『オズの木挽きの馬』




               第一幕  カドリングの牧場

 恵梨香達五人はまたオズの国に行きたくなって学園の青い渦からオズの国に来ていました、そうしてです。
 今はカドリングの国で遊んでいます、この国にあるテーマパークにいますが。
 一緒に遊んでいるモジャボロが五人にこう言ってきました。
「さて、お昼だからね」
「はい、お昼ご飯ですね」
「今からですね」
「遊びじゃなくてお昼ご飯を楽しむ」
「そうするんですね」
「これから」
「そうしようね、しかし君達今回はいきなりここに来たね」 
 テーマパークにとです、モジャボロは言いました。
「普段はまずは都に来るのに」
「そういえば最初は都に出ることが多いですね」
 恵梨香はモジャボロのその言葉に応えました。
「私達は」
「そうだね」
「けれどそれがですね」
「今回はここに来たね」
「何か私達が一番楽しめる様に」
「泉はオズの国の何処かに君達を出すね」
 こう言うのでした。
「泉も魔法のものだからね」
「そうしてくれるんですね」
「うん、オズの国は楽しむ為にある国だからね」
「私達が一番楽しめる様にですね」
「そうした場所に出してくれるんだ」
「そうなんですね」
「そしてそこにね」
 出て来たテーマパークにというのです。
「僕がいてね」
「弟さんもですね」
「そうだよ、そうしてね」
 そしてというのです。
「一緒にテーマパークで遊んで楽しんで」
「これからはですね」
「お昼ご飯を食べようね」
「わかりました」
 恵梨香はモジャボロの言葉に笑顔で頷きました。
「今から」
「レストランに行ってね」
 テーマパークの中にあるそちらにというのです。
「食べようね」
「それで何を食べますか?」
「うん、このテーマパークには色々なお店があるけれど」
 その中でもというのです。
「ここはお好み焼きがいいかな」
「お好み焼きですか」
「それを食べてね」
 そしてというのです。
「楽しもうね」
「わかりました」
「お好み焼きもいいよね」
 モジャボロはお好み焼きについてもお話しました。
「美味しいよね」
「そうですよね」
「中に色々なものが入れられてね」
「おソースとマヨネーズを上にたっぷりと塗って」
「さらに鰹節や青海苔や紅生姜もかけてね」
「本当に美味しいですね」
「そんなことを言っていたら余計に食べたくなったよ」
 こうも言うモジャボロでした。
「本当に」
「それじゃあ」
「うん、今からね」
「お好み焼きを食べにですね」
「お好み焼き屋さんに行こうか」
「そうしましょう」
「弟も呼んでね」
 こう言ってでした。
 モジャボロは携帯で弟さんを呼んでです。 
 恵梨香達五人を連れてそうしてでした、皆で一緒にお好み焼き屋さんに入りました。そうして皆それぞれお好み焼きを注文してです。
 鉄板の上で焼いたそれを食べます、そこの自分の豚玉を食べてモジャボロはほくほくと笑って言いました。
「暫く振りに食べたけれど」
「美味しいね」
「全くだよ」 
 自分の隣の席で肉玉を食べている弟さんに応えました。
「こんな美味しいものも日本にあるんだね」
「そうだね」
「これが美味しくて」
 それでというのです。
「あと二枚は食べたいね」
「そうだね」
「このお好み焼き凄く大きいですが」
 ジョージはいか玉を食べつつモジャボロに尋ねました。
「あと二枚ですか」
「モジャボロさんはよく召し上がられますね」
 神宝はえび玉を食べながら言いました。
「やっぱり大人だからですね」
「僕達は一枚で充分かな」
 カルロスは豚玉を食べています。
「これだけ大きいと」
「そうね」
 ナターシャは肉玉を食べつつ言います、五人共お箸とへらを上手に使ってそのうえで美味しく食べています。
「これは」
「ただ。お好み焼きの後は」
 恵梨香は今は豚玉を食べています。
