『オズのトロット』




               第二幕  いざ紫の国へ

 カルロス達がオズの国に来たその日の夜にです、ムシノスケ教授とモジャボロがエメラルドの都に到着しました。二人は青いマンチキンの色に塗られた古めかしい二十世紀初頭の造りのオープンカーに乗って来ました。
 その車で宮殿の前に来てです、出迎えた皆に礼儀正しく挨拶をしました。
「お招き頂き感謝するよ」
「ギリキンへの旅にね」
「では我々もまたね」
「イッソス王国まで楽しんで行かせてもらうよ」
「ええ、宜しくね」
 トロットは笑顔で二人に応えました。
「明日の朝に出発しましょう」
「もう準備は出来ているからね」 
 キャプテンは二人に笑顔で応えました。
「朝になったら宮殿を出よう」
「それでは、しかも今回は君達が一緒か」
 教授はカルロス達を見て彼等に笑顔を向けました。
「これはまた余計に楽しみだよ」
「僕達も一緒ならですか」
「勿論だよ、旅は一緒に行く友達が多い方がいいからね」
 その方が楽しいというのです。
「だからだよ」
「楽しみですか」
「うん、実は君達も一緒だと聞いてね」
 教授はカルロスににこにことしてお話しました。
「これは歩いて都に行くよりもね」
「急いで行く方がいいとなったんだ」
 モジャボロもカルロスににこにこと笑ってお話します、いつもの気さくで明るい笑顔で以てそうしています。
「だから車で来たんだ」
「そう、私の車でね」
 教授もその目をにこやかにさせています。
「急いで来たんだよ」
「尚且つ安全運転でね」
 それをしたというのです。
「ここまで来たよ」
「ええ、車を運転しても安全運転じゃないとね」
 オズマもこう言います。
「オズの国の法律でしょ」
「そう、安全運転もまたね」
「オズの国の法律の一つだからね」 
 教授もモジャボロもこのことをわかっています。
「だからね」
「僕達も安全第一で来たよ」
「さもないとね」
 それこそというのです。
「交通事故なんて起こしたら」
「そう、大変だから」
「ここまで安全運転で来たからね」
「このことは安心して欲しい」
「法律は守らないとね」
「ええ、じゃあ車はここに置いておいて」
 宮殿にというのです。
「イッソス王国には歩いて行くのよね」
「そうなるわ」
 その通りとです、トロットがオズマに答えました。
「冒険でもあるから」
「そうね、じゃあ道中何かあった時はね」
「オズマが鏡でいつも見ていてくれているから」
 宮殿にあるオズの国の中の見たい人や見たい場所を何時でも見られる鏡です、オズマはいつもこの鏡で冒険に出ている人の無事を確かめているのです。
「だからよね」
「すぐに助けるから」
「いつも悪いわね」
「これも国家元首の務めよ」
 オズの国のというのです。
「だから当然のことよ」
「そう言ってくれるのね」
「ええ、じゃあね」
「明日の朝にね」
「皆と一緒に出発するわ」
 こうお話してそうしてでした、皆はこの日は楽しく晩御飯を食べてお風呂にも入ってぐっすりと寝ました。それで朝起きてです。
 朝御飯を食べて出発となりました、この時にでした。教授もモジャボロも奇麗に身だしなみを整えていました。それはキャプテンもトロットも同じで。
 その身なりを見てです、カルロス達は驚いてトロットに尋ねました。
「あの、皆さんどうしてですか?」
「着飾っておられるんですか?」
「これから冒険なのに」
「汚れることもありますよね」
「旅の中で」
「これは使節団として行くから」
 だからだと答えたトロットでした。
「正装をしてみたの」
「勿論旅の時は普通の服を着るよ」
 キャプテンも五人に答えます。
「言うならば身だしなみのチェックだよ」
「あちらの国にお邪魔した時のね」
「この服は収めて小さく折り畳んでなおしておくから」
「安心してね、そしてね」
 トロットは五人に自分から言ってきました。
「貴方達もよ」
「僕達の正装を用意してですね」
「持って行ってもらうわ」
 そうなるというのです。
「今から正装を着てもらうから」
「そうなんですか」
「女の子二人はドレスで」
 つまりナターシャと恵梨香はというのです。
「男の子三人はタキシードよ」
