『オズのファイター大尉』




               第十幕  ポリクロームとの再会

 一行が始祖鳥とのお話の後で上の層に行くとでした。
 始祖鳥が言った通りに上の層は蔦に覆われていました、もう見渡す限りが蔦に覆われているといった状況でした。
 その状況を見てです、かかしは言いました。
「これはね」
「始祖鳥のお婆さんの言った通りだね」
 樵がかかしに応えました。
「本当に」
「そうだね、蔦があまりにも生い茂っていてね」
「これは酷いね」
「全くだよ」
「では」
 大尉が樵にあらためて礼儀正しく言ってきました。
「これより」
「頼むよ」
「それでは」
 大尉の手にはもうサーベルがあります、それでなのでした。
 早速サーベルを振りました、すると蔦がです。
 見る見るうちに切られて道が開けていきます、ジャックはその状況を見て言いました。
「こうして切っていけばね」
「そう、蔦なんてね」
 それこそとです、大尉は切りながらジャックに応えました。
「あっという間にね」
「道が出来て」
「そう、そしてね」 
 そのうえでというのです。
「他の場所もね」
「蔦がなくなるね」
「邪魔でなくなるよ」
 そうなるというのです。
「本当にね」
「それは何よりだよ」
「私のサーベルならね」
「切れないものはないしね」
「どんな硬いものもね」
 まさにというのです。
「空気を切る様に切れるからね」
「実際にそうなってるね」
「そう、だからだよ」
「蔦もどんどん切れるね」
「しかも幾ら切っても」
 実際に大尉はかなり切っていますが切れ味は全く衰えてはいません、蔦は大尉がサーベルを一閃する度に切り捨てられて下に落ちていきます。
「この通りね」
「切れ味も落ちないから」
「そう、私一人でだよ」
 相当ふ生い茂っているけれどというのです、それこそ先程までは蔦で周りが全く見えなくなっている位でしたが。
「充分だよ」
「それじゃあだね」
「しかも私は疲れないから」
 ブリキの身体だからです。
「それでだよ」
「幾ら切ってもね」
「このままの速さで切っていけるよ」 
 そうしたことも可能だというのです。
「見ての通りにね」
「それは何よりだね」
「そう、まあこのまま切っていって」
 大尉は言う間もどんどん切っていきます。
「道を開いて」
「そしてだね」
「うん、世界樹の住人の皆が困らない位にしよう」
 蔦を切っていってというのです。
「そうしていこう」
「それを君が一人で行うんだね」
「そうするよ」
 こうお話してでした、そのうえで。
 大尉はどんどん切ってそうしてでした、あっという間に皆を囲んでいた場所の蔦を全部切ってしまいました。
 するとでした、もう蔦はありませんでした。
「ううん、思ったよりもね」
「蔦が生い茂っていた場所はなかったね」
「そうだね」
 大尉はトトに応えました。
「もっと凄いって思ってたら」
「それがね」
「思ったより酷くなかったね」
「どれだけかって思っていたら」
「いえ、それはです」
 ここで神宝が大尉達に言いました。
「大尉だからですよ」
「私だからだっていうのかい?」
「大尉のサーベルは何でも切れて」
 もう蔦なぞ触っただけで両断されていました。
「切れ味も落ちなくて大尉の腕もあって」
「剣術のだね」
「尚且つ疲れないですから」
 それも全く、です。
「それならです」
「あっという間に終わったっていうんだね」
「大尉の動き凄かったですよ」
「速かったかい?」
「まるで疾風みたいでした」
 そこまで速かったというのです。
「だからですよ」
「あっという間に終わったんだね」
「これを普通の人が普通の鎌とかで切っていったら」
 それこそとです、神宝は大尉にお話しました。
「これの何十倍の時間がかかっていたか」
「草刈り機があっても」
 それでもと言ったのはジョージです。
「何十あって大尉お一人と同じ位かな」
