『ドリトル先生と日本の鉄道』




               第七幕  リアリティ

 先生はこの日もご自身の研究室で論文を書いていました、動物の皆もいつも通り一緒で快適に過ごしていました。
 ですがその中で動物の皆は先生にふと言いました。
「普通の鉄道があってね」
「それで軍事兵器もあったのは面白いね」
「戦争は大変なことだけれど」
「軍事にも使われていたっていうことは」
「うん、本当に日本ではあまり使われなかったけれど」
 それでもとです、先生も皆に論文を書きつつ応えました。
「列車砲なんてものもあったしね」
「写真見たら恰好いいし」
「独特のシルエットでね」
「戦車とはまた違った恰好よさがあって」
「素敵よね」
「そうだね、ミサイルの時代では使われないけれど」
 それでもというのです。
「恰好いいね」
「目の前でああしたのが動いていたら」
「凄いって思うよ」
「線路を幾つも使って動きながら巨大な大砲撃つとか」
「凄い兵器だよ」
「もう戦艦の大砲より大きなものを搭載していた列車砲もあったしね」
 先生は皆にこのお話もしました。
「やっぱり実物は凄かっただろうね」
「戦艦の大砲よりも大きいってね」
「相当じゃない」
「そんなのが列車に乗って動いていたら」
「物凄い光景だよ」
「もう今はないだけにね」
 まさにと言う先生でした。
「余計に見てみたいね」
「そうだよね」
「それじゃあね」
「何処かで何かの形で動いているのを見られたら」
「神様に感謝しないとね」
「そうだね、そういえば鉄道博物館では」
 先生はこちらのことをふと思い出しました。
「模型をリニューアルするけれど」
「どうなのかな」
「順調かしら」
「リニアモーターカーも造るっていうけれど」
「そちらの模型もね」
 皆このことについても興味を持ちました、そのうえで十時のティータイムに入ろうとしましたがそこにでした。
 若いスーツの男の人が先生の研究室に来て先生に言ってきました。
「私は鉄道博物館の館員で宮田明憲といいますが」
「宮田さんですか」
「はい、実は先生にお願いがあって参りました」
 こう先生に言うのでした。
「宜しいでしょうか」
「あっ、お話でしたら」
 そう聞いてすぐにこう応えた先生でした。
「丁度お茶ですので」
「お茶を飲みながらですか」
「ティーセットもあります」
 今日は中華風です、中国茶に杏仁豆腐、ごま団子、桃饅頭のまさに中華風ティーセットが卓の上に用意されています。
「飲みながらお話しませんか」
「宜しいですか?」
「はい、遠慮なく」
「ではお言葉に甘えまして」
 宮田さんは先生に応えてでした、周りの動物達もティーセットを楽しむのを見ながら先生の向かい側の席に着いてです。
 そうしてお話をはじめました、そのお話はといいますと。
「実は鉄道模型のことですが」
「今リニューアルして置こうとしている」
「それのことですが」
 こうお話するのでした。
「どうも違う様な気がするのです」
「造ってみてですか」
「模型自体は出来ていっていますが」
 こちらは順調だというのです。
「立体的に宇宙を走る様な」
「銀河鉄道の様にですね」
「他にもディオラマの細かい部分が」
 そうしたところがというのです。
「何かが違う様な」
「そう思えてですか」
「違うんじゃないかって思えまして」
「それで僕にですか」
「相談に来ました」
「そうですか、鉄道模型ですか」
「先生はこれまで多くの学園の問題を解決されていますね」
 宮田さんは先生にこのことも言いました。
「そのことに気付きまして」
「僕のところに来られましたか」
「はい、それで知恵をお借りしたいですが」
「そうですね、この度のことは」
 少し考えてです、先生は宮田さんに答えました。
「鉄道模型なら」
「何かお考えがありますか」
「はい、大学の鉄道模型研究会の」
