『オズのトト』




            第五幕  鳥達の言い分

 一行は麓に降りました、見れば近くに沢山の鳥達が集まっています。その彼等を見てです。
 恵梨香がです、最初にこう言いました。
「ペンギンさんに駝鳥さんにね」
「うん、鶏や鶉もいるね」 
 カルロスは彼等を見ました。
「そうした鳥もいるんだ」
「あの鳥はモアだね」
 神宝は大きな後ろ足で立っている鳥を見ました、駝鳥と似た外見ですがまた違います。
「オズの国にはいるんだね」
「あれは確かオオウミガラスよ」
 ナターシャはペンギンに似た鳥を見て言いました。
「本当にペンギンに似ているわね」
「ドードー鳥もいるね」
 ジョージは太って曲がった嘴の鳥に気付きました。
「オズの国だからいるんだね」
「外の世界にもういない鳥も」
 また恵梨香が言いました。
「オズの国にはいるから」
「うん、いいね」
「他の生きもの達と同じで」
「外の世界にいなくなってもオズの国にはいる」
「またこのことがわかったわ」
「オズの国では普通でもね」
 トトがここでドードー鳥達を見て笑顔になった五人に応えました。
「外の世界では不思議な奇跡なんだね」
「魔法みたいよ」
 恵梨香はこうも言いました。
「このことは魔法じゃなくても」
「それでもだね」
「ええ、本当にね」
 実際にというのです。
「魔法みたいよ」
「そこまで不思議だね、ただ魔法もね」
「オズの国では普通なのね」
「そうだよ」
 そうなるというのです。
「そのことも覚えておいてね」
「場所によって不思議なことが違うってことね」
「お伽の国では全然不思議じゃないよ」
 恵梨香達が今言ったことはというのです。
「本当にね」
「恐竜もいて」
「そうそう、ドラゴンもいてね」
「四霊獣もガルーダもいて」
「凄いよね」
「本当にね。ただね」
 ここでふとこんなことを言った恵梨香でした。
「オズの国ってあまりインドの色がないわね」
「ああ、外の国の一つだね」
「映画の中で絶対に踊ってカレーの国よ」
「カレーはあるよ」
「けれどインドはね」
「それはアメリカにインド系の人が少ないからじゃないかしら」
 ドロシーが言ってきました。
「他の国から来た人よりもね」
「だからですか」
「ええ、インドの色は薄いのよ」
「そうなんですね」
「そう思ったわ、じゃあいいわね」
「はい、今から」
「鳥さん達のところに行きましょう」
 こう言ってでした、皆は鳥さん達のところに行きました。すると彼等はドロシー達を見て言いました。
「あっ、ドロシー王女」
「トトも一緒だね」
「ムシノスケ教授にミスターカエルマン」
「あの子はオジョだね」
「それに」
 今度は恵梨香達五人を見て言いました。
「あの子達は噂の」
「あの五人の子供達だね」
「外の国から来ている」
「オズの国の名誉市民の」
「あの子達だね」
「そうよ」
 その通りとです、ドロシーが鳥さん達に答えました。
「この子達がね」
「ああ、やっぱりね」
「ひょっとしてって思ったけれど」
「ドロシー王女と一緒だし」
「だったらね」
「そうだって思ったけれど」
「そうよ、それで貴方達からお話を聞きたいけれど」
 ここでお話を切り出したドロシーでした。
「いいかしら」
「お話?」
「お話っていうと」
「そう、どうしてここにいるのか」 
 このことを聞きたいというのです。
「それでここまで来たけれど」
「移住のことね」
 ここで、です。一羽のドードー鳥が出て来ました。見れば他のドードー鳥よりも随分とお歳を召した感じです。
 そのドードー鳥をです、別のドード―鳥がドロシーにお話しました。
「この方が我々のリーダーでして」
「まあ長老かしらね」
 年老いたドードー鳥は自分から言いました。
「婆さんって言われてるよ」
「お婆さんね」
「そうさ、まあ名前はエマっていうけれどね」
 お名前も言うのでしうた。
「婆さんでいいよ」
「そうなのね」
「そうさ、それでお話って聞いたけれど」
「さっき森で狼の長老さんとお話したわ」
「ああ、権蔵の爺さんだね」
「あの長老さん権蔵さんって言うのね」
「融通の利かない奴だよ」
 ここで怒った顔で言うお婆さんでした。
