『新オズのオジョ』




                第十幕  斉天大聖

 玄奘さんにです、恵梨香は旅をしている中で言いました。
「実は私三蔵法師さんは女の人とです」
「思っていたんですね」
「はい、実は」
「いえ、私は男です」
 玄奘さんは恵梨香に笑って答えました。
「この顔ですが」
「実は日本の子は玄奘さんを女の人って思う子が多いんです」
 ナターシャが玄奘さんにお話します。
「これが」
「日本のドラマでも西遊記あるんですが」
 カルロスもお話します。
「玄奘さんはいつも女の人が演じるんです」
「それも凄く奇麗な人ばかりで」
 ジョージはその女優さん達のお話をします。
「日本の子達はそのイメージがあるんです」
「そうですか、そういえばです」
 玄奘さんは子供達のお話を受けて言いました。
「日系人の人には女の人ではとです」
「言われますか」
「はい」
 神宝にも答えます。
「これが」
「やっぱりそうなんですね」
「本当に日系の人達はそう思ってるわね」
 オズマもお話に入ってきました。
「玄奘さんが女の人だって」
「最初何でかって思ったわよ」
 ビリーナも言います。
「玄奘さんが女の人なのかしらって」
「僕達は男の人って思っているけれど」
 ボタンもお話に入ってきました。
「それが、だからね」
「最初不思議だったわね」
「本当にね」
「ドラマーーからーーですーーね」 
 チクタクが言うことはといいますと。
「日本のーー方のーーイメージーーは」
「アニメやゲームでもあったみたいですが」
 神宝がまたお話しました。
「やっぱりドラマからです」
「そうなのですね」
「はい、日本でのイメージが出来ました」
 玄奘さんのそれがというのです。
「そうなりました」
「左様ですか」
「何か僕も出ているんですよね」
 玉龍は今も人の姿です、いささか剽軽な感じでの言葉です。
「日本のドラマでも」
「はい、ただ他の人達はです」
「性別は変わっていなくて」
「性格も同じです」
「そうなんですね」
「それでとにかく玄奘さんが奇麗だとです」
「評判なんですね」
 また言うのでした。
「日本のドラマでは」
「本当に奇麗な人ばかりが玄奘さんになるんですよ」
「ううん、まあお師匠様実際にお奇麗ですしね」
 玉龍は今度は玄奘さんを見て言います。
「それも道理ですね」
「何か適役の人が男の人にいなくて」
「それで、ですか」
「女優さんが演じたところ大当たりで」
「そこからのことですか」
「そうみたいです」
「それは凄いお話ですね」
 玉龍も驚くことでした、そしてです。 
 そうしたお話の中で関羽さんはこんなことを言いました。
「それがしなぞ最近は女の子になるな」
「関羽様ははそうですね」
「外見が全く変わって」
「三国志の主な人達が皆さん」
 神宝は答えました。
「そうなっています」
「驚きの話だ」
「ゲームや小説で、アニメにもなっています」
「それがしが女の子になるなぞ」
 首を傾げさせて言う関羽さんでした。
「想像も出来なかった」
「そうですよね」
「日本はどういった国だ」
「日本は物凄い国みたいだね」
 オジョもお話を聞いて言いました。
「関羽さんを女の人にするなんて」
「日本の戦国時代の人達も他の人達もです」
「女の人にするんだ」
「もう誰でもです」
 それこそというのです。
「それこそものまで、です」
「女の子にするんだ」
「国家もです」
「じゃあ僕も女の子になるのかな」
 オジョは神宝に尋ねました。
「日本人にかかったら」
「もうそれこそオズの皆さんがどなたも」
「本当に凄い国だね」
「それが日本です」
「外の世界には色々な国があるね」
「全く以て驚きです」
 また言う玄奘さんでした。
「これでは悟空達も女の子になっても」
「普通ですよね」
「そうなりますね」
 こうオジョに応えました。
「まことに」
「いや、オズの国に日系人の人がいて」
「色々言われる意味がわかりました」
「そうですよね」
「というか日本は物凄く独特の国よ」
 オズマはその日本人の恵梨香を見て言います。
「他の国もそうだけれど」