「うん、大尉と違って疲れるしね」
 カルロスはこのことを指摘しました。
「こんなにすぐに終わらないよ」
「本当にあんな生い茂り方だと」
 ナターシャも言います。
「何十人かで何時間もかかったわ」
「大尉さんは一時間もかかりませんでしたけれど」
 恵梨香は大尉に直接お話しました。
「本当に普通の人達なら」
「ううん、私一人で充分だと思ったけれど」
 それでもと述べた大尉でした。
「私は自分が思っている以上に凄いことをしたのかな」
「ええ、若しもよ」
 ドロシーも大尉にお話します。
「大尉か樵さんじゃなかったら」
「この蔦達を一時間もしないうちにこうして刈ってしまうことは」
「出来ることじゃなかったわ」
 一人ではとてもというのです。
「本当に何十人もの人が草刈り機を持って」
「何時間もだね」
「かかっていたわ」
「そんなに大変だったんだね」
「流石に大尉よ」
 こうまで言うドロシーでした。
「お陰で蔦はなくなったから」
「もう皆ここを行き来出来るね」
「そうなる様になったわ」
「それは何よりだね」
「これは大尉の功績だよ」
「うん、この功績は僕も認めるよ」
 大尉の主である樵も言います。
「ウィンキーの国に帰ったら勲章を挙げるよ」
「それは何よりです」
「君はまた一つ勲章が増えたね」
「有り難いことです」
「大尉さんはこれまでも勲章を頂いていますか」
 ここで言ってきたのは神宝でした。
「また一つ増えたってことは」
「うん、大尉は立派な軍人さんだからね」
 それでとです、樵が神宝に答えました。
「僕もこれまで何度も勲章を授けてるよ」
「そうなんですね」
「そしてオズマ姫もだよ」
 オズの国全体の国家元首である彼女もというのです。
「何度もね」
「勲章を授けているんですね」
「そうなんだ、グリンダもそうだし」
 樵はさらに言いました。
「マンチキンもギリキンもね」
「その二国からもですか」
「大尉は勲章を貰っているんだ」
「功績を挙げてですか」
「そうだよ、もう幾らになるかな」
 大尉がこれまでに授かった勲章、その数はというのです。
「色々な勲章を受け続けているからね」
「そう言われますと私も」 
 大尉も言ってきました。
「一体幾つの勲章をこれまで頂いたか」
「種類も多いしね」
「わからないです」
「君は各地でオズの国と人々の為に働いているからね」 
 そうして功績を挙げているのです。
「だからね」
「勲章を授かることも嬉しいですが」
「その功績によって皆が笑顔になることがだね」
「嬉しいです、軍人は何の為にいるのか」
「それはもう簡単だよ」
「人々の笑顔を護る為です」
 大尉は樵に確かな声で答えました。
「まさにその為にです」
「存在しているね」
「はい、ですから」
 それ故にというのです。
「オズの国の人達が笑顔になってです」
「それを護っていることがだね」
「私の誇りです」
「そうだね、ではね」
「今回もですか」
「世界樹の皆を助けてね」
「笑顔を取り戻したからですね」
 大尉は樵に応えました。
「私に勲章を授けてくれますね」
「ウィンキーの黄色い勲章をね」
「では」
「うん、では先に進もうか」 
 大尉とのお話を終えてです、樵は皆に言いました。
「そうしようか」
「それじゃあね、上の層に行く階段まで向かいましょう」
 ドロシーが樵に応えました。
「今からね」
「そうしようね」
「ここまで登って思ったんですが」
 神宝がここでこんなことを言いました。
「この世界樹は」
「どうしたのかな」
「街が幾つも重なっている感じですね」
 こう大尉に言いました、見れば一行の目の前の離れたところに村が見えます。
「そんな風ですね」
「うん、各層が街位の広さだしね」
「それで、ですから」
「もう街がね」
「何層も重なっている感じですね」
「大体ね」
 大尉は神宝だけでなく五人全員にお話しました。
「五十層位あるかな」