「僕とジョージ、神宝はですね」
「そうしてもらうわ」
 こうお話するのでした。
「是非ね」
「それじゃあ」
「今からね」
 こうしてです、五人はすぐに正装を着せてもらいました。それは一体どういったものかといいますと。
 ナターシャは黒の、恵梨香はピンクのそれぞれ奇麗な絹のドレスでした。ナターシャはそのドレスを見て笑顔で言いました。
「凄く奇麗なドレスね」
「ええ、私のドレスもね」
 恵梨香も自分のピンク色のドレスを見て言います。
「凄く奇麗ね」
「このドレスを持って行ってイッソス王国で着るのね」
「うわ、こんなタキシード着るなんて」
 今度はジョージが言いました、自分の赤いタキシードを着てです。
「いいね」
「うん、それぞれの色だしね」
 神宝は青のタキシードです。
「そこもいいね」
「ううん、何かこうした服を着る時があるなんて」 
 カルロスも自分のタキシードを見ています、見れば五人のヒールと靴もそれぞれの色でしかもピカピカに磨かれています。
「思わなかったよ」
「貴方達も使節の一員だからよ」
 それでと答えたトロットでした。
「だからその時は着てもらうから」
「服は奇麗に折り畳んで小さくしてトロットの鞄の中に入れておくから」
 キャプテンはそうして運ぶとお話しました。
「君達は冒険の間は普段のままでいいよ」
「わかりました」
「じゃあすぐに着替えてですね」
「服はトロットさんに預けて」
「そうしてからですね」
「出発ですね」
「そうなるよ、さて我々も着替えて」
 教授がここで言いました。
「出発しよう」
「いや、暫く振りの冒険だね」
 モジャボロもにこにことしています。
「今回はどんな冒険になるか楽しみだよ」
「じゃあ今からね」
 皆でと言うトロットでした、そしてです。
 皆は普段の冒険に行く服に着替えてでした、そうしてからオズマとジュリア=ジャムの見送りを受けて出発しました、この時ジュリアは笑顔でこうしたことも言いました。
「安全にはくれぐれも」
「ええ、気をつけてね」
「冒険をしてね」
「それはね、危険があったらね」
「よくないから」
 だからというのです。
「そこは気をつけて」
「そうしてこの宮殿に戻って来るわ」
「冒険は宮殿に戻るまでだから」
 それまでというのです。
「だからね」
「ええ、気をつけていくわ」
「そうしてね」
 ジュリアとこうしたお話もしてでした、皆は出発しました。まずはエメラルドの都を北に進んでいきました。
 そして草原が緑から紫になった瞬間にです、カルロスは奇麗に分かれている二色を黄色い煉瓦の道から見て思いました。
「オズの国だね」
「うん、こうして色が分かれてるのを見たらね」
「オズの国だって思うよね」
「私達がオズの国にいるって」
「このことを実感するわ」
「そうだよね」
 四人にも答えたカルロスでした。
「それぞれの色がある国だからね」
「そうね、私もオズの国に来たてだった時はね」
 トロットも五人に言ってきました。
「その国それぞれの色の違いに驚いたわ」
「トロットさんもですか」
「ええ、本当に不思議の国なのねって」
「そうですよね、紫の草原があって」
「他にも青、赤、黄色とあって」
 それぞれマンチキン、カドリング、ウィンキーの色です。
「面白いしね」
「それでトロットさんもその色を見て」
「これは外の世界とは違う」
「お伽の国だって実感したんですね」
「そうだったわ、不思議な人や生きものや場所も一杯あるし」
「魔法もあって」
「素敵なお伽の国よね」
 にこりとして言うトロットでした。
「本当に」
「はい、このオズの国は」
「そのこと私も実感したし今もね」
「実感されているんですね」
「そうよ、じゃあギリキンの国に入ったから」
「この国を北に北に進んでね」
 そうしてというのです。
「色々な国を巡ってね」
「イッソス王国にですね」
「行きましょう」
 目的地であるこの国にというのです、紫の草原を見ながらお話をしてそうしてでした。皆は黄色い煉瓦の道を進んでいきました。
 そしてお昼になると食事となりましたがこのお昼はステーキにサラダ、そしてシチューにパンというメニューでした。デザートは無花果や桃といったフルーツで林檎ジュースもあります。そういったものを食べながらです。
