『ドリトル先生と日本の鉄道』




               第十幕  動く列車砲

 先生の携帯電話に宮田さんから連絡がありました、先生が電話に出ますと宮田さんはすぐにこう言ってきました。
「ドーラの模型、動いてです」
「レールの上で、ですね」
「はい、四つのレールの上全てに乗れて」
 無事にそうなれてというのです。
「しかも動きます」
「大砲もですか」
「火花も出ました」
 火打ち石で出されるそれもというのです。
「無事に」
「成功ですね」
「はい、新垣君と和田君もそして博物館の皆が頑張ってくれて」
 そしてというのです。
「無事にです」
「動いているんですね」
「成功しました」
 その全てがというのです。
「本当に」
「それは何よりですね」
「それでなのですが」
 宮田さんは先生にこうも言いました。
「明日です」
「明日ですね」
 今は夜です、先生は御飯とお風呂の後でくつろいでお酒を飲んでいます。今夜は先生の好きなお酒の一つであるスコッチウイスキーをロックで飲んでいます。おつまみは胡桃です。もうお仕事は終わっているで明日になるのです。
「そちらにお伺いして」
「見て頂きますか」
「是非」
 これが先生に返事でした。
「そうさせて下さい」
「お願いします、それでは」
「明日の朝にお伺いします」
「開館と同時にですね」
「そうさせて頂きます、明日の午前は講義もないですし」
「それでは」
 こうしてでした、先生はその動くドーラを見ることになりました。このお話が終わってからトミーと皆に言いました。
「ドーラ、動くそうだよ」
「あっ、成功だね」
「よかったわね」
「動く列車砲ね」
「それがこの目で見られるのね」
「そうなんだね」
「そうだよ、模型だけれどね」
 それでもというのです。
「ドーラが動くんだ」
「あの巨大な列車砲が」
「実際に動くなんて」
「夢みたい」
「それがこの目で見られるなんて」
「そうだね、流石に実物じゃないけれどね」
 それでもというのです。
「動く列車砲、しかもドーラだからね」
「余計に凄いわね」
「明日が楽しみだよ」
「じゃあ明日を楽しみにして」
「今日は寝ましょう」
「気持ちよくね、お酒も美味しいしね」
 スコッチの味のことにも言及した先生でした。
「スコッチもね」
「久し振りにスコッチ飲んでますね」
 トミーがスコッチについて応えました。
「最近ワインや日本酒が多くて」
「うん、日本に来て色々なお酒を飲む様になってね」
「スコッチを飲む機会は減りましたね」
「どうもね」
「それでも今はですね」
「こうしてね、久し振りに飲んでいるよ」 
 言いつつロックのスコッチを飲み続けています。
「やっぱりスコッチはいいね」
「そうですか」
「今日は一本空けるよ」
「そうされてからですね」
「寝るよ」
「そして明日はですね」
「うん、明日はね」
 まさにというのです。
「ドーラだよ」
「それを飲もうね」
「それじゃあね」
 二人でこうお話してでした、そのうえで。
 先生はまた飲みます、そうして一本空けてから歯を磨いて寝ました。その翌朝先生は動物の皆と一緒に研究室に一旦入ってです。
 それからです、鉄道博物館に行きました。行く前に宮田さんに連絡していたので宮田さんは吐く博物館の入り口で待っていましたが。
 ここで、です。宮田さんは先生に朝の挨拶を交えた後で笑顔でこう言ってきました。
「見ものですよ」
「動くドーラの模型はですね」
「はい、ラジコンとはまた違って」
「鉄道模型で動くのは」
「独特の趣がありまして」
「それで、ですね」
「是非共です」
 先生に笑顔でお話するのでした。
「見て下さい」
「そうさせてもらいます」
 先生も快諾してでした、皆と一緒にドーラのところに行きました。するとそこには新垣君と和田君もいてです。
 先生を待っていてです、笑顔で挨拶を交えてから言うのでした。
「これは凄いですよ」
「本当に」
「こんな凄いもの造られたなんて」
「夢みたいですよ」
「そこまで凄いならね」
 是非にと言う先生でした。
「見せてね」
「はい、では御覧下さい」
 宮田さんが応えてです、そうしてでした。