「全く」
「貴方達は森に移住したいのね」
「そうだよ、前は草原で一緒にいたんだけれどね」 
 それがというのです。
「そこでちょっとね」
「草原で何かあったの?」
「ドラゴンが地下から出て来たんだよ」
「あら、ドラゴンが」
「ああ、千年間寝ていたらしいけれどね」
 草原の下で寝ていたというのです。
「それが急に起きて出て来て」
「その草原はドラゴンさんの縄張りだったの」
「そう、あたし達それを知らなかったんだよ」
「皆の場所だって思っていたのね」
「それで土地の所有権も持っていたって思ったら」
 それがというのです。
「何とドラゴンの土地でね」
「出るしかなかったのね」
「ドラゴンはまた寝るからいいって言ってくれたけれどね」
「やっぱり他の人の土地だから」
「あたし達で話してね」
 そしてというのです。
「出ようってことになったんだよ」
「それでここまで来たんだ」
「近くだったしね」
「それで移住をしようって思ったら」
「森にあの連中がいて」
「今揉めているんだ」
「あたし達としてはね」
 それはとです、お婆さんは言うのでした。
「土地の所有権の問題でね」
「それがなければ」
「そう、あの山は全部あの連中のものじゃないよね」
「うん、そうだよ」
 それはその通りとです、オジョが答えました。
「縄張りでない場所も結構あるよ」
「だから縄張り、誰も所有権のない場所にね」
「入れて欲しいっていうのね」
「そう言って入ったらね」
「それがなのね」
「向こうは駄目だっていうんだよ」
「あちらはこれからも増えるのよ」
 その数がというのです。
「それで増え過ぎたらどの山に移ろうかってね」
「そんな話をしてるんだね」
「そうよ、あちらはね」
「じゃあその所有権のない場所もだね」
「すぐに埋まっていってね」
「山全体が連中のものになって」
「周りの山もだね」
 お婆さんも状況を理解しました。
「連中のものになっていくんだね」
「幾つかはね」
「やれやれだね」
 ここまで聞いてです、お婆さんは苦いお顔になりました。
「折角って思ったんだがね」
「まだあの山に入るつもり?」
「その事情を着たらね」
「無理なのね」
「ああ、法律はね」
 それはというのです。
「やっぱり守らないとね」
「ドラゴンの時と一緒で」
「何か随分移住しようとしたら揉めたしね」
「生活習慣が違って」
「それでだよ」
 このことはあのニホンオオカミの長老さんがお話してくれた通りでした。
「やたら揉めていられなくなってね」
「今はここにいるのね」
「仕方なくね」
 苦い声でした。
「そうなのよ」
「やっぱり確かな移住先が欲しいわよね」
「前の草原は近くに湖があって餌も豊富でね」
 それでというのです。
「過ごしやすかったから」
「今度もなのね」
「お水も餌も多いね」
「そうした場所に住みたいのね」
「これだけの数が満足出来るね」
 お婆さんは一緒にいる他の鳥達の方を振り向いて言いました。
「そうした場所がね」
「草原でも森でもいいのかな」
 このことはトトが尋ねました。
「場所は」
「ええ、どちらでもね」
「お水と食べものが一杯あれば」
「それでね」
「わかったよ、オズの国ならね」
 それならと応じたトトでした。
「そうした場所は一杯あるね」
「そうだよね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「そうした場所ならね」
「あるからっていうんだね」
「僕達が探させてもらっていいかな」
「そうしてくれるのかい?」
「そう申し出るつもりだったしね」
 この考えもあることもです、トトはお婆さんにお話しました。
「だからね」
「それでだね」
「うん、どうかな」
「そこまでしてもらったら悪いよ」
「いや、そうした気遣いは無用だよ」
 カエルマンが笑ってお婆さんに応えました。
「それはね」
「そう言うのかい?」
「そう、我々はこの問題を解決する為に来たのだからね」
「政治でだね」
「そう、まさにね」
 それの問題でというのです。
「ここまで来たのだからね」
「そうなんだね」
「エメラルドの都から飛行船を使ってね」