「何かとですね」
「ええ、オズの国にも負けないんじゃないかしら」
 こうもです、オズマはオジョにお話しました。
「誰でも何でも女の子に出来てね」
「他のこともですね」
「色々とね」
「そうですね」
「しかしそれがしの何処に女の子になる要素があるのか」
 関羽さんはまた首を傾げさせて言いました。
「全くわからない」
「ご主人は男性そのものですね」
 こう言ったのは赤兎馬でした。
「全く以て」
「そう思うが」
「そこをあえてそうするとは」
「想像も出来ない、少なくともそれがしが漢にいた頃は」
「全くでしたね」
「そんなことは考えられなかった」
「むしろ考える方が凄いわね」
 オズマも言います。
「その方が」
「左様ですな」
「けれど面白い発想よね」
「はい、まことに」
「そのことに驚くしかないわ」
 オズマは唸って言いました、そうしたお話をしながらです。皆は旅を続けていっていてそうして三時にはです。
 ティータイムを摂りました、ミルクティーにスコーン、フルーツサンドにケーキのセットですがそのセットを食べている時にです。
 玄奘さんはこう言いました。
「八戒がいればです」
「喜んでいましたか」
「八戒は食べることが大好きなので」 
 それでというのです。
「ですから」
「それで、ですね」
「喜んでいたと思います」
「八戒さんは食べることが大好きですよね」
 オジョも言います。
「そうですね」
「そして悟浄は飲むことがです」
 それがというのです。
「好きで」
「それで、ですか」
「二人がいればそれぞれ喜びました」
「そうですか」
「そして悟空もです」
 この人もというのです。
「喜びました」
「あの人は桃が好きなんですよね」
「桃が好物ですが」
「他の食べものもですか」
「勿論お菓子も大好きで」
 それでというのです。
「楽しみます」
「そうなんですね」
「あと私はずっと精進ものしか口にしませんでしたが」
「お肉とかは召し上がられなかったんですね」
「どうも最近それが変わってきまして」
 それでというのです。
「出されたものは何でもです」
「召し上がられますか」
「そうなっています」
「そうですか」
「残さずに」
 出されたものはというのです。
「そうなっています」
「オズの国ではお肉も実は精進ものだったりするわよ」
 オズマがここでお話します。
「だからお肉が出てもね」
「私も食べられますね」
「ええ」
 玄奘さんににこりと笑って答えます。
「お弁当の木に実っていたりテーブル掛けから出すものは確実にね」
「そうですね」
「そう、だからね」
「私も食べられますね」
「そのことは安心してね」
「それではその様に」
「そのことはいいですよね」
 玉龍はケーキを食べつつ言いました。
「何でも食べられることは」
「そうですね」
「私も好きに食べられますし」
「まことに」
「あと私実はですね」
 玉龍は笑顔でこうも言います。
「紅茶が大好きでして」
「ミルクティーもですね」
「こうして飲めますと」
 本当にというのです。
「幸せです」
「それは何よりですね」
「はい、ただ」
「ただといいますと」
「お茶に牛乳を入れることもいいですが」
 ミルクティーもというのです。
「レモンもいいですね」
「レモンティーもですね」
「あちらはあちらで」
「それは確かにそうですね」
「私はどちらの紅茶も好きで」
 玉龍は今はミルクティーを飲みつつお話します。
「ストレートもブランデーも入れても」
「あっ、貴方はお酒を飲みますと」
「すぐに寝るからですね」
「朝やお昼は飲まない方がいいです」
 このことを言うのでした。
「よいですね」
「自分でも気を付けています」
「飲んでも乱れない」
 このことは関羽さんが言いました。
「それが大事ですな」
「そうですね」
「我が義弟張飛は」
 関羽さんは玄奘さんにこの人のお話もしました。
「昔は兎角酒癖が悪く」
「飲むとですか」
「浴びる様に飲みまして」
 そしてというのです。
「よく暴れました」
「そうでしたか」
「天界では義兄上も他の御仁もおられるので止められますが」
