『オズのガラスの猫』




                第十幕  次から次に起こること

 一行は香辛料を貰ってから猫の国に行きます、ですが。
 一行の目の前にです、何とです。
 クレバスがありました、ナターシャはそのクレバスを見て真っ青になりました。
「ここに落ちたら」
「うん、もうね」
 ジョージも言います。
「上がられないかもね」
「こんなところに落ちたら」
 神宝は真っ青になっています。
「大変だよ」
「しかも幅もあるし」
 カルロスはクレバスのその幅を見ています。
「飛び越えられなかったら」
「どうしようかしら」
 恵梨香は先に行くことを考えて言うのでした。
「このクレバスは」
「そんなの簡単でしょ」
 ガラスの猫は困ったお顔になっている五人に平然として言いました。
「クレバスがない場所まで遠回りしてね」
「そうしてなの」
「そう、クレバスを避けて行けばいいのよ」
「そうなの」
「それだけのことよ」
 こうナターシャにお話するのでした。
「とても簡単なことよ」
「それはそうだけれど」
「何の問題もないじゃない」
「というか幅は五メートル位じゃない」
 つぎはぎ娘はクレバスの幅を見ても平気な感じです。
「普通に飛び越えられるわよ」
「私達は子供だから」
 ナターシャは子供の身体能力からつぎはぎ娘に答えました。
「だから」
「飛び越えられないのね」
「五メートルもあったら」
 とてもというのです。
「無理よ、カルロスでもね」
「カルロス運動神経抜群だけれどね」
「無理よ、流石にね」
 幾ら運動神経が凄くてもまだ小学生だからです、実際にカルロスも無理だからと首を横に振っています。しかも必死のお顔で。
「それはね」
「そうなのね」
「そうよ、ちょっとね」
「それにーーです」
 チクタクも言います。
「このクレバスーーをーー放置ーーしてはーーです」
「駄目よね」
「はいーー何とかーーしませんーーと」
 ナターシャに応えて言うチクタクでした。
「大変ーーです」
「そうね、どうしようかしら」
「こうした時の為の魔法よ」
 ここで言ったのはオズマでした。
「そうでしょ」
「あっ、そうですね」
「こうしたことはもうね」
「考えておられるんですね」
「そうよ、このクレバスは前にここに来た時はなかったけれど」
「それでもですか」
「何とか出来るわ」
 こうナターシャに答えてです、そのうえで。 
 オズマは一歩前に出て服の懐からあるものを出しました、それは一本の白いチョークでした。そのチョークで、です。
 クレバスのところまで行ってクレバスの上でチョークを書く仕草をするとあっという間にでした、そのクレバスが。
 地面になってしまいました、オズマはそうしてクレバスを消してから皆に笑顔で言いました。
「これで大丈夫よ」
「あの、今のは」
「そうよ、魔法の道具よ」
「そうしたチョークですか」
「そうなの、魔法使いさんが発明したね」
「あの人が」
「クレバスとかこうした空間に塗ればね」
 そうすればというのです。
「地面とかお空になる」
「そうしたチョークですか」
「今私が使ったチョークは地面の空間を地面に塗るチョークなの」
 ナターシャ達に笑顔でお話するのでした。
「面白いチョークでしょ」
「はい、まさに魔法の道具ですね」
「これがあるからね」
「だからですね」
「もうクレバスは消えたわ」
 そうなったというのです。
「安心して渡れるわ」
「それじゃあ」
「ええ、先に行きましょう」
 こうしてです、一行は道をさらに進んでいくことが出来ました。クレバスも無事になくなって後に来る人達が困ることはなくなりました。
 クレバスの難は終わりました、ですが。
 一行は今度は目の前にマグマの川を見ました、ガラスの猫はそのマグマの川を見て言いました。
「またね」
「またっていうと」
「あたしが前にここに来た時はこんなのなかったから」
 ナターシャにお話します。
「急に出て来たものよ」
「さっきのクレバスと同じで」
「ええ、そうよ」
「そうなのね」
「さて、わかってると思うけれど」
「ええ、マグマの中も上もね」
 とてもと言うナターシャでした。
「進めないわ」
「熱くてね」
「とてもね」
「勿論あたしも無理よ」
「あたしもよ」
 ガラスの猫もつぎはぎ娘もこう言います。
「燃えちゃうわよ」
「ガラスの身体も溶けてしまうわ」