 宮田さんは鉄道模型の管制室に入ってそこからドーラを動かしてみせました、すると専用の格納庫からドーラが貨物車やクレーン車を引き連れて出て来てです。
 そのうえで動きます、四つのレールの上をゆっくり進んで。
 その真ん中に来ると動きが止まって大砲が動きます、そうしてレールとドイツ軍の将兵の人達の人形がある中で。
 大砲を上に動かして火花を出します、すると何処からか砲撃の音が響きました。
 その音を聴いて先生はすぐに言いました。
「成程、管制室からですか」
「砲撃の音も出る様にしました」
「よりリアリティを持たせる為に」 
 新垣君と和田君が先生に説明します。
「流石に模型自体から音は出せないですが」
「模型の動きに合わせて出る様になっています」
「これは凄いね、よりリアリティがあるよ」
 実際にと言う先生でした。
「凄いね」
「はい、皆でお話をしてです」
「こうしたらどうかというお話になってです」
「それで出来たんですが」
「素晴らしいですよね」
「いいと思うよ」
 先生も太鼓判を押します、そしてです。
 先生は全て見てです、皆に言いました。
「素晴らしいよ、これを見たらね」
「皆驚いてですね」
「それで凄いと言ってくれますね」
「鉄道博物館の目玉の一つになります」
「間違いないですね」
「絶対にそうなるよ、それでだけれど」
 先生は二人にさらにお話しました。
「若しもドーラの模型に言ってくる人がいたら」
「ああ、変な団体とかですね」
「ジャーナリストとか学舎さんとか」
「そんな人が言ってきたら」
「その時はですね」
「僕が全部引き受けるから」
 そうするからというのです。
「任せてね」
「そうしてくれるんですか」
「若しそうした人が出て来たら」
「その時はですね」
「先生が応対してくてるんですか」
「そうさせてもらうから安心してね」
 先生は新垣君と和田君に笑顔でお話しました。
「学問は平和であるべきだけれど」
「それでもですか」
「平和であるべきでもですか」
「同時に自由でないと」
 この要素もなければというのです。
「駄目だからね」
「だからですか」
「戦争のことだから駄目というのはですね」
「それはよくないのですね」
「学問については」
「平和を知る為には戦争を知るべきだと言う人もいたしね」
 先生はそう言った人がリデル=ハートだったかなとふと思い出しました、元イギリス軍の軍人で戦車の専門家で多くの名著を書いた人です。
「僕はこの言葉が正しいと思うしね」
「列車砲があってもいいですね」
「鉄道博物館にも」
「鉄道だからね」
 戦争に使われる兵器であってもというのです。
「それでもね」
「だからですね」
「若しクレームをつける人がいれば」
「その時はですね」
「先生が応対されますか」
「出来ればお話をしてわかって欲しいけれど」
 それで済めば最善と考えています。
 ですがそれでもです、こうも言ったのでした。
「しかしね」
「世の中わからない人もいますからね」
「会話が通じない人が」
「どうしてもいまずね」
「自分の主張だけを押し通そうという人が」
「そうだね、そうした人は何処でもいるけれど」
 それでもというのです。
「ああした人達はどうも大抵そうみたいだしね」
「そうですね」
「どうもそうした人達ばかりですね」
「戦争反対や平和や民主主義を守れと言いますけれど」
「全然平和的でも民主的でもないですしね」
 新垣君と和田君もわかっていました、日本で戦争反対と言う人達にはどうもそうした人達が多いということにです。
「困りますよね」
「どうにも」
「うん、そうした人達が出てきたら」
 本当にというのです。
「僕はお話するけれど」
「納得してくれないこともですね」
「覚悟しておられますね」
「このことは覚悟しているよ」
 今からというのです、こうお話してでした。
 先生は宮田さん達と笑顔で別れて研究室に戻りました、そしてそのうえで皆に対してこんなことを言いました。
「ドーラは素晴らしい出来だったね」
「そうだね」
「素晴らしい出来だったわ」
「あんなものが出来たなんて」
「人気出るわよ」
「あの博物館の目玉の一つになるね」
