『オズのジンジャー将軍』




                第七幕  果樹園の豊かな自然

 オズマも果樹園そして田畑のお仕事を手伝います、オズマの動きはとても速くててきぱきとしていてです。
 ジンジャー将軍も驚いて言いました。
「これはもう本職の私達以上に」
「素晴らしいね」 
 ご主人も言いました。
「本当に」
「そうよね」
「うん、基本エメラルドの都におられて」
「それでね」
 そうだからというのです。
「こうしたことは馴染みがないと思っていたけれど」
「いや、ここまでとは」
「私達も驚きよ」
「全くだね」
「都でもよく宮殿の果樹園に皆で行って収穫して遊んでるの」
 オズマは将軍とご主人ににこりと笑って答えました。
「蜜柑狩りとか苺狩りとかあるわね」
「そうそう、楽しんでね」
 ドロシーも言ってきました。
「皆でね」
「だからこうしたこともね」
 果樹園のお仕事もというのです。
「私も経験があって」
「それで、ですか」
「慣れていますか」
「そうなの、そしてね」
 オズマは将軍とご主人ににこりと笑って答えました。
「楽しんでね」
「されていますか」
「そうですか」
「ええ、好きで楽しんでいると」
 それならというのです。
「上手になるから」
「そうだね、嫌いだとね」
「やっぱり動きも悪くなるしね」
 かかしと樵も言いました。
「嫌々するから」
「楽しんでなくてね」
「オズの国にはそんなことはなくても」
「やっぱりそうなるね」
「うん、いつも楽しんでしていることなら」
 それならとです、臆病ライオンも言います。
「自然と上手だね」
「そうだね」
「僕達にしてもそうだし」
「オズマが果樹園のお仕事が上手なのもね」
「当然だね」
「私だってそうよ」 
 ビリーナは自分のことを言いました。
「草刈りとか小石をどけることはね」
「得意だね、君は」
「そうしたことをいつもしているしね」
「地面を見てね」
 かかしと樵、臆病ライオンがビリーナに応えました。
「そうしているからね」
「その嘴と爪で草を刈って」
「そして小石もどけるね」
「そうしているわ、あとね」
 ビリーナはさらに言いました。
「この果樹園自然が豊かね」
「そうだよね」
 カルロスはビリーナのその言葉に頷きました。
「足元を見るとね」
「虫が沢山いるわね」
「色々な種類のね」
 ビリーナはカルロスに応えました。
「そうでしょ」
「そして木を見ても」
 果物やお菓子のです。
「虫や鳥がいて」
「果物やお菓子は食べないけれど」
「それでもね」
「沢山いるわね」
「お池にはお魚が沢山いるし」
 神宝はこちらのお話をしました。
「あそこもいいよね」
「そうそう、水鳥もいて」
 ジョージは彼等のことをお話します。
「賑やかだね」
「ただ果物やお菓子があるだけでなくて」
 それでとです、恵梨香は言いました。
「自然も豊かよね」
「そう思うといい場所ね」
 ナターシャは今自分達がいるお外のテーブルがある場所から周りを見回してそのうえでお話をします。
「将軍の果樹園は」
「うん、僕もこの場所好きになったよ」
 トトはドロシーの足下から言ってきました。
「本当にね」
「はい、ですから僕達もいつも楽しく過ごしています」
 ワインもこの場にいます、テーブルの上に丸くなったうえでの言葉です。
「自然を楽しむ意味でも」
「自然が豊かですといいですよね」
 シュガーも上機嫌です。
「それだけで」
「何もないとやっぱり寂しいですよね」
 メイプルはこう言いました。
「そうですと」
「ですがここはこうして色々な木や畑があって」
 そしてとです、杏仁は笑顔でお話しました。
「色々な生きものがいますから」
「本当にいい場所ですよ」 
 レモンの尻尾はぱたぱたと動いています。
「ここは」
「だから私達もいつも楽しく過ごしています」
 ビスケットはお皿に山盛りのチョコレートを食べながら言いました。
「こうして」
「お菓子や果物も美味しくて」
 桜は梨を食べています。
「そうした場所ですから」
「それに好きなだけ動き回れるんですよ」 
 ふわりは今も小さな尻尾をぴこぴことさせています。
「こんないい場所ないですよ」
「あとです」
 最後に言ったのはサフランでした。
「好きなだけ寝られることもいいですね」
「ううん、君達も快適なんだね」
 カルロスは犬や猫達のお話も聞いて思いました。
「そうなんだね」
「そのことがよくわかるわ。ここにいたら」
 オズマはにこりとして言いました。
「凄い解放感だから」
「そうですおね、森の中にいる様な」
「そんな風でね」
「はい、凄く快適です」
 カルロスはオズマに答えました。
「本当に」
「こうした場所で楽しんで働ける」
「そのことはですね」
「最高のことの一つよ」
「最高の、ですか」
「最高は一つとは限らないわ」
 オズマはカルロスに笑顔でお話しました。
「数えきれないだけの種類があるから」
「だからですか」
「将軍の果樹園についてもね」
 こちらもというのです。
「そうなのよ」
「最高のうちの一つですか」
「そうなるのよ」
「そうですか」
「だから私もね」
 オズマもというのです。
「楽しく働けているわ」
「それでそのことからもですか」
「動けていると思うわ」