「焼きそばもね」
「うん、勿論焼きそばも食べるよ」
 モジャボロは笑顔で応えました。
「お好み焼きも食べてね」
「そちらもですか」
「やっぱりね」
 何といってもというのです。
「焼きそばも忘れてはいけないよ」
「そうなんですね」
「そしてお酒もね」
 モジャボロはジョッキでお酒も飲んでいます、このことは弟さんもです。二人共泡が出ているそちらも楽しんでいます。
「飲まないとね」
「そうだよね」
 弟さんが応えました。
「お好み焼きってお酒にも合うからね」
「特にこうして泡が出るね」
「そのお酒が合うね」
「そうだね」
「そのお酒何ですか?」
 恵梨香はモジャボロに尋ねました、五人は今はコーラやサイダーを飲んでいます。
「ビールじゃないですね」
「カドリングのビールは基本赤いね」
「そうですね」
「赤くてもはっきりした赤じゃないね」
「何か林檎ジュースに近いですね」
「これは林檎酒なんだ」
 モジャボロは恵梨香に笑ってお話しました。
「実はね」
「林檎酒ですか」
「そう、シードルだよ」
 このお酒だというのです。
「そのお酒を冷えた炭酸水で割ったね」
「そうしたお酒ですか」
「そしてこれがね」
「お好み焼きにも合いますか」
「そうなんだ」
 飲みながら言うのでした。
「これがね」
「そうなんですね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「僕は林檎が好きだからね」
 それでというのです。
「余計にね」
「いいんですね」
「林檎はそのまま食べてもいいけれど」
 そうしても美味しいけれどというのです。
「けれどね」
「それだけでなくてですか」
「お菓子にしても美味しいしジュースにしてもで」
「お酒にしてもですね」
「美味しいね」
 そうだというのです。
「本当にね」
「だからですね」
「こうしてね」
 ジョッキの中のよく冷えたそのお酒をごくごくと飲んで言いました。
「今も飲んでいるんだ」
「お好み焼きと一緒に」
「そしてデザートだけれど」
 最後のそれはといいますと。
「アイスクリームはどうかな」
「アイスクリームですか」
「そう、デザートはね」
「若しかして」
 恵梨香はアイスクリームと聞いてモジャボロに尋ねました。
「そのアイスクリームも」
「このお店はアイスもあってね」
 それでというのです。
「その中には林檎のものもね」
「あるんですね」
「そうなんだ」
「じゃあモジャボロさんはですね」
「アイスもね」
 こちらもというのです。
「林檎だよ」
「そうなんですね」
「バニラもいいけれど」
 それだけでなくというのです。
「そちらもね」
「その林檎のお菓子ですね」
「それを食べようね」
「わかりました、ただ」
「ただ?」
「あの、お好み焼きと焼きそばを食べて」
 そしてというのです。
「アイスの前に」
「何を食べるのかな」
「このお店たこ焼きもありますから」
 だからだというのです。
「そちらも」
「ああ、いいね」
 モジャボロはたこ焼きと聞いて目を輝かせて応えました。
「というかね」
「たこ焼きをですか」
「忘れていたよ」
 そうだったというのです。
「僕は」
「そうでしたか」
「だからね」
 それでというのです。
「ここはね」
「是非ですね」
「そちらも食べよう」
「それじゃあ」
「よくそこで言ってくれたね」
 たこ焼きのことをというのです。
「たこ焼きも美味しいからね」
「時々物凄く食べたくなりますよね」
「そうした食べものだね」
「はい、ですから」
「今だね」
「たこ焼きも食べましょう」
 こう言ってでした、皆実際にです。
 お好み焼きに焼きそばを食べてたこ焼きも食べました、そしてその後でアイスクリームも食べてでした。
 皆お腹一杯になってお店を出ました、その後はお化け屋敷やジェットコースターも楽しみました。そしてジェットコースターを降りた時にです。