「そう思うよ、ただ本当にああしたことにクレームをつける人はいるからね」
 このことはどうしても気になる先生でした。
「どうしたものかな」
「そうだよね」
「あの人達はね」
「クレームをつけてくるかな」
「ドーラに」
「覚悟しているよ」
 皆にも言う先生でした。
「もうね」
「ううん、日本にはそうした人がいて」
「困ったことだよね」
「平和とか言うけれど」
「民主主義とかね」
「戦争がどうとか言ってだから」
 それでと言うのです、そうしてでした。
 動物の皆が淹れてくれた紅茶を飲んでです、そうしてまた言いました。
「日本に来てこのことを一番実感しているかな」
「今はね」
「そうなんだね」
「どうにも」
「うん、本当にね」
 動物の皆にも応えます。
「このことを」
「実際にお話するかも知れないしね」
「だからだね」
「ここは警戒しないといけないしね」
「一番意識しているんだね」
「今が」
「そうなっているよ、来ないならいいけれどね」
 本当にこう思う先生でした、そもそもそうそた人達が来ないならです。ですがこのことは後のことになるので先生は考えを変えました。
「実際に来た時にね」
「その時に動けばいいね」
「お話をする」
「今はこのことだけ考えればいいね」
「とりあえずは」
「そうなるね、今は学問のことを考えよう」
 先生はこう言いました。
「そちらのことをね」
「そうそう」
「そうしていこうね」
「考えても後のことだし」
「まだ来るかもわかっていないし」
「来てからだね」
「そうしましょう」
 皆も応えます、そしてでした。 
 ふとです、チープサイドの家族が窓の外を見て言いました。
「雨降ってる?」
「さっきまで晴れていたのに」
「それがね」
「雨が降るなんて」
「こんなこともあるね」
「そうだね」
 オシツオサレツも言いました。
「さっきまで晴れだったのに急に雨になるって」
「そうしたこともね」
「若し電車に乗っていたら」
 老馬が言ってきました。
「雨は気にすることもないね」
「列車に乗っていたら」
 ホワイティも言います。
「雨は気にすることないんだよね」
「相当な大雨でないと止まらないし」
 ガブガブも雨の時の列車のお話をします。
「いいよね」
「寝過ごさない限り休んでいて目的地に着けるし」
 ジップも言いました。
「先生はよく本を読んでるけれどね」
「鉄道の旅は少しでも落ち着いて景色を観られるし」
 チーチーはこのことが好きなのです。
「これもいいよね」
「鉄道は雨にも強いし休んで目的地に行ける」
 ダブダブははっきりと言いました。
「こんないい移動手段はないわね」
「車は自分で運転するしオートバイや自転車、馬は乗ってるから落ちない様にしないといけないけれど」
 トート―は他の移動手段のお話をしました。
「鉄道は休んで行けるんだよね」
「このことがどれだけいいか」 
 最後に言ったのはポリネシアでした。
「寝ていて目的地に行けるんだから」
「そう、鉄道はそうしたこともいいんだよね」
 先生も笑顔でお話します。
「遠くに行く場合も疲れていたら寝ていられるからね」
「それで目的地に行けるから」
「本当にいいよね」
「この神戸から東京とかに行くにしても」
「北海道に行く時もそうだったけれど」
「寝ていたり休んでいたり本を読んでいても目的地に進めて」
 そうしてです。
「食べること、景色を観ることも出来て」
「雨が降っても大丈夫だし」
「相当な災害でもないと止まらないから」
「しかも日本だとちゃんと時間通りに着くから」
「本当にいいよね」
「車は車、馬は馬でいいけれどね」
 尚先生は車やオートバイの免許は持っていませんし自転車に乗ることも苦手です。何とか馬に乗れる位です。
「けれどね」
「鉄道には鉄道のよさがある」
「そうだよね」
「休んで進めるから」
「いいよね」
「大阪は」
「そうだね、だから鉄道は今もあるんだよ」
 産業革命の時に誕生してからです。
「そしてね」
「リニアモーターカーもだよね」
「出て来るしね」
「どんどん進化もしていっているし」
「人間は生み出した最高の発明の一つと言っていいかな」
「そうだね、産業革命の時はね」 
 その時のことからお話する先生でした。