「オズの国は誰も死なないけれどね」
「完全には溶けたり燃えないけれど」
「そうなってしまうから」
「渡れないわよ」
「私もーーです」
 チクタクも言います。
「銅の身体がーー燃えてーーしまいーーます」
「今度こそ遠回りしてよ」
 ガラスの猫はここでもこう言うのでした。
「難を避けるべきよ」
「そうしないと駄目なのね」
「ええ、そうしましょう」
「待って、今回も何とかなるわ」
 ここでオズマがまた一行に言いました。
「魔法でね」
「あら、今回もなの」
「ええ、マグマは冷やせば何でもないでしょ」
「後は固まって土になるわね」
「そう、だからね」
 ここでまたです、オズマは一歩前に踏み出してです。
 服の懐からあるものを取り出しました、今度は一個のライト、懐中電灯そっくりの形のそれを出しました。そうしてそのライトのスイッチを入れてです。
 マグマにライトから出る光を当てました。すると。
 マグマは忽ちのうちに冷えてしまい固い岩石になってしまいました、ナターシャはあっという間に岩石になってしまったマグマとオズマが出したライトに目を瞠って言いました。
「今度は冷やす光を出すライトですか」
「そうよ、これはグリンダの発明よ」
「そうした魔法の道具ですか」
「そうなの、何でもあっという間に冷やしてくれるの」
 その光を浴びせればです。
「火でも何でもね」
「冷やしてくれるんですね」
「そうよ、凄いでしょ」
「はい、その道具も」
「だからね」
「これで、ですね」
「マグマは只の岩になったから」
 熱くも何ともないです。
「安心してね」
「わかりました、じゃあ」
「上を渡っていきましょう」 
 マグマだった岩石の上をです、実際に渡ってみると何でもなく一行はまた先に進むことが出来ました。
 ですが今度はです、周りが木々に包まれた道の中を進んでいくと。
「ちょっといいかい?」
「オズマ姫もいるから聞きたいけれど」
「僕達のことを助けられる?」
「どうかな」
「声はするけれど」
 ナターシャはその声を聞いてです。
 すぐに周りを見回しました、ですが木々の他は何も見えなくてそれでこれはまさかと思って言いました。
「ひょっとしてあの木の実を食べた」
「ダマの実だね」
 神宝がすぐに言いました。
「あの実を食べたのかな」
「あれっ、あの実ここにもあるんだ」
 カルロスはこのことに少し驚きました。
「ナイナイ国の辺りだけかと思っていたけれど」
「実を鳥が食べてここで出したんじゃないかな」
 ジョージは他の果物と同じくと考えました。
「それでかな」
「ううん、それであの実を食べて姿が見えなくなったのかしら」
 恵梨香もこう考えました。
「それか向日葵みたいに種が飛んでここに来たとか」
「まあどっちにしてもね」
 ここでガラスの猫が言うことはといいますと。
「その実を食べたからよね」
「声はすれどもなのね」
 つぎはぎ娘も言います。
「姿が見えないのかしら」
「そうなんだよ」
「僕達この森にいる生きものだけれど」
「ここじゃはじめて見る実を食べたらね」
「姿が消えてしまったんだ」
「他の誰にも見えなくなってしまったの」
 声達もこでこう言います。
「急に」
「触ってみれば身体はあるのに」
「姿が見えなくなって」
「今困ってるんだ」
「やっぱりそうなのね」
 ナターシャもそのことを聞いて頷いて言いました。
「ダマの実を食べてなのね」
「多分貴方達の予想通りよ」
 オズマはここで五人を見て言いました。
「ダマの実は食べた鳥がね」
「種を運んでしまうんですね」
「そうなの、それで遠い場所に糞をしてね」
「その糞の中にある種がですね」
「そう、大きくなって」
 芽を出してというのです。
「実を作ってね」
「その実を食べて」
「皆見えなくなってしまったのよ」
「そうなってしまったんですか」
「こんなことははじめてよ」
 何故ここにダマの実があるのかを話してからです、オズマは首を傾げさせてそのうえでこうも言いました。
「本当にね」
「ダマの実がここにあることは」
「あの実はあそこから出ることはね」
「ないんですね」
「ええ、これまでなかったわ」
「そうだったんですね」
「姿が見えない生きものはあそこから出られないの」
 このこともお話するオズマでした。
「本来はね」
「そうなんですか」
「ええ、だって姿が見えないと獲物を自由に襲えるけれど」