「それ位ですか」
「うん、それ位あってね」
 そうしてというのです。
「幅もあるからね」
「だからですか」
「新法の言う通りかな」
「街が何層も重なっている感じですね」
「世界樹はね」
「そうですよね」
「中に小さな村が幾つもあるし」
 大尉もその村を見ています、そのうえでの言葉です。
「だったらね」
「街が幾つも重なっている」
「そんな場所だよ」
「それがこの世界樹ですね」
「もう住んでいる人はね」
 街が何層も重なっている様な場所だからだというのです。
「物凄く多いね」
「そうですよね」
「そんな不思議な場所だよ」
「そのこともわかりました」
 神宝は大尉のそのお言葉に頷きました。
「世界樹のことで」
「そういうことでね、それと」
「それと?」
「あの村に行こうか」
 神宝だけでなく他の皆にも言いました。
「そうしようか」
「そうね、あの村にもね」
 ドロシーも大尉のその提案に頷きました。
「行ってみましょう」
「そうしてだね」
「ええ、そのうえでね」
「村の人達とお話をしよう」
「楽しくね」
「牛さん達が出てきたね」 
 トトが言いました、見れば村から青地に黒の模様のマンチキンのホルスタイン達が出てきてでした。
 世界樹の葉を食べはじめました、トトはその様子を見てまた言いました。
「あの村牛さんが多いしね」
「家畜も普通にいるんだね」
「そうだよ、ここではね」
 トトは神宝に答えました。
「だって人が村で暮らしているから」
「それでなんだね」
「他の家畜もいるよ」
「というと豚とか羊とか鶏も」
「お馬さんだってね」
「そういえば野生の群れもあったね」
 神宝は下の層で見た馬の群れのことを思い出しました。
「世界樹の葉とか食べていたね」
「そうだね、村があるからね」
「家畜の皆もいるんだね」
「そうなんだよ」
「成程ね」
「じゃあ今からね」
「あの村にだね」
「行こうね」
 二人でお話してです、そしてでした。
 皆で一緒にその村に向かいました、そうして乳牛達のところに行きますと。
 小さな牧童の子が皆に聞いてきました。
「皆旅の人達だよね」
「うん、そうだよ」
 大尉がその通りだと答えました。
「僕達はね」
「やっぱりそうだね」
「世界樹の葉と花を手に入れに来たんだ」
「世界樹の花ならね」
 牧童の子は大尉のお話を聞いて言いました。
「頂上にあるよ」
「だから頂上を目指しているんだ」
「そうなんだ」
「そうだよ、これからも昇っていくよ」
「僕も頂上まで行ったことあるよ」
 牧童の子は大尉のお話を聞いてにこりと笑って答えました。
「かなり昇ったけれどね」
「頂上まで行ったんだ」
「この村からね」
「僕達はエメラルドの都から来て一から昇ったけれど」
「そうだね、そういえば」
 ここで牧童の子はふと思い出した様なお顔になって一行を見回してです。そのうえでこう言ったのでした。
「ドロシー王女にかかしさんに樵さんかな」
「その通りよ」
 ドロシーは牧童の子ににこりと笑って応えました。
「私達がね」
「ドロシー王女達だね」
「そうよ、それとね」
 さらに言うドロシーでした。
「他の皆もわかるわよね」
「ファイター大尉にジャックさんにトト」
「そうよ」
 また答えたドロシーでした。
「そしてね」
「ええと、そっちの人達は」
 ここで神宝達五人を見てでした、牧童の子は少し首を傾げさせて言いました。
「まさか」
「そう、そのまさかよ」
「オズの国に時々来るっていう」
「その子達よ」
「僕まだあまり覚えていないけれど」
 オズの国のことをです、小さな子なのでこれから覚えるところなのです。
「けれどね」
「この子達のこともよね」
「覚えてきているよ」
「それは何よりね」
「はじめて会ったから誰かわからなかったけれど」
 だから最初大尉にも旅人と聞いたのです。
「それでもね」
「覚えてきてくれてるのね」
「少しずつね、実際にお会いしたし」
