『マノン＝レスコー』
序曲
出会いは奇跡だ。それがどう移り変わっていくかは本当に誰にもわかりはしない。神ですらも予測できないことがある程だ。その出会いという運命に弄ばれるのが人間ならばデ＝グリューという男はまさにその運命に弄ばれた者であった。
「あれは古い話だよ」
年老いた彼は今はパリの修道院にいる。そこで院長を務めている。今でも気品ある顔立ちをしているがその顔には深い皺が刻み込まれていてまるで刀傷のようになっている。
そんな彼が話してくれたことだ。正直な人柄の彼は何一つ隠さず話してくれた。彼自身の運命の出会いを、そして悲しい物語を。
過去語りという形で始まるみたいだな。
美姫 「今度はどんなお話なのかしら」
とは言え、悲しい物語となっているんだけれどな。
美姫 「どんな結末が待っているのかしらね」