「色々と素晴らしいものが出て来たけれど」
「鉄道もだね」
「そのうちの一つだね」
「機械が出て来て」
「そのうちの一つだから」
 本当にというのです、先生も。
 そして先生は鉄道についてです、こうも言いました。
「若しもだよ」
「若しも?」
「若しもっていうと」
「いや、鉄道が陸だけじゃなくてね」
 それでというのです。
「海や空、そして宇宙も進めれば」
「まさかと思うけれどね」
「そんな漫画やアニメみたいなことが出来れば」
「本当にそうなれば凄いけれど」
「ひょっとしたら」
「いや、出来るかも知れないよ」
 本当にと言ったのでした。
「銀河鉄道の夜みたいなことがね」
「無理だと思わないことよね」
「そうした鉄道が出来ることも」
「魔法みたいに思わないで」
「実際に出来るかも知れない」
「こう思って努力することね」
「そうだよ、絶対に無理と思ったら何も出来ないよ」
 その時点でというのです。
「諦めたらそこで終わりと言うけれど」
「無理と思ってもだよね」
「そこで終わりだね」
「だからだね」
「まずは出来るかも知れない」
「それでやってみることだね」
「新幹線だってそうだったんだよ」
 日本の鉄道の象徴と思われているこのこともというのです。
「東京から大阪まで三時間や四時間で行けるなんて」
「夢みたいだったんだね」
「当時の日本の人達にとって」
「そんなものだったんだ」
「そうだよ、けれどね」 
 そのとても無理と思われたことがです。
「東京オリンピックの時には本当に現実になっていたんだよ」
「そうだったね」
「まさかと思われていたことが」
「実際に現実になっていて」
「それでだね」
「鉄道が海やお空を進んで」
「宇宙に行くことも」
 本当に小説や漫画の世界のことです。
「出来る様になるかも知れない」
「そうした時が来るかも知れない」
「未来は」
「うん、リニアモーターカーの実現も現実のものになっているけれど」
 こちらもというのです。
「これだってね」
「最初はだね」
「夢だったんだね」
「こちらについても」
「そう、とても無理だと思われていたけれど」
 それがというのです。
「現実になったんだから」
「それだから」
「銀河鉄道みたいなことも現実になる」
「それは否定出来ないんだね」
「そうだよ、科学が進めば魔法と変わらない、いや」
 こう言い換えた先生でした。
「元は同じだったんだから」
「今の科学なんて昔の人が見たら魔法だしね」
「二十世紀初頭の人が見ても」
「そうだしね」
「実際錬金術も魔術も一緒だったし」
 中世の頃はそうだったのです。
「そこからも科学は出ているし」
「確かに魔術と科学は元は同じとも言えるね」
「先生の言う通りだね」
「中国に方士という人がいたね」
 先生はアジアのお話もしました。
「仙人の術を学んで使っていた」
「あっ、そうした人達いたよね」
「お薬使ったりしていたね」
「あと始皇帝に不老不死の薬を見付けて来いって言われた人もいたね」
「徐福だったかな」
「そうだよ、徐福も方士でね」
 皆が言ったこの人達もです。
「彼等の学んで使っていた仙術もね」
「魔術みたいなもので」
「科学でもあったんだね」
「そうだったのね」
「今で言うね、手品みたいなものもあったけれど」
 方士の人達が使っていた術の中にはです。
「これは大昔の科学だろうって思われるものもあったんだ」
「つまり仙人の術も科学だったんだ」
「科学の要素があったの」
「そうだったのね」
「医学の要素もあったしね」
 こちらもというのです。
「お薬も作っていたからね」
「不老不死のお薬とかだよね」
「始皇帝が探して欲しがっていた」
「そのお薬もだよね」
「そうだよ、始皇帝は不老不死になれなかったけれど」
 そして死んでしまったけれどというのです。
「それでもね」
「お薬も使っていて」
「医学の要素もあったのね」
「そうだったんだね」
「そうだったんだ、本当に科学は最初は魔術や仙術、錬金術と同じだったんだよ」
 歴史のこのことをお話するのでした。
「そして魔術と仙術、錬金術ははっきりと区分出来るものじゃなったし」
「今の科学が昔の人から見て魔術に見えても」
