『新オズのつぎはぎ娘』




               第八章  ミノタウロスの迷宮

 お菓子の国に進むなかでドロシーは皆にお話しました。
「地図を見ているとね」
「何かあるんですか?」
「ええ、もうすぐ迷路に入るわ」
 そこにというのです。
「ミノタウロスのね」
「えっ、ミノタウロスっていうと」
 ジョージはその名前を聞いて眉を曇らせて言いました。
「人を食べる」
「あっ、オズの国ではね」
「そうしたことはないですか」
「ええ、それにミノタウロスは頭は牛でしょ」
「それで身体は人間です」
「牛はお肉食べないでしょ」
 ドロシーはこのことを言います。
「そうでしょ」
「言われてみれば」
「だからね」
「そうしたことはないですか」
「絶対にないわ」
 それはというのです。
「牛がお肉を食べることは」
「オズの国でもですね」
「そんな牛はいないわ」
「ミノタウロスでもですね」
「そうよ、あの人達もいるけれど」 
 それでもというのです。
「菜食主義よ」
「そうなんですね」
「ええ、ただ草だけを食べるわけじゃないの」
 このことは違うというのです。
「お野菜や果物も食べるの」
「そうなんですね」
「そこは違うわ」
「だから菜食主義ですね」
「あと牛乳を飲んで」
 そしてというのです。
「チーズとか乳製品も食べるわ」
「そちらもですか」
「そうなの」
「それは別に不思議じゃないね」
 トトはミノタウロスがチーズ等を食べることについてはこう言いました。
「別にね」
「ミルクと一緒だから」
「牛が牛のお乳を飲んでも」
 例えそうしてもというのです。
「おかしくないよ」
「そうね」
「お肉でないし」
「そう、牛乳はね」
「だからいいね」
「じゃあミノタウロスと出会っても安心していいんですね」
 カルロスはドロシーに尋ねました。
「別に」
「食べられるとか」 
 神宝もこのことについて言及しました。
「そうした心配はしなくてよくて」
「神話のミノタウロスは凄く怖いですが」
 恵梨香もギリシア神話のミノタウロスをイメージしています。
「オズの国では違いますね」
「というか何でミノタウロスは人を食べていたのかしら」
 ナターシャはこのこと自体に疑問を感じています。
「そもそも」
「そういえばそうだね、牛は草を食べるからね」
 ジャックもこう言います。
「幾ら身体が人でも人を食べるとかおかしいよ」
「何でそうなったのかね」
「わからないよね」
「戦いを挑むならまだわかるけれど」
「闘牛もあるし」
「それならね」
「僕もそれがわからないね」 
 ジャックは五人の子供達にも言いました。
「本当に」
「そうだよね」
「闘牛がそうなったのかな」
「昔のギリシアでも闘牛あったのかな」
「それで牛がミノタウロスになったとか」
「そうなのかしら」
「確かね」
 ここでかかしが五人にお話しました。
「神話のミノタウロスの歯はライオンのものだったんだ」
「ライオンだからなんですか」
「それで人を食べていたんですか」
「頭は牛、身体は人でも歯はライオンで」
「それでだったんですか」
「人を襲っていたんですか」
「ムシノスケ教授のお話を聞くとね」
 オズの国きっての知識の持ち主であるこの人のお話によると、というのです。かかしは五人にお話しました。
「本にそう書いてあったらしいよ」
「そうなんですね」
「牛の頭でライオンの歯で」
「ライオンは肉食なので」
「歯がそうだったから」
「迷宮の中で人を食べていたんですね」
「それはよくねいね」
 ここで言ったのは臆病ライオンでした。
「人を襲ったら駄目だよ」
「臆病ライオンさんそんなことしないからね」
「というか生きている生きものも襲わないし」
「食べるのはあくまで出されたものだけで」
「そうしたこととは無縁よね」
「人を襲って食べるとか」
「そんなことをしたら駄目だよ」 
 絶対にというのです。
「本当にね」
「幾らライオンの歯でも」
「お肉を食べても」
「それでもだね」
「人を襲って食べたら駄目」
「それが絶対よね」