「経験に加えて好きなこともあって」
「環境もね」 
 このこともというのです。
「影響しているわ」
「そうなんですね」
「そう、だからこれからもね」
「楽しくですね」
「働かせてもらうわ」
「性分とご主人のご家族が来られるまで」
「それまでね」
 是非にというのです。
「私もね」
「そうですか。それじゃあ僕達も」
「そうしましょう」
「是非。あとですが」
 カルロスはクルミを食べつつ言いました。
「今ワンちゃん達の中にはチョコレート食べてる子もいますね」
「それがどうかしたのかな」 
 その犬のトトが応えました。
「別にね」
「おかしくないかな」
「うん、そうじゃないのかな」
「いや、外の世界だとね」 
 カルロスはそちらのことからお話しました。
「犬はチョコレートとかお酒は駄目なんだ」
「そうだったんだ」
「どちらも口にしたら大変だよ」
「それは僕も知らなかったよ」
「あとライオンも」
 今度は梨や桃それにオレンジ等を食べている臆病ライオンを見ました、見れば物凄く美味しそうに食べています。
「果物はね」
「僕甘いものも好きだよ」
 臆病ライオンもカルロスに言ってきました。
「そちらもね」
「だから果物好きだね」
「お菓子もね」
 こちらもというのです。
「そうだよ」
「ううん、何で食べてもいいのかな」
「だってここはオズの国だよ」
 かかしが笑顔で言ってきました。
「お伽の国だから」
「それで、ですか」
「そう、犬がチョコレートを食べても平気なんだ」
「お酒を飲んでもですか」
「そうだよ」
「むしろ皆楽しんで食べて飲んでいるよ」 
 樵もカルロスにお話しました。
「そうしているよ」
「そうなんですか」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「カルロスも心配しなくていいよ」
「ここがオズの国だからですね」
「お伽の国だから」
 それ故にというのです。
「そうしたことも普通だよ」
「実際僕達チョコレート好きですよ」
「時々お酒も飲ませてもらっています」
「あとお料理で玉葱やお葱も食べます」
「そうしたものも大丈夫です」
「お伽の国だと」
 それならとです、カルロスも思いました。
「やっぱり」
「はい、そうです」
「普通にどれも食べて飲めます」
「外の世界はわからないですが」
「そうしたものです」
「オズの国は」
「そうなんだね、じゃあね」
 それならとです、カルロスは頷きました。
 そうして自分もチョコレートを食べて言いました。
「皆が美味しいものを食べられるなら」
「それは凄くいいことね」
「はい」
 将軍にも答えました。
「本当に」
「そうでしょ。だから私もね」
 将軍もというのです。
「皆となのよ」
「お菓子もですか」
「食べているのよ」
「果物も」
「そうなの。あとお野菜もね」
 こちらもというのです。
「私のお家の畑では甘いものばかりでしょ」
「はい、西瓜とか苺とか」
「そちらはどうかしら」
「物凄く美味しいです」
 畑のお野菜もとです、カルロスは答えました。
「本当に」
「今西瓜食べてますけれど」
「美味しいです」
「みずみずしくて凄く甘くて」
「最高の林檎です」
「マンチキンの西瓜ですね」
 カルロスはその青い西瓜を見て言いました。
「これは」
「ええ、外は青と黒でね」
「緑と黒でなくで」
「そして中身もね」
「青ですね」
「その青いマンチキンの西瓜も」
 これもというのです。
「凄くね」
「美味しいんですね」
「私達が手にかけて作ってるから」
 それでというのです。
「美味しいのよ」
「そういうことですね」
「他のお野菜は耕していないけれど」
 将軍のお家ではです。
「甘いものはね」
「そうしていますね」
「だから西瓜があって」
「苺もですね」
「そうなのよ」
「そうですか、あとパイナップルもありますね」
 カルロスはこちらのお野菜のお話も出しました。
「そうですね」
「甘いからね」
「だからですね」
「そう、私もうちの人も甘いもの大好きだから」
「作ってですか」
「食べて楽しんでいるのよ」
 そうしているというのです。
「本当に」
「そうですか」
「ええ、西瓜もね」
 このお野菜もというのです。
「それで作ってね」
「食べて」
「楽しんでいるわ、しかしね」
「しかし?」
「私マンチキンの西瓜は知っているけれど」
 この国の西瓜はというのです。
「実は他の国の西瓜はね」
「ご存知ないですか」
「そうなの」
 実際にというのです。
「ウィンキーとかギリキンの西瓜はね」
「カドリングの西瓜もですか」
「そうなの」
 それはというのです。
「エメラルドの都の西瓜もね」
「それぞれの西瓜で色が違うのは」
 カルロスも言いました。
「らしいですね」
「オズの国らしいでしょ」
「はい、この西瓜は」
 今食べている西瓜を見て言いました。
「奇麗なコバルトブルーですね」
「そうでしょ」
「はい、この西瓜がですね」
「マンチキンの西瓜なのよ」
「そういうことですね」
「そう、それとね」
 将軍はカルロスに自分も西瓜を食べながらこうも言いました。
「甘さはどうかしら」
「凄く食べやすい甘さです」
「そうなのね」
「西瓜の甘さですね」
「それは何よりよ。