『オズのトト』




           第七幕  ボタンとの再会

 一行はまた別の山に向かうことにしました、次の山に向かう時にです。ムシノスケ教授とカエルマンがこんなことを言いました。
「さて、次の山に行くが」
「何か色々な山があるね」
「うむ、この辺りの調査は以前にしたが」
「以前の調査でわかったことよりもだね」
「色々な山があるよ」
 教授はこうカエルマンにお話しました。
「本当に、というか」
「というか?」
「変わったよ」
 以前の調査ち比べてというのです。
「日本の趣が強くなったよ」
「日本の」
「それも純粋な日本の要素がね」
「生きものも妖怪もだね」
「全てね」
 まさにというのです。
「日本のものがね」
「強くなった」
「そうなんだね」
「うん、これはやはり」
「アメリカの日系人の影響だね」
「日本の文化がよく出てね」
 アメリカでというのです。
「そしてだよ」
「ここの山々でも日本が強くなった」
「そうだよ。しかし面白かったのは」
 それは何かとです、教授がお話することはといいますと。
「あれだね」
「あれとは?」
「うん、妖怪の諸君だね」
 その彼等だというのです。
「ユーモラスで愛嬌があってね」
「親しみやすいだね」
「そうした存在だね」
「彼等はね」
 カエルマンも言います。
「妖精だね」
「そう、アメリカ等で言うね」
「そうした存在だね」
「山や川にいるね」
「成程ね」
「河童にしてもね」 
 その彼等もというのです。
「妖精だよ」
「川の妖精かな」
「そうなるよ」
「妖精ですか」
 その日本人の恵梨香が教授達のお話を聞いて言いました。
「そうなるんですね」
「そう、学問的にはね」
 教授は恵梨香にお話しました。
「そうなるよ」
「そうですか」
「そう、鬼もそうだよ」
 この妖怪もというのです。
「やっぱり妖精なんだよ」
「妖怪は、ですか」
「日本の妖怪はね」
「そういえばそうかな」
 ジョージもお話を聞いて言いました。
「日本の妖怪って妖精になるかな」
「そうだよね、どの国の妖怪もかな」
 神宝はこう考えました。
「妖精と同じかな」
「自然やお家の中にいて」
 カルロスはそうした妖怪のことを思い出しました。
「ものがなったりもするし」
「川や木にいて」
 ナターシャはその木々を見ています、今現在自分達の周りにある。
「そうしたものの具現化でもあるから」
「オズマも妖精だし」
 ドロシーはこのことをお話しました。
「オズの国のね」
「あっ、そうでしたね」
「オズマ姫も妖精でしたね」」
「このオズの国の」
「そうした方でしたね」
「ポリクロームもそうよね」
 ドロシーは四人にこの娘のこともお話しました。
「妖精よね」
「はい、虹の妖精ですね」
「この世界にいる」
「そうでしたね」
「他にも沢山の妖精がいて」
「あの人達もそうなのね」
 日本の妖精達もというのです。
「そして神様もいるのよ」
「青龍や白虎がそうだね」
 トトはここでドロシーに言いました。
「あの四霊獣も」
「そうよ、精霊達を司る神様達よね」
「色や方角、自然に獣を司る」
「それぞれのね」
「その精霊の皆の神様である」
「それが四霊獣でオズのお空を飛んでいるフェニックスもね」
 あの偉大な火の鳥もというのです。
「神様なのよ」
「精霊達を司る」
「神様と精霊の区分はあまりない感じだね」
 教授は腕を組んで考える顔になってドロシーにお話しました。
「どうも」
「そうなんだね」
「うん、オズマもそうだね」
「神差かと思えることをすることも多いね」
「けれど精霊だね」
「そうだよね」
「そしてもっと言えば人間と精霊はどうかな」
 教授はトトにさらに尋ねました。
「そちらは」
「どう違うか」
「オズマ姫とドロシーは然程違うかい?」
「ううん、あまりね」
「そうだね」
「オズの国にいたらね」
「然程変わらないね」
「僕から見るとね」
「そう、少なくともオズの国においては」
 こう前置きしてお話した教授でした。
「神様と精霊、人間の区別はね」
「あまりないんだね」
「そう、キリスト教の神様もいるにしても」
「それでもなんだ」
「そうした神様は別にしてね」