 今のことも言う牧童の子でした。
「これでね」
「覚えてくれたかしら」
「皆ね」
 牧童の子はドロシーににこりと笑って答えました。
「これで大丈夫だよ」
「じゃあ私達が今度この村に来ても」
「ドロシー王女のことも皆のことも覚えたから」
 だからだというのです。
「安心してね」
「ええ、またこちらに来た時はね」
「宜しくね」
「こちらこそね」
 笑顔でお話しました。
 そしてです、牧童の子は今度はトトに尋ねました。
「君は犬だけれど」
「それがどうかしたのかな」
「いや、犬っていったら」
 ここで、です。牧童の子の傍に一匹のコリー犬が出てきました、牧童の子はそのコリーを見つつ言うのでした。
「こうしたね」
「大きさだっていうんだね」
「外見もね」
「あっ、犬は色々なんだ」
 トトは牧童の子にこう答えました。
「形や大きさはね」
「そうなんだ」
「犬は色々な種類がいてね」
「うちのロンみたいな子もいたら」
「僕みたいな子もいるんだ」
 こうお話しました。
「そこは違うんだ」
「そうだったんだ」
「そう、だからね」
「君も犬なんだね」
「れっきとしたね」
「犬と猫は色々な種類がいるからね」
 大尉も牧童の子にお話します。
「大きさも外見もね」
「色々なんだね」
「そうだよ、だからね」
「ロンみたいな犬だけじゃなくて」
「トトもたいな子もいるんだ」
「そこは色々なんだね」
「そういうことだよ」
 こう男の子にお話するのでした。
「それとね」
「それと?」
「これは牛もなんだ」
 牧童の子が今見ているこの生きもの達もというのです。
「色々な種類がいるよ」
「僕この牛しか知らないよ」
「ホルスタインだね」
「うん、他の子達はね」
「この村はそうでもね」
 それでもというのです。
「他の村や場所ではね」
「牛もだね」
「本当に色々な種類がいるからね」
「そのこともだね」
「覚えておくといいよ」
「わかったよ」
 牧童の子は大尉ににこりと笑って答えました。
「それじゃあね」
「そういうことでね」
「僕覚えたよ。けれど覚えると」
 そうなればというのです。
「忘れない様にするよ」
「そこも頼むよ」
「よくお父さんとお母さんに言われるし」
「一度覚えたらだね」
「忘れるなってね」
 その様にというのです。
「言われてるし」
「だからだね」
「うん、忘れない様にするよ」
「それには思い出すことだよ」
「思い出せばいいんだ」
「そうすれば忘れないよ」
 覚えたこと、このことをというのです。
「その度に頭の中に刻み込まれるからね」
「だから忘れないんだね」
「だから時々でもね」
「覚えたことを思い出すんだ」
「そうすれば」
 まさにというのです。
「忘れないからね」
「そうしていくよ」
 牧童の子はその言葉に頷きました、そしてです。
 ドロシー達とそのままお話を楽しみました、そうしてドロシー達は村にも入って村の人達ともお話をしてです。
 それからまた上の層に向かいましたが。
 そこでは妖精達がいて楽しく踊っていました、その妖精達は見ますと虹色に輝く服を着ています。その服を見てでした。
 すぐにです、大尉が言いました。
「ひょっとしてね」
「ええ、ポリクロームがね」
 ドロシーも大尉に応えました。
「いるかも知れないわね」
「そうだね」
「あの中にいなくても」
「今この世界樹に来ているかもね」
「そうかも知れないわね」 
 二人でお話してです、ドロシーは皆に言いました。
「これからね」
「うん、あの娘達のところに行こう」
「ひょっとしたらポリクロームに会えるかも知れないし」
「そうしよう」
 かかしと樵、ジャックが応えました。
「今からね」
「見たところあの中にはいないかも知れないけれどね」
「それでも行ってみよう」
「ええ、何十人もいて」
 見れば妖精は結構います、八十人はいるでしょうか。
「ちょっと誰が誰かね」
「まだわからないけれど」