「それでも何かと不便ですよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「本来はね」
「あの国だけにいて」
「他のところには出ないけれど」
 そこにいる鳥もというのです。
「その筈だけれど」
「鳥ならですか」
「お空を飛べてね、ただあの国にいる鳥達は」
 腕を組んで真剣に考えつつ言うオズマでした。
「あの国を出られる種類はいない筈だから」
「若しかーーして」
 ここでチクタクが自分の考えを言いました。
「渡り鳥がーー偶然ーー入って」
「あの国に」
「はいーーオークーーかもーー知れまーーせん」
 オズの国にいるとても不思議な長い距離をあっという間に飛べる鳥です。
「白鳥かもーー知れませんーーが」
「私白鳥です」
 声の一つが言ってきました。
「南の方に遊びに行って」
「そうしてなの」
「ふと立ち寄った場所で実を食べました」
「それよ」
 まさにとです、ガラスの猫が白鳥の声に言いました。
「そうしたらよね」
「はい、気付いたらです」
「姿が見えなくなっていたのね」
「驚きました」
 自分でもというのです。
「それで何かと思っていたら」
「ダマの実もなって」
「それを食べた森の住人達がです」
「姿が見えなくなっていたのね」
「そうなっていました」
「そういうことね、皆の言った通りね」
 その考え通りとです、ガラスの猫は頷いて述べました。
「まさに」
「そうね、正解だったわね」 
 つぎはぎ娘も言います。
「知らない国で知らないものを食べたら駄目ね」
「全く以てそうよね」
「あたし達は食べないからしないけれど」
「食べる人達は要注意ね」
「全くよね」
「このことは法律でちゃんと定めておくわ」
 オズマもこう言いました。
「こうしたことが二度と起こらない様に」
「オズの国の法律になのね」
「ええ、ちゃんと定めておくわ」
「そうするのね」
「ええ、それでね」
 さらに言うオズマでした。
「今は姿が見えなくなった皆を何とかしないと」
「さもないとね」
「ええ、この森もあの国みたいになるから」
「ちゃんとするのね」
「そうよ、皆これを飲んで」
 オズマはここでも懐からあるものを出しました、見ればそれは小さなピンク色のカプセルのお薬でした。
「姿が見える様になるお薬よ」
「そのお薬を見ればですか」
「姿が見える様になるんですね」
「そうなるんですね」
「すぐにね、だから皆一粒ずつ飲んで」
 こう言ってお皿も出してそのうえにお薬を置くとです。
 お薬は一粒ずつなくなっていってそしてでした。
 オズマの周りに沢山の生きもの達が出てきました、そこには白鳥もいます。
 その白鳥がです、皆に申し訳ないお顔で言いました。
「この度は本当に迷惑をかけて」
「これからは気をつけてね」
 オズマがその白鳥に言いました。
「そうしてね」
「はい、知らない国で知らないものはですね」
「食べない」
「そうします」
「こうしたこともあるからね」
「本当にそうですね」
「さて、後はね」
 オズマは白鳥に注意してからです、あらためて言いました。
「ダマの木をね」
「全部なのね」
「切り倒して」
 そしてとです、ガラスの猫に応えるのでした。
「そうしてね」
「もう二度と実が成らない様にするのね」
「そうするの」 
 まさにというのです。
「そうして二度と誰も食べない様にしましょう」
「元を断つのね」
「そうしましょう、この森の管理人さんがいるから」
「その人を呼んで」
「切ってもらってね」
 そうしてというのです。
「焼いてもらうわ」
「それじゃあ今から」
「ええ、森の管理人さんを呼ぶわ」
 オズマは携帯を出してある人とお話をしました、するとすぐに金髪で逞しい身体をしたウィンキーの服を着た若い男の人が出て来てです。オズマに言いました。
「まさかですよ」
「ダマの木がこの森にあるとはよね」
「思っていませんでした、ただ」
「ただ?」
「声だけがすることは前から森でも話題になっていて」
 それでというのです。
「私も不思議に思っていたんです」
「貴方もなのね」
「はい、森の管理人としても」
 そうだったというのです。
「けれどまさか」
「ダマの木がこの森にあるとはね」
「夢にも思っていませんでした」
「じゃあ声は何だと思っていたのかしら」
「山びこか妖精の悪戯か」