「多くの神様と精霊、人間の区別は」
「あまりないよ」
 そうだというのです。
「実はね」
「そうなんだね」
「むしろね」
「むしろ?」
「違いは個性位のものだよ」
 その程度の違いだというのです。
「オズの国の精霊と人間は」
「妖怪さん達にしても」
「そう、動物も含めてね」
「そういえば僕達普通に喋ってるし」
「考えているね」
「心もあるよ」
 そちらもというのです。
「ちゃんとね」
「だからだよ」
「僕達それぞれの違いは個性でしかない」
「ほんのね」
「そうしたものなんだ」
「私だって虫ではないか」
「僕は蛙だしね」
 教授だけでなくカエルマンも笑って言ってきました。
「そう言ったらもう」
「皆同じだよ」
「かかしさんも樵さんも」
 恵梨香はオズの国の名士である彼等の名前を出しました。
「そういえば」
「そう、かかし君は最初からかかしだったね」
「そうでしたね」
「身体は人間じゃないね」
「樵さんはかつては人間の身体でしたが」
「今ではあの身体だよ」
 正真正銘のブリキの身体です。
「ジャック君にしてもね」
「カボチャの人形で」
「それでも普通にいるね」
「オズの国ですと」
「全てがそうなんだ」
 このオズの国ではというのです。
「人間と精霊、動物の区別はそんなにないんだ」
「お伽の国だからですね」
「そうなんだよ」
「そうですか」
「うん、ただ僕もね」 
 カエルマンはふと思い出したみたいんい言いました、その言ったことは一体何についてかといいますと。
「ボタン=ブライトのことはね」
「人間でもですね」
「何故ああして神出鬼没なのか」
 寝ている間に移動しているそのことはです。
「わからないよ」
「あれはどうしてなのか」
 教授も首を傾げさせて言います。
「わからないんだ」
「調べている最中ですか」
「そうなんだ」
 教授達にしてもというのです。
「学問的に面白いと思ってね」
「今調べていますか」
「そう、けれどね」
「まだよくわかっていないですか」
「そうなんだ」
 実のところ、というのです。
「これがね」
「そうですか」
「しかしね」
「それをですね」
「何時かは彼のことも全て解明してみせるよ」
「学問的に研究をして」
「そうするよ」
 こうお話するのでした、そうしたお話をしつつ一行は今回入った山を調べていきました。見ればとても果物が豊かな山で。
 柿や山葡萄、野苺にアケビ等を採ってです。ドロシーは皆に言いました。
「今日はね」
「はい、山の果物でですね」
「ティータイムですね」
「そうするんですね」
「そうしましょう」
 こう笑顔で言うのでした。
「お茶を出してね」
「柿がいいね」
 トトはこの果物を見て尻尾を横にパタパタとさせています。
「凄く美味しそうだよ」
「そうよね」
 恵梨香も笑顔で柿を見ています。
「この柿を食べながらね」
「今日はティータイムだね」
「今からね」
 まさにと言うドロシーでした。
「楽しみましょう」
「さて、それじゃあ皆で」
 トトはこう言ったところで、でした。ふとです、
 お鼻をくんくんとさせてです、こう言ったのでした。
「あれっ、人間の匂いがするよ」
「私達とは別の?」
「うん、小さな男の子の匂いで」
 くんくんとさせたまま言うのでした。
「これはボタンかな」
「ということは」 
 カエルマンはトトのその言葉を聞いてこう言いました。
「彼はまただね」
「うん、そうみたいだね」
「寝ている間に移動して」
「ここに来ているんだね」
「では近くを探そう」
 カエルマンはあらたまった態度で提案しました。
「これからね」
「そうしようね」
「じゃああの子を見付けて起こして」
 そしてと言ったのはドロシーでした。
「ティータイムにしましょう」
「それじゃあね」
「こっちだよ」
 トトは右斜め前を見てドロシー達にお話しました。
「匂いがするのは」
「あっちね」
「うん、そうだよ」
 日本の木々により成っている森、山のそれを見てドロシーに言います。
「あそこからだよ」
「じゃああそこを皆で探して」
「そうしてね」
「ボタンを見付けましょう」
 こうしてです、皆でボタンを探しますと。