 それでもというのです。
「以前はそれがしでないとです」
「止められませんでしたか」
「強いので」
 その為にというのです。
「それがしでないとです」
「張飛さんは有名ですね」
 玄奘さんもこの人についてお話します。
「お強いことで」
「それで酒癖もですな」
「そちらも聞いてはいます」
「幾度酒で失敗したか」
 関羽さんは困ったお顔でこうも言います。
「義兄上には絶対の忠義を近い義侠心があり勇敢で気風うもいいですが」
「酒癖のことはですね」
 こちらはというのです。
「非常にですね」
「困ったもので」
「関羽さんもですか」
「よく叱りました、そしてそれがしも」
 関羽さんはサンドイッチ、オレンジや林檎を生クリームと一緒に挟んだそのとても甘いものを食べつつ言いました。
「義兄上や孔明殿に注意されたことがあります」
「ああ、それは」
「はい、身分の高い者には傲慢で」
「ご自身のことを誇り過ぎると」
「そう言われていました」
「関羽さんもですね」
「そのことで失態も犯していますし」
 だからだというのです。
「オズの国ではです」
「注意されていますね」
「誰にも公平である様にし」
 そしてというのです。
「自分に驕らない」
「心掛けておられますか」
「はい」
 常にというのです。
「そうしています」
「そうですか」
「常にです」
 まさにというのです。
「己を戒めています」
「そこで自制出来るのが関羽さんですよね」
 オジョはその関羽さんに言いました。
「だから凄いんですよ」
「そう言ってくれるか」
「というかオズの国では誰にも優しいですよね」
「特に僕達子供にね」
 ボタンも言ってきます。
「関羽さん凄く優しいよ」
「強くて優しくて賢くて頼りになる」
 オジョは笑顔でこうも言いました。
「ヒーローですよ」
「そうなのだね」
「はい、本当に」
 実際にというのです。
「関羽さんはそうですよ」
「そうであればいいな」
「そうなる様にもですね」
「心掛けている」
「そして実行に移されるので」
 またこう言うオジョでした。
「関羽さんは立派なんです」
「関羽様位のヒーローはそうはいないですよ」
 神宝はこうも言います。
「全く以て」
「中国では今もだね」
「関羽様はヒーローですよ」 
 そうだというのです。
「本当に」
「嬉しいことだ、ではな」
「これからもですね」
「そうである様に努力しよう」
 こう言ってです、関羽さんは。
 スコーンも食べます、そしてです。
 そうして他の人達も食べて飲みます、そうしてでした。
 三時のおやつが食べ終わるとまた冒険をしていきます、途中川がありましたが川には橋がちゃんとかけられています。
 その橋を見てです、オジョは言いました。
「橋を渡るには」
「どうしたんですか?」
「真ん中を渡ればいいんだね」
「それは日本のお話ですね」
 神宝は笑って言いました。
「そうですよね」
「ああ、そうだったね」
「頓智ですね」
「日本のね」
「この橋渡るべからずってあって」
「橋と箸をかけてね」
「真ん中を渡ればいい」
「そういうことだね」
 まさにというのえす。
「面白い頓智だね」
「全くですね」
「そのお話を昔の悟空にしますと」
 玄奘さんはその時のお話をしました。
「怒ってです」
「暴れていますか」
「こんなことを決めたのは誰だと怒って」
 そしてというのです。
「橋さえもです」
「壊しますか」
「そうした困ったところがありました」
「けれど孫悟空さんは」
 オジョは玄奘さんに言いました。
「筋斗雲があって」
「空を飛べますね」
「そうですよね」
「ですがそうしたものを見ますと」
「怒ってですか」
「兎角短気だったので」
 それでというのです。
「暴れることが多く」
「それで、なんですね」
「そうしたお触れを出した人を怒って懲らしめるだけでなく」
 それに止まらずというのです。
「暴れてです」
「橋もですか」
「壊してしまいかねませんでした」
「特に天界で大暴れした時はですよね」
 神宝はこの時からお話しました。
「もう」
「それこそでした」