「それは不思議じゃないのね」
「そうなんだね」
「僕はそう思うよ、あと今お話に出た徐福だけれど」
 この人のお話もする先生でした。
「一説では日本に来てこの国で一生を終えたとも言われているよ」
「ああ、そのお話聞いたよ」
「不老不死のお薬を探してね」
「それでこの日本に辿り着いて」
「この国で暮らしていたんだね」
「徐福はお薬を探しに出て」
 そしてというのです。
「そのまま秦には帰らなかったけれど」
「実は日本に辿り着いていて」
「この国で暮らしていた」
「その可能性もあるんだね」
「そしてどうもね」
 さらにお話をする先生でした。
「その可能性は高いみたいだね」
「和歌山の方に徐福さんのお墓あるんだよね」
「そうよね」
「それに徐福さんが行った方角もこっちだし」
「東の海の向こうだったしね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「このお話は信憑性が高いね」
「そうなんだね」
「始皇帝に言われて日本まで来て」
「この国で一生を終えていても」
「不思議じゃないんだね」
「古来から大陸に日本に来た人は多いしね」
 このこともあってというのです。
「だからね、ただ始皇帝という人は色々あった人だね」
「不老不死を求めたり」
「万里の長城を築かせたりしたわね」
「安房宮っていう大きな宮殿を築かせて」
「驪山陵っていう自分のお墓築かせたり」
「何かやけに建築好きな人ね」
「こうして見たらね」
「そうなんだよね、焚書坑儒や度量衡の統一も有名だけれど」
 そうした色々と言われている政策に加えてです。
「とにかく建築が多かったね」
「万里の長城で外敵を防いで」
「とんでもなく大きな宮殿に住もうとして」
「自分が死んだ後に入る巨大なお墓も築かせてね」
「このことで随分と国力を使っていたんだ」
 当時の秦はです。
「元々他の国に好かれていなかった秦が統一して国力を使うつまり民衆に負担がかかる政策を推し進めたからね」
「そういえば度量衡の統一もね」
「秦の基準よね」
「道とか文字も統一していたけれど」
「全部秦の基準だね」
「そうだよ、当時の中国の文献を読むと」
 史記等です、当然先生はこうした本も読んでいます。
「秦という国は好かれていなかったけれど」
「その好かれていない秦が中国を統一して」
「他の国の人達だった人は反発があったし」
「そこに秦が基準の統一政策を一気にやって」
「国力を使う政策も行ったから」
「それで始皇帝が死んですぐに滅んだんだ」
 その秦はというのです。
「急激な政策だったしね」
「そこ大事だよね」
「一つの国に統一されて行っていくうえで絶対にしないといけない政策でもね」
「支持とか考えないとね」
「国力の消耗とかも」
「宮殿も実は他の宮殿を移したみたいにした統一政策の一環だったとも言われていて厳し過ぎるって言われた法治も実は弾力的に施行されていたそうだけれど」
 批判の多いこうした政策もです。
「やっぱり色々な政策を急激に行い過ぎたんだよ」
「それで秦は滅んで」
「後の時代になるのね」
「あの漢が建国されて」
「以後の中国がはじまっていくのね」
「そうだよ、ただ始皇帝は道も統一して熱心に整えていたから」
 このことからもお話する先生でした。
「今の時代だと鉄道もね」
「力を入れていたかも知れないのね」
「政策として」
「そうしていたかも知れないんだ」
「鉄道は本当に人やものを一気に多く運べるからね」
 だからこそというのです。
「始皇帝が十九世紀以降にいたら」
「一気に中国全土に鉄道を敷かせていたのね」
「ひょっとしたら」
「そうだったんだ」
「そうかもね、確かに国力を使っていても」
 それでもというのです。
「行っていたかもね」
「ううん、始皇帝って暴君って言われていたけれど」
「誰も信じなくて冷酷で」
「それで無茶な政策ばかりする」
「そんな人と思っていたら」
「始皇帝なりに秦のことを考えていたんだ」
 そうして政治を行っていたというのです。
「長城は国防だし度量衡や文字、道の統一も国家として絶対しないといけなかったしね」
「そういうのが一つじゃないとね」