 恵梨香達五人がある大きな木の下で寝ているボタンを見付けました、そのうえでドロシーに言いました。
「こっちです」
「こっちにいました」
「仰向けにぐっすり寝ています」
「木の根を枕にして」
「そうしています」
「あら、そうね」
 ドロシーも来てボタンを見て言いました。
「いるわね」
「相変わらず何処で会えるかわからない子だね」
 トトはボタンのすぐ傍に来てその寝顔を見ながら言いました。
「神出鬼没だよ」
「しかも当人は寝ているからね」
「このことも凄いね」
 教授もカエルマンも言います。
「エメラルドの都の宮殿に急にいたりね」
「こうして旅先で出会ったり」
「本当に何時出会うかわからない」
「この子も不思議な子だよ」
「この子は人間だよね」 
 トトは二人にこのことを尋ねました。
「そうだよね」
「そうだよ、けれどね」
「こうしてだね」
「寝ている間に何処かに移動してしまうんだ」
「本人も気付かないうちに」
「そうした不思議な子なんだ」
 教授はこうトトにお話しました。
「だから私達も調べているんだよ」
「その移動の謎を検証してだね」
「理由を明らかにする為にね」
「何時か絶対にだね」
「わかるよ」
 トトに自信を以てお話しました、そしてです。
 ドロシーがです、寝ているボタンに声をかけました。
「ボタン、起きて」
「その声はドロシー?」
「ええ、私よ」
 自分の声で起きだしたボタンに笑顔で答えました。
「暫く振りね」
「ううんと、ここは」
 自分の目を手でこすりながら言うボタンでした。
「何処かな」
「マンチキンの山の中を」
「ああ、そうなんだ」
「貴方はまた寝ている間に移動したみたいね」
「ウィンキーのウーガブーの国にいたのに」
「あそこでアンと遊んでいたの?」
「そうだったんだ」
 寝る前はというのです。
「そうだったのに。起きたら」
「ここにいて」
「そうなんだ」
「じゃあ聞いてもね」
「わかんなーーーい、だよ」
 実際にそうなるというのです。
「アンにはお話しておかないといけないけれど」
「今私が連絡するわね」
 自分の携帯を取り出してです、ドロシーは実際にアンに連絡しました。するとアンもわかったわと返事をしてくれました。
 このことを終えてからです、また言ったドロシーでした。
「ここで会ったのも何かの縁だから」
「そうだよね」
「私達今からティータイムだけれど」
「三時なんだ」
「そうよ」 
 まさにその時間だというのです。
「今はね」
「そうだったんだ、お昼寝してたら」
「ここにいたの」
「そうなんだ」
「いつも通りね、けれどね」
「うん、会ったからだね」
「一緒に楽しみましょう」
 またボタンに言いました。
「お茶に果物をね」
「果物なんだ」
「そう、この森の柿やアケビを採ったから」
「それを食べてだね」
「お茶を飲みましょう」
「それじゃあね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 ボタンも入ってティータイムとなりました、ボタンは柿を食べてからこうしたことを言いました。
「柿って美味しいよね」
「そうよね」
 恵梨香も柿を食べつつボタンに応えます。
「甘くて少し渋みもあって」
「食べやすい果物だね」
「私大好きなのよ」
「そういえばよく食べてるよね。恵梨香って」
 トトは今は野苺を食べていてそのうえで恵梨香に言います。
「柿を」
「ええ、好きだから」
「それでだね」
「果物は全部好きだけれど」
「柿はだね」
「特に好きな方ね」
 こうお話するのでした。
「桃や枇杷も好きだけれど」
「柿は特にそうで」
「オズの国は何時でも美味しい柿を食べられるから」
「いつも食べているんだ」
「オズの国ではね」
 この国に来ている時はというのです。
「そうしているんだ」
「そして今もだね」
「ええ、もう一個食べるわ」
 一個食べ終えてから言うのでした。
「その柿をね」
「そうするんだね」
「アケビも美味しいわ」
 ドロシーはこの果物を食べてにこりとしています。
「本当に」
「アケビもいいですよね」
「中のゼリーに似たものがね」
「凄く美味しくて」
「私も機会があったら食べているの」
「そうされているんですね」
「今みたいにね」