「それかと思っていたの」
「そうでした、しかし違ったんですね」 
 真剣な顔で言う管理人さんでした。
「いや、こんなこともあるんですね」
「私も驚いているわ、それでね」
「はい、そのダマの木をですね」
「これから全部切ってね」
 そしてというのです。
「木も実も全部燃やしてね」
「そうしてですね」
「この森でこうしたことが二度と起こらない様にね」
「すべきですね」
「ええ、そうしてくれるかしら」
「わかりました」
 管理人さんも頷いて答えました。
「そうします」
「それでダマの木はね」
 オズマはスマホを出してそのダマの木の姿を管理人さんに見せてお話しました。
「こうしたのなの」
「ああ、そうした木ですか」
「今から貴方のスマホに画像送るわね」
「はい、お願いします」
「じゃあこの木を探して回ってね」
「見付けたらすぐにですね」
「ええ、切ってね」
 そうしてというのです。
「焼いていってね」
「わかりました、それじゃあ」
「貴方達にも協力して欲しいけれど」
 オズマは森の動物達にも言いました、その姿が見えなくなってしまった彼等にです。見れば結構な数がいます。
「いいかしら」
「はい、管理人さんのスマホの画像を見てですね」
「そのダマの木の」
「私達もその木は覚えていますけれど」
「何しろその実を食べたんですから」
「見て余計に頭に入れてね」 
 そのうえでと言うオズマでした。
「そうしてね」
「探して見付けて」
「見付けたら管理人さんに知らせて」
「そうして切ってもらうんですね」
「そうしてね、じゃあね」
 さらに言うオズマでした。
「ダマの木のことはお願いね」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「是非共」
「私達の森ですから」
「私達でします」
 森の動物達も約束しました、こうしてでした。
 ダマの木の問題は森の管理人さんと生きもの達に解決してもらうということになりました、このことを決めてです。
 一行はまた先に進むのでした、ですが。
 森を出て暫くしたところで今度はです。
 道のど真ん中にとても大きな蛇がとぐろを巻いて寝ていました、その蛇を見て最初に言ったのはカルロスでした。
「この蛇アナコンダじゃない」
「アマゾンにいる大蛇よね」
「うん、そうだよ」
 ガラスの猫にもお話します。
「この蛇はね」
「それにしても大きくない?」
 ジョージはそのアナコンダを見て首を傾げさせました。
「このアナコンダ」
「こうした大きさじゃないの」
「もっと小さい筈だよ」
「このアナコンダ三十メートルはあるよ」 
 神宝はざっと見た大きさを述べました。
「普通は大きくても十メートルなのに」
「そう思うと大きいわね」
「大過ぎるよ」
「オズの国だからかしら」
 こう言ったのは恵梨香でした、四人共ガラスの猫とお話しています。
「大きいのは」
「オズの国は外の世界と違うからよね」
「ええ、そうじゃないかしら」
「そう考えるとこの大きさはわかるけれど」
 最後にナターシャが言いました。
「問題はここで寝ていることよね」
「ええ、大きな身体でね」
「ちょっとこれは」
「あたし達がどいたらいいじゃない」
 こう言ったのはつぎはぎ娘でした。
「そうして先に進めばいいでしょ」
「それだけ?」
「そう、それだけじゃない」
 こうガラスの猫に言います。
「もうね」
「そういうーー問題ではーーないーーです」
 チクタクが言ってきました。
「道のーー上でーー寝られるーーと」
「ああ、それだけで迷惑ね」
「はいーー公の道ーーですから」
「そうなるわね、じゃあ起きてもらいましょう」
「いえ、ちょっと待って」
 ここで言ったのはオズマでした。
「何か皆眠くない?」
「そういえば何か」
「ちょっと眠くなってきました」
「まだお昼なのに」
「どうにも」
「そうなってきました」
 ナターシャ達五人がオズマに応えて言いました。
「何か」
「少しずつですが」
「そうなってきました」
「これってひょっとして」
「まさかと思いますけれど」
「そうね、ここはね」
 まさにと言うオズマでした。
「周りに眠り草か何かがあるのよ」
「じゃあその眠り草のせいで」
「このアナコンダが眠っていて」
「そうしてですね」
「僕達にしても」
「眠くなっているんですね」
「そうだと思うわ」