 トロットは皆にです、周りの景色を見つつ言いました。
「こうしてお外でステーキを食べるのもいいわよね」
「はい、開放感もあって」
 カルロスはそのステーキを食べつつトロットに応えました、分厚くて程良いレアの焼き加減のステーキでその上におソースがかかっています。
「いいですよね」
「これがいいのよ」
「この感触がですか」
「ええ、私としてもね」
「お好きですか」
「ええ、冒険の醍醐味の一つよ」
 そうだというのです。
「これは」
「外で何かを食べるだけでも」
 キャプテンも言います。
「いいね」
「冒険の醍醐味の一つですね」
「そう思うよ、ステーキにしてもそうだし」
「他のお料理もですか」
「シェラスコもね」
 カルロスの国のこのお料理もというのです。
「いいね」
「あれもですか」
「お握り、それに点心もいいね」
 日本や中国もというのです。
「外で食べるには」
「そうですよね」
「お外で食べるにいいものは結構あるよ」
「あと黒パンもいいね」
 モジャボロはパンにジャムをたっぷりと塗って食べてからこのパンをお話に出しました。白いパンでなくです。
「丸いね」
「うん、その上にお塩を乗せてだね」
 教授もパンを食べつつ言います。柔らかいそのパンを。
「黒くて丸いパンを食べる」
「お外でね」
「ロシアのパンをね」
 その黒くて丸いパンはというのです。
「それはいいね」
「あちらもね」
「パンは白いものって思っていました」
 恵梨香はパンについてこう言いました。
「最近まで」
「それが違うから」
 その恵梨香にナターシャが言います。
「黒いパンもあるの」
「今は確かに白いパンが多いけれどね」
 ジョージもパンについて言いました。
「そちらのパンもあるんだよね」
「大昔は黒いパンばかりだったそうだね」
 神宝は歴史からお話します。
「白いパンじゃなくてね」
「そうよね、私も白いパンばかり食べてるけれど」
 トロットにしてもです。
「アメリカにいた時から」
「うん、僕もだよ」
 それはモジャボロもでした。
「白いパンばかり食べているよ」
「まあわし等はそうだな」
 キャプテンもその口調はしみじみとしています。
「ここにいる皆は」
「昔っていっても相当昔ですよね」
 カルロスはその昔について聞きました。
「僕達が生まれた前よりも」
「大体十二世紀とかね」
「本当に昔ですね」
「その頃からね」
 まさにというのです。
「大体パンが白くなってね」
「それまではですか」
「パンは黒いもんどあったんだ」
「それが変わったんですね」
「そうだよ、最初白いパンはかなり高価だったんだ」
「ご馳走だったんですね」
「そうだったんだよ」
 その白いパンがというのです。
「その頃はね」
「今じゃ普通に皆食べてるけれど」
 トロットはパンをスープに付けてそうしてお口に入れてからそのうえでキャプテンに応えて言いました。
「それが違ったのね」
「そうなんだ」
「十二世紀までは」
「そう、とはいっても今ではね」
「こうしてね皆食べているね」
「そうね、あとこのパンは柔らかいけれど」
 トロットは今度はバターを付けてパンを食べています。
「フランスパンは固くて」
「昔の船乗りのパンなんてな」
「そっちも固かったの」
「わしは食べたことがないが」
 船乗りだったけれどです。
「昔の船のパンといえば」
「フランスパンよりもなの」
「固かったらしいな」
「どれ位固かったの?」
「石位と聞いているよ」
「石って」
「それで食べるに苦労したらしい」
「そりゃそんなパンだとね」
 それこそと言うトロットでした。
「苦労するわよね、食べるにしても」
「ビスケットなんてものじゃなくてな」
「しかも美味しくなかったわね」
 このことに気付いたトロットでした。
「そうしたパンは」
「味も酷かったらしい」
「やっぱり」
「とにかく昔の船乗りのパンはまずかった」
「今じゃ信じられないわね」
「全くだ、わしも海に出たら」
 今も冒険によっては海に出る時もあってそれで船に乗ったりもします、こうした時はキャプテンの腕の見せどころでもあります。
「美味いものも楽しんでいる」