「それでもね」
「行ってみよう」
 またドロシーに言うかかし達でした、そして。
 皆で行くとです、妖精達の中から懐かしい声がきました。
「あら、お久し振り」
「あっ、その声は」
 トトが最初にその声に応えました。
「いたんだ」
「奇遇ね」
 妖精達は踊りを止めました、そしてです。
 その中からポリクロームが出てきました、そうして皆に言ってきました。
「こんなところで会うなんて」
「世界樹の葉とお花を手に入れる為に来たの」
 ドロシーがポリクロームに答えました。
「ヘンリーおじさんとエムおばさんのワインに入れる為に」
「そうだったの」
「それで来たらね」
「私に会ったのね」
「そうなの、会えるかもって思ってたら」
「会えたわね」
「ええ、本当に今世界樹に来てるなんてね」
 ドロシーはポリクロームに微笑んで応えました。
「これも神様が会わせてくれたのね」
「そうよね、本当にね」
 笑顔で応えたポリクロームでした。
「オズの神々のね」
「本当にね」
「そう、それでだけれど」
「どうしたのかしら」
「世界樹のお花を手に入れるとなると」
 このことからでした、ポリクロームは考えて言いました。
「頂上まで行くのよね」
「そのつもりよ」
 ドロシーはポリクロームに答えました。
「これからね」
「そうよね、それじゃあ」
 ポリクロームはドロシーのお話を聞いて考えるお顔になってでした、そのうえでドロシー達に言いました。
「私も一緒に来ていいかしら」
「ええ、いいわよ」
 笑顔で、です。ドロシーはポリクロームに答えました。
「それじゃあね」
「ええ、じゃあね」
 ポリクロームはドロシーの返事を聞いて自分と同じ虹の妖精達にお顔を向けてそれで言ったのでした。
「これからね」
「ええ、頂上に行くのね」
「この世界樹の」
「そうするのね」
「そうしたいけれどいいかしら」
 こう皆に尋ねるのでした。
「これから」
「ええ、いいわよ」
「折角ドロシー王女とお会い出来たんだし」
「だったらね」
「一緒に行けばいいわ」
「ええ、じゃあね」
 皆の返事を聞いてでした。
 ポリクロームはドロシー達に笑顔でお顔を戻して言いました。
「頂上まで宜しくね」
「それでは今からね」
「それで頂上まで行って」
「世界樹の花を手に入れてね」
 ドロシーはポリクロームに答えて言いました。
「そうしてね」
「それからはどうするの?」
「世界樹を降りて」
 そうしてというのです。
「エメラルドの都に歩いて戻っていくわ」
「じゃあ私はその途中でね」
「ここに戻るの」
「そうしようかしら」
 ポリクロームがこう言うとでした。
「戻る時にね」
「ええ、そうしたら?」
「私達暫くここにいるから」
「この層で遊んでいるから」
「戻ってくればいいわ」
「それじゃあね」
 虹の妖精達の返事を聞いてでした、ポリクロームも決めました。そうしてです。
 一行にポリクロームも加わりました、そのうえで冒険を再開しましたがこの時にポリクロームは新法達に言いました。
「貴方達と会うのは久し振りね」
「そういえばそうだね」
「ポリクロームさんとはずっと会ってなかったよ」
「僕達あれから何度もオズの国に来てるけれど」
「飛行船でお空に出た時以来かしら」
「本当にずっとお会いしてなかったわ」
「だからね」
 それでとです、ポリクロームは笑顔で言うのでした。
「私もお会い出来て嬉しいわ」
「お元気そうだしね」
 神宝も笑顔で応えます。
「よかったよ、僕達もね」
「ひょっとしてって思ったら」
 ジョージもこう言います。
「本当にお会い出来たしね」
「オズの国は思わぬ出会いも多いけれど」
 カルロスはこのことについて思うのでした。
「本当にお会い出来たね」
「皆でひょっとしてって思ってたら」
 ナターシャもこの出会いに喜んでいます。
「本当に、だから」
「それで一緒に会えて冒険出来て」