 そこにガラスの猫と木挽きの馬がいました、そうして猫が言ってきました。
「これからグリンダのお城に行かない?」
「グリンダさんの?」
「そう、あの人のお城にね」
 こう恵梨香に言いました。
「行かない?」
「それはどうしてなの?」
「実は私たちこれから用事があるのよ」
「グリンダ様に」
「そうなの、それであんた達がオズの国に来ているって聞いて」
 それでというのです。
「途中に寄ったのよ」
「グリンダ様のお城に行くまでに」
「それでここに来たのよ」
「そうだったのね」
「オズマからお話を聞いてね」
「じゃあ貴方達は都から来たのね」
「そうよ、グリンダに牧場まで行って欲しいの」
 ガラスの猫はさらに言いました。
「これからね」
「そのことを伝えになのね」
「これからグリンダのところに行くの」
「そうなのね」
「それでどうなの?」
 ガラスの猫は恵梨香達に尋ねました。
「これから」
「私達もなのね」
「一緒に来る?」
「私達は別に」
 恵梨香は五人を代表して言いました。
「ここで遊ぶことはしていても」
「それでもなのね」
「これから予定はないから」
「じゃあいいわね」
「ええ、グリンダさんとも最近お会いしていないし」
「それじゃあね」
 こうして恵梨香達も同行することになりました、そして木挽きの馬はモジャボロ達に対して尋ねました。
「それでだけれど」
「僕達もだね」
「二人も予定あるかな」
「ないんだ、これがね」
 木挽きの馬に笑って答えました。
「僕達もね」
「そうなんだ」
「それで今度は別の場所に行ってね」
「楽しむつもりだね」
「そう考えているけれど」
「だったらね」
 木挽きの馬はモジャボロに提案しました。
「僕達と一緒にね」
「グリンダさんのところに行けばいいね」
「そうしたらどうかな」
「うん、最近あの人のお城にも行ってないしね」
「いい機会だね」
「それじゃあね」
「君達もね」
「一緒に行こうね」
 こうしてモジャボロも弟さんもでした。
 一緒に行くことにしました、そうしたお話をしてです。
 一行はグリンダのお城に行くことになりました、そのことを決めてからです。木挽きの馬は皆に言いました。
「出発は明日にしてね」
「それでなのね」
「うん、今日はここで遊ぼうか」
「急がなくていいの」
「そうオズマ姫に言われているからね」
 だからだというのです。
「別に急がないんだ」
「そうなの」
「ただ君達に会う為にここにはね」
「急いできたのね」
「そうしたんだ」
「私が木挽きの馬の背中に乗ってね」
 ガラスの猫も言います。
「それでなのよ」
「一緒に来たのね」
「そうなの」 
 これがというのです。
「あんた達にお誘いもかけたくてね」
「私達が来たから」
「そう、それでここに来たからには」
 テーマパークにというのです。
「私達もね」
「楽しみたいのね」
「折角テーマパークに来たのよ」
「そうね、それじゃあね」
「今日はたっぷり楽しみましょう」
「皆でね」
「さて、私はね」
 ガラスの猫は早速言いました。
「まずはメリーゴーランドにね」
「行くのね」
「そうしたいわ」
「じゃあ次はそこに行きましょう」
 笑顔で、です。恵梨香はガラスの猫に応えました。
「いいわね」
「わかったわ、それじゃあね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「このテーマパークは夜もやっているから」
「夜も楽しむのね」
「そうしたいわ、私は寝ることもしないしね」
 このこともあってというのです。
「もう一晩中ね」
「楽しむの」
「そうするわ、木挽きの馬と一緒にね」
 そうするというのです。
「是非ね」
「そうした時寝ないでいられることはいいことね」
「ええ、休む必要もないから」
 そうした身体だからだというのです。