 まさにというのです。
「だから私達も少しずつね」
「あの、ここは」
 ここで言ったのはナターシャでした。
「まずは草をです」
「見付けてね」
「そのうえでね」
「草を燃やすなりして」
「そう、眠る花粉が出ることを止めるのよ」
「それじゃあすぐに」
「ええ、すぐにね。けれど」
 それでもと言ったオズマでした、皆次第にです。
 眠くなってきていて次第に動けなくなってきていました、それで。
 皆動けなくなろうとしていました、ですがここでガラスの猫が言いました。
「ここはあたし達の出番ね」
「そうね」
「その通りーーです」
 つぎはぎ娘とチクタクがガラスの猫の言葉に応えました。
「それではーーです」
「今から眠り草を見付けて」
「あたし達で処分しましょう」
 こうお話して決めました、ですが。
 ここで、です。オズマ達は寝てしまってそうしてガラスの猫達だけが動ける状況になってしまいました。それでガラスの猫はつぎはぎ娘とチクタクに言いました。
「こうなったら仕方ないから」
「オズマ達は寝ちゃったし」
「私達でーーです」
「問題を解決しましょう」
「眠り草をーー見付けーーましょーーう」
「そうしましょう、確か眠り草は」
 ガラスの猫はその眠り草事態のこともお話しました。
「淡い紫の小さなお花を咲かせるのよね」
「そうそう、だから眠り花ともいうわね」
「そうーーでしたーーね」
「それじゃあ淡い紫のお花を探しましょう」
「私達ーーで」
「ええ、そしてその花を見付けて」
「燃やせばいいのよ」
「火ならーーです」
 チクタクが火のお話をしました。
「誰かーー持っていますーーか」
「あたし?服着ないからライターとかマッチとか持ってないわよ」
「あたしぬいぐるみだから火は嫌いよ」
 ガラスの猫もつぎはぎ娘もでした。
「だから持ってないわ」
「そしてあんたもよね」
「はいーー持っていないーーです」
 チクタクもでした。
「道具のーー類は」
「じゃあどうしようかしら」
「簡単でしょ、お花を見付けて摘んでね」
 ここで言ったのはつぎはぎ娘でした。
「それを地面に埋めたらいいのよ」
「ああ、燃やせないなら」
「それでいいのよ」
 ただそれだけだというのです。
「もうね」
「それもそうね」
「ええ、見付けたら摘み取って埋めましょう」
「それで終わりね」
「そうしましょう」
 こうしてです、オズマ達が寝ている間にです。
 ガラスの猫達は眠り草を見付けました、それは一輪でしたがオズマ達が寝てしまっている場所から少し離れた場所にありました。
 ガラスの猫達はそのお花を見付けるとすぐにでした。
 摘んで埋めてしまいました、するとです。
 オズマ達は暫くして起きました、それはアナコンダも同じで。
 目を覚ますとです、こんなことを言いました。
「あれっ、私寝ていたの」
「ええ、そうよ」
 ガラスの猫がアナコンダに答えました。
「オズマ達と一緒にね」
「あっ、オズマ姫」
 アナコンダはここでオズマ達が自分の前にいることに気付きました。
「ひょっとして冒険をしているのかな」
「そうなの、これから猫の国に行くの」
「そうするのね」
「ええ、ただあんた寝てたのはね」
「気付いたら寝ていたけれど」
「眠り草のせいだったの」
「あれがここにあったの」
 アナコンダもこのことにはびっくりです。
「ずっとなかったのに」
「それはね」
 ここで言ったのはオズマでした。
「多分眠り草の種が風に飛ばされてね」
「ここまで来たの」
「そうだと思うわ、タンポポの花みたいにね」
「あの草の種もそんなことがあるの」
「そうみたいね、こんなことははじめてだけれど」
「ううん、そうしたこともあるのね」
「ええ、ダマの実の時と同じね」
 先程のことを思い出してお話するオズマでした。
「このことは」
「そうよね」
「けれどね」
「実際になのね」
「こうしたこともあるのよ」
「そう思うことね」
「ええ、実際に私達が寝てしまって」
「草自体もあったからね」
 ガラスの猫はオズマにその眠り草自体のこともお話しました。
「ちゃんと摘んで埋めておいたわ」
「有り難う、そうしてくれたのね」
「ええ、それでね」
 だからだというのです。
「もうここで寝てしまうことはないわ」
「それは何よりね」
「ええ、問題は解決したわね」
「全く、たまたまお散歩したら寝てしまうなんて」
 アナコンダは困ったお顔で言いました。