「全くだよ、僕だってそんなことしないよ」
 腹ペコタイガーも言います。
「幾らお腹が空いていてもね」
「腹ペコタイガーさんもそうだし」
「オズの国じゃ法律にもなっていたね」
「生きているものは襲ってはいけない」
「出されたものを食べる」
「そうなっているわね」
「うん、確かに僕はいつも食べたいと思っているよ」
 心からというのです。
「けれど僕の良心と遵法精神が許さないんだよ」
「法律は守らないといけないからね」
「オズの国でも外の世界でも」
「ルールはちゃんと守らないと駄目だよ」
「若し法律を破ったら」
「ならず者になるから」
「法律を破る人だと」
 それならとです、ブリキの樵がウィンキーの法律を守るその国の皇帝の立場から五人にこう言いました。
「オズの国だとかつてのノーム王だね」
「ラゲドーさんですね」
「あの人はそうでしたね」
「オズの国の人でしたけれど」
「オズの国の法律を守らなくて」
「好き放題に自分の国を治めていましたね」
「オズの国ではあの人がだよ」
 まさにというのです。
「法律を守らない人だよ」
「今は違いますけれど」
「悪意のない人になりましたけれど」
「本当に昔はそうでしたね」
「あと妖魔一族やトンカチ一族もそうでしたね」
「あの人達も」
「本当に法律は守らないと駄目だよ」
 木挽きの馬も言うことでした。
「さもないと大変なことになるよ」
「そうだよね」
「かつてのノーム王みたいな人が増えたら」
「オズの国が滅茶苦茶になるし」
「実際に大変なことにもなったし」
「あの人達のことを思うと」
「だから気をつけないと駄目だね」
 木挽きの馬の口調はしみじみとしたものでした。
「本当に」
「全くだね」
「法律は守らないと」
「さもないと何もかもが成り立たないから」
「若し法律のない世の中だと」
「一体どうなるか」
「力がある人が正しいとかね」 
 トトも言います。
「そんな世の中かな」
「強い人が絶対で」
「その人達が好き放題するんだね」
「そんな世の中最悪だよ」
「強い人が悪い人だったらどうするの?」
「その場合は」
「東の魔女や西の魔女も好き勝手やってたし」
 トトはこの人達のこともお話に出しました。
「ああした人達もどうにも出来なくなるよ」
「じゃあ大変だよ」
「もう僕達安心出来ないよ」
「オズの国にいても」
「かつてのノーム王やああした魔女達が好き勝手したら」
「本当にどうなるか」
「ミノタウロスがお肉を食べても」 
 ライオンの歯を持っていてとです、ドロシーも言います。
「人を襲って食べたら絶対に駄目よ」
「外の世界でも法律あるよね」
「そうだよね」
「ええ、あるわ」 
 ドロシーはピーターに答えました。
「ちゃんとね」
「そうだよね」
「外の世界にもあるよね」
「それで皆守ってるよね」
「ジョージ達の言うことを聞いてるとそうだし」
「外の世界にもかつてのノーム王みたいな人がいて守らない人もいるけれど」
 それでもとです、ドロシーは自分に二つの頭を向けているピーターに対して真剣な顔でお話しました。
「それでも大抵な人はね」
「守っていて」
「ちゃんとしているんだね」
「そう、神話の世界でもね」
「けれどミノタウロスは法律を守らないで」
「人を襲って食べていたんだ」
「ライオンの歯があってお肉を食べるから」
 ドロシーもこのことがわかりました。
「我慢出来なくてか最初から法律を守る気がなくて」
「元々悪い人だったんだね、外の世界のミノタウロスは」
「オズの国のミノタウロスと違って」
「そうなんだね」
「法律を守る位の我慢はしないとね」
「そう、法律は守るものよ」
 ドロシーもこう言います。
「私だって誰かを襲って食べるなんてしないわよ」
「オズの国の法律でそうあるしね」
「それにドロシー王女はそんな人じゃないね」
「幾らお腹が空いていても誰かを襲って食べるとか」
「そんなことはしないね」
「絶対にしないわ」
 ドロシーははっきりと答えました。
「本当にね」
「ドロシーがそんなことをしたことは一度もないよ」