「本当に困るし」
「線路の幅だってね」
「一つじゃないと困るから」
「そうだね。線路の幅も問題なんだよ」
 鉄道のこのこともというのです。
「日本は同じ企業でも線路の幅が違う場合もあるし」
「八条鉄道は統一されてるのよね」
「そうよね」
「日本全国の路線が同じ線路の幅で」
「八条鉄道の列車なら何処でも走られるのよね」
「八条鉄道が創業された時に決められたんだ」
 もうその時にというのです。
「線路の幅は全部一つにして」
「そうしてなんだ」
「どんな車両でも走られる様にしたのね」
「もうその時から」
「さもないと色々問題が出るからね」
 車両によっては知られない線路が出てしまってです。
「そうしたんだ」
「成程ね」
「それはいいことだね」
「最初から線路の幅を統一していたことは」
「いいことだったわね」
「そうだね、だから始皇帝の政策は急激過ぎて批判されるものも多いけれど」
 国力を使って焚書坑儒みたいなこともしてきたからです。
「けれどおおむね間違っていなくて」
「秦の為の政策で」
「後の中国にも役立ったのかな」
「そうした政策だったのね」
「そうだよ、実際秦から漢で中国はかなり形成されたし」
 この国自体がというのです。
「始皇帝は大筋において間違えてはいなかったんだ」
「そして鉄道がある時代だったら」
「始皇帝は線路を全土に敷かせていた」
「そうしていたのね」
「絶対にそうだったと思うよ。それに始皇帝は旅行も好きだったんだ」
 このことについてもお話した先生でした。
「何度も巡幸で全土を巡っているけれど」
「それが旅行ね」
「国のあちこちに行くことも」
「そのことも」
「そうだよ、だから鉄道にも乗って」
 そうしてというのです。
「全土を旅していただろうね」
「そう思うと面白いね」
「列車に乗って国全土を旅する始皇帝とか」
「想像してみるだけで面白いわね」
「そうしたことも」
「そうだね、ただ始皇帝は不老不死を求めて」
 またこのお話をする先生でした。
「そうしたお薬も飲んでいたけれど」
「実際に飲んでいたんだ」
「そうだったの」
「不老不死になろうとして」
「そうしていたんだ」
「そうだったんだ、けれどこのお薬の中に」
 先生はここで少し深刻なお顔になって言いました。
「水銀が入っていたりしたんだ」
「えっ、水銀って」
「水銀は飲んだら駄目だよ」
「あんなの飲んだら」
「もうどれだけ身体に悪いか」
「水銀中毒になるわよ」
「どんでもないことになるから」
 動物の皆は水銀と聞いて一斉に言いました。
「身体に物凄く悪いのに」
「あんなの飲んで大丈夫?」
「そんなことして」
「だからどうも水銀中毒でね」
 実際にそうなってしまってというのです。
「始皇帝は死んだとも言われているよ」
「不老不死になるどころか」
「かえってその為になるお薬で死んでしまったの」
「水銀のせいで」
「そうだったの」
「不老不死のお薬に長い間水銀が使われていたんだ」
 先生は皆にさらにお話しました。
「それで始皇帝も死んだし以後の中国の皇帝でその為に死んだ人多いよ」
「今は駄目だってわかっているけれど」
「昔は違ったのね」
「それで始皇帝も死んで」
「その後もだったんだ」
「学問は間違いもしてね」
 そうしたこともあってというのです。
「進歩していくからね」
「過去そうしたこともあったんだ」
「そういえば何でもそうよね」
「間違えてあらためていって」
「そうして進歩していく」
「そうした面もあるわね」
「じゃあ鉄道もだね」
 こう言ったのは老馬でした。
「色々あったんだね」
「先生のお話だとそうね」
 ポリネシアも老馬のお話を聞いて思いました、
「間違いもあるものだっていうから」
「過去に色々あったんだろうね」 
 トートーもこう思いました。
「鉄道も」
「事故は沢山あったし」
 チーチーは鉄道事故を思い出しました、こうした事故で沢山の人が死んだことも事実です。
「そこからも学んでいったね」
「そうして進歩していったんだね」
 ホワイティの口調はしみじみとしたものになっていました。
「鉄道も」
「事故があったり運営や設計の間違いがあって」
 ジップも思いました」