「そうよね、パンだけじゃなくて」
「いい時代だ、それだけでも」
「そうよね、船の上でも美味しいものを食べたいわよね」
「いつもな」
 船の上でもというのです。
「だから今は本当にいい」
「美味しいパンを食べられて」
「他の美味いものもな、このステーキにしても」
 にこにことしてフォークで切ったそのステーキをお口の中に入れつつです、キャプテンはにこにことして言いました。
「食えるからな」
「今はね」
「船の中でも勿論今も」
「こうして食べられるから」
「本当にいい時代だよ」
「私もそう思うわ。あと最近ギリキンにはね」
 今度はこの国のお話をするトロットでした。
「恐竜も出るから」
「えっ、恐竜ですか」
「恐竜も出るんですか」
「オズの国の他の生きものだけじゃなくて」
「恐竜まで出るんですね」
「そうなんですね」
「そうなの、皆大人しいから」
 こう五人にお話するのでした。
「襲われたりしないわ」
「流石お伽の国ですね」
 カルロスは目をきらきらとさせてトロットに言いました。
「恐竜なんているなんて」
「外の世界じゃいるかいないかね」
「よく言われていますけれど」
「まだいるんじゃないかってね」
「ですが確かなことはわかっていないです」
 このことについては残念そうに言ったカルロスでした。
「果たして」
「そうよね、けれどオズの国ではね」
「恐竜もですね」
「いるから」
 それも確かにというのです。
「見られるわよ」
「そのことも凄いですね」
「オズの国ならではよね」
「お伽の国ですね」
「お伽の国だから」
 それ故にというのです。
「恐竜もいるのよ」
「そしてそれが普通なんですね」
「オズの国じゃね」
 そうだというのです。
「だから恐竜に会ったら」
「その時はですね」
「皆で観て楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
 笑顔で応えたカルロスでした。
「まさか恐竜まで見られるなんて」
「今から楽しみだね」
「そうだよね」
「どんな恐竜がいるのかしら」
「一体ね」
 四人もこう言います。
「早く会いたいわ」
「恐竜のいる場所に行きたいわ」
「それでこの目でね」
「恐竜を見ようね」
「うん、何か今からね」 
 せっかちなカルロスは今から気が逸っています。
「そこに行きたくなったよ」
「安心して、ここから近いから」
 恐竜達がいる場所はというのです。
「楽しみにしていてね」
「わかりました」
「じゃあ楽しみにしています」
「恐竜達に会うことに」
「そうしていますね」
「今は」
「是非ね、ギリキンも色々ば場所があって」
 そしてというのです。
「色々な生きものがいるからね」
「そうですよね」
「前に行った時もそうでしたし」
「ネイティブの人達もいて」
「他にもですよね」
「色々な国があったりしますね」
「ええ、それにギリキンはね」
 この国についてさらにお話したトロットでした。
「オズマがいた国でしょ」
「オズマ姫が男の子だった時ですね」
「そう、あの時はね」
「ギリキンの国におられて」
「そうしてでしたね」
「この国にいて」
 そしてというのです。
「ずっと暮らしていたのよ」
「そうでしたね」
「このことでも有名な国なのよ」
 こうカルロスにお話をします。
「このギリキンはね」
「そうでしたね、それでオズマ姫が暮らしていたお家もですね」
「ええ、記念館としてね」
 今はというのです。
「あるわよ」
「そうなんですね」
「そこも行ってみる?」
「はい、行かせてもらうなら」
 是非にとです、カルロスが最初に答えました。
「お願いします」
「一回見てみたかったんですよ」
 神宝はオズマの昔のお家についても目を輝かせて言いました。
「オズマ姫のお家ってどんなのだったか」
「本では読んでいますけれど」
 ナターシャもその時のことは知ってはいますが。
「この目で見てはいないですから」
「読むより見た方がわかりますからね」
 ジョージも凄く見たい感じです。
「是非拝見させて下さい」
「オズマ姫が男の子だった時のお家がまだ残っているのも凄いですし」
 遥か昔のことなので、恵梨香も言うのでした。