「へえ、あのアーモンドみたいな形のだね」
「あれで来たのだから」
「それでかい」
「そうしたこともさせてもらうよ」 
 是非にという口調でした。
「我々は」
「では早速その場所を探させてもらおう」
 ムシノスケ教授も言ってきました、カエルマンと同じく気取っていますがそれでいて愛嬌の感じられる仕草です。
「君達の移住先の」
「本当にいいのかい?」
「いいのだよ、国民の幸福や願いを適えるのが政治だよ」
 それでというのです。
「だからこそ」
「探して見付けてくれるんだね」
「それが公約だよ」
 今現在のそれだというのです。
「我々のね」
「じゃあ任させてもらうね」
「うむ」
 教授はここでも気取ったそれでいて愛嬌のある仕草で応えました。
「むしろ任せてもらいたい」
「じゃあね」
「やらせてもらおう」
「それじゃあね、頼むよ」
「是非共」
「じゃああたし達はここにいるね」
 麓にというのです。
「それで吉報を待っているよ」
「うん、そういうことでね」
 またトトが応えました。
「すぐに出発するよ」
「悪いね」
「ただもう夕方だから」
「もう少ししたら寝る時間だね」
 このことはお婆さんも言います、しかもこうも言うのでした。
「あたし達は夜は見えないしね」
「鳥さんだからね」
「鳥目はね」
「そうだよね」
「だからあたし達もね」
「もう少ししたらだね」
「寝るよ」
 実際にそうするというのです。
「そうするよ」
「やっぱりそうだよね」
「それでお日様が出ると起きるんだよ」 
 そうするというのです。
「鳥はね」
「とにかく夜は駄目だね」
「そうだよ、そしてあんた達もだね」
「うん、夜は寝るよ」
「そうするんだね」
「確かにすぐに出発するけれど」
「そうしないと駄目だよ」
 急げとはです、お婆さんも他の鳥達も決して言いませんでした。
「夜に歩いたら危ないからね」
「僕は夜も見えるけれどね」
 トトは犬として言いました。
「けれどオズの国の法律でも決まってるね」
「夜の冒険は歩くなってだね」
「そうなってるしね」
「それじゃあ歩いたら駄目だよ」
 夜はというのです。
「特に山の中は足元が危ないからね」
「余計にだね」
「歩くものじゃないよ」
 絶対にというのです。
「そこはね」
「そうだね、じゃあね」
「ああ、ゆっくりとね」
 焦らずにというのです。
「進んでいかないとね」
「じゃあそうしていくね」
「そのうえで頼んだよ」
「それじゃあね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 一行は鳥さん達と別れてでした、すぐに彼等害獣出来る場所を探す為に出発しました。ここで。です。
 オジョは皆にです、こう言いました。
「長老さん達とのお話で南の山々のお話が出たけれど」
「あそこは誰の山でもないのね」
「うん、そうなんだ」
 実際にとです、オジョはドロシーに答えました。
「あの辺りはね。生きものもいない山ばかりでね」
「そうなのね」
「言うならフロンティアだよ」 
 オジョは笑ってこうも言いました。
「だからね」
「あの辺りを探せば」
「うん、絶対にね」
 間違いなくというのです。
「いい移住先が見付かるよ」
「わかったわ、それじゃあね」
「南の山々の方にだね」
「行きましょう」
 ドロシーは皆のリーダーとして決定しました、こうした決断を下すことこそがリーダーの第一のお仕事だからそうしました。
「これからね」
「うん、じゃあね」
「そちらに行くね」
「そうしましょう」
 こう皆に言いました。
「今からね」
「わかったよ、それじゃあね」
「それで夜になったらね」
「テントを出してだね」
「いえ、飛行船を呼んで」
 そしてというのです。
「その中に入って」
「それでなんだ」
「そこで休みましょう」
「飛行船の中で休むんだ」
「飛行船は私が呼べるよ」
 教授がオジョに言ってきました。
「そしてね」
「適当な高さまで降下させられるんですね」
「これを使ってね」
 こう言ってラジコンの操縦機みたいな操縦機を出してきました。
「動かせるんだ」
「そうなんだ」
「うん、私と魔法使いさんはね」