「不覚だったわ」
「仕方ないじゃない、眠り草があったのよ」
 つぎはぎ娘がしおらしくなったアナコンダに言いました。
「だからね」
「仕方ないのね」
「あんたここで寝たくて寝たじゃないでしょ」
「ええ、そうよ」
「なら仕方ないわ」
「そうなるのね」
「そうよ、それじゃああんたこれからは」
 つぎはぎ娘はアナコンダに尋ねました。
「どうするの?」
「お散歩は終わりよ、住んでいる川に戻ってね」
「そこでゆっくりするのね」
「そうするわ」
「そうなのね」
「私は元々お水の中が好きだしね」
「確かアナコンダって」
「基本お水の中にいるの」
 そこで暮らしているというのです。
「身体が大きいからね」
「特にあんたは大きいみたいね」
「そうなの、オズの国のアナコンダはね」
 外の世界のアナコンダと比べてです。
「時々大きくなる子がいて」
「あんたもそうなのね」
「それでこれだけの大きさなの」
「そういえばアマゾンにはね」
 ここで言ったのはそのアマゾンがあるブラジル生まれのカルロスでした。
「時たま巨大なアナコンダの話があるよ」
「じゃあ外の世界にもこの大きさのアナコンダいるのかな」
「そうなるね、実際にいたら」
 ジョージと神宝はカルロスのその言葉に応えました。
「外の世界にもいる」
「そうなるね」
「こんなに大きなアナコンダがいるとか」
 恵梨香も言いました。
「凄いことよね」
「そうね、外の世界も不思議よね」
 ナターシャはこう思いました。
「まだまだそうしたことが多いわね」
「不思議はオズの国だけじゃないのよ」
 オズマは五人に笑ってお話しました。
「外の世界も不思議があるのよ」
「そうなんですね」
「不思議はオズの国だけじゃないですか」
「外の世界にも不思議があって」
「大きなアナコンダもいるかも知れないんですね」
「このアナコンダみたいな」
「そうよ、ただオズの国は不思議が凄く多いの」
 他の世界と比べてというのです。
「だってお伽の国でしょ」
「それだけにですね」
「他のどんな国よりもね」
「不思議が多いんですね」
「それも遥かにね」
「不思議の塊の国ってことですね」
「それがオズの国なのよ」
 ナターシャに笑顔でお話するオズマでした。
「だからこうしたこともあったりするのよ」
「大きなアナコンダがいて」
「眠り草もあってね」
「ここまで種が飛んで来ることもですね」
「あるの、そうした不思議もあるの」
 オズの国にはというのです。
「今日は色々あったけれどね」
「その色々なこともですね」
「不思議で、ですね」
「凄くね」
 まさにというのです。
「こうしたこともあるのよ」
「そうですか」
「それを何とかするのが私達なのよ」
「オズの国の主のオズマ姫とですね」
「皆の仕事なの」
「困った不思議はどうにかしていく」
「それが私達のお仕事なの、いい不思議はどんどんよくしていって」
 そしてというのです。
「困った不思議は困らない様にしていくの」
「成程、それがオズの国の政治ですね」
「そうなるわ、じゃあまたね」
「はい、冒険ですね」
「歩きはじめましょう」 
「それじゃあ私はね」
 アナコンダも言ってきました。
「川に戻るわ」
「そうするのね」
「ええ、そしてゆっくりと休むわ」
 こうオズマに言うのでした。
「そうするわ」
「そう、じゃあね」
「ええ、また機会があればね」
「お会いしましょう」
 アナコンダと笑顔でお別れしてでした、アナコンダは自分が住んでいる川の方に行ってです。オズマ達は再び猫の国の方に歩いていきました。
 一行はそろそろ夜になろうとするところで今度はでした。
 向かい側から黒いタキシードとシルクハットを身に着けてとても立派にしている焦げ茶色の毛を持つ狼男と会いました、狼男は確かに立派な身なりですが。
 どうにも不機嫌な顔立ちをしています、それでナターシャは狼男に尋ねました。
「貴方はどうして不機嫌そうなお顔をしているの?」
「うん、実はね」
「実は?」
「人間の姿に戻れなくなってね」
「あら、そうなの」
「そうなんだ、僕は狼男だね」
 それでとナターシャに自分のことをお話します。
「だからこうして狼の姿になれるしね」
「人間の姿にもよね」
「なれるんだけれど」
「戻れなくなったの」
「うん、この前の満月の時にこの姿になってね」
 今の狼の姿にというのです。
