしね、短歌も残っているよ」
 謙信さんのその一面もお話した先生でした。
「実際に粋で風流なところもあったんだ」
「そうだったんだ」
「そう、それで僕達もね」
「お風呂から出たらね」
 その時はというのです。
「本格的に飲むんだね」
「梅干しでね、勿論着替えてね」
「浴衣にだね」
「そうだよ、浴衣に着替えてね」
 まさにそうしてというのです。
「じっくりと飲もうね」
「それじゃあね」
「まずはお風呂だよ」 
 それに入ろうというのです、そしてです。 
 実際にお風呂に入る先生達でした、そこで神戸から和歌山まで来た車の旅の疲れを癒してそのうえでなのでした。
 先生とトミー、王子は動物の皆に囲まれてお部屋から見えるお月様とその光に照らされている夜の景色を見つつ梅干しを肴に本格的に飲みはじめました。
 そのお酒をおちょこで飲みつつです、先生はお月様を見て言いました。
「冬のお月様もいいよね」
「冷たい奇麗さですね」
 トミーもそのお月様を見て言います。
「それがありますね」
「そうだよね」
「今このホテルお客さんはあまりいないですが」
「夏がシーズンだからね」
 海があるからです。
「だからね」
「どうしても冬は少ないですが」
「冬に来るのも悪くないね」
「そうですね、本当に」
「ウツボも美味しかったしね」
 王子は笑顔で先程食べたこのお魚のお話をしました。
「冬の和歌山もね」
「悪くないね」
「そうだよね、お酒もね」
 王子もお酒をおちょこで飲んでいます、そのうえでのお話です。
「美味しいしね」
「うん、いけるね」
「梅干しとも合うしね」
「あとこれもあるしね」
 蜜柑もあります、それも見る先生でした。
「意外と合うんだよね」
「蜜柑もなんだ」
「そう、日本酒にはね」
「それは意外だね」
「蜜柑の甘酸っぱさと日本酒の味がね」
「合うんだ」
「それで出してもらったんだ」
 ホテルの人達にというのです。
「だからね」
「蜜柑も食べて」
「そうして楽しんでいこうね」
 お酒をというのです。
「そうしようね」
「うん、じゃあね」
 王子は先生に笑顔で応えて実際にでした。
 蜜柑を食べてから日本酒を飲むと実際にでした。
「いいね」
「そうだね」
「こちらもね」
「日本酒は甘いものは合わないけれど」
 だから日本では甘いものが好きな人はお酒は苦手という考えがあるのです。
「それでもね」
「蜜柑は違うんだね」
「そうだよ、ケーキやクッキーとワインとは違うけれど」
 こちらは合うのです。
「それでもね」
「こちらも合うからだね」
「そしてビタミン補給にもなるし同じ和歌山名物だし」
 梅干しと同じくです。
「出してもらったからね」
「じゃあこちらも食べて」
「飲もうね、いや今日もね」
 お酒で赤くなったお顔で言う先生でした。
「かなり飲みそうだよ」
「僕もだよ」
「僕もです」
 王子だけでなくトミーも先生に応えました。
「今日はかなり」
「明日は二日酔いかな」
「そうかもね、そして二日酔いになったら」
 もうその時も考えている先生でした。
「お風呂に入ろうね」
「ホテルのね」
「そこで二日酔いを解消するんですね」
「そうしようね」
 こう笑顔でお話してでした、先生達はにこにことしてお酒を楽しみました。そうしてしこたま飲んで実際にでした。
 二日酔いになってしまってです、朝起きてすぐにお風呂に入って先生は湯舟の中で皆にこう言いました。
「いや、本当に二日酔いになったけれど」
「そうだね」
「実際になっちゃいましたね」
「そうした時はね」
 今みたいにというのです。
「お風呂に入るのがいいね」
「うん、サウナにも入ったしね」
 王子はそのサウナルームの方を見て言いました。
「それでね」
「汗をかいてね」
「お酒が抜けてるしね」
「水風呂にも入ってね」
「それで身体が冷えて」
「こうしてお湯のお風呂にも入って」
 そうしてというのです。
「お酒がさらに抜けたね」
「いい感じにね」
「まずはお酒を全部抜いて」 
 トミーも言います、二日酔いの頭痛がお湯に入る中でどんどん消えていっていてとてもいい感じです。
「そうしてですね」
「うん、今日からね」
「和歌山を巡っていくんですね」
「まずはね」
「ワールドサファリとですね」
「そして和歌山城もだね」
 こちらもというのです。
「行こうね」
「その吉宗さんのお城だね」
「将軍になるまでに住んでいた」
「そのお城にも行くのね」
 動物の皆も言います。
「そっちも楽しみだよ」
「じゃあ両方行こうね」
「そうしてだね」
「それから高野山」
「あそこに行くのね」
「そうなるよ、何処に行くのも楽しみだよ」
 お湯の中でにこにことして言う先生でした。
「今からね」
「よし、それじゃあね」
「お風呂でお酒を抜いて身体も奇麗にして」
「すっきりしてね」
「それからだね」
「和歌山を巡って行こうね」 
 こうお話してでした、先生達は和歌山での観光とフィールドワークをはじめるのでした。美味しいものもお酒もお風呂も全部楽しんでから。



いざ、和歌山。
美姫 「楽しそうね」
だな。旅行を楽しんでいるな。
美姫 「暴れん坊将軍の話とか面白いわね」
観光は次回からかな。
美姫 「どんなお話になるのか」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」



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