「ああ、彼等ですか」
「彼等に聞いてみてはどうでしょうか」
「そうですね、僕はこちらにはです」
 どうもと言った宮田さんでした。
「あまり縁がないので」
「だからですか」
「鉄道は好きで模型も嫌いではないですが」
「あちらの研究会にはですか」
「入っていなかったので。今回も出身者が参加していてくれていますが」
「では問題ないのでは」
 鉄道模型研究会出身の館員さんが参加していると聞いてです、先生はそれならと思いました。ですがその先生にです。
 宮田さんはそれでもという口調でさらに言いました。
「その人達が言っています」
「違うのではとですね」
「もっと忠実に再現したい、夢がある様にしたい」
「凝ってですか」
「特にSL関係に」
「SLですね」
「これがどうも」
 SLの鉄道模型がというのです。
「何かが違うとです」
「お話が出ていますか」
「はい、それで先生にお知恵をお借りしたいのですが」
「それでは」
 ここまでお話を聞いてです、先生は。
 中国茶を一口飲んでからです、宮田さんに言いました。
「少し見せてくれますか」
「実際の状況をですね」
「はい、どういった鉄道模型か」
 それはというのです。
「見せてくれますか」
「それでは」 
 宮田さんも快諾しました、そうしてです。
 先生は再び鉄道博物館に行くことになりました、宮田さんはこのことをお話してから一旦鉄道博物館に戻りました。
 そのお話が終わってからです、先生は皆に言いました。
「ではね」
「うん、それじゃあね」
「また鉄道博物館に行って」
「それでね」
「模型観ようね」
「そうしようね、しかしSLは」 
 蒸気機関車、この列車のことについて言う先生でした。
「もうないからね」
「そうした国も少なくなって」
 最初にホワイティが言いました。
「日本では完全に」
「うん、もう電車の時代でね」
 チーチーがその通りと応えました。
「SLはね」
「もうなくなって随分経つから」
 ダブダブも言います。
「今の人達は観た人いないよね」
「この目で観た人がいないと」
「動かしても忠実には再現しきれないね」
 オシツオサレツも二つの頭で考えました。
「この目で観ると観ないで全然違うよ」
「何でもね」
「列車砲もそうだけれど」
 ジップはこの兵器のことを思い出しつつ言いました。
「僕達にとっては」
「SLも観ないとわからないわね」
 ポリネシアもこうした考えでした。
「どうしても」
「いや、それがわからないと」
 老馬も言いました。
「模型も忠実に再現しきれないね」
「動くのなら余計にだね」
「そうそう、ただ飾るのならいいけれど」 
 チープサイドの家族は実際に模型を動かすことを念頭に置いて考えています。
「やっぱり何かが違う」
「そう観えるんだろうね」
「じゃあ実際に先生がこの目で状況を確認して」
 トートーは先生に言いました。
「考えようね」
「まずは鉄道博物館に行って」
 最後にガブガブが言いました。
「それでどういった状況か確認してからだね」
「うん、本当にそこからだね」
 先生もこう言いました。
「結局観ないとわからないからね」
「それじゃあね」
「後で鉄道博物館に行きましょう」
「是非ね」
「そうしましょう」
 皆も先生に同意してでした、そのうえで。
 先生はお昼休みにお昼御飯に駅弁を食べることも含めて鉄道博物館に行きました、そうして実際に模型とディオラマの状況を確認しますと。
「いいと思いますよ」
「そうですか」
「はい、特にです」
 宙を走る模型の為の線路を観て宮田さんに言いました。
「この線路は」
「透明プラ板を使っていてですね」
「これなら線路が観えないので」
 それでというのです。
「まさに銀河鉄道みたいに」
「宙を走っている様にですね」
「観えますので」
 だからだというのです。
「いいと思います、ディオラマ全体も」