「それでね」
「じっくりなのね」
「楽しむわ」
 一晩中そうしてというのです。
「一緒にね」
「そうなのね」
「あんた達はそうはしないでしょ」
「ええ、もうホテルに入って」
 そうしてというのです。
「それでね」
「休むわね」
「晩ご飯食べてお風呂に入って」
「そうしてよね」
「休むわ」
「そうね、けれど私達はね」
 寝る必要も休む必要もなくてというのです。
「そうするわね」
「一晩中遊ぶのね」
「そうするわよ」
「今から楽しみだよ」
 木挽きの馬も言ってきました。
「ガラスの猫と一緒に色々な場所を巡ることがね」
「それはいいことね、じゃあまた明日ね」
「うん、朝にね」
「合いましょう」
「それじゃあね」
 こうお話してでした。
 恵梨香達はモジャボロと一緒にホテルに入って今度はそちらを楽しみました、そうしてその次の日の朝です。
 朝ご飯を食べながら木挽きの馬のお話を聞きました、馬はガラスの猫と一緒に昨夜のことをお話しました。
 そのお話を聞いてです、恵梨香は朝食のサンドイッチを食べながら言いました。
「本当に色々なところ行ったのね」
「うん、テーマパークのね」 
 馬は恵梨香に答えました。
「そうしたよ」
「そうよね」
「もう行っていないところはないかな」
「あのテーマパークオールナイトでしょ」
 ガラスの猫はこのことを言いました。
「だから私達以外にもよ」
「遊んでいる人がいたのね」
「それも結構ね」
 そうだったというのです。
「夜の間ずっと楽しんでいたわ」
「夜のテーマパークね」
「こちらもいいものよ」
 ガラスの猫は恵梨香に笑ってお話しました。
「本当にね」
「そうなのね」
「観覧車もライトアップされて」
「それは奇麗ね」
「見てみたらいいわよ」
「ホテルのお部屋の窓からよね」
「観覧車が色々な色の光で光ってよ」
 そしてというのです。
「とても奇麗にね」
「回ってるのね」
「他の場所もライトアップされてね」
「奇麗なのね」
「そうよ、あちらもよかったわよ」
「僕達は完全に昼型だからね」
 モジャボロは四つに切られた林檎を食べながら言いました、赤い皮はそのままで皮の味も楽しんでいます。
「だから夜が来るとね」
「すぐに休むわよね」
「そして日の出と共に起きているね」
「だからよね」
「夜に遊ぶことは」
 そうしたことはというのです。
「ないよ」
「夜は寝る時間ね」
「僕達はね」
「昨晩はホテルに帰るとまずは皆でプールで泳いで」
 弟さんが言いました。
「ホテルの中の」
「そうして遊んだね」
「そして」
 弟さんはお兄さんに応えつつ言います。
「その後はプールサイドでディナーを食べたね」
「あれも美味しかったね」
「そうだったね、それでお風呂に入って」
 そしてというのです。
「皆寝たね」
「そうだったね」
「それで夜の間はぐっすり寝て」
「日の出と共に起きたね」
「そして今こうして朝ご飯を食べているよ」
 弟さんはオムレツを食べつつ言いました。
「美味しくね」
「そうだね」
「それでこれからまた楽しむけれど」
「夜はね」
「本当にぐっすり寝ているね」
「昨日もね」
「それがだよ」
 木挽きの馬が二人に言いました、、九人用の円卓にちゃんと二人の席もあってそこでお話しています。
「夜に遊んでもね」
「いいんだね」
「そうだったんだ」
「ううん、そのことはね」
 モジャボロは林檎の次は洋梨を食べて言いました。
「僕達はね」
「夜は本当にいつも寝ているから」
「遊ぶことはないね」
「そうだね」
「というかですね」 
 ジョージはソーセージを食べながら言いました。
「オズの国でも夜に遊ぶ人いるんですね」
「僕達が知っているオズの人達皆朝型ですから」
 神宝はハムを食べています。
「夜は皆さん休んでおられますので」
「確かに木挽きの馬やガラスの猫は寝ないですけれど」