「そちらも楽しみです」
「何しろオズの国の国家元首のお家だった場所だからね」 
 教授もこう五人にお話します。
「だからだよ」
「それで、ですね」
「保存してですね」
「記念館にしているんですね」
「今も残して」
「そうしているんですね」
「うん、ただ小さなお家だからね」
 それでというのです。
「記念館といっても保存しているだけかな」
「そんな感じだよ」
 モジャボロもこうお話します。
「あのお家は」
「ああ、そういえばあのお家小さいですね」 
 このことをです、カルロスも思い出しました。
「本で読む限り」
「そうだよね」
「はい、一軒家で」
「宮殿と比べるとね」
 オズマが今住んでいるエメラルドの都のあの巨大で壮麗な宮殿と比べるとです。外の世界では滅多にない様な。
「比べものにならないよ」
「それで記念館といってもですね」
「ただ保存されている」
「そんな感じなんだ」
「うん、そこはわかっておいてね」
「わかりました」
 カルロスは教授とモジャボロのお話ににこりと笑って頷きました。
「本で読んでもいましたし」
「小さいとか言ってがっかりしないでね」
「そうしています」
「恐竜だと踏み潰されるかな」
 笑ってです、キャプテンはこうしたジョークを入れてきました。
「ウルトラザウルスとかだとね」
「ああ、あの物凄く大きな恐竜ですね」
「雷竜のね」
「あの恐竜はかなり大きいからね」
「大体三十メートルありますね」
「だからね」
 凄く大きいからというのです、足も。
「踏み潰してしまうよ」
「あのお家なら」
「恐竜は大きい種類は本当に大きいからね」
「二十メートル以上ある種類がいますからね」
 カルロスは恐竜図鑑で読んだ大きさをお話に出しました。
「三十メートル以上の種類も」
「それだけ大きいからね」
 だからこそというのです。
「だからオズの国でも何処でもいる訳じゃないんだ」
「いられないんですね」
「家も木も踏み潰すから」
 そうしてしまうからというのです。
「だから平原とか岩山とか広い湖とか海とかね」
「そうした場所にいるんですね」
「そうした場所にしかね」 
 そこはどうしてもというのです。
「いられないんだ」
「恐竜も大変なんですね」
「身体が巨大だとね」
 大きいどころかです。
「カバキリンとか巨大なヤマアラシもいるね」
「はい、オズの国には」
「彼等と同じだよ」
「身体が巨大だとね」
 本当にとです、トロットも言います。
「いいことも多いけれど」
「困ることもですね」
「あるのよ」
「住む場所とかで、ですね」
「困ったりするのよ」
「そういうことですね」
「ギリキンも巨人がいるしね」
 トロットは彼等のお話もしました。
「あの人達も今は改心しているけれど」
「そうなんですか」
「魔法も取り上げたし」
 かかし達を困らせたそれをです。
「だから安心していいわ」
「そうですか」
「ええ、ただあの人達のところには殆ど誰も行かないわ」
「危ないし評判の悪い人達だからですか」
「そうなの」
 その為にというのです。
「殆ど誰も行かないし私達もね」
「今回はですね」
「行かないわ」 
 その予定だというのです。
「そのまま他の国々に行くわよ」
「わかりました、じゃあ今回は」
「恐竜達を見て」
 そうしてというのです。
「次はね」
「オズマ姫のかつてのお家にですね」
「行くわよ」
 こうお話をして今は一緒にステーキを食べるのでした、そうしたことをお話してそのうえで冒険を続けます。
 夕方近くまで歩いていてそろそろテントを出して休もうとすると煉瓦の道の向こう側から一人の旅人が来ました、見れば紫のギリキンの服を着ているエルフです。髪の毛は長く茶色のロングへアで緑の切れ長の目で白いお肌に整ったお顔立ちです。
 そのエルフを見てです、カルロスはこう言いました。
「ダークエルフの人達もいて」
「そうよ、エルフの人達もね」
「オズの国にはいるんですね」
「そしてね」 
 さらにお話するトロットでした。
「他にもホビットやドワーフ、リザードマンの人達もいるから」
「オズの国には」
「色々な種族がいてね」
 そしてというのです。
「エルフの人達もいるのよ」