「いいですか」
「細かいところまで出来ていて」
 先生の観る限りではそうです。
「本物の駅や峡谷や市街地を走っているみたいで」
「トンネルの方もですね」
「いいですが」
「そうですか」
「まだ実際に走っているのを観ていませんが」
「では今から走らせますね」
「お願いします」
 こうしてです、宮田さんはスタッフの人達にお話をして模型達を走らせました。するとすぐに先生はこう言いました。
「ああ、これは」
「おわかりになられましたか」
「はい、どの模型もとても出来ていますが」
 それでもというのです。
「中にお客さんがいなくて」
「あっ、お客さんがですか」
「駅にも人がいないです」
 模型が動いてこのことにも気付いた先生でした。
「踏切が動いても」
「それでもですか」
「はい、そちらにも人がいないので」
「リアリティがですか」
「人がいない分」
 どうしてもというのです。
「なかったと思います」
「そうですか」
「そして特にSLですね」
 先生は宮田さんにこちらのお話もしました。
「そちらですが」
「そちらのこともお気付きですか」
「SLは石炭で動きます」
「そうですね」
「ですから煙突から煙が出ます」
「ああ、煙がですか」
「出ないので」
 模型の煙突からです」
「それが問題でした」
「そうでしたか」
「観て気付きました、非常にyく出来た模型ですが」 
 それでもというのです。
「煙突から煙が出ないと」
「SLとしてはですね」
「どうしてもです」
「完全ではないですか」
「ですからリアリティを求めていると」
「そこがですね」
「問題だったのです」
 そうだったというのです。
「実は」
「そうですか、しかし」
 宮田さんはここまで聞いて先生に困ったお顔で言いました。
「煙を出すとなると」
「それはですね」
「煙草の煙もそうですが」
「お部屋の中の空気が汚れるので」
「それは問題があります」
 こう先生にお話しました。
「どうしても」
「それではです」
「それでは?」
「実は僕は以前チョロQを観たのですが」
「チョロQ、おもちゃの」
「はい、小さな中にゼンマイがあるミニカーですね」
「三十年以上昔大流行したんでしたね」
 宮田さんもこのことは知っています。
「そうでしたね」
「僕もそのお話を聞いて興味がありまして」
「そうだったのですか」
「面白いおもちゃだと」
「では」
「はい、そして」
 そのうえでというのです。
「その中で怪獣チョロQがありまして」
「怪獣ですか」
「特撮の怪獣達をチョロQにしたものです」
 普通のものみたいに車をチョロQにしたものとは違ってというのです。
「それは口から火花を出して走っていましたが」
「火花ですか」
「中に火打石を入れていて。ただ小さな火花で」 
 そうしたものだったからというのです。
「触っても熱くなく危険ではないので」
「子供のおもちゃにもなっていましたか」
「中で火花が散って目が光る様になっているものもありました」
「そうでしたか」
「この要領でそれでというのです。
「煙ではないですが」
「煙突から火花が出ればですか」
 宮田さんも考えるお顔になって先生に応えました。
「リアリティが出ると」
「そう思いますが」
「成程、では火打石を入れて」
「走る時に煙突から出る様にすれば」
「確かにいいですね、火打ち石は使っていれば減りますが」
 このことは宮田さんから言いました。
「一旦中を開いて交換すればいいですし」
「そうですね」
「これはいけますね」
「そうですね」
「はい、それでは」
「あとです」
 先生は宮田さんにこうも言いました。
「暗くして宙を走る線路や街がイルミネーションになりますね」
「それはですね」
「凄くいいですね」
 こう宮田さんに言うのでした。
「奇麗で」
「はい、これはです」
「博物館の皆さんのアイディアですね」
「そうです」