 ナターシャは目玉焼きを食べつつ言います。
「寝る必要のある人はどの人も朝型ですよね」
「ドロシーさんなんか夜はいつもぐっすり寝ていて」
 カルロスは茹で卵を食べています、見事な半熟です。
「日の出と共に目を覚ましますし」
「だからオズの国には色々な人がいるからね」
 木挽きの馬が四人に言いました。
「だからだよ」
「夜に動く人もいるのね」
「妖怪や妖精には多いよ」 
 馬はサラダを食べている恵梨香にお話しました。
「オズの国ではね」
「ああ、オズの国は妖怪も妖精も沢山住んでいるから」
「その中で夜型の人も多いからね」
「だからなのね」
「そうした人達がね」
「夜に遊んでいるのね」
「そうなんだ」
 まさにというのです。
「日本の妖怪も多いよ」
「そうなのね」
「そういうことだよ、これでわかったかな」
「ええ、よくね」
 恵梨香は木挽きの馬に笑顔で答えました。
「教えてくれて有り難う」
「そういうことでね、それとね」
「それと?」
「今朝から出発するんだよね」
「あっ、グリンダさんのお城まで」
「そうだよね」 
 恵梨香にこのことを尋ねました。
「これから」
「ええ、グリンダさんにも久し振りにお会い出来るし」
「じゃあね」
「一緒に行こうね」
「これからね」
「行こう、あの人のお城はこのテーマパークから近いしね」
 このこともあってというのです。
「これから行こうね」
「食べ終わったら」
「そうしたらね」 
 是非にというのです、こうお話してです。
 皆は食べ終わるとすぐにグリンダのお城に向けて出発しました、モジャボロはテーマパークを出てお城までの黄色い煉瓦の道を歩きつつ恵梨香達五人に言いました。
「君達と一緒にこうして歩くこともね」
「久し振りですね」
「そういえば暫くなかったですね」
「モジャボロさんとご一緒することは」
「オズの国ではいつも冒険していても」
「それでも」
「そうだったね、けれどこれも縁だから」
 それでというのです。
「お城まで楽しく歩いていこうね」
「そうしましょう」
「お城まで」
「それじゃあ行きましょう」
「グリンダさんのお城まで一緒に」
「皆で歩いていきましょう」
「是非ね、君達ともね」
 モジャボロは木挽きの馬とガラスの猫にも声をかけました。
「一緒に行こうね」
「そうしようね、じゃあね」
「これからだね」
「お城まで歩こうね」
 馬はモジャボロに上機嫌で言葉を返しました。
「楽しく」
「景色を楽しみながら」
「そうしていこうね」
「カドリングの中にいると」
 モジャボロはこうも言いました。
「草原も森林も赤でね」
「カドリングの赤一色でね」
「その赤も楽しめるしね」
「見てだね」
「存分にね」
「楽しめるものが多いね」
「本当にね」
 笑顔でお話します、そしてです。
 モジャボロは煉瓦の道の横を流れている小川を見ました、そこは普通の小川で透き通ったお水が流れていますが。
 そこに紅葉の赤い葉が次から次に流れていて目を細めました。
「何でもないものでもね」
「奇麗ですよね」
 恵梨香もその川と紅葉を見て言います。
「和歌みたいね」
「ああ、日本の詩だね」
「はい、それみたいに」
「そうだね、和歌では紅葉も歌うね」
「川を流れる紅葉の葉を」
「この風景はまさに和歌なんだね」
 モジャボロはしみじみとして言いました。
「そうなんだね」
「和歌ですと山の中の川を歌っています」
「へえ、それはいいね」
「和歌は自然の美しさもよく歌いますので」
「それでだね」
「この前学校の授業で習ったばかりですが」
 それでもというのです。
「先生に教えてもらってです」
「頭に入ったんだね」
「そのことが」
「そうなんだね、自然を奇麗に歌うんだね」
「そして恋愛も」
 こちらもというのです。
「そうしています」
「それが日本の和歌だね」
「短冊に筆で書きますと」 
 その和歌をというのです。