「エルフはこの世界では何処に住んでいるんですか?」
 恵梨香はトロットにこのことを聞きました。
「ダークエルフの人達は地下に住んでおられますが」
「森ですか?」
 ジョージはそこなのかと聞きました。
「やっぱり」
「エルフっていうと森ですし」
 神宝もそこではと考えています。
「それなら」
「そこかなってなりますけれど」
 最後にナターシャがトロットに聞きました。
「どうなんでしょうか」
「ええ、森よ」
 まさにそこだとです、恵梨香は五人に答えました。
「エルフの人達は森に村を作っているわ」
「やっぱりそうですか」
「エルフの人達は森ですね」
「森に住んでいて」
「そこに村を作ってですね
「そこで楽しく、ですね」
「住んでいるのよ」
 まさにそうだというのです。
「そこにはフェアリーもいたりしてね」
「あっ、フェアリーもいますか」 
 カルロスはこのことも気付きました。
「そうなんですか」
「そうよ、そしてね」
「フェアリーの人達も村をですか」
「作ってるわ」
 その森の中にというのです。
「それでドワーフの人達も地下に住んでいてホビットの人達は色々な場所に住んでいるの」
「ホビットの人達はそうなんですか」
「洞窟とかにね、人間みたいに平地に村を作ったりもしているし」
 そちらもというのです。
「色々なのよ」
「じゃあこのギリキンでもですね」
「会えるかもね」
「そうですか」
「あのエルフの人は旅人だけれど」
 見れば背中に紫色の荷物を入れている袋を背負っています、それで皆エルフが旅人だとわかったのです。
「何処に行くのかしらね」
「そのことが少し気になりますね」
「おや、トロット王女ではないですか」 
 そのエルフがトロットを見て言ってきました。
「また冒険ですか?」
「私のこと知ってるのね」
「はい、オズの国の住人ですから」
「私のことはなのね」
「宮殿の関係者は皆知っていますよ」
 オズの住人だからと笑顔で答えたエルフでした。
「私にしても」
「ううん、何か私自分が有名人とはね」
「思っておられないですか」
「そうなの」
 こうエルフに答えます。
「だから違和感があるわ」
「ですが本当にですよ」
「私のことはなのね」
「オズの国で知らない人はいないです」
「それで私と貴女は初対面でも」
「わかりました」
 そうだというのです。
「それで宮殿ではなく煉瓦の道におられるので、それもオズの国の名士の方々とご一緒ですから」
「それで余計になの」
「わかりました」
 冒険に出ているとです。
「そのことも」
「そうなのね」
「はい、私は今から村の使者として色々な種族の村を巡って」
 そしてというのです。
「お祭りに招待するつもりで、です」
「旅に出ているのね」
「はい」
 その通りというのです。
「ドワーフやホビット、リザードマンの村を巡ります」
「じゃあ忙しいわね」
「いえいえ、もうその種族の村々は全部回っていい返事を頂いて」
 つまりお祭りに来てくれるというのです。
「それで今から蛇人のところに行ってです」
「確か水辺にいるわね」
「そこの蛇人の村に行って」
 そしてというのです。
「招待します」
「色々な種族が集まるんですね」
「そうだよ」
 エルフはカルロスにも笑顔でお話しました。
「皆が集まる方が楽しいよね」
「だからですか」
「皆を招待するんだ」
 まさにそうするというのです。
「そしてよかったらトロット王女も君達もね」
「エルフの村にですか」
「来てね」
 そうしてというのです。
「お祭りを楽しんでくれるかな」
「そうしていいんですか」
「君達が来たいならね」
 そうならというのです。
「楽しんでね」
「それじゃあ」
 それならとです、トロットがエルフに答えました。
「その日を教えてくれるかしら」
「はい、それは」
 エルフはトロットにお祭りの日は何時かとお話しました、そしてエルフの村の詳しい場所も。するとでした。
 全部聞いてです、トロットはエルフににこりと笑って答えました。
「ええ、その日ならね」
「大丈夫ですか」
「ええ、行けるわ。場所もね」
 エルフの村の場所もというのです。
「丁度通り道だし」
「じゃあ余計にいいわね」
「そうですか、じゃあ」