「鉄道も進歩していったんだね」
「日本の鉄道事故も結構あるね」
「そうよね」
 チープサイドの家族は時々聞くお話を思い出しました。
「災害でどうにかなったりもしたり」
「そんなこともあって」
「そう思うと」
 ダブダブも言いました。
「鉄道の間違いも沢山あったわね」
「そしてその間違いからも学んでいって」
「そして進歩していって」 
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「そうしてね」
「今に至るんだえ」
「これからも間違えていって」
 最後にガブガブが明るく言いました。
「進歩していくんだね、鉄道も」
「そうなるよ、人間は神様じゃないんだ」
 先生がいつも胆に銘じている言葉です。
「間違えるんだよ」
「どうしてもね」
「意識しないうちに」
「間違えてね」
「大変なことにもなってしまうね」
「そうだよ、だからその間違いからね」
 それが起こってしまってからというのです。
「どうするか」
「それが大事なんだね」
「どうしても間違えてします」
「そしてその間違いから学んで」
「進歩することが大事なのね」
「僕はそう思うよ、失敗はしない様にして」
 そしてというのです。
「そして失敗するリスクはあっても」
「それを恐れずに」
「行っていって」
「失敗、間違いからさらに学んで」
「そして進歩していくべきだね」
「そうだよ、そうしたものだから」
 それ故にというのです。
「人間は間違えてしまうことをね」
「絶対にと思って」
「そうして考えていくことだね」
「それは絶対にある」
「そのことはいつも念頭に置いておくことだね」
「その通りだよ、過ちはあるんだ」
 絶対にというのです。
「そしてその過ちから学ぶ」
「そこから進歩する」
「それが大事だね」
「鉄道にしても」
「それが大事だね」
「そうだよ、あと変わった列車や技術が出ることもあるけれど」
 時にはとです、先生は間違い以外にそうしたことへのお話もしました。
「これもいいことだよ」
「変わったものが出ることも」
「それもなんだ」
「あってもいい」
「そうなんだね」
「そうだよ、カンブリア紀ってあったね」
 今度は生物のお話でした。
「あの頃の生きものは凄いのが多いよね」
「アノマロカリスとかね」
「どうしてこんな進化をしたのかね」
「わからないものばかりだよね」
「変てこな外見と行動の生きものばかりで」
 それでというのです。
「恐竜も変わった生きもの多いけれど」
「今の哺乳類や鳥類でもね」
「けれどね」
「あの時代は遥かに凄いよね」
「本当にね」
「そう、けれどその頃の進化が今の生物の進化にどうもね」
 遺伝、生物のDNAが学んでいくということを考えつつでした、先生は皆に考えるお顔でお話しました。
「伝わっていてね」
「カンブリア紀のその進化も」
「それで残っていっていて」
「学ばれているんだ」
「そうなのね」
「僕はそう考えているよ、あの時代の進化は」
 生きもののそれはというのです。
「決して無駄じゃない、それどころかね」
「その進化はだね」
「今も影響を与えているから」
「無駄じゃない」
「だから変わった列車や技術もなんだ」
「出ていいんだね」
「これはあらゆる分野でもそうだよ、変わったものが出れば」
 それはというのです。
「後で凄いアイディアに至ったりもするからね」
「いいんだね」
「そうしたことをになっても」
「それでも」
「そうだよ、斬新な発想が大きな進歩に至る」
 先生は皆に笑顔でお話しました。
「そうしたこともあるからね」
「成程ね」
「突飛なものが出てもいい」
「それを今後にどう活用するか」
「それが大事なんだね」
「僕はそうも考えているよ、列車砲だって」
 模型が完成して動いているそれもというのです。
「その中の一つだしね」
「兵器として使われて」
「ドーラみたいに巨大なものも出たりする」
「そのことを考えると」
「列車砲も鉄道の進化の中に出た一つ」
「カンブリア紀の生きものみたいな一つだね」
「そうも考えているんだ、もうなくなったにしても」
 それでもというのです。
「その技術や発想は今度また使われるかも知れないね」