 トトもはっきりと言います。
「僕いつもドロシーと一緒にいるけれど」
「そんな場面は観たことないでしょ」
「全くね」
 それこそというのです。
「ないよ」
「そうでしょ」
「冒険で一緒じゃない時はたまにあったけれどね」
「それでも私と一番長い間一緒にいるから、トトは」
「ドロシーのことはおじさん、おばさんと同じだけよく知っているつもりだけれど」
 それでもというのです。
「本当にね」
「そんなところは見たことがないわね」
「一度もね」
「実っている果物やお菓子を食べたことはあるわ」
「旅の途中にね」
「チョコレートの木の傍を通って」
 その時にというのです。
「そのチョコレートを採って食べることはね」
「あるね」
「ええ、けれど生きものはね」
 こちらはというのです。
「ないわ」
「そうだよね」
「本当に一度もね」
「いいミノタウロスなら」
 それならとです、つぎはぎ娘がここで言いました。
「会ってみたいわね」
「これから会えるわ、そしてね」
「楽しくお話が出来るの」
「あと迷宮も楽しめるわ」   
 ドロシーはこちらのお話もしました。
「それも出来るわ」
「今話したわね」
「そう、さっきは迷路って言ったけれど」
「正しく言うと迷宮なのね」
「そこに行くことも出来るわ」
「そうなのね」
「神話のミノタウロスは迷宮の中にいたの」
 このこともお話するのでした。
「そこに閉じ込められていたの」
「人を襲って食べるから」
「そう、外に出ない様にね」
「迷宮に閉じ込めていたのね」
「それで時々生贄を入れてね」
「ミノタウロスは生贄を襲って食べていたのね」
「そう神話にはあるわ」
 ドロシーはつぎはぎ娘にお話します。
「私が読んだそれではね」
「成程ね、あたしは何も食べないからわからないけれど」 
 つぎはぎ娘はドロシーのお話をここまで聞いてこう言いました。
「人間って美味しいのかしら」
「そんなお話は聞いたことがないわ」
「そうよね、やっぱり」
「ええ、私が見ても美味しいとは思えないわ」
「もっともあたしは味覚自体知らないけれど」
 食べる必要がないからこのことは当然のことです、このことはかかしと樵、ジャックに木挽きの馬もです。
「牛肉や鶏肉は美味しいって聞くけれど」
「人間についてはないでしょ」
「というかオズの国で人間食べた人いるの?」
「いないわね」
 ドロシーははっきりと答えました。
「あのカリダでもね」
「カリダは凶暴だけれど」
「流石にそれはしないわ」
「縄張りに入って来た人を襲うことはあっても」
「私も襲われたことがあったし」
「最初の冒険の時でしたね」
 ジョージが言ってきました。
「あの時に」
「ええ、襲われてね」
「皆の知恵で乗り切りましたね」
「それでカリダは谷に落ちたわ」
「そうなりましたね」
「ちなみにあの時のカリダは谷に落ちて反省して」
 そしてというのです。
「すっかり大人しくなったわ」
「凶暴じゃなくなったんですね」
「そうなの」
 そこは変わったというのです。
「だから出会っても安心してね」
「わかりました」
 ジョージはドロシーの言葉に頷きました。
「その時は」
「そういうことでね、ではこれからね」
「ミノタウロスのところにですね」
「行きましょう、迷宮にもね」
 こちらにもとお話してでした。
 一行は先に進みました、そしてです。
 ある川の前に来ました、するとの前に。
 黄色の革の胸当てにその下に長袖の服、ズボン、そしてブーツを身に着けた大柄な男の人がいました。その頭は黒い雄牛でした。手には物凄く大きな両刃の斧があります。
 その人を見てです、ジョージは言いました。
「貴方がミノタウロスですね」
「ミノタウロスのビルだよ」
 ミノタウロスはジョージに笑顔で答えました。
「迷宮の番人の一人だよ」
「そうですか」
「この川は橋じゃなくてね」
 ビルはジョージに前にある川を指差してお話しました。
「その下にある迷宮を通って先に進むんだ」
「橋を渡るんじゃなくて」
「そう、迷宮を通ってね」