 まさにというのです。
「そうなのです」
「それでは」
「はい、これはです」
「このままで、ですね」
「いいと思います」
 こう宮田さんにお話しました。
「まことに」
「それではこれは」
「このままでいいかと」
「わかりました」
 宮田さんも先生には笑顔で応えました、そうしてでした。 
 宮田さんは先生のアドバイス通りにすることにしました、すぐに模型の中や街や駅に小さな人達の模型が置かれて。
 SLから蒸気機関車が出ました、それでなのでした。
 模型はリアルさを増しました、宮田さんは先生に笑顔で言いました。
「これで、です」
「模型のディオラマはですか」
「前以上にですね」
「よくなりました」
 こう先生に言うのでした。
「お陰で」
「それは何よりです」
「はい、ただ」
「ただ?」
「模型のスペースが増えまして」
「それで、ですか」
「そこにも新たな模型を置くことになりましたが」
 ここでどうかというお顔になった宮田さんでした。
「果たして何を置くか」
「それがですか」
「もう我々がこれはという模型は全部置きました」 
 そうしたというのです。
「ですから」
「何を置くかですね」
「今考えています」
「そうですか」
「面白い模型があれば」
 そうした鉄道模型がというのです。
「置きたいですが」
「リニアモーターカーもSLも置いて」
「普通の鉄道もかなり置きました、新幹線もあります」 
 日本の鉄道を象徴するこちらの車両もというのです。
「ですから」
「それで、ですか」
「他に何を置くか」
「そうなりますと」
 先生も考えるお顔になって答えました。
「少しです」
「先生としてもですか」
「考える時間を頂きたいですが」
「はい、それでは」
 宮田さんもこう応えました。
「お願いします」
「今回もですね」
「何か知恵を出せれば」
 宮田さんに応えて言うのでした。
「そう思っています」
「それでは」
 宮田さんも快諾しました、そのうえで先生にこうも言いました。
「あと前に博物館にいらした時も駅弁を召し上がられましたね」
「はい、そちらも楽しませてもらいました」
 先生もにこりと笑って答えました。
「美味しいです」
「そうですか、しかし」
「しかしとは」
「駅弁はどうも日本だけのもので」
「そうですね、日本の食文化ですね」
「他の国にはないとのことで」
「イギリスなんて」
 お国のお話を笑ってお話した先生でした。
「そんなものはないですよ」
「そうですか」
「あるとすればサンドイッチですね」
 このお料理だというのです。
「ですがこれは何処でもありますね」
「どの国にもですね」
「パンを食べる国なら」
「駅弁というものがここまで発展することは」
「日本だけですね」
「様々なお弁当がそれぞれの場所にある」
 このことはというのです。
「本当に日本だけです、ですから僕も鉄道博物館に行くと色々食べていますが」
「全て食べるにはですね」
「かなり時間がかかりそうです」
「コンプリート目指して下さい」
 これが宮田さんの返答でした。
「ここは」
「長い時間をかけてですね」
「はい、コンプリートされますと」
 鉄道博物館にある全ての駅弁をです。
「表彰されます」
「鉄道博物館で、ですか」
「そうです」
「わかりました、ではです」
「先生もですね」
「コンプリートを目指します」
 こう宮田さんに答えました。
「是非」
「それは何よりです」
「随分と種類がありますが」
「日本の駅弁は実際に多いです」
「そうですね」
「それを全て食べることは」
「どうしても時間がかかります」
 宮田さんもこのことは否定しません。
「しかしです」
「そこをですね」
「全て食べますと」
「コンプリートとなって」
「はい、表彰されます」
 鉄道博物館からです。
「記念写真も撮ってくれますので」
「そのこともですね」