 こう言いながら皆に一個ずつそのアケビを前に差し出してそうしてまた言ったのでした。
「だから皆でね」
「アケビもですね」
「食べましょう、他の果物も」
「そうして食べていると」
 カエルマンは山葡萄を食べてにこにことしています。
「幸せな気持ちになれるね」
「とてもよね」
「うん、楽しくてね」
「だからこうして食べて」
「そしてだね」
「また冒険をしよう」
「わかったよ」
 こうお話をしてでした、皆は日本山の果物とお茶でティータイムを楽しんでからまた冒険をしてです。
 夜は呼び寄せた飛行船に戻って休みますが。
 その飛行船の中に入ってです、ボタンはこんなことを言いました。
「僕この飛行船で休むのははじめてだよ」
「そういえばそうだね」
 トトがそのボタンに応えました。
「君が僕達と冒険したことは多いけれど」
「うん、それでもね」
「飛行船に乗るのは」
 そうして休むことはというのです。
「はじめてだよ」
「そうだね」
「うん、だから楽しみだよ」
「晩御飯を食べて」
 ドロシーはそこからと言ってきました。
「そしてね」
「それからお風呂?」
「皆で順番に入って」
 そうしてというのです。
「寝るのよ」
「そうするんだね」
「そう、そして次の日の朝もね」
「冒険だね」
「そうするのよ」
「飛行船で寝泊まりする以外はいつもの冒険と同じなんだ」
「そうよ」
 ドロシーはボタンに微笑んで答えました。
「実際にね」
「そのこともわかったよ」
「それでね」
 さらにお話するドロシーでした。
「ティータイムの時にお話したけれど」
「いい山を見付けたら」
「鳥さん達に紹介するわ」
「移住先を待っている鳥さん達にだね」
「そうしてもらうわ」
「早く見つかったらいいね」
「いい山がね」
 鳥さん達がいるその山をというのです。
「私もそう思うわ」
「そうだよね」
「あとね」
 さらにお話するドロシーでした。
「今日見た山はね」
「僕が寝ていたあの山だね」
「いい感じかも」
 その中を見て回った感想はです。
「先に住んでいる人達もいなくて果物もお水も多くて」
「うん、いい感じだったね」
「確かにね」
 ムシノスケ教授とカエルマンもドロシーのその言葉に頷きました。
「あの山はね」
「ざっと見た感じだと」
「明日もう一度見て回りましょう」 
 ドロシーはこうも言ったのでした。
「それでどんな山か完全に確かめて」
「そしてだね」
「決めましょう」 
 ドロシーはトトにも答えました。
「それから」
「うん、そうしようね」
「ええ、しかし日本の山というけれど」
 今回っている山々はです、日本の自然が出ている山です。
「これまた独特ね」
「何かですね」
 日本人の恵梨香がドロシーに応えました。
「生きものが小さくて」
「そう、他の国の同じ種類の生きものよりもね」
 熊も狐も狼達もです。
「妖怪さん達も」
「独特ですね」
「不思議な感じがするわ」
「ユーモラスかな」
 ジョージは日本の妖怪達についてこう言いました。
「日本の妖怪は」
「怖さはあまりなくて」
 神宝の見たところです。
「愛嬌があるんだよね」
「そうそう、親しみやすくて」
 カルロスはにこにことしてお話しました。
「お話しても楽しいね」
「怖くて不気味な妖怪は」
 ナターシャの見たところではです。
「あまりいない感じで」
「鬼でもね」
 トトは日本でよく怖いと言われる妖怪の代表格である彼等のことをお話しました。山でこの人達にも会っているので。
「そんなに怖くなかったよ」
「オズの国にいるからってこともあると思うけれど」
 恵梨香が言うにはです。
「確かにそんなに怖くないかも」
「そうだよね」
「他の妖怪さん達も」
「だから楽しくお話出来たね」
「ええ、私もね」
「あの独特の愛嬌がまたよくて」
「そうよね」
 恵梨香は
「僕あの人達とお話して楽しかったよ」
「私も。気さくな人達で」
「またお話したいね」
「本当にね」
「そうね、動物の人達も楽しかったし」 
 ドロシーは彼等のこともお話しました。
「きっと鳥さん達ともね」
「仲良く出来るよね」
「そう思うわ、絶対にね」
「ただ。住む場所がね」
「同じ山だとね」
「狭いから」