「お邪魔させてもらうわ」
「そうして下さい、待っています」
「それで貴方はなのね」
「今から蛇人の村に行きます」
 最後の目的地であるそこにというのです。
「そうしてきます」
「それじゃあね」
「また会いましょう」
 二人でお話してでした、エルフはトロット達と別れました。そしてエルフが一行と擦れ違ってそのまま進むのを見送ってです。
 一行は夜になって休憩の時になって近くの川で交代で身体を奇麗にしてから晩御飯を摂ってぐっすりと寝てです。
 朝になって出発した時にです、ふとでした。
 キャプテンは草原の片隅に咲いていた蒲公英を見て笑顔で言いました。
「ああ、可愛いね」
「蒲公英ね」
「うん、あそこに咲いているよ」 
 トロットにその蒲公英を指し示して見せました。
「ギリキンの蒲公英がね」
「ええ、ただあの蒲公英は」
 葉や茎は紫でギリキンの草原の中にあります、ですがそのお花は。
「黄色ね」
「そこが違うね」
「お花がその色になりたいなら」
「ギリキンの国にあってもね」
「その色になれるから」
「だからあの蒲公英は黄色ね」
「そうなるわ」
 まさにというのです。
「ああしてね」
「そうだね、小さくて草原の中に咲いていて」
「可愛いわね」
「だから目に入ってね」
 そしてというのです。
「意識したんだ」
「キャプテンも」
「ああしたお花が見られるのも」
 草原の中の一輪の蒲公英をです。
「冒険ならではだね」
「うん、全くだよ」 
 教授もその蒲公英を見て目を細めさせています。
「宮殿でも街でもお花は見られるけれどね」
「ああした風に咲いているお花はね」
「冒険ならではだよ」
 こうトロットに応えて言います。
「本当にね」
「そうよね」
「今回の冒険もそうしたお花を見られてね」
 それが出来てというのです。
「よかったよ」
「そうよね」
「あのお花を暫く見ていようか」
 モジャボロもそのお花を見て提案しました。
「今は」
「じゃあ少し早いけれど」
「お茶の時間にしてだね」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「お花を見ましょう」
「それはいいことだね」
 モジャボロはトロットの今の提案に笑顔で頷きました、キャプテンも教授もでした。そして五人もです。
 笑顔で、です。こうトロットに言いました。
「はい、それじゃあ」
「今からテーブル掛けを出して」
「お茶とティーセットを」
「それで皆でお茶とお菓子を楽しみながら」
「お花を見ましょう」
「そうしましょう、日本でのお花見は確か」
 ここで恵梨香を見て言ったトロットでした。
「桜だけれど」
「日本人っていつもなんですよ」
「春になったらお花見をするんです」
「桜のそれを」
「お酒やジュースを飲んで」
「美味しいものを一杯食べて」
「今は蒲公英よ」
 このお花を見てというのです。
「それもいいわね」
「桜とは違いますけれど」
「お花ですから」
「それで蒲公英を見て」
「お茶とお菓子もですね」
「どっちもですね」
「そうよ、それと蒲公英はどの国にも咲いているけれど」
 それでもというのです。
「お花身っていうと日本だから」
「それでだね」
「和風のティーセットにしましょう」
 そちらにとキャプテンに答えました。
「そうしましょう」
「そう、それじゃあ」
「今からね」
 こうお話してそしてでした。
 蒲公英のすぐ傍まで来てそこに敷きものを敷いてそのうえで皆で座ってでした。和風のティーセットを出してでした。
 皆で楽しんでです、そうしてでした。
 カルロスはトロットにこう言いました、お団子を食べながら。
「さっき蒲公英はどの国でもとお話しましたけれど」
「あっ、ブラジルではね」
「あまりというか殆どです」
「咲いていないのね」
「そうなんです」
「気候の問題でよね」
「ブラジルは暑いですから」
 だからというのです。
「ですから」
「そうよね、熱帯だから」
「他の皆の国は違うんですが」
 恵梨香達四人を見てトロットにお話をします。
「ブラジルはです」
「そこはね」
「違うんです」
 そうだというのです。
「どうしても」
「お花が多い国でもなのね」