 笑顔で言う恵梨香でした。
「よかったわ」
「そう言ってもらえると私も嬉しいわ」
 ポリクロームもにこにことしています。
「じゃあ頂上に行って虹の妖精の皆に戻るまでね」
「一緒だね」
「一緒に冒険を楽しもうね」
「それまでの道中一緒に進んでいって」
「色々と楽しんでいきましょう」
「是非ね」
「うん、会って一緒になったのも縁だから」
 それでと言ったのは大尉でした。
「仲良くやっていこう」
「宜しくね」
「そういえばね」
 大尉はポリクロームを見てこんなことも言いました、
「私もポリクロームさんとはずっと会ってなかったね」
「ええ、そうだったわね」
「会ったのも久し振りだよ」
「本当にね」
「だからね」
 それでというのです。
「私も嬉しいよ」
「私もよ」
「ううん、オズの国にいても」
 同じ国にと思った神宝でした。
「広くていろいろな場所があるので」
「会えない人はね」
 どうしてもとです、大尉は神宝に答えました。
「中々会えなかったりするんだ」
「そういう世界ですね」
「オズの国はね、私は普段ウィンキーの国にいるね」
「はい、そうですね」
「我が主やかかしさん、ジャック君とはよく会って」
 そうしてというのです。
「エメラルドの都にも行くし」
「そこでオズマ姫やドロシーさんともですね」
「会うことも多いけれど」
 それでもというのです。
「普段はお空にいるポリクローム嬢とはね」
「中々ですか」
「会う機会がなくてね」
「だから今回ですね」
「久し振りに会えたんだ」
 そうなったというのです。
「本当にね」
「そういうことですか」
「そう、こうした時はね」
 本当にというのです。
「オズの神々が導いてくれてるんだ」
「引き合わせてくれるんですね」
「そうなんだ、しかしね」
「しかし?」
「その出会いはいつも偶然かと思うと」
「必然ですね」
「オズの国の出会いは多くの場合そうなんだ」
 偶然ではなく必然だというのです。
「私だってそうだしね」
「私なんてね」
 オズの国随一の冒険家であるドロシーが言います、この娘こそオズの国で最もそうした出会いを経ている人だからです。
「もうどれだけね」
「そうした出会いがあったか」
「わからないわよ、かかしさんと樵さんに出会って」
 最初の冒険の時にです。
「臆病ライオンさんに会ってだったわね」
「はい、全てがはじまりましたね」
「それからもね」
「いつもでしたね」
「出会いがあってその度に助けてもらって」
 そうしてというのです。
「今に至るのよ」
「本当に色々ありましたよね」
「ええ、その出会いは偶然ではなくてね」
「必然で」
「今はお会いした皆とお友達になっててね」
「楽しく暮らしてますね」
「そうよ、そう思うと」
 本当にというのです。
「これまでの出会いはね」
「偶然ではなくですね」
「今の私に導いてくれるね」
「必然なんですね」
「そうよ、全てはオズの神々のお引き寄せなのよ」
 笑顔で言うドロシーでした。
「だからね」
「オズの国の出会いは必然が多いって言えますか」
「そうなの」
 こう神宝にお話しました。
「私自身のことからね」
「そうなんですね」
「確かにドロシーさんの出会いはかなり多くて」
「その出会いが何かを起こしてますね」
「オズの国の色々な人にお会いして」
「それで、でしたね」
「そうでしょ、そう思うと」
 本当にとです、ドロシーは神宝達五人にお話しました。
「オズの国の出会いは必然であることが多いの」
「一見偶然でも」
「それは、ですね」
「オズの神々のお引き寄せで」
「必然ですね」
「そうなんですね」
「そうなの、今回もポリクロームに会えたことは」
 その彼女を見ての言葉です。
「必然なのよ」
「私もそう言ってくれると嬉しいわ」
 笑顔で応えたポリクロームでした。
「本当にね」
「久し振りに会うことも」
「それもね」
「お友達には大事なことだし」