「暫く遊んでいたら」
「そのままなの」
「この姿のままになってね」
 そうしてというのです。
「戻れなくなったんだ」
「どうして戻れなくなったのかしらね」
「うん、どうもその時間違えてね」
「間違えて?」
「自分の姿を今現在の姿のまま留める泉に入ってしまったみたいなんだ」
「今の姿のままに」
「うん、その時皆であんまり楽しいから物凄く飲んだけれど」
 お酒をというのです。
「水浴びをしたけれど」
「その泉に入って」
「狼の姿のままになってしまったんだよ」
「そうだったの」
「いや、そこには他にも泉があってね」
 さらにお話をする狼男でした。
「入ったら女の子になったり猫になったり豚とか家鴨とかね」
「色々な生きものになの」
「変わる泉があるんだ、ちなみにお水を浴びたら女の子や猫になってお湯を浴びたら人間の姿に戻れるよ」
「日本の漫画みたいなお話ね」
「オズの国にはそうした場所もあるんだ」
「それでなのね」
「そう、僕は間違えてね」
 そうしてというのです。
「酔ったあまりに」
「そのままの姿になる泉に入ったのね」
「それでこのままの姿なんだ」
「それじゃあ簡単じゃない」 
 ここで言ったのはオズマでした。
「お風呂に入るかお湯を浴びればいいのよ」
「実は僕そうしたお風呂は嫌いで」
「水風呂派なの?」
「サウナが好きで」
 それでというのです。
「お湯は」
「けれどそう言ってもずっとそのままの姿でいたくないでしょ」
「はい、確かに」
「これからはお水を浴びても狼男になるみたいね」
「あっ、そうですね」
 入ったら入った時の姿になる泉に狼男の姿で入ったからです。
「言われてみますと」
「満月の時以外にね」
「そしてですね」
「そう、そしてね」
「お湯を浴びると」
「確かに元の姿に戻れますね」
「人間のね、人間の姿に戻りたいなら」
 どうしてもそう思いたいならというのです。
「それならね」
「お湯が好きじゃないとか言わずに」
「そう、お湯を浴びるしかないわ」
「我慢してですね」
「入るべきよ、というかね」
「というかといいますと」
「何故お湯が嫌いなの?」
 オズマは狼男にこのことも尋ねました。
「どうしてなの?」
「熱いお風呂に入ったことがありまして」
「物凄く?」
「はい、それからです」
「それなら入る前に温度を確かめればいいの」
 こう狼男に言うオズマでした。
「そうすればいいの」
「そうすればですか」
「ええ、熱湯にいきなり入ることもないし」
 それにと言うオズマでした。
「気持ちいいお風呂にもね」
「入られるんですね」
「そうすればいいの」
「そうですか、じゃあ」
「ええ、何なら今からお風呂に入る?」
「ここで、ですか」
「丁度近くに温泉があるわよ」
 オズマは今自分達がいる場所をしっかりとわかっています、それで狼男にも笑顔でこう言えたのです。
「私達もお風呂に入られるし」
「だからですか」
「今から皆で入りましょう」
 狼男を入れてというのです。
「そうしましょう」
「いいですね、それじゃあ」
 ナターシャがオズマの今の言葉に笑顔で応えました。
「今から」
「ええ、皆でね」
「温泉に入りましょう」
「それじゃあ」
 こうしてです、オズマは一行を今自分達がいる場所からその温泉に案内しました。そしてそのうえで。
 皆で温泉に入ります、狼男は入る前にです。
 温泉の中に指を入れました、すると。
「あっ、これはね」
「適温でしょ」
「はい」 
 ピンクの可愛いワンピースの水着姿になっているオズマに答えました、見れば皆もそれぞれ水着になっています。
「これならです」
「入ってもね」
「気持ちよく過ごせますね」
 狼男も笑顔で言います。
「今からですね」
「お湯に入ってね」
 そうしてと言うオズマでした。
「人間の姿に戻りましょう」
「わかりました、そしてですね」
「そう、身体もね」
「奇麗にするんですね」
「そうしましょう、ただ人間の姿に戻ったら」
 その時のこともお話するオズマでした。
「一旦男女で別れましょう」
「あっ、身体を奇麗にするから」
「水着を着てると洗えない場所もあるから」
 水着で覆われている部分がです。
「そこは脱いで洗わないと駄目でしょ」
「だからですね」
「そう、それでね」
「男女に別れて」
「お互い見えない場所で洗いましょう」
「そうですね、そこはです」