 橋の下にあるそこをというのです。
「そうするんだ」
「そうですか」
「今から川の先に行くね」
「ええ、そのつもりよ」
 ビルにドロシーが答えました。
「今からね」
「貴女はドロシー王女ですね」
 ビルはドロシーを見て言いました。
「はじめまして」
「ええ、ここに来たのははじめてだったわね」
「そうでしたね」
「オズの国は次々に色々な場所が出来るから」
 それでというのです。
「幾ら巡ってもね」
「オズの国の全ての場所は巡れないですね」
「そうなのよね、けれどね」 
 それでもというのです。
「今からね」
「迷宮にですね」
「入らせてもらうわ」
 こうミノタウロスにお話しました。
「そうして先に進ませてもらうわ」
「それでは、ただその前に」
「その前に?」
「お昼の時間ですので」
 それでというのです。
「お食事にされては。私もここで食事にしますので」
「そうするのね」
「はい、メニューはレタスとトマト、ラディッシュに胡瓜とセロリのサラダに」 
 ビルはドロシーに自分が食べるものを笑みで紹介します。
「チーズマカロニ、それとフルーツの盛り合わせを食べます」
「お野菜と果物ね」
「ミノタウロスは菜食主義ですから」
 それでというのです。
「いつもこうしたメニューです、あと草も食べますよ」
「その辺りの」
「牛達と一緒に」
「そういえば貴方の歯は牛の歯ですね」
 ジョージはビルの開いたお口を見て言いました。
「そうですね」
「牛の頭だからね」
「だからですか」
「歯もね」
 こちらもというのです。
「牛のものだよ」
「ライオンの歯じゃないですね」
「まさか、それは神話のミノタウロスだね」
 ビルもこのお話のことに言及しました。
「そうだね」
「はい、そうですが」
「あれはおかしいね」
「牛なのにライオンの歯というのは」
「身体は人間なのにね」
「そういえばそうですね」
「どうしてああなったか私はわからないけれど」 
 ビルはジョージに穏やかな口調でお話します、それは彼の人柄が出ていると言っていいものでした。
「おかしなことだよ」
「牛と人間ならですね」
「歯は牛かね」
「若しくは人間ですね」
「どちらかになる筈だよ」
「そこがおかしいですね」
「そもそもね」
 こう言うのでした。
「おかしなことだよ」
「そうなのよね」
 ドロシーもここで言います。
「本当に闘牛がそうなったのかしらね」
「ミノタウロスに変わってですか」
「闘牛って危険でしょ」
「一歩間違えたら大怪我です」
 ジョージもこう答えます。
「牛の角か体当たりを受けて」
「そうよね、それがね」
「人を襲って食べるってなって」
「ミノタウロスになったのかしら」
「そうかも知れないんですね」
「どっちにしても牛はお肉を食べないわ」
「だから私も食べません」
 ビルはドロシーに答えました。
「勿論双子の弟も」
「弟さんおられるんですか」
「対岸の迷宮の出口の番をしているよ」
 ビルはジョージにその弟さんのお話もしました。
「私は入り口でね」
「ご兄弟で迷宮の番をされているんですか」
「そして管理もね」
 そちらもしているというのです。
「出入り口のすぐ傍にそれぞれのお家があってね」
「そこに住んで、ですか」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「この迷宮の番をしているんだ」
「それがお二人のお仕事ですか」
「オズの国のミノタウロスは菜食主義だけれど」
 それでもとです、ビルはジョージに笑顔でお話しました。
「迷宮に縁があることは同じでね」
「神話のミノタウロスと」
「それで番をしているんだ」
「そうなんですね」
「じゃああっちに進むには迷宮を進んでなのね」 
 つぎはぎ娘がビルに尋ねました。
「そうすればいいのね」
「そうだよ、迷宮の中は入り組んでいるけれど安全だからね」
「罠とかはないのね」
「ないよ、中を進むのを楽しんでもらう場所だから」
 それでというのです。
「危ないことはね」
「ないのね」
「だからそのことは安心していいよ」