「そうよね、離れた場所で暮らしていても」
 それぞれがというのです。
「それでもね」
「会えてね」
「一緒に冒険をしてね」
「楽しめることもね」
「いいことだから」
 それでというのです。
「今回の出会いもね」
「必然よ」
「一緒に冒険をしようっていう」
 こうお話してでした、ドロシーとポリクロームは二人のお話をはじめました。大尉はその二人の女の子を見てトトに言いました。
「女の子同士だとね」
「仲いいよね」
 トトも笑顔で応えます。
「息が合っているっていうか」
「そんな感じでね」
「久し振りに会ってだけれど」
 それで冒険となってもです。
「それでもね」
「二人共ずっと一緒にいるみたいにね」
「仲がいいね」
「そうだよね」
「いいことだよ」
「本当にそうだね」
 大尉は女の子らしく明るくお話をしている二人を見て知然と笑顔になってそのうえでトトに言います。
「ポリクローム嬢と会えてよかったよ」
「本当にそうだね」
「それでだけれど」
 さらに言う大尉でした。
「これから頂上まで行くけれど」
「まだ何かあるかな」
「あると思った方がいいね」
「ここはオズの国だからだね」
「オズの国はいつも何かが起こる」
 そうした国だからだというのです。
「それでだよ」
「これからもだね」
「何かが起こるってね」
「考えてだね」
「行った方がいいよ」
「そう、用心と気構えをしていると」
 かかしも言ってきました。
「それだけでね」
「違うよね」
「そう、思っているだけで」
 何かが起こると、です。トトに言うかかしでした。
「すぐに対応出来るし咄嗟にかわすことも出来るから」
「だからだね」
「いつも用心はしておくべきだよ」
「そうしてだね」
「冒険も日常もね」
「過ごしていくべきだね」
「そうだね、例えばね」
 今度は樵が言います。
「目の前に穴があるとね」
「あっ、何もないって思って前を進むと」
「落ちてしまうね」
「だからだね」
「そう、若しかしてって思って」
 そしてというのです。
「前に進んでいるとね」
「落とし穴もかわせるね」
「そうなるからね」
「世界樹は葉が厚くて葉の上もあるけれど」
 ジャックは足元を見ました、実際に一行は今は枝の上ではなく葉の上を歩いています。葉の上はあまりにも深く重く生い茂っていて皆普通に歩けています。
「若しかしたらね」
「そうだね、葉と葉の間にね」
 大尉がジャックに応えます。
「穴があることも有り得るね」
「そう思っているとね」
「若し穴があっても落ちないね」
「そうだよね」
「蔦は事前に教えてもらったからすぐに対応出来たね」
 かかしが先程の大尉の活躍についてお話しました。
「そうだったね」
「はい、本当に」
 大尉もかかしに答えます。
「若しいきなり目の前にあれだけの蔦があったら」
「最初は驚いてね」
「どうしようかとなります」
「それがね」
「しっかりとですね」
「事前に聞いてね」
 そうしてというのです。
「わかっているとね」
「すぐに対応が出来ます」
「だから何も起こらないんじゃなくてね」
「起こると思っておくことですね」
「それが大事だよ、オズの国だしね」
 いつも何かが起こる国だというのです。
「人と人の出会いもそうだけれど」
「出来事もですね」
「やっぱり必然だからね」
「オズの神々が起こすものですね」
「だからね」
 それだけにというのです。
「しっかりとね」
「そうしたことをいつも頭に入れて」
「先に進んでいこうね」
「今回の旅も」
「そうしていこうね」
 皆でこうしたお話もしました、そしてです。
 皆でさらに進んでいきます、そうしていると夕方になってその夕方も次第に赤から濃紫になろうとしています。
 そこで、です。ドロシーは温泉が出ている幹のところに来て皆に言いました。
「今日はここで休みましょう」
「温泉に入ってですね」
「身体も奇麗にしてね」
 こう神宝に答えます。