「ううん、進化の中で出て来て」
「それでなんだ」
「また使われるかも知れない」
「そうしたものなんだ」
「そうも思ったよ、何ていうか」
 まさにと言った先生でした。
「間違い、奇抜なものが人の役に立っていく」
「それもまた面白い」
「そうも考えているのね」
「そうなのね」
「うん、人間そして世界はそうしたこともあるから」
 間違いや変わった発想が以後の人類の発展に貢献したりもするからというのです、鉄道に限らずです。
「面白いね」
「ううん、何ていうかね」
「世の中一筋縄じゃいかないっていうけれど」
「そうしたこともあるなんて」
「本当にわからないものね」
「そして実際に面白いわ」
「先生の言う通りに」
 動物の皆も先生のお言葉にそれぞれ考えました、そしてです。
 皆で、です。こんなこともお話しました。
「安全第一にしても失敗を恐れないで」
「いいと思ったから変わっていてもね」
「思いきって設計してみて考えてみる」
「そして実用化してみる」
「これが大事なのね」
「そうだよ、英国面って言葉が日本であるけれど」
 先生は紅茶を飲みつつこの言葉も出しました。
「我が国の兵器の開発だけれどね」
「イギリスのなんだ」
「その兵器の開発がだね」
「そう言われているんだ」
「うん、変な兵器ばかり開発して使うってね」
 その様にというのです。
「言われていてね」
「そうした言葉が出たんだ」
「英国面って言葉が」
「そうだったんだ」
「そう、けれどその発想がね」
 奇抜なそれがというのです。
「僕は無駄じゃないって思っているんだ」
「その奇抜な発想から凄いものが出たりする」
「それで後世にも貢献したりする」
「それでだね」
「奇抜は悪くない、変って言われてもね」
 そうであってもというのです。
「気にすることはないんだよ」
「そこから何か生まれたりするから」
「だからだね」
「そうしたことは恐れないで」
「変なものでも考えて開発していく」
「そうしたことが大事なんだ」
「だから英国面も悪くないんだ」
 そう言われることもというのです。
「全くね、むしろ安定した型に嵌ったものばかり考えて開発していたら」
「進歩しない」
「そうなるんだ」
「進歩はしても遅くなるだろうね」
 安定志向ばかりでいてもというのです。
「それじゃあね」
「変わったものも出ないと」
「それはそれで」
「そうなんだ」
「僕はそうも思うからね」
 だからだというのです。
「変わっていてもいいんだよ」
「そして失敗しない様にしていても」
「失敗はしてもいい」
「恐れなくていいんだね」
「何でも間違えてそこから発展出来れば」
 それでというのです。
「いいからね」
「だからだね」
「間違えてもいい」
「そして変わったものが出てもいい」
「そうなるのね」
「僕はそう考えているよ、犠牲が出たら残念だから」
 こちらのことはといいますと。
「やっぱり避けないといけないけれどね」
「事故とかね」
「そうしたことは避けないとね」
「どうしても」
「事故は起こってしまうこともあるけれど」
「何としても避けてね」
 安全性は充分以上に考慮しつつというのです。
「そうしてね」
「間違えてもどうしてもだね」
「そこから学べばいい」
「そういうことね」
「そこから新たに学ぶのね」
「そうすべきだよ、紅茶にしても」
 ミルクティーのお話もする先生でした。
「変な淹れ方をしてまずくて」
「もう二度とそんな淹れ方はしない」
「そうするしね」
「あと美味しい淹れ方をしようって思ってね」
「いつもと違う淹れ方をしてもいいね」
「そうだしね、間違える様にすべきだけれど間違えることを恐れるな」
 ミルクティーの甘さを楽しみつつです、先生は言うのでした。
「それが学問だよ」
「そういうことだね」
「じゃあちょっと変わったお茶の淹れ方をしてみて」
「それでね」
「紅茶も楽しもうね」
 皆先生にこう言ってでした、おかわりの紅茶を淹れました。いつもと違う淹れ方でしたがその紅茶も美味しかったです。








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