「わかったわ、じゃあお昼の後でね」
「進むといいよ、では私は今からね」
「お昼ね」
「妻と娘が作ってくれたそれを楽しむよ」
 こう言うのでした、笑顔で。
「今からね」
「では私達もね」
 ドロシーも皆で言いました。
「今からね」
「お昼にするのね」
「そうしましょう」
「それでメニューは何かしら」
「お寿司にしましょう」 
 こちらにというのです。
「川を見ているとね」
「それでなのね」
「お魚を食べたくなって」
「お寿司にするのね」
「ええ、どうかしら」
「それでどういったお寿司かな」
 トトがドロシーに尋ねました。
「一体」
「あっ、日本のお寿司かどうか」
「アメリカのお寿司って日本のお寿司と少し違うからね」
「アレンジが入っているわね」
「だからね」
 トトはドロシーに尋ねるのでした。
「どちらかって思って。それに」
「それに?」
「握り寿司、巻き寿司、散らし寿司ってあるね」
「お寿司っていっても色々ね」
「だからね」
「どのお寿司か」
「そう思って聞いたんだ」
 こうドロシ―に言います。
「一体ね」
「日本の握り寿司と巻き寿司よ」
 ドロシーはトトににこりと笑って答えました。
「そちらよ」
「そうなんだ」
「マグロとかハマチとか鮭をメインにして」
 そしてというのです。
「納豆巻きも出してね」
「ああ、納豆もなんだ」
「出すわ、他にも色々とね」
「納豆ですか」
 ビルがその食べものを聞いて笑って言ってきました。
「私も好きですよ」
「そうなの」
「最初見た時は何だと思いましたが」
「食べてみると美味しいわね」
「しかも身体にもいいので」
「今はなのね」
「好きです」
 こうドロシーにお話します。
「よくご飯にかけて食べます」
「いいわよね」
「そうですよね」
「納豆って凄く臭いけれど」
 つぎはぎ娘がその納豆のお話をします。
「あれも日本の食べものよね」
「ええ、そうよ」 
 ドロシーはつぎはぎ娘にも答えます。
「あちらもね」
「そうよね、何かね」
「何かっていうと」
「あたしとしては臭くて糸を引いていて」
 納豆の外見のお話をします。
「食べられないものに見えるわ」
「腐ってるっていうのね」
「腐ってないの?」
「発酵させているの」
 納豆はとです、ドロシーはつぎはぎ娘に答えました。
「ヨーグルトと一緒よ」
「そうなの」
「ヨーグルトは牛乳をそうさせてるわね」
「皆いつも美味しく食べてるわね」
「ええ、それで納豆は大豆を発酵させたもので」
「ヨーグルトと一緒なのね」
「そういうことよ」
 こうお話するのでした。
「だから腐ってはいないの」
「そうなのね」
「それで私達も食べてるの」
「お寿司にも使ってるのね」
「そうよ、じゃあ皆で食べましょう」
「私もご一緒させてもらっていいでしょうか」
 ビルは自分のメニューを出しつつ言ってきました。
「お寿司は食べないですが」
「ええ、じゃあ一緒にね」
「はい、お昼にしましょう」
 こうお話してでした、そのうえで。
 皆はビルと一緒にお昼を食べました、様々な種類のお寿司を食べてその後で迷宮に入りましたがここで、でした。
 ピーターはこう言いました。
「最短の道を知っているからね」
「案内するよ」
「だからここはね」
「僕についてきてくれるかな」
「君はこの迷宮のことに詳しいんだ」
 木挽きの馬はピーターの言葉を聞いて言いました。
「そうなんだ」
「いや、詳しくはないよ」
「入ったのははじめてだよ」
 ピーターは木挽きの馬に答えました。
「僕は翼で飛べるからね」
「川もそれで渡れるからね」
「だから橋を使ったこともないし」
「この迷宮もだよ」
「じゃあどうして道がわかるのかな」
 ジャックが尋ねました。
「それはどうしてなのかな」
「それは僕の能力なんだ」
「蛇のピットみたいなものでどんな複雑な道も最短距離がわかるんだ」
「もうお鼻の先に感覚が来てね」
「それでわかるんだ」
「それは凄いね」
 ジャックはピーターの言葉に思わず唸りました。
「ドラゴンならではかな」