「それが問題なのよ」
 そうなるというのです、ドロシーはトトとお話して今回の解決するべき点が何処なのかも確認しました。
「やっぱりね」
「それで僕達も山を探してるけれど」
「今日巡った山はね」
「いい感じね」
「それで明日も巡って」
「確かめようね」
 トトはドロシーに笑顔でお話しました、そしてです。
 テーブル掛けを出してそこから晩御飯を出しますが。
「今日はお寿司にしましょう」
「あっ、お寿司ですか」
 恵梨香はお寿司と聞いてお顔をぱっと明るくさせました。
「いいですね」
「恵梨香お寿司好きよね」
「はい、大好きです」
 何といってもという返事でした。
「おうどんやおそば、お鍋も好きですが」
「お寿司もね」
「大好きです」
「皆も好きだし」
 恵梨香だけでなくです。
「だからね」
「皆でお寿司をですね」
「食べましょう」
 こうお話をしてでした、そのうえで。
 ドロシーは早速お寿司を出して皆で食べはじめました、握り寿司もあれば巻き寿司もあるのですが。
 納豆巻を食べてです、トトはこんなことを言いました。
「納豆って凄いよね」
「匂いがね」
「うん、糸もひいてるし」
「そうよね、けれど食べるとね」
「これが案外ね」
「美味しいでしょ」
「そう、意外とあっさりした感じでね」
 食べてみると、というのです。
「いい感じだよ」
「ええ、私も好きよ」 
 恵梨香は今は卵焼きの握り寿司を食べていますがそのうえでお話しました。
「納豆巻はね。御飯にかけて食べるのもね」
「そっちもだね」
「結構好きよ」
「そうなんだね」
「身体にもいいし」
「お豆だからね」
 何故身体にいいか、トトはこのこともお話しました。
「だからだね」
「そうよ、本当に納豆はね」
「匂いとかは凄くても」
「味とかはね」
 そうしたものはというのです。
「いいのよ」
「そうだよね」
「噂には聞いてたけれど」
「最初見た時はびっくりしたわ」
「これが納豆って」
「もうね」
 恵梨香以外の四人はそうでした。
「本当にね」
「何だって思ったよ」
「実際に匂いは凄くて糸を引いていて」
「食べられるのかって」
「けれど食べるとね」
 これがと言うトトでした。
「美味しいから凄いね」
「そうなのよね、日本でも関西はね」
 神戸っ娘としてです、恵梨香は言いました。
「最近まで殆ど食べなかったのよ」
「えっ、そうなんだ」
「実はね」
「それは初耳だね」
「けれどね」
「最近は食べるんだ」
「関西でもね」
 そうなったというのです。
「美味しくね」
「ふむ、この外見ではね」
「どうしても好き嫌いがあるだろうね」
 教授とカエルマンはトロや平目を食べています。
「食わず嫌いというかね」
「そうしたものは出るね」
「けれど食わず嫌いはよくない」
「オズの国の法律の一つだよ」」
「食べものの好き嫌いはどうしてもあるけれど」
「まずは食べてみてだよ」
 そのうえで見極めるべきだというのです。
「だからね」
「納豆もオズの国でもだよ」
 食べるべきだというのです。
「僕達も楽しく食べたしね」
「さっきね」
「いや、美味しかったよ」
「後でまた食べるよ」
「そうだね、ただ納豆って日本の食べものだよね」
 ボタンは今は河童巻きを食べています、どのお寿司も本格的な日本のお寿司です。そしてとても美味しいです。
「オズの国に入ってきているってことは」
「納豆がアメリカでもだね」 
 トトがボタンに応えました。
「食べられている」
「そういうことだよね」
「だから僕達もこうして食べているんだよ」
「他のお寿司と同じで」
「そうなるよ」
「そうだね、何かアメリカって凄いね」
 ボタンは河童巻きの中野胡瓜を噛んでそのみずみずしさと硬さを楽しみながら言うのでした。
「世界中から人が集まって」
「食べものもね」
「こうして集まるんだから」
「世界中のお料理がね」
「それが凄いよ」
「私がカンサスにいた時よりも」
 ドロシーも言います。
「多彩になっているわ」
「お料理とかが」
「ええ、凄くね」 
 こうボタンに言うのでした。
「文化もね」
「それだけアメリカが多彩になってるのかな」
「そうだと思うわ」
「アメリカはアメリカじゃなくて」