「ご期待下さい」
「それでは」
 先生は宮田さんに笑顔で応えました、そうしてでした。
 鉄道博物館の空いたスペースについてどうするのかはこれから考えることになりました、ですがそれでもです。
 どうするべきか、考えてもです。
 先生も今は智恵が出ません、それで宮田さんが帰ってから動物の皆に考える顔でこんなことを言ったのでした。
「少し考えるよ」
「そうしてだね」
「知恵を出すんだね」
「アイディアを」
「うん、少しね」
 それだけ考えてというのです。
「そうしてね」
「そのうえで、だね」
「空いたスペースもだね」
「どうするか」
「その解決もするね」
「そうするよ、しかし思うことは」
 それはといいますと。
「もう普通の列車は充分かな」
「そうだよね」
「SLもリニアモーターカーもあって」
「新幹線もあって」
「宙も走ってね」
「それは充分かな、だとすると」
 真剣な顔で言う先生でした。
「普通の車両以外になるけれど」
「何がいいかな」
「一体ね」
「これから考えていきましょう」
「今はね」
「それがいいね」
「そうするよ、本を読むかもう一度博物館に行くか」
 鉄道博物館にです。
「これまでのことを振り返るか」
「そうしてね」
「そのうえでだね」
「アイディアを出すんだね」
「そうするね」
「うん、そうするよ。あとね」
 こうも言った先生でした。
「紅茶も飲もうか」
「紅茶ね」
「それを飲んで」
「そしてだね」
「何とかするよ」
 こう言ってです。そしてでした。
 先生は少し考える顔になってです、そのうえで皆が煎れてくれた紅茶を飲んで頭を静かにしました。ですが。
 少し考えてです、こうも言ったのでした。
「軍事用でもいいかな」
「軍事用?」
「それにするんだ」
「空いたスペースは」
「そうしようかな、となると」
 ここでこうも言った先生でした。
「列車砲でいこうか」
「ああ、列車砲ね」
「その大砲を積んだね」
「あれなのね」
「どうかな」
 皆にも尋ねました。
「絵になるよね」
「そうだね、ただね」
「列車砲って普通の列車じゃないから」
「鉄道博物館の人で造られる?」
「ちょっと違うかも知れないわ」
「そうだね、列車砲は兵器でね」 
 それでとです、先生も言いました。
「鉄道研究会の人達とはね」
「少し違うよね」
「うちの大学のあの人達はあくまで普通の鉄道が専門で」
「列車砲の知識があっても」
「専門じゃないわね」
「多分ね。今の日本で鉄道の軍事利用は」
 それはといいますと。
「ないからね」
「人やものを運ぶ」
「それに使うのは同じでも」
「軍事利用となると」
「本当にないわね」
「うん、ないからね」
 それでというのです。
「ちょっと考えるね」
「そうだよね」
「どうしてもね」
「あの人達はあくまで普通の鉄道」
「そちらの人達だね」
「軍事となると」 
 考えて言う先生でした。
「軍事研究会かプラモ部かな」
「そっちだね」
「大学の部活でも」
「そちらの人達になるわね」
「うん、列車砲のプラモデルもあるし」
 それにというのです。
「軍事のことはね」
「この二つの部活だね」
「そうなるわね」
「うん、じゃあこの二つの部活の人達に聞いてみよう」
 戦士絵は紅茶を飲みながら言いました。
「そうしよう」
「それがいいわね、餅は餅屋さんね」
 ポリネシアが先生の言葉を聞いてこう言いました。
「日本の言葉にもあるわね」
「軍事なら軍事を知ってる人だね」
 ガブガブもこう言います。
「まさに」
「プラモデルは軍事のものも多いし」
 こう言ったのはトートーでした。
「特に日本のプラモデルは精巧だしね」
「実際の兵器もアニメのロボットもあるからね」
 このことを指摘したのは老馬でした。
「お店見たら凄いよね」
「というか日本のロボットアニメって物凄いけれど」
 ジップはその日本のテレビで観て知っているのです。