「魔法使いさんが造られて」
「私も操縦を教えてもらってね」
「それで、ですか」
「操縦が出来るんだ」
 実際にというのです。
「出来るんだ」
「だからなんだね」
「こうして動かして」
「その上に入って」
「休もうね、そこにはお風呂もあるし」
 このこともあってというのです。
「くつろげるよ」
「あっ、お風呂あるんだね」
 オジョはお風呂のお話を聞いてお顔をぱっと明るくさせました。
「それはいいね」
「そうだね、普通の冒険ならね」
「身体は奇麗に出来ても」
「普通にお風呂に入ることはね」
「出来ないから」
 だからだというのです。
「それでね」
「お風呂に入られるからね」
「いいね、お家じゃ毎日入ってるよ」
「オジョもお風呂が好きなんだ」
「うん、沢山身体を動かしてね」
 そうしてというのです。
「その後で入るのが好きなんだ」
「身体を奇麗にして疲れを癒す」
「そうすることがね」
「それはいいね」
「そうだよね、身体をたっぷりと動かして」
「後でお風呂に入るとね」
「本当にいいね」
 オジョはにこにことして教授にお話しました。
「だから僕も好きなんだ」
「成程ね」
「僕はオズの国に入ってからだよ」
 トトも言ってきました。
「お風呂が好きになったのは」
「そうよね、トトは」
「うん、それまでは濡れることもね」
 トトはドロシーに応えてお話しました。
「好きじゃなかったけれど」
「それがね」
「オズの国のお風呂ってとても気持ちいいから」
 だからだというのです。
「最後にブラッシングまでしてもらうし」
「そのブラッシングが一番好きよね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「僕も今じゃお風呂大好きだよ」
「そうよね」
「そう、だからね」
「今日もよね」
「楽しみたいよ」
 そのお風呂をというのです。
「是非ね」
「そうね、じゃあね」
「今日は飛行船に入って」
「そうして休みましょう」
 こうお話してです、そしてでした。
 皆は一緒にです、降りてきた飛行船の中に入りました。そうしてそこで休むことになりましたが。
 晩御飯のバーベキューを食べながらです、ドロシーは皆に言いました。
「今は飛行船の中で休んでいるけれど」
「明日からはだね」
「ええ、山に入ってね」
 そうしてというのです。
「歩き回ることになるわ」
「そうだね」 
 カエルマンはドロシーのその言葉に頷きました、よく焼かれたピーマンや人参、玉葱等を食べながら。
「それはね」
「ええ、中に入って見ていかないとね」
「よくわからないからね」
「だからだね」
「ええ、休むのはね」
 それはといいますと。
「飛行船が降りられる場所ならね」
「入られるけれど」
「うん、それならだよ」
 教授もお野菜を食べつつドロシーに応えました。
「ある程度まで降りられたら」
「そうしたら?」
「飛行船から光を出してね」
「光?」
「そう、引力がある光でね」
「それを出してなの」
「この中に入れることが出来るよ」
 そうだというのでえす。
「だから安心してくれ給え」
「そんな能力もあるのね」
「この飛行船にはね」
「オズノ国の飛行船だけあって」
「そうした能力もあるのだよ」
「着地出来ないところでも人が乗れる様にしてるんだ」
 トトは教授のお話を聞いてこう考えました。
「そうなんだね」
「その通りだよ」
「成程ね」
「だから安心するんだ」
「休むのはだね」
「この中で休めるのだよ」
「じゃあ今回の冒険の拠点はこの飛行船だね」
 トトはこうも言いました。
「お空を冒険する時と同じで」
「確かにそうだね」
「じゃあね」
「それで楽しんでくれるね、トトも」
「そうさせてもらうよ」
「何かと凄いですね」
 しみじみとしてです、カルロスは焼かれたスペアリブを食べつつ言いました。
「オズの国の飛行船は」
「そうして出入り出来るなら」
 神宝はマトンが串で刺されたものを食べています。
「毎日ここで夜空を見ながら休めるしね」
「それもいいよね」
 ジョージは分厚い牛肉をレアにしたものにかぶりついています。
「オズの国の夜空はとても奇麗だから」
「こうして見ていたら」