「その中に色々なアメリカがあってね」
 そしてというのです。
「オズの国にも出ているのよ」
「そうなんだね」
「だからオズの国もね」
「こうして多彩になって」
「お寿司も食べられて」
「納豆巻もだね」
「食べられるのよ、ただ私もね」
 ここで少し苦笑いになって言ったドロシーでした。
「納豆には最初驚いたわ」
「やっぱりそうですか」
「食べられるのかしらって思ったわ」
 実際にというのです。
「本当にね」
「ドロシーさんもですか」
「オズマもベッツイもトロットもね」
 彼女達もとです、ドロシーは恵梨香にお話します。
「食べられるのかって思ったわ。けれど」
「食べてみたら」
「美味しくて」
「今はですね」
「こうして食べてるわ」
 納豆巻を食べつつの言葉です。
「朝に御飯の上にかけたり」
「それも美味しいですよね」
「日本じゃよくそうして食べるのよね」
「はい、私も結構そうして食べます」
 朝はというのです。
「美味しく」
「食べると元気が出るのよね」
「納豆自体が」
「そうですよね」
「お醤油やからし、葱も入れて」
「刻み葱ですね」
「そうして食べてるけれど」
 これがというのです。
「素敵な和食の一つね」
「ううん、それじゃあね」
 ここでこう言ったボタンでした。
「卵焼きか焼き魚、お味噌汁とお漬けものと海苔と」
「納豆ね」
「この朝御飯どうかな」
「凄くいいのよ」
 恵梨香はボタンのその言葉に笑顔で応えました。
「実際にね」
「じゃあ明日の朝はその朝御飯にする?」
「考えてみるわ」 
 テーブル掛けから御飯を出すドロシーの言葉です。
「そのこともね」
「そうなんだ」
「ええ、明日の朝は明日の朝で」
「また考えるんだね」
「それで決めましょう」
 納豆を出すかどうかとです、こうしたお話をしてでした。
 皆はお寿司を食べてです、それからお風呂に入ってちゃんと歯を磨いて寝ました。朝起きるとボタンは一緒にいました。
 そしてです、朝御飯はといいますと。
「やっぱりだね」
「和食にしてね」
 ドロシーはトトに笑顔で答えました、見れば白い御飯に卵焼き、お野菜のお漬けものにお味噌汁、海苔にです。
 納豆もあります、恵梨香はその納豆を見つつ言うのでした。
「これもね」
「出したんだね」
「そうなの」
「じゃあ今朝も」
「納豆を食べてね」
 そしてというのです。
「元気にね」
「冒険だね」
「それをしましょう」
 こう言うのでした。
「今日もね」
「そうだね、またあの山に入るけれど」
「いい感じでしょ」
「そうだね、今日も見て回って」
「それで若しもね」
「誰かいたら」
「別の山にするけれど」
「誰もいなかったら」
「あの山にしましょう」
 こう言うのでした。
「是非ね」
「それじゃあね、じゃあ今から」
「納豆を食べて」
「元気出していきましょう」
 笑顔で言うドロシーでした、そしてです。
 皆で納豆も入っている日本の朝御飯を食べるのでした、トトはこの時も納豆を食べつつ言うのでした。
「御飯にも合うしこの味なら」
「納豆の味なら?」
「おうどんやお蕎麦にも合うかもね」
「実際に合うのよ」 
 それがとです、恵梨香はトトに答えました。
「山かけうどんとかあるわね」
「そうだね」
「ああした感じでね」
「おうどんやお蕎麦にも合うんだ」
「そうなの」
 こうトトにお話します、その納豆をかけた朝御飯を食べながら。
「これがね」
「ううん、かなり美味しそうだね」
「そうでしょ」
「僕そっちも食べたくなったよ」
「機会があればね」
 そうしたおうどんやお蕎麦もというのです。
「食べてね」
「そうさせてもらうね、あとね」
 こうも言ったトトでした。
「納豆と同じお豆からお豆腐やお味噌やお醤油やきな粉が出来るんだよね」
「そうなの」
「それも凄いね」
 こう言うのでした。
「お豆から何でも出来るんだね」
「日本ではね」
「それもびっくりだよ」
「大豆って凄いのよ」
 恵梨香は今度はお味噌汁を飲んでいます、そのお味噌が入った。
「お醤油だってそうで」
「何でも造られるんだね」
「そうなの」
「お豆腐もだから」
「お豆腐美味しいでしょ」
「そっちもね」
 笑顔で答えたトトでした。