「ブラジルのお花は熱帯のお花です」
「黄色いお花があってもよね」
「また違います」
 そうだというのです。
「どうしても、それとハチドリがいます」
「あの小さな鳥ね」
「この鳥はオズの国にもいますね」
「ええ、それでお花の蜜を吸ってるわ」
「そうしたお花もあって」
 熱帯のです。
「そうですよね」
「ええ、そして蒲公英もあるのよ」
「どちらのお花も」
「蒲公英はどちらかというと寒い場所のお花ね」
「はい、ですからブラジルにはないです」
「けれどオズの国はどんな場所のお花でもあるのよ」
「国自体が植物園みたいですね」
 カルロスはトロットのお話を聞いてこう思いました。
「それですと」
「うふふ、そうよね」
「それで色々な動物もいますし」
「海にもね」
「動物園で水族館で」
 さらに言うカルロスでした。
「あと色々な種族もいて」
「お伽の国でもこんな国は他にないわね」
「絵本でもあるんですね」
「そうよ、あらゆるものがある国なのよ」
 それがオズの国だというのです。
「お花も生きものも人もね」
「素晴らしい国ですね」
「そうよね、私この国に来てよかったわ」 
 心から思っているトロットです、このことはドロシーもベッツィも同じです。勿論キャプテンもモジャボロもです。
「本当にね」
「そうですよね、僕達もこうして来られていて」
 そのオズの国にです。
「幸せです」
「楽しいことばかりの国だから」
「本当にいいですね」
「ええ、危険はあってもね」
 実際トロット達もこれまでの冒険で色々な危険に遭ってはいます。
「それでもよ」
「その危険はですね」
「皆がいれば、そして一人でもね」
 つまりどんな時でもというのです。
「乗り越えられるから」
「だからですね」
「絶望はしないの」
 それは絶対にとです、トロットは笑ってカルロスにお話をしました。勿論他の四人もしっかりと聞いています。
「いいわね」
「絶望はオズの国にはないですね」
「希望はあるけれどね」
 それでもというのです。
「この国に絶望はないのよ」
「だからですね」
「そう、どんなことになってもね」
「最後の最後まで、ですね」
「諦めないことよ」
 何時如何なる時でもというのです。
「いいわね」
「わかりました」
 五人全員で答えました。
「そうします」
「このオズの国で何があっても」
「僕達絶対に諦めないです」
「そしてそのうえで」
「冒険もしていきます」
「これまで絶対に乗り越えてきたから」
 オズの国の人達はというのです。
「ドロシーもオズマもそうでしょ」
「西の魔女に捕まったりノーム王の軍勢が攻めてきたり」
「オズマ姫は桃になったりもしましたし」
「皆さん本当にですね」
「色々なことがありましたね」
「ピンチも多かったですね」
「それでもいつも乗り越えてきたから」
 その沢山のピンチをです。
「だから、いいわね」
「オズの国もかなり平和になったけれどね」
 モジャボロは一輪の蒲公英を見つつにこにことしています。
「やっぱりまだ危険はあるから」
「そうした時は絶対に諦めないことだよ」
 キャプテンもこう言います。
「絶対にね」
「その為に私達には知識や知恵があるのだよ」
 教授はこうしたものをお話に出しました。
「だから絶対にだよ」
「諦めないで、ですね」
「絶望しないで」
「希望をその手にあることを忘れない」
「そして知恵と知識ですね」
「そういったものもですね」
「我々にはあるのだからね」
 それでというのです、そして最後にトロットが言いました。和風ティーセットである三色団子と水饅頭とういろうを見ながら。
「私達もこの冒険で何があっても」
「はい、希望を持ってですね」
「冒険を楽しんでいきましょうね」
 カルロスに笑顔で言ってでした、そうして実際に皆で冒険を続けるのでした。



エルフの村か。
美姫 「そこのお祭りに参加するみたいね」
通り道らしいからな。
美姫 「どんあお祭りなのかしらね」
今回の冒険の楽しみが一つ増えたな。
美姫 「そうね。どうなるのか、次回も待っていますね」
ではでは。



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