 ナターシャは焼かれた白身魚の味を楽しんでいます。
「気持ちいいまま寝られそうね」
「そうよね」
 恵梨香は海老や烏賊を食べています、そうしつつ夜空を見上げてそのうえで言うのでした。
「テントの中で寝るのもいいけれど」
「しかもお風呂にも入られるからね」
 トトがまたこのお話をしました、ドロシーの横でお肉を食べながら
「余計にいいね」
「そうよね、そのこともね」
「恵梨香達もお風呂好きだよね」
「ええ、大好きよ」
 恵梨香はトトにすぐに答えました。
「身体も奇麗になるしほっともするから」
「だからだよね」
「五人共好きよ」
 お友達の四人も見て言います。
「本当にね」
「だから毎日入って」
「楽しんでもいるわ」
「そうだよね」
「ええ、じゃあ今日は食べてお風呂に入って」
「ゆっくりとだね」
「休んでね」 
 そしてというのです。
「また明日ね」
「冒険を楽しもうね」
「そうしましょう」
「さて、冒険のことだけれど」
 オジョも牛肉を食べています、よく焼かれたお肉に甘いソースを付けてそのうえで食べています。
「南に行くよね」
「ええ、そうしてね」
 ドロシーが応えました、お肉を食べつつ。
「一つ一つ確かめていって」
「誰もいない山を見付けて」
「そこに鳥さん達を案内してね」
 そうしてというのです。
「仲良く過ごしてもらうわ」
「そうするんだね」
「この辺りは誰もいない山ばかりだから。ただ」
「ただ?」
「わかっている限りではね、今の時点で」
「それじゃあ」
「もう誰かがいる山もあるからもね」 
 こうも言うのでした。
「その可能性もあるわ」
「ああ、そうしたことはね」
「あるわよね」
「そうだね、それはね」
「山に住む人もいるしね」
「いるね、マンチキンの国にも」
「樵さんと同じお仕事の人もいれば」
 勿論そうした人達は生身です、ブリキの樵はその身体でも特別な人なのです。
「妖精もいたりするから」
「移住してきたりしてね」
「エルフ族もいるし」
「あっ、エルフですね」
 エルフと聞いてです、恵梨香が声をあげました。
「オズの国にはあの人達もいますね」
「そうよ、地下にはダークエルフがいたわね」
「それで森にはですね」
「普通のエルフ族もいるの」
「そうでしたね」
「オズの国には色々な種族がいてね」
 そうしてというのです。
「森にはエルフもいるの」
「あとフェアリーやピクシーもいるよ」
 オジョは彼等のことお話しました。
「ニンフもいるし」
「色々な種族がいるんですね」
「オズの国は妖精の国でもあるからね」
 だからだというのです。
「色々な人がいるんだ」
「森の中にも」
「そう、だからね」
「その人達もいれば」
「ちょっと問題かもね」
「難しいことですね」
「皆いい人達なんだけれど」
 それでもとも言うオジョでした。
「やっぱり住むところはね」
「しっかり決めておかないと」
「その時点でも後々でもトラブルになるからね」
 だからだというのです。
「僕も話をされたし」
「私もここに来たのよ」
 ドロシーも言ってきました。
「こうしてね」
「そうだね」
「問題を解決する為に。そして」
「この問題を実際にだね」
「解決するわ」
 こう言うのでした。
「頼まれたからこそ」
「そうするね」
「絶対にね」
 ォイクを食べつつ言います、そしてです。
 そうしたことをお話しつつです、お肉も食べますがここでトトはソーセージを食べてこんなことを言いました。
「こうした時もソーセージっていいよね」
「バーベーキューの時もね」
「美味しいよね」
 こうドロシーに言うのでした。
「そうだよね」
「ええ、私もそう思うわ」
「そうだよね」
「何時食べてもいいのがね」
「ソーセージだよね」
「煮ても焼いても揚げてもね」
「うん、美味しいからね」
 だからだというのです。
「いいんだよね」
「ベーコンやハムもいいけれど」
 見ればそうしたものも焼かれています。
「ソーセージもね」
「何にでも使えて」
 そうしてというのです。
「いいんだよね」
「私もそう思うわ」
「だからよく食べるんだね、ドロシーも」
「ええ、そうよ」 
 その通りだというのです。