「どうしようもなく大暴れしたので」
「あの時のことを思いますと」
「手がつけられなかったですか」
「頭の輪を締めませんと」 
 到底というのです。
「私ではとても」
「そうでしたか」
「ですから」
 それでというのです。
「悟空も丸くなったとです」
「思われますか」
「まことに」
「そうですか」
「そうした意地の悪いお触れはオズの国ではないですが」
「このお話を出したのは当時の日本の将軍様だったわね」
 オズマがまた言ってきました。
「確か」
「そうでしたね」
「子供のお坊さんに対抗してそうしたお触れを出して」
「してやられるんですね」
「それであれこれと子供のお坊さんにムキになって仕掛けていたのよ」
「いつも負けるんですよね」
「あの将軍様も子供みたいね」
 オズマはこうも言った。
「本当に」
「何かあれなんですよね」
「あの人のお話を読んだりしていますと」
「物凄く子供なんですよね」
「お坊さんの方が子供なのに」
「物凄くムキになっていて」
「ええ、相手は子供なのに」
 それでもというのです。
「いつもムキになって遊んでいるでしょ」
「必死になって」
「そうしていますね」
「お仕事まで忘れて」
「それでいつも負けてますし」
「してやられていますね」
「ある意味凄い人ね」 
 オズマは神宝達にその将軍様についてさらに言います。
「あの人は」
「全く余裕ないですね」
「必死になり過ぎて」
「もう今度こそって意気込んで」
「それで仕掛けて負けて」
「地団駄踏んで、で」
「私はあの人よりずっと子供だと思うけれど」
 それでもというのです。
「あの人はもうね」
「オズマ姫よりずっと子供ですよね」
「あそこまでムキになってですから」
「必死に考えて仕掛けて」
「それで今度こそって思ってですか」
「若しかしたら私達よりも」
「そうかも知れないわね」
 オズマも否定しません。
「あの人は」
「といいますか」
 ここで神宝はあることに気付いてオズマに尋ねました。
「あのお坊さんと将軍様も」
「ええ、オズの国におられるわよ」
「やっぱりそうですか」
「おられるからね」
 だからだというのです。
「私もお二人のことを知っているの」
「やっぱりそうですか」
「将軍様は御殿におられて」
 そしてというのです。
「あれこそお坊さんに仕掛けてね」
「いつもですね」
「頓智でしてやられているわ」
「オズの国でもそうなんですね」
「そうなの」
 これがというのです。
「あの人は」
「歴史では普通に色々なことしていましたけれど」
 ジョージは来日してから勉強したオズの国の歴史のことからお話しました。
「オズの国ではそうなんですね」
「もうお仕事そっちのけで遊んでいますか」  
 カルロスはその頓智のお話から言います。
「童話の将軍様になっていますね」
「というかオズの国でも変わらないんですね」
 恵梨香は首を捻りつつ言いました。
「あの人達は」
「あの将軍様のことは私達も知っていますけれど」
 それでもと言うナターシャでした。
「童話の時の将軍様ですか」
「歴史に出て来るあの人と童話に出て来るあの人は同じなのよ」
 オズマは五人にお話しました。
「真面目に政治している将軍様もあの人でね」
「お坊さんとムキになって遊んでいる将軍様もですか」
「あの人なんですか」
「それはそれで」
「そうなんですね」
「同じ人なんですね」
「それでご本人はね」 
 その人ご自身はといいますと。
「どうも今の方がいいみたいよ」
「そうですか」
「お坊さんと遊ばれている方がいいんですか」
「そちらの方が」
「将軍様にとっては」
「そうなんですね」
「ええ、そうみたいよ」
 こう五人にお話します。
「あの人にとってはね」
「そうなんですね」
「政治では色々なことをしておられましたが」
「お坊さんと遊んでいる方がですか」
「将軍様にとってはいいんですか」
「それでオズの国におられますか」
「どうもね」
 その様だというのです。
「あの人にとってもね」
「歴史上実在する人も童話に出る」
 関羽さんも言います。
「それがしも玄奘殿も然りだ」