「ドラゴンは地下を行くことも多いね」
「お空だけでなく」
「基本地下に棲んでいる種類も多いし」
「暗いところでも普通に見えるしね」
 ピーターはジャックにもお話します。
「だからだよ」
「こうした能力もあるんだ」
「それでなんだ」
「迷宮も楽に進めるんだ」
「じゃああれだね」
 かかしもそのお話を聞いて言いました。
「迷宮に行くのに糸はいらないね」
「糸?」
「糸っていうと」
「うん、迷宮に入ってこれまで来た道を確かめてそしてその道と伝って帰る為に糸を入り口から伝わせていくんだ」
 かかしは自分の知恵からお話します。
「そうしたやり方もあるんだ」
「ああ、そうしたら迷わないね」
「ちゃんと戻れるね」
「迷宮はまず迷わない」
「そのことだからだね」
「そうだよ、あと壁伝いに進んでいけば最後は絶対に出口に辿り着けるよ」
 こうした方法もあるというのです。
「けれど糸を使うやり方もあるんだ」
「成程ね」
「いいやり方だね」
「それならね」
「僕の能力を使わなくても出口に着けるね」
「それに君なら神話のミノタウロスに勝てるね」
 樵はピーターにこう言いました。
「それが出来るね」
「ああ、僕はだね」
「ドラゴンだからだね」
「ドラゴンは強いからね」
 だからだというのです。
「ミノタウロスにも勝てるね」
「僕は戦わないけれど」
「そういうことは興味がないけれど」
「確かにね」
「あれ位なら負ける気はしないね」
「ドラゴンはとても強いからね」
 トトもこう言います。
「ああしたのにも負けないね」
「力が強くてライオンの歯があっても」
「僕達ドラゴンも力は強くて鋭い歯があるし」
「尻尾もあるしね」
「それにこの鱗はそいおいそれとは突き破れないよ」
「その鱗堅そうだね」
 トトはピーターのその黒い鱗を見ました、見れば本当に堅そうです。
「それもかなり」
「鋼鉄より硬いよ」
「ドラゴンの鱗はそうだよ」
「もうこれ自体が鎧だよ」
「装甲って言ってもいいよ」
「装甲っていうと戦車みたいだね」
 臆病ライオンはピーターの今の言葉を聞いて言いました。
「もう」
「実際にそこまで堅いからね」
「ミノタウロスでもどうにもならないと思うよ」
「だから神話のミノタウロスにもね」
「ドラゴンは勝てるよ」
「神話のミノタウロスはテーセウスって人にやっつけられたけれど」
 臆病ライオンはドロシーに教えてもらったお話から言いました。
「ドラゴンが入ってもだったね」
「そんな悪い人ならね」
「懲らしめないといけないしね」
「かつてのノーム王もそうだったし」
「そうした人はね」
「全くだね、人を襲うなんてね」 
 そして食べるなんてとです、臆病ライオンはさらに言います。
「とても悪いことだからね」
「僕もしないよ、そんなことは」
「オズの国の住人だからね、僕も」
「オズの国の法律は守っているよ」
「しっかりとね」
「いいことだね、若しオズの国の法律を破ったら」
 腹ペコタイガーは自分達を案内してくれているピーターに言いました、ピーターはどんどん進んでいって他の皆は彼に続いています。
「とても悪いことをしたことになるからね」
「だからしないよ」
「法律は守らないとね」
「さもないと世の中がおかしくなるから」
「法律を破っていったら」
「そうだよ、法律は悪いことをしない様にする為のものだから」
 それでというのです。
「守らないとね」
「その通りだよ」
「そのことはね」
「僕もそう思うよ」
「心からね」
「そうよ、オズの国の住人は皆法律を守らないといけないの」
 そのオズの国の法律を決める人の一人であるドロシーも言います。
「オズの国の法律をね」
「そうだよね」
「種族に関わらずね」
「オズの国にいるなら」
「誰でもだね」
「人間もドラゴンも他の誰もがよ」
 それこそオズの国にいる人はというのです。
「お空も海も地下もね」
「全ての住人がだね」
「守らないといけないね」
「そうよ、オズの国は沢山の神様もいるけれど」
「神様もだね」
「法律を守らないといけないんだね」