「私もね」
「本当に何をしても美味しいから」
「しかもだよ」
 教授はソーセージを食べつつビールを飲んで言いました。
「この通りビールとも合う」
「そうなんだ」
「しかも最高に」
「教授が言ったことは本当だよ」
 見ればカエルマンもビールを飲んでいます、二人共大ジョッキのビールをどんどん飲んでいます。
「この通りね」
「ソーセージはビールに合うんだ」
「若しかすると他のお肉やお魚よりも」
 そのソーセージはというのです。
「いいかもね」
「そこまでなんだ」
「この組み合わせを知れば」
 教授はビールをとても美味しそうに飲んでいます、泡立つそのお酒を遠慮ない感じでどんどんと。
「もう病みつきになるよ」
「そんなになんだ」
「そう、こんな美味しいものはないよ」
「それうちのお父さんも言ってました」
 恵梨香も言ってきました。
「ビールは美味しいって」
「そうか、恵梨香のお父さんもだね」
「はい、どんどん飲んで」
 そしてというのです。
「お母さんに止められています」
「飲み過ぎで」
「そうなっています」
「そう、ビールは美味しいけれど」
 それでもというのです。
「飲み過ぎるとね」
「悪酔いしてですね」
「後がよくなかったりするからね」
「僕達は強いにしても」 
 カエルマンはおかわりをしています。
「それでもね」
「そう、悪酔いは禁物だよ」
「その通りだね」
「いつも紳士でありたいからね」
 例えお酒を飲んでいる時でもというのです。
「だからね」
「こうして飲んでいても」
「悪酔いはしないでいよう」
「是非ね」 
 それはというのです、そしてです。
 教授とカエルマンはどんどんビールを飲んでいきます、オジョはマンチキンの青い葡萄ジュースを飲みながら二人が飲んでいるそのビールを見てです。
 トトにです、こんなことを言いました。
「何かね」
「何か?」
「そう、二人共緑色のビールを飲んでるね」
「エメラルドの都のビールだね」
「そこから持って来たものなんだね」
「緑だからね」
 それがわかるというのです。
「すぐにわかるね」
「僕もエメラルドの都には時々行くけれど」
「緑のビールはなんだ」
「はじめて見たよ」
 そうだったというのです。
「マンチキンの青いビールはよく飲むけれど」
「ああ、マンチキンにいるから」
「そうだよ」
「そう、そしてね」 
 そうしてというのです。
「緑のビールを見てへえ、と思ったよ」
「はじめて見てだね」
「ああしたものなんだってね」
「まあオズの国だからね」
「何でもそれぞれの国の色でね」
「ビールもそうなるからね」
「そういえば」
 ここで恵梨香が言ったことはといいますと。
「ウィンキーの色は黄色だから」
「黄色いビールになるよ」
 トトがお話しました。
「やっぱりね」
「そうよね」
「ギリキンは緑、カドリングは赤だよ」
「そうなるのね」
「そう、普通にね」
 それはというのです。
「ビールもそうした色になるよ」
「普通になのね」
「そうだよ、外の世界だと黄色いビールだよね」
「黒ビールもあるわよ」
「それオズの国でもあるよ」
「その国の色じゃないものも造られるから」
「そのビールもあるよ、ただそれぞれの色にした黒ビールもね」
 そうしたビールもというのです。
「あるんだ」
「それじゃあ普通のビールと色でわからないわよね」
「いや、これがね」
「わかるの」
「黒ビールだと色が濃いから」
 そうなるからだというのです。
「エメラルドの都だとダークグリーンのビールになるんだ」
「あっ、緑といっても色々で」
「そう、そうした緑のビールになるよ」
「そうなのね」
「だからわかるんだ」
「成程ね」
「普通のビールと黒ビールの違いもね」
 こう恵梨香にお話すトトでした、そしてソーセージをもう一本食べて今度はベーコンを分厚く切ったものを食べるのでした。
 そうしてです、またドロシーに言いました。
「最後のデザートは何かな」
「アイスクリームを考えてるわ」
「あっ、アイスなんだ」
「そう、それをね」
「いいね、バーベキューって不思議とね」
「アイスクリームが合うでしょ」
「そうなんだよね」
 こうドロシーに応えるトトでした。