「そうですね、言われてみれば」
 神宝は関羽さんのそのお言葉に頷きました。
「それはありますね」
「そうだな」
「はい、それで童話の関羽様も玄奘さんもですね」
「それがしであり玄奘殿でな」
「それで、ですね」
「オズの国にいるとだ」
「童話のお姿が強く出るんですね」
「童心の話が先に出たが」
 関羽さんは仙人さんとのお話を思い出しつつ神宝に言いました、お話するそのお顔も実に明るい感じです。
「しかしだ」
「それはですね」
「やはりそれがしも玄奘殿も」
「ありのままのお顔ですね」
「童心のな」
「それが出ているんですね」
「そうなのだろう」
 こう神宝にお話します。
「ボーム殿もエジソン殿もプレスリー殿も」
「ベーブ=ルースさんもですね」
「左様、ルイ=アームストロング殿もマイケル=ジャクソン殿も」
 オズの国に来たこの人達もというのです。
「どの方もだ」
「オズの国に来られてですね」
「持っておられる童心を出されてだ」
「オズの国の住人になっているんですね」
「うむ、その将軍殿も僧侶殿もな」 
 その人達もというのです。
「そうなのだろう」
「そうですか、そう考えますと」
 実にとです、今度はオジョが言いました。
「その将軍様が今遊んでおられることも」
「童心を出されていてな」
「自然ですか」
「オズの国の住人として」
「そうなるんですね」
「そうだと思う」
「まあね、遊んでいるのならね」
 ビリーナも言います。
「オズの国の法律に逆らっていないし」
「それならだね」
「いいと思うわ」
 こうオジョにも言います。
「私もね」
「ムキになることは大人気ないと思うけれど」
 ボタンが見てもです。
「楽しそうだしいいじゃない?お話聞いていたら」
「そうーーですーーね」
 チクタクも言います。
「それーーならーば」
「そうなるね、じゃあ今からね」
 オジョはあらためて皆に言いました。
「この橋を渡ろうね」
「端でも真ん中でもですね」
 玉龍はここでこんなことを言いました。
「それでもですね」
「渡っていいですよ、この橋にはそうした頓智はないですから」
 玄奘さんはその玉龍ににこりと笑ってお話します。
「何処でもです」
「渡ってですね」
「先に進みましょう」
「それでは」
「橋がありますと」
 玄奘さんはにこりと笑ってこうも言いました。
「それだけでかなり助かります」
「そうですよね」
「川を何時でも渡れるので」
 だからだというのです。
「本当にです」
「橋は有り難いですね」
「そう思います」
「ええ、だから政治としてね」
 オズマはオズの国の国家元首として言いました。
「橋を造ることにもね」
「力を注いでおられますか」
「ええ、道に橋に堤防を整えて」
 そうしてというのです。
「皆が行き来出来る様にしているわ」
「そうですか」
「そしてね」
 さらに言うのでした。
「鉄道もね」
「整えていますね」
「オズの国中に線路を敷いて」
 そしてというのです。
「皆が色々な場所を旅出来る様にしているわ」
「鉄道の旅も素敵ですよね」
 オジョは笑顔で言いました。
「僕も大好きです」
「そうなのね」
「こうして歩いて行く旅もいいですが」
「列車に乗ってもね」
「凄くいいですね」
「そうよね」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「その機会があればです」
「楽しんでいるのね、貴方も」
「そうしています」
「鉄道はそれがしはずっと知らなかった」
「私もです」
 関羽さんも玄奘さんも言います、皆今は川にかけられている赤い石の橋を渡っています。川の幅は広いですが橋は川の上にしっかりと架けられています。
「私達の時代にはなかったですから」
「想像も出来なかった」
「ああしたものがあるとは」
「とてもです」
「そうですよね、科学の産物です」
「その科学自体がな」
「どうにもなくて」
 関羽さんと玄奘さんはオジョにもお話します。
「それでなのです」
「最初見てこんなものがあるのかと驚いた」
「オズの国は魔法も科学もありますから」