「だってオズの国にいるのよ」
 その神々もというのです。
「だったらね」
「神様も法律を守る」
「そうあるべきだね」
「そうなるの」
 こうピーターにお話します。
「オズの国の市民になるから」
「じゃあ関羽様もですね」 
 神宝はドロシーに尋ねました。
「オズの国におられるから」
「どんな人もオズの市民ならオズの法律に従う」
 カルロスも言います。
「そうしないと駄目ですね」
「私達もオズの名誉市民ですから」
 恵梨香は自分達のことをお話します。
「オズの国ではオズの法律に従うんですね」
「オズの国にはオズの国の法律がある」
 ナターシャは考えるお顔になっています。
「そしてオズの市民はその下で生きていくんですね」
「そうよ、オズの国にいたらね」
 まさにと言うドロシーでした。
「そうしないと駄目なのよ、誰もね」
「そうですね、ただオズの国の法律って」
 ジョージはこう言いました。
「厳しいものじゃないですね」
「そんなに多くもないでしょ」
「絶対にやったら駄目なことだけを書いていますね」
「オズの国は基本いい人ばかりでいいことばかりだから」
「厳しい法律もないんですね」
「そうなの、かつてのラゲドー王みたいな人も確かにいたりするけれど」
 それでもというのです。
「基本的にはね」
「いい人といい場所ばかりなので」
「法律も厳しくなくてね」
「多くないんですね」
「基本的なことを定めて」
 そしてというのです。
「皆はその中で楽しんでもらう様にしているの」
「それがオズの国の法律ですね」
「そうなの」
 ドロシーはジョージに微笑んで答えました。
「例えば誰かが傷付く様なことは言わない」
「基本ですね」
「意地悪もしない」
「それも当然ですね」
「そうしたことを決めて」
 そしてというのです。
「皆に楽しんで暮らしてもらうの」
「それがオズの国ですね」
「それで悪いことをする人もいないし」
 ドロシーはジョージにさらにお話します。
「牢屋もね」
「そういえばないですね」
「ええ、オズの国にはね」
「そうなんですね」
「それに悪いことをした人は報いを受けるでしょ」
「はい」
 実際にとです、ジョージは答えました。
「そんな人は絶対にですね」
「報いを受けるわね」
「そうですよね」
「誰もが見てるから」
 悪いことをする人をです。
「だからね」
「その見た人がそうした行いに報いを与えるんですね」
「ラゲド―王も何度もそうなったわね」
「悪いことをするかしようとした度に」
「自分の国にもいられなくなったし」
 王位を追われてです。
「そうなったし」
「悪いことは出来ないですね」
「そうよ、オズの国ではオズマは処罰は考えないの」
「悪いことをすれば」
「その人は報いを受けるから」
「滅多にないことでも」
「そうなるから」
 だからだというのです。
「それはないの」
「そうですか」
「だからいいの、ただね」
「ただ?」
「さっき関羽さんの名前が出たけれど」 
 神宝が出したこの人のことを言うのでした。
「あの人は法律を破らないしあの人が言うと皆守るのよね」
「物凄くしっかりした人ですからね」
「真面目で礼儀正しくて」
「そうして強くて」
「学問もお好きで」
「非のうちどころのない人ですから」
「だからね」
 そうした人だからだというのです。
「あの人がおられると違うわ、ただあれだけ真面目な人は」
「いないわね」
 つぎはぎ娘が応えます。
「そうそう」
「そうよね」
「あの人の真面目さはオズの国一ね」
「ええ、しかも凄く大きくて」
「赤い馬に乗っておられて」
「赤兎馬ね」
 つぎはぎ娘はその馬の名前を言いました。
「あの馬ね」
「あの大きさが凄いわね」
「それにあの武器も」
 つぎはぎ娘は関羽さんが持っているそちらのお話もしました。
「青龍偃月刀もね」
「あの武器もかなり大きいわね」
「確かあたしより重いのよね」
「ええ、貴女はぬいぐるみの身体だから」
 それでとです、ドロシーはつぎはぎ娘に答えました。
「軽いの」
「そうよね」
「関羽さんの青龍偃月刀はその貴女より重いわよ」