「お肉を沢山食べるせいか」
「その後はね」
「甘くて冷たいものが合う感じにね」
「お口の中がなってかしら」
「アイスが美味しくなるよね」
「そうでしょ、だからね」
「今日のデザートはだね」
 尻尾をパタパタとさせて言うトトでした。
「アイスなんだね」
「それを出すわ」
「どんな種類にアイスを出してくれるのかな」
「色々よ」
 ドロシーはオジョにもにこりと笑って答えました。
「バニラもチョコレートもストロベリーもレモンもね」
「本当に色々なんだね」
「出すから皆で食べましょう」
「それは楽しみだね」
「何段も乗せたりしてね」
 そのアイスをです。
「そうして食べましょう」
「バーベキューの後は」
「そうしましょう、そしてデザートの後は」
 そのアイスのです。
「晩御飯を出したテーブル掛けをなおして」
「お風呂だね」
「そちらに入りましょう、男の子と女の子に別れて」
 そうしていというのです。
「楽しくね」
「そしてその後は」
「寝ましょう、夜空を見ながら」
 その星達が瞬く夜空をです。
「そうしましょう」
「あっ、あの星は」
 ふとその星達を見てです、恵梨香は気付きました。
「かに座かしら」
「あっ、そうだね」
「あの星座はね」
「かに座だね」
「その星座ね」
 四人もその星座を見て言います。
「間違いないわ」
「星座はオズの国のお空でも同じだね」
「そうだね、夜空は同じだね」
「そうなんだね」
「お空は同じよ」
 ドロシーはにこりと笑って五人にお話しました。
「オズの国もね」
「雲の上の星達はですね」
「それはですね」
「同じなんですね」
「それじゃあお日様もお月様も」
「全部同じですか」
「同じ地球にあるから」
 だからだというのです。
「同じよ」
「地球にあって誰も知らない国ですね」
 ドロシーの言葉を受けて恵梨香は言いました。
「つまりは」
「ええ、そうよ」
「だからですね」
「星座やお日様、お月様は同じなの」
 そうしたものはというのです。
「全部ね」
「そうなんですね」
「ええ、違うことは一杯あるけれど」
 外の世界とオズの国ではです。
「同じものもあるのよ」
「そうなんですね」
「世の中全部が違うことはないの」
 恵梨香ににこりと笑ってお話しました。
「それで全部違うこともね」
「ないんですね」
「そうよ」
 こうお話するのでした。
「だから恵梨香達が外の国にいてもね」
「お星様はですね」
「お日様もお月様もね」
 そうしたものはというのです。
「同じものよ」
「同じお空も見ていて」
「そうよ、だからね」
「そうしたことはですね」
「ええ、覚えておいてね」
 恵梨香ににこりとしてお話しました。
「このことも」
「わかりました」
 恵梨香も他の子達もドロシーの言葉にこくりと頷きました、そしてここでトトがこんなことを言いました。
「僕ドロシーが最初の何度かの冒険の時は一緒じゃなくてね」
「そうだったわね、私がオズの国に定住するまでは」
「そうした時は離れ離れで寂しかったけれど」
 それでもというのです。
「同じお空を見ていたんだね」
「同じお星様もね」
「そうだったんだね」
「ええ、そうよ」
「そう思うと寂しくなかったかな」
 確かにドロシーと一緒でないことは寂しいことですが。
「その分だけね」
「そう言ってくれるのね」
「うん、実際にね」
「そう言ってくれると私も嬉しいわ」
「そうなんだ」
「ええ、そうよ」
 トトに笑顔で言うのでした。
「離れ離れでも同じものを見ていてね」
「それだけ寂しくないのなら」
「嬉しいわ」
「僕もそう思ったし」
「それでなのね」
「ええ、今もね」
「寂しくないね」
「そう思うわ」
 こうしたことをお話してでした。
 ドロシー達はこの夜は飛行船の中でゆっくりと休みました、そして次の日また冒険を楽しむのでした。



飛行船で移動しながら冒険。
美姫 「楽しそうね」
だな。のんびりとした感じで。
美姫 「次は何をするのかしら」
次回も楽しみにしてます。
美姫 「待っていますね〜」



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