「本格的ですね」
「うん、何か日本ってね」
 モジャボロはこうも言いました。
「本当に独特のものがあるね」
「そうした国ですか」
「うん、いつも思うよ」
「というかオズの国と同じ位不思議な国だよ」
 こう言ったのは木挽木の馬でした。
「聞けば聞く程こう思うよ」
「そうなのね」
「だって和歌もあればお侍も忍者もいるじゃない」
「忍者ね」
「オズの国には忍者もいるけれど」 
 この人達もというのです。
「とても不思議で恰好いい人達だよ」
「何ていうか奇天烈で痛快で」
 ガラスの猫は忍者についてこう言いました。
「凄い人達よ」
「忍者って外国の人達から大人気なのよね」
 恵梨香はガラスの猫にも答えました。
「何かと」
「だって恰好いいから」
「あの忍者装束もね」
「身のこなしは凄くて」
「忍術も使えるからよ」
 ジョージ達四人は恵梨香に笑顔でお話しました。
「忍者の道具もそれも恰好いいし」
「素早くて隠れることが上手」
「そして着実に仕事をこなす」
「身体能力も凄いし」
「まあ実際は忍者って戦うことはしなくて」
 皆が言う様にというのです。
「隠れることが多かったのよ」
「そうだよね、実は」
「五遁の術を使ってね」
「あらゆるところに隠れる」
「それが忍者の本質よね」
「だからね」
 それでというのです。
「実際は痛快でもないけれど」
「オズの国の忍者は痛快だから」
 木挽きの馬はそこはと言いました。
「忍術もね」
「そうなの」
「魔法みたいだからね」
「けれど魔法じゃないわよ」
 恵梨香はそこはと答えました。
「忍術はね」
「全部道具を使ったりするね」
「それと体術だから」
「魔法じゃないね」
「そうよ」
 木挽きの馬にこのことをお話しました。
「一見すると魔法みたいに不思議でも」
「それか超能力みたいな」
「そうしたね」
 まさにというのです。
「不思議な術に見えてもよ」
「実は違うんだね」
「そうなのよ」
「分身の術とかもなのね」
「オズの国の忍者の人達って分身の術使えるよ」
「姿を消すこともね」
 こうしたこともというのです。
「出来るわ、実体はあるけれど」
「それは素早く動いたり隠れたりして」
「うん、そうしてね」
「やっぱりそうね、忍者は本当に魔法じゃないから」
「仙術でも妖術でもないのね」
「ええ、ああした術は」
 本当にというのです。
「漫画とか小説とかゲームのね」
「そうした世界のお話なんだ」
「ええ、蝦蟇を出したりとかも」
「オズの国には大蝦蟇もいるよ」
「そうなの」
「それを従えることはしているよ」
 これは出来るというのです。
「オズの国の忍者の人達は」
「それは日本の忍者は本当はね」
「あれはオズの国の忍者が出来ることなんだ」
「漫画や小説の忍者は蝦蟇を出して動かしたり変身出来るけれど」
「実際にはだね」
「出来ないから」
 そうしたことはというのです。
「あれはもう妖術よ」
「妖術と忍術は本当に違う」
「そうなのよ」
「私は似たものと思っていたわよ」
 ガラスの猫は恵梨香にお話しました。
「実はね」
「そう思う人多いから」
「日本以外の国の人達は」
「忍者を魔術師や妖術使いや仙人や超能力者みたいにね」
「思うのね」
「それで私達に聞いてくるの」
 日本人にというのです。
「忍者はどうしてああしたことが出来るのかって」
「僕達も最初はそう思っていたよ」
「忍者ってどうしてあんなことが出来るのかって」
「本当に魔法使いみたいに思っていたわ」
「それか超能力者かってね」
 ジョージ達四人も恵梨香に言います。
「本当に思っていたから」
「不思議で強くてね」
「しかも恰好いい」
「最高のヒーローだって」
「そこは本当に違うから。確かに恰好いいけれど」
 恵梨香もこう言います。
「けれどね」
「忍者も人間だね」
「あくまで」
「魔法や妖術は使わない」