「プラモになることも凄く多いんだよね」
「プラモ造ってる企業がアニメのスポンサーになっていて」
「そのこともあってね」
 オシツオサレツもよく知っています、こうしたことについて。
「アニメのロボットがプラモになって」
「売られているんだよね」
「一体これまでどれだけのロボットがプラモになったか」
 結構真剣に考えるチーチーでした。
「わからない位だね」
「また格好いいし」
 ホワイティはこう言いました。
「そのプラモが」
「そして戦車とか戦闘機とか戦艦もで」
 ダブダブは実際の兵器のことを考えました。
「凄いのよね」
「そして列車砲のプラモもあるし」
「それならね」
 チープサイドの家族もお話します。
「是非共ね」
「プラモ部の人達にも聞いてみようね」
「うん、そして軍事研究会の人達にも。ただ」
 ふとこうも言った先生でした。
「うちの大学って八条家が海軍と縁が深くて今も自衛隊にものを売ってるから」
「ああ、日本軍だね」
「そちらが好きな人が多いっていうのね」
「その傾向があるかも知れないって」
「うん、日本軍マニア自衛隊マニアっていうか」
 ミルクティーを飲みつつの言葉です。
「そんな人が多いかな」
「日本軍は列車砲少なかったわね」
「先生そのお話もしてたね」
「そういえば」
「昔の日本軍は航空機が多かったんだ」
 列車砲は少なくてというのです。
「陸軍も海軍もね」
「どっちもなの」
「海軍は当然だけれど」
「陸軍も航空機が多かったんだ」
「そうなんだ、とにかく数も種類も多くて」
 大日本帝国陸海軍の航空機はです。
「凄く好きだったのは間違いないしね」
「軍隊自体が」
「航空機が好きで」
「列車砲は少なかったの」
「日本は海に囲まれて山が多いね」
 このことは先生達もよく知っています、日本独特の地形です。
「それだと航空機がいいからね、しかも長く飛べる」
「ううん、成程ね」
「だから列車砲は少なくなって」
「航空機に力を入れていて」
「数も種類も多かったの」
「プラモでも凄く出ているよ」
 日本軍の航空機のそれはというのです。
「自衛隊のものも含めてね」
「それでだね」
「うちの大学のプラモ部や軍事研究会の人達も日本軍や自衛隊が好きな人が多い可能性が高くて」
「列車砲についてはどうか」
「その不安はあるの」
「列車砲はアメリカ軍にも多くて」
 そしてというのです。
「有名なのはドイツ軍だけれど」
「あの国ね」
「ドイツは平地が多いし」
「あの時のドイツ軍は凄く強かったわね」
「それで軍服や兵器は人気だけれど」
 それでもというのです。
「いてくれたら嬉しいね」
「うちの大学にもドイツ軍ファンがね」
「軍事研究会やプラモ部に」
「いそうだけれど」
「ドイツ軍は人気があるから」
「そこは実際に行ってね」
 そしてというのです。
「会ってね」
「確かめないとわからないね」
「ドイツ軍に詳しい人がいるかは」
「そのことは」
「それからだね、しかしうちの大学というか八条グループは」
 八条大学のある八条学園を運営しているこのグループ自体がというのです、先生はそこから考えるのでした。
「本当に日本軍と縁が深くてね」
「好きな人多いんだね」
「兵器についても」
「そうなんだね」
「軍服や制服もだよ。特に人気があるのは」 
 それはといいますと。
「軍服や制服だと海軍や海上自衛隊だね」
「ああ、セーラー服ね」
「どの国の水兵さんも着てる」
「あの軍服ね」
「ダッフルコートもあるし特に士官の人の夏の白の詰襟は」
 それはといいますと。
「人気があるよ」
「そうなんだね」
「やっぱり八条家は海軍好きなのね」
「そうなのね」
「そうだね、日露戦争の時の陸軍の軍服も人気だけれど」
 それでもというのです。
「第一はね」
「あの白の詰襟」
「あれなのね」
「そうなんだ、まあ軍服好きはドイツ軍贔屓が多いけれど」