「一体どれだけ重いのか」
「二十数キロあるらしいわ」
「二十キロ以上あるの」
「そうよ、ちなみに孫悟空さんはね」
 この人もオズの国にいるのです。
「あの如意棒はもうとんでもない重さで」
「普通の人は持てないのね」
「関羽さんの青龍偃月刀も凄いけれど」
 その重さがというのです。
「それ以上にね」
「孫悟空さんの如意棒は重いのね」
「そうなの。関羽さんと中国系の人達の中で人気を二分しているけれど」
 それでもというのです。
「あの人の如意棒はそうなのよ」
「軽そうだけれど」
「実は違ってね」
「重いのね」
「そうだったりするの」
「あの、関羽さん達にはどちらでお会い出来ますか?」
「オズの国におられるとは聞いてましたけれど」
「一体何処に行けばお会い出来ますか?」
「他のオズの国に来た人達も」
「一体何処で」
「関羽さんや孫悟空さん達は中華街にいるの」
 ドロシーはジョージ達五人に答えました。
「あの人達はね、ベーブ=ルースさんは野球場でそしてそのすぐ傍にお家があるの」
「そうですか」
「じゃあそうした場所に行けばですね」
「僕達も会えるんですね」
「関羽さんにもルースさんにも」
「そうなんですね」
「そうよ、あとエルビス=プレスリーさんにマイケル=ジャクソンさんもいて」 
 この人達もオズの国におられるというのです。
「ポール=バニャンさんもジョニー=アップルシードさんもおられるわ」
「色々な人がいますね」
 ジョージはドロシーが紹介してくれた人達の名前を聞いて笑顔になりました。
「どの人にもお会いしたいですね」
「きっと会えるわよ」
 ドロシーはジョージに笑顔で答えました。
「オズの国にいたらね」
「そうしているとですね」
「そう、皆オズの国にいるから」
 だからだというのです。
「会えるわ」
「そうなんですね」
「外の世界で子供達に夢を与えてくれた人達はね」
「オズの国に来られるんですね」
「そうよ、色々な人達がいるのよ」
「外の国での人生を終えると」
「オズの国に来られるの、最近はフック船長が海にいて」
 この人もというのです。
「子供達と遊んでいるわ」
「悪いことはしないですか」
「あの人はいい人よ」
 ドロシーはジョージに笑顔で答えました。
「子供好きなね」
「怖い人ってイメージがありますけれど」
「けれどオズの国ではね」
「それが違っていて」
「そう、いい人なの」
「そうなんですね」
「だから会っても安心してね」
 こうジョージに言います、そして。
 ピーターが着いたというとです、皆の前に出口がありました。その階段を上ると川の向こう岸に出ていて。
 それで、です。そこにはビルとそっくりの服と外見のミノタウロスがいて一行に対して言ってきました。
「お疲れ様、向こう岸のビルの双子の弟アルだよ」
「あんたも迷宮の番人なのね」
「うん、それでここからまたね」
「道を進んでいけるのね」
「そうだよ、しかし君達迷宮の踏破が早かったね」
「ドラゴンがいるからよ、あたし達の中に」
 つぎはぎ娘はアルに答えました。
「だからよ」
「ああ、ドラゴンは最短の道がわかるからね」
「それでよ」
「そうなんだね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「あたし達はこの通りね」
「早かったんだね」
「そういうことよ」
「わかったよ、そのことがね」
「じゃああたし達は旅鵜を続けるわ」
「旅が幸せあることを願うよ」
「あんた達に出会えたし迷宮の中も楽しく進めたから一曲歌うわね」
 そして踊るというのです。
「そうするわね」
「そうしてくれるんだ」
「そうよ、じゃあいいわね」
「うん、観せてもらうよ」
 アルが笑顔で応えて他の皆もでした。
 つぎはぎ娘の双子のミノタウロスと迷宮の歌を聴いてそのダンスを観ました、その曲も動画で大人気となりました。








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