 狼男はオズマに礼儀正しく応えました。
「きちんとしないと」
「そうよね」
「はい、それは礼儀であり紳士でありたいと思うなら」
「守らないといけないわね」
「私は紳士でありたいと思っています」
 狼男の言葉は実際にきちんとしたものです。
「ですから」
「余計になのね」
「はい、そうしたこともです」
「気をつけているのね」
「服装や言葉使いだけでなく」
 こうしたエチケットもというのです。
「気をつけています」
「本当に紳士ね」
「サプールなので」
「サプールって何?」
 ガラスの猫が尋ねました、この猫はいますがチクタクはお風呂に入る必要がないのでいません。つぎはぎ娘はもうお風呂に入っていて一旦身体を濡らして後で洗剤で身体全体をぬいぐるみの洗い方で奇麗にしようとしています。
「一体」
「元々はアフリカのコンゴって国にいる人達よ」
 ナターシャがガラスの猫に説明します。
「平和主義でいつもお洒落をしているの」
「お洒落な平和主義者なのね」
「そうなの、それでこの狼男さんもね」
「サプールでなのね」
「平和主義の紳士なのよ」
「そうなりたいと思っています」
 狼男はナターシャ達にも紳士です。
「ですからエチケットもです」
「気をつけてるのね」
「左様です」
 こうガラスの猫に答えました。
「私は、では今から」
「お風呂に入って」
「まずは人間の姿に戻ります」
 こう言って温泉に入るとです、背が高くてきりっとした顔立ちのアフリカ系の人になりました。そしてです。
 その姿になってそれでガラスの猫に言いました。
「戻っていますね」
「ええ、中々男前じゃない」
「左様ですか」
「お肌も奇麗だし」
「身だしなみには気をつけていまして」
 こうガラスの猫に答えました。
「それで肌や髪型にもです」
「お髭も剃ってるのね」
「そうしています」
「奇麗好きでもあるのね」
「はい、そうです」
「それでサプールとして生きているのね」
「そうです、狼男は外の世界では血に飢えていると言われますが」
 それがというのです。
「実は違うのです」
「あんたみたいになのね」
「狼は人を襲いません」
 まずはこのことから言う狼男でした。
「そして必要な時だけ狩りをします」
「血に飢えていないってことね」
「そうです、家族や仲間も大切にしますし」
「優しい生きものなのね」
「そうなのです、むしろ誇りを大事にしていまして」
 その狼の心も持つ者として話すのでした。
「決して血生臭くはないのです」
「それが狼男なのね」
「左様です」
 ガラスの猫に礼儀正しくいお話します。
「狼もそうであり」
「成程ね」
「私もです」
「平和主義で紳士なのね」
「そうありたいといつも思っていてです」
「サプールでいるのね」
「左様です」
 やっぱり礼儀正しく述べます。
「今の様に」
「成程ね、まああんたはあたしが見てもね」
 ガラスの猫は狼男、今は人間の姿になっている彼にさらに言いました。
「立派な人よ」
「サプールですか」
「そう見えるわ、じゃあこれからは」
 ガラスの猫は少し厳しい顔と声になって狼男に忠告しました。
「お酒はね」
「くれぐれもですね」
「飲み過ぎないでね、飲んでもね」
「それでもですね」
「変なことはしないことよ」
 くれぐれもというのです。
「おかしな泉に入ったりして」
「そうですね、気をつけます」
「今度からはね、いいわね」
「はい、本当に」
「またこうしたことになるからね」
「全くですね」
「さて、今日はね」
 今度はオズマが言いました。
「お風呂の後で晩御飯にしましょう」
「では私はお風呂の後は」
「貴方の場所に戻るのね」
「そうさせて頂きます、食事は家に帰って」
「食べるのね」
「そうさせて頂きます、この度は人間の姿に戻れましたしお湯に入る楽しみも知ることが出来て」
 それでとです、狼男はオズマにお話しました。
「非常に嬉しいです、では」
「ええ、また機会があったらね」
「お会いしましょう」
 狼男はオズマににこりと笑って言葉を返しました、そしてです。
 お風呂の後でタキシードとシルクハットを着て礼儀正しく挨拶をして彼のお家に帰りました、オズマ達はこの夜はブイヤベースと鮭のカルパッチョを楽しんでそれから寝ました。








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