 それでというのです。
「それでなんです」
「鉄道もあってか」
「皆さん乗られているんですね」
「そうなんです、今度はその列車に乗って」 
 オジョはとても楽しそうに言いました。
「オズの国の何処かを旅したいですね」
「そうですね、鉄道は素敵ですよね」 
 神宝もこう言います。
「僕も乗るだけで幸せな気持ちになります」
「僕もですよ」
「僕も列車好きですよ」
「乗るとそれだけで楽しくなります」
「私達皆好きです」
 神宝に続いて四人も言います。
「オズの国にもあるのなら」
「是非乗せてもらいたいです」
「今は歩いての旅ですが」
「それでもです」
「機会があれば」
「そうだね、しかもオズの国にはね」 
 さらに言うオジョでした。
「空を飛べる鉄道もあるしね」
「それってまさか」
 恵梨香はそのお話を聞いて目を丸くして言いました。
「銀河鉄道ですか」
「そうだよ」
 まさにとです、オジョは恵梨香に笑顔で答えました。
「あの鉄道だよ」
「あの鉄道もあるんですね」
「オズの国だからね」
「うわ、あの鉄道まであるなんて」
 カルロスも目を丸くして言います。
「凄いですね」
「流石オズの国ですよ」
 ジョージも驚きを隠せないでいます。
「夜空を飛んで進める鉄道なんて」
「オズの国ならって思っていましたけれど」
 ナターシャも信じられないというお顔です。
「あるんですね」
「だからそちらでの旅も楽しめるから」
 オジョは子供達にあらためて言いました。
「いいね」
「はい、機会があれば」
「その時はですね」
「その列車に乗って」
「そうしてですね」
「旅を楽しめますね」
「それが出来るよ、オズの国の空は飛行船でも旅が出来て」 
 そしてというのです。
「鉄道でもね」
「出来ますね」
「お伽の国だから」
「だからですね」
「皆で、ですね」
「楽しめますね」
「そうだよ、ではその時を待とうね」
 笑顔でこう言ってでした。
 オジョは皆と一緒に橋を渡っていきます、そして橋を渡ったらです。皆の目の前に三人の人達がいました。
 一人はお猿さんで赤がかった金色の毛で赤い鎧と白い服を着ています。その手には如意棒があります。
 一人は豚さんのお顔に昔の中国の昔の服を着てでっぷりと太った人です、その手には九本の歯がある熊手の様な農具があります。
 一人は河童を思わせる外見の緑の中国の行者三の服を着ていてその手には宝杖があります。この人達を見てです。
 すぐにです、神宝達五人は言いました。
「孫悟空さんと猪八戒さんと沙悟浄さん」
「その人達じゃない」
「まさかと思ったけれど」
「ここでお会い出来るなんて」
「まさかね」
「お師匠様、お迎えにあがりました」
 孫悟空さんが玄奘さんに言ってきました。
「こちらまで」
「ここまでですか」
「はい、三人で」
「待っていてよかったのですよ」
 玄奘さんは孫悟空さんに申し訳なさそうに返しました。
「本当に」
「中華街で、ですか」
「そうしていて、といいますか」
「待っていてですか」
「迎えに来るなぞ恐縮です」
「いえいえ、そういう訳にはいきません」
「そうですよお師匠様」
 猪八戒さんも言います。
「それは」
「そうなのですか」
「わし等は充分遊びましたし」
「それならですぞ」
 沙悟浄さんも言います。
「遊ばせて頂いた恩に報いる為にも」
「それでおいら達はここまで来ました」
 孫悟空さんがまた言ってきました。
「こちらまで」
「そうなのですか」
「はい、それでなんですが」
 孫悟空さんはさらに言います。
「また大勢ですね」
「オズマ姫にビリーナさんにチクタクの旦那に」
「ボタン=ブライト君にオジョ君もいますな」
 猪八戒さんも沙悟浄さんも言います。
「それに関羽殿」
「赤兎馬まで一緒じゃないですか」
「そしてそっちの子供達がですね」
 孫悟空さんは神宝達を見て言いました。
「オズの名誉市民の」
「五人の子供達ですよ」
「そうですね」
「はじめまして」
 五人は息を合わせて孫悟空さん達に挨拶をしました。
「僕達がオズの名誉市民です」
「その五人の子供達です」