 八条グループ関係者の人達はというのです。
「ここは日本軍贔屓でね」
「特に海軍ね」
「そうなってるのね」
「自衛隊も人気だしね。まあ自衛隊を異常に嫌う人達とは違うよ」
 巷にいてデモで騒ぐ人達とはというのです。
「ああした人達は困ったものだけれど」
「この前も迷彩服がどうとか言ってたし」
「変よね」
「災害救助は自衛隊の人達がしてるのに」
「あの人達何もしていないのに」
「ああした人達は本当におかしいからね」
 先生が見てもそうなのです。
「日本だけにしかいないけれど」
「そうだよね」
「ああした人達他の国にいないよ」
「本当に日本だけ」
「日本にしかいないよ」
「そうだね、しかも自衛隊や昔の日本軍は嫌いでも」
 それでもというのです。
「北朝鮮は好きだったりするし」
「あの国の軍隊もね」
「好きみたいだしね」
「おかしいよね」
「自衛隊の方がずっと立派なことをしているのに」
「制服だって恰好いいし」
「あの国の軍服は人気がないよ」
 先生はこのことははっきりと言いました。
「本当にね」
「そうだよね」
「あの国の軍服ってどうもね」
「デザインが好きになれないわ」
「僕もだよ」
「私も」
 皆あの国の軍服については好意的ではありません。
「帽子とか肩章変に大きくて」
「色も悪くて」
「全体的にバランス悪い?」
「服の素材もよくないし」
「そうなんだよね、あの国の軍服と比べたら」
 それこそとです、先生も言います。
「陸空海の自衛隊の軍服はずっと立派だよ」
「しかも悪いことばかりする軍隊だし」
「核兵器とか拉致とか工作とか」
「そんなことばかりするけれど」
「自衛隊は災害救助や遭難した人の捜索が主な仕事だから」
「全然違うわ」
「普通に見たらそうだよ、軍隊の仕事は戦争だけじゃないんだ」
 確かに重要なお仕事ですがそれでもというのです。
「災害や遭難にどうするか」
「それだよね」
「自衛隊もその為に働くことが多いし」
「そうした人達を嫌ってどうこう言うとか」
「おかしいよね」
「そうだね、こうした人達は警察にも色々言ったりするし」
 こちらの人達にもというのです。
「何か武力自体を嫌ってね」
「いや、警察がないとね」
「治安が成り立たないから」
「そういうのを否定したらね」
「世の中無茶苦茶になるのに」
「それで北朝鮮が好きって」
 軍隊ばかり大きいうえに究極の独裁国家であるこの国はというのです。
「おかしくない?」
「矛盾しているわ」
「どういうつもりなのかな」
「日本は駄目で北朝鮮がいいとか」
「そうした人達は問題外だよ」
 それこそと言った先生でした。
「本当にね。実際に北朝鮮とつながってたりもするし」
「それまずいよ」
「あんな国と仲がいいとか」
「それだけでおかしいから」
「無茶苦茶な国なのに」
「そうした人達がいるのは日本のおかしなところだよ」
 先生もどうしたものかというお顔で言いました。
「本当にね」
「そうだよね」
「自衛隊の何が悪いのかな」
「そして昔の日本軍も」
「理解出来ないよ」
「そうだね、ああした人達はこの学園には殆どいないしね」
 勿論八条グループにもです。
「かなり健全と言えるよ」
「プラモ部や軍事研究会の人達もね」
「ああした人達とは全然違うから」
「あの人達にもお会いして」
「それで決めましょう」
「是非ね、しかし今日のミルクティーは美味しいね」
 先生は飲んでいる紅茶の感想も述べました。
「随分と」
「あっ、日本のメーカーだよ」
「普通のティーパックのよ」
「ミルクもね」
「いつも通りよ、どっちも」
「お砂糖もね」
「あれっ、いつもと同じなんだ」
 先生は皆の言葉に意外といったお顔になりました。
「これで」
「そうだよ」
「本当にいつも同じよ」
「お水はミネラルウォーターだけれど」
「他はいつも通りだけれど」