「そうしてね」
「晩御飯も食べるんですね」
「そして寝ましょう」
「わかりました」
 神宝はドロシーのその言葉に頷きました。
「それでは」
「よく休みましょう」
 今日もと言うドロシーでした。
「朝までね」
「そうね。朝までよく寝て」
 ポリクロームも応えて言います。
「そして朝になったらね」
「また冒険よ」
「朝御飯を食べて」
「貴方の食べものも出すわ」
「朝露ね」
「それを出すわね」
「露ならもう世界樹には幾らでもあるから」
 それでとです、ポリクロームはドロシーに答えて言います。
「別にね」
「いいの」
「ええ、今だってね」
 足元を見て言うポリクロームでした。
「露があるから」
「それを取って飲んでなのね」
「それでいいから」
 だからというのです。
「私の食べもの、もっと言えば飲みもののことは気にしないで」
「そうしていいの」
「私のことはね」
「そうは言ってもね」
 それでもと答えたドロシーでした。
「一緒に冒険しているから」
「それでなの」
「ええ、ちゃんとね」
 ポリクロームの分もというのです。
「出すわ」
「そうしてくれるの」
「ええ、それでも駄目かしら」
「そこまで言ってくれるなら」
 それならとです、ポリクロームはドロシーに答えました。
「それならね」
「いいのね」
「お願いするわ」
 ドロシーに微笑んで言いました。
「是非ね」
「それじゃあね」
「では今からだね」
 大尉が言ってきました。
「ここにテントを張るんだね」
「ええ、幹の中はテントを張らなくてもいいけれど」
「ここは幹の中より寒いからね」
「だからね」
 それでというのです。
「ちゃんとね」
「テントを出して張って」
「寝ましょう」
 そのテントの中でというのです。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「御飯も食べてね」
「今日の御飯は何かな」
「そうね、ポトフにね」
 まずはこのお料理を脳裏に浮かべたドロシーでした。
「それとオムレツかしら」
「オムレツなんだ」
「それと鮭のムニエル、あとほうれん草のクリーム煮ね」
「それで御飯とパンどっちかな」
「パンにするわ」
 今晩の主食はそれだというのです。
「そちらにね」
「パンだね」
「だってフランス料理だから」
 それならというのです。
「パンにするわ」
「あの固いフランスパンかな」
「そうね、固いパンがいいわね」
 ドロシーは大尉のその言葉に頷いて応えました。
「フランスならね」
「そうなるよね」
「ジャムやバターをたっぷりと塗って」
「そうして食べようね」
「そうしましょう」
「私は皆が食べるのを見て」
 そうしてという大尉でした。
「楽しませてもらうしね」
「いつも通りね」
「そうさせてもらうよ」
「是非そうしてね」
「じゃあね」
 二人でこうしたお話をしてでした。
 皆でフランスの家庭料理を食べます、そこでまた言うドロシーでした。
「オムレツいいわね」
「美味しいですね」
「ムニエル美味しいですよ」
「ほうれん草も」
「ポトフもいいですね」
「パンも」
 神宝達五人も言います、そしてトトも言います。
「苺のジャムがいいね」
「トトはそれを付けて食べてるわね」
「この通りね」
 実際にトトはパンにジャムを付けて食べています。
「美味しくね」
「そうよね。デザートも出すわね」
「デザートは何かな」
「クレープよ」
 ドロシーはトトににこりと笑って答えました。
「それを出すわ、中にアイスクリームを入れた」
「いいねえ、じゃあね」
「デザートまでね」
「皆で楽しもう」
「そうしましょう」
 朗らかにそうしたお話をしながらでした、皆で食べてです。そうしてから温泉に入ってそれから寝るのでした。








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