「いいね」
「そちらも出来るから」
「納豆と同じ材料からお豆腐やお味噌やお醤油が出来て」
「きな粉もよ」
「デザートにもなるなるのがね」
 本当にというのです。
「凄いよ」
「私もそう思うわ」
「じゃあそのお豆をね」
「楽しみましょう」
 笑顔でお話して食べた朝食も終わってでした。皆は飛行船から出て山に降りましたがここで、です。
 ドロシーは朝もやに包まれた朝もやの中でこう言いました。
「ずっとここにいたい」
「そう思うよね」
「この時にこの場所にね」
「何かね」
 トトもドロシーと同じ世界の中にいて言うのでした。
「自然の神様の世界の中にいる」
「そんな感じがするわ」
「今この時のこの場所は」
「そうしたものね」
「本当に神様がいるのかな」
 こうも言ったトトでした。
「ここには」
「そうかも知れないわね」
 ドロシーはトトのその言葉を否定しませんでした。
「見ていたら」
「何か不思議な感じがするね」
「この世にないみたいな」
「それでいてこの世にある」
「そんな感じね」
「幻だけれど幻じゃない」
「そうよね」
「そう思うと余計に不思議で」
 それでというのです。
「いたくなるね」
「ずっとね」
「全くだね、ただ」
「ただ?」
「こうして見ているだけじゃね」
「駄目だよね」
「そう、今日も見て回らないといけないから」
 その幻想的な山の中をです。
「だからね」
「出発だね」
「そうしましょう」
 ずっと見ていたくともです、そうしないといけないというのです。こうしたことをお話してでした。
 皆でさらに見て回りました、朝の山を。
 見て回ると誰もいません、それで教授は言いました。
「どうもね」
「この山はよね」
「うん、誰もいないね」 
 そうだというのです。
「鳥君達にとっては幸いなことに」
「そうね、今日一日見て回って」
「そしてだね」
「確かめて」
「鳥君達のところに戻って」
「入ってもらいましょう」
 その山にというのです。
「そうしましょう」
「まずはじっくりと」
「一日見て回って」
「決めましょう」
「それからね」
 こうお話するのでした、そしてです。
 トトはお鼻をくんくんとさせてこうも言いました。
「今のところはね」
「誰の匂いもしないの」
「うん」
 そうだとです、ドロシーに答えました。
「しないよ」
「そうなのね」
「本当に誰もいないのかな」
「オズの国は広いから誰もいない場所も多くて」
「この山もかな」
「その可能性が高いわね」
 ドロシーはトトのお話を聞いて真剣にこう考えだしました。
「やっぱり」
「そうだよね」
「ええ、まあ今日一日見て回るけれど」
「本当に誰もいなかったらね」
「鳥さん達に紹介しましょう」
「その時にね」
 こうしたことをお話してでした、皆で回っていきますがカエルマンは森の中を見回して感動した様になって言いました。
「こうして森の中を歩いていると」
「どうしたの?」
「心地よくなってくるね」
 こうボタンに答えたのでした。
「自然とね」
「そうなの」
「森林浴というのかな」
「それでなんだ」
「うん、気持ちよくなってくるよ」
 こうボタンにお話します。
「森の中にいると」
「そういえば僕もかな」
 ボタンはカエルマンのその言葉に頷きました。
「森の中にいるといつもね」
「気持ちよくなってくるね」
「自然とね。これが森林浴なんだね」
「森の中にあるいいものを身体の中に受けてね」
「それでなんだ」
「気持ちよくなってくるんだ」
 それでというのです。
「身体の調子がよくなってね」
「成程、そうなんだ」
「じゃあこの森林浴を楽しみながら」
「この森を見て回るんだね」
「そうしていこう」
 こうお話してでした、一行は山の中を見回っていきます。山の中の冒険はとても気持ちよく進んでいきました。



ボタン登場。
美姫 「また寝ながら移動したみたいね」
だな。森林浴か。確かに気持ち良さそうだな。
美姫 「ゆったりとした冒険も良いわね」
うんうん。次回も待っています。
美姫 「待っていますね」



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