「宜しくお願いします」
「今はオズマ姫と一緒にいまして」
「冒険のお供をさせてもらっています」
「そうなんだな、あんた達のことは聞いていたけれどな」
 それでもとです、孫悟空さんは五人に応えて言いました。
「ここで会えるなんてな」
「そのことはですか」
「思っていなかったよ、おいらも」 
 こう神宝に答えます。
「こうした出会いもいいものだな」
「そうですよね」
「いや、玉龍も元気で何よりだよ」
 孫悟空はこうも言いました。
「本当にな」
「私はいつもこうですから」
「お師匠さんをちゃんとお守りしてたかい?」
「勿論ですよ」
「玉龍は今回も色々助けてくれました」
 玄奘さんがにこりとしてお話します。
「何かと」
「それは何よりですよ」
「そして貴方達が迎えに来てくれてです」
 玄奘さんは孫悟空さんにあらためてこう言いました。
「非常に嬉しいです」
「弟子として当然のことですよ」
「そう言ってくれることもです」
「嬉しいんですね」
「おいら達は」
「何か」
 神宝は明るく身振りを入れてお話をする孫悟空さんを見て言いました。
「孫悟空さんはお話通りの」
「おう、おいらはだな」
「明るい人ですね」
「もうお日様みたいに明るいだろ」
「あっ、そうですね」
「暗いのはな」
 それはというのです、孫悟空さんも。
「おいらは大の苦手でな」
「そうですよね」
「もういつもな」
 それこそというのです。
「この通りだよ」
「明るいんですね」
「そうなんだよ」
「兄貴の明るさはまた別格だよ」
 猪八戒さんはその孫悟空さんを見て笑って言いました。
「これまたな」
「左様、兄者の明るさは陽の気そのもの」
 沙悟浄さんもこう言います。
「これ程明るい御仁はおられぬ」
「おいらはオズの国一の根明かもな」
 こうまで言う孫悟空さんでした。
「本当に」
「そうかも知れないわね」 
 オズマもこう言います。
「孫悟空さんは」
「オズマ姫もそう思いますか」
「ええ、見ていたらね」
 こう孫悟空さんに答えます。
「本当に明るい人だから」
「もうおいらはくよくよしたりですよ」
「悩んだりはよね」
「根っから性分に合っていなくて」
 それでというのです。
「もういつも賑やかで」
「明るくね」
「そうしているのが大好きなんです」 
 こう言うのでした。
「何よりも」
「そうよね」
「まあやんちゃですけれどね、兄上は」
 玉龍はこう言いました。
「それもかなり」
「おう、天界で大暴れしたりな」
「あの時は大変なことになりましたし」
「それでお釈迦様にお仕置きされたな」
「五百年石に入れられましたね」
「それでそれが終わってな」
 その時からというのです。
「お師匠様に助けられて」
「それからでしたね」
「おう、天竺まで旅をしたんだよ」
「そうでしたね」
「いや、あれは大冒険だったな」
「そうでしたね」
「それで大暴れもしたな」
 その旅の時もというのです。
「何かと」
「というか兄上大暴れしかしてないですね」
「おいららしいだろ」
「それはそうですが」
「けれどオズの国だとな」
 この国ではどうかといいますと。
「暴れてないだろ」
「遊ぶだけですね」
「悪戯はしてもな」
 それでもというのです。
「そうだろ」
「そこは変わりましたね」
「ああ、それじゃあな」
「今からですね」
「中華街に行こうな」
 こう言うのでした。
「皆で」
「筋斗雲は使わないでいきましょう」
 オズマがにこりと笑って言いました。
「ここは」
「ずっと歩いてですね」
「ええ、中華街はもうすぐよね」
「そうですよ」
 孫悟空さんは笑顔で答えました。
「目と鼻の先です」
「それで、ですね」
「歩いての旅も面白いし」
「それじゃあ」
「歩いて行きましょう」
 中華街まで皆でというのです。
「そうしましょう」
「それでは」
 こうお話してでした、皆で中華街まで歩いていくのでした。孫悟空さん達も加えた一行はいよいよ中華街に入ろうとしていました。








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