「ああ、お水が違うからだね」
 先生も納得しました。
「日本は水道水も質がいいけれどね」
「もうミネラルウォ―ターだとね」
「もっと質がいいから」
「絶品なんだよね」
「本当に」
「これはね」
 本当にと言った先生でした。
「凄いよ、ではね」
「この紅茶はだね」
「いつもより美味しい」
「お水がいい分そうなのね」
「皆も飲んで」
 是非にと言った先生でした。
「本当に美味しいから」
「それじゃあね」
「僕達も飲むね」
「そんなに美味しいなら」
「ミルクティ―飲むわね」
 そのミネラルウォーターで淹れたそれをというのです。
 そしてです、皆もそのミルクティーを飲んで口々に言いました。
「あっ、確かに」
「いつもの紅茶より美味しいわ」
「これはね」
「結構以上なものよ」
「そうだね、いやお水は本当に大事だよ」
 先生はしみじみとした口調にもなりました。
「ミネラルウォーターでもね」
「本当にね」
「美味しいわね」
「それじゃあね」
「また機会があれば」
「飲みたいね」
「全くだよ、何か日本の紅茶は美味し過ぎて」
 おかわりをしつつ言う先生でした。
「若しイギリスに戻った時にね」
「イギリスの紅茶を飲むと」
「果たして満足出来るか」
「そのことが不安なのね」
「先生としては」
「そうも思えてきたよ、この味は」
 本当にというのです。
「絶品だからね」
「というか日本って本当にお水いいね」
「日本の人達は普通って思っていても」
「こんなお水がいい国そうそうないから」
「イギリスと比べても」
「硬水の中でもね」
 イギリスや多くの国はこのお水ですが特にイギリスのお水はというのです。
「よくない方だからね」
「そうそう」
「何しろ地面の下がチョークみたいだから」
「そんな土地だからね」
「お水もよくないのよね」
「そうなんだよね、だから紅茶もね」
 先生が大好きでいつも飲んでいるこちらもというのです。
「味がね」
「どうしてもね」
「日本と比べたら」
「どうかってなるわね」
「そうだからね」
「そうも思えるよ」
 先生としてもというのです。
「もう日本にずっといるつもりでも」
「それでもよね」
「イギリスは祖国だからね」
「イギリスに戻ったらどうか」
「そうも思うよね」
「どうしてもね、イギリスを紅茶でも越えるなんて」
 それこそというのです。
「日本は凄いよ、紅茶でもね」
「全くだね」
「お水のことが大きいしね」
「パックもお砂糖もね」
「ミルクにしても」
「やっぱり違うよ、じゃあもう一杯飲んで」
 美味しいからそうしたいというのです。
「今日はこれからも論文を書いて」
「そしてだね」
「明日だね」
「明日どうするか」
「そう、明日プラモ部と軍事研究会に行って」 
 そうしてというのです。
「お話してみるよ」
「決定だね」
「じゃあそうしましょう」
「明日軍事研究会に行って」
「プラモ部にも行って」
「それでお話しましょう」
「事前に連絡もして」
 そしてと言う先生でした。
「そのうえでね」
「そしてだね」
「明日行くんだね」
「そうするんだね」
「そうするよ、事前の連絡はね」
 これはといいますと。
「絶対にしておかないとね」
「そうだよね」
「紳士はそれは忘れてはいけないよね」
「いきなり来たら相手の人も驚くし」
「だからね」
「そう、だからね」
 今のうちにというのです。
「連絡をしておくよ」
「うん、じゃあそうしよう」
「軍事研究会とプラモ部の方に連絡しよう」
「今日のうちにね」
「今しておこう」 
 こう言ってでした、先生は二つの部活にそれぞれ連絡を入れました。幸いこの時間どちらの部の部室にも人がいて連絡は取れました、こうして明日二つの部活に行くことが決まりました。








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