「仙術も超能力も」
「そうした不思議なものは一切ないの」
 このことは絶対にと言い切った恵梨香でした。
「忍者には」
「忍者の道具に秘密がある」
 モジャボロが笑顔で言ってきました。
「訓練とだね」
「毎日跳んで走って泳いで隠れてです」
「そうした訓練をしてだね」
「色々工夫した忍者道具を作って」
「そうして忍術を使っているね」
「そうなんです」
 忍者の忍術はというのです。
「それが忍術なんです」
「そういうことだね」
「そうです、壁を登っていくのも」
 このこともというのです。
「鉤爪を使ったり石垣の隙間に指を入れて」
「そうして登っていくね」
「そうしています」
「まさに道具と体術だね」
「そうしたものを使っています」
「そうだね」
「言うなら忍者は努力して工夫して」
 そうしたことをしてというのです。
「術を使う人達です」
「そうだね、けれどここはオズの国だから」
 それ故にというのです。
「普通にね」
「不思議な忍術もですね」
「使えるよ、ただ魔法とはね」
「全く違いますね」
「魔法だったら」
 それならというのです。
「本当にね」
「オズマ姫が認めた人でないと使えないですね」
「法律で定めたね、言うなら免許制だから」
 オズの国で魔法を使える様になることはというのです。
「そしてこれは今では妖術とか仙術とかね」
「そうした力もですね」
「超能力もね、そして忍術もね」
「使うにはですか」
「免許が必要なんだ」
「そうですか」
「誰でもみだりに使ったらね」
 そうしたらというのです。
「よくないからね」
「ノーム王みたいな人が出ますね」
「かつてのあの人は本当に色々やったからね」
「大変なことになりかねなかったですね」
「だからね」
「魔法や他の力はですね」
「免許制になっているよ」
 そうなっているというのです。
「だから忍者の人達もね」
「忍術を使えるにはですね」
「しっかりとね」
「免許がないとですね」
「出来ないんだ」
「そうなんですね」
「オズマ姫が直接出しているからね」
 オズの国家元首であるこの人がというのです。
「だからね」
「オズマ姫に認めてもらえるとですね」
「忍術も使えるよ」
「じゃあオズの国の忍者の人達も」
「皆ね」
「オズマ姫に認めてもらった人達ですか」
「それで信頼出来るんだ」
 確かな人達と、というのです。
「そうなんだよ」
「そうですか」
「そして皆が知っている人達もいるかな」
「オズの国の忍者の人達には」
「うん、特に日本人君はね」
「というと」
 恵梨香はモジャボロのそのお話を聞いて言いました。
「真田十勇士とか服部半蔵とか」
「すぐに名前が出て来たね」
「有名ですから」
 それでというのです。
「私もです」
「知っているんだね」
「はい」
 実際にというのです。
「そうなんです」
「その忍者の人達についてだね」
「オズの国は外の世界にいた夢のある人達が集まる国でもありますね」
「そうだよ」
「だったら」
 それならというのです。
「こうした人達も」
「そのこともお会いしたらね」
「その人達にですね」
「その時にわかるよ」
「楽しみになってきました」
 恵梨香は実際に目を輝かせて言いました。
「何か」
「そうだね、ではね」
「忍者の方々にお会いしたら」
「その時はね」
「どういった人達がいて」
「そしてどんな忍術を使うか」
「楽しみにしています」
 恵梨香はにこりと笑って言いました。
「その時が来ることを」
「それではね」
「はい、一緒に」
「行きましょう」
 こう話してそうしてでした。
 皆はグリンダのお城に向かいました、この時皆はまだグリンダのお城に行くだけだと思っていました。ですがここから大きな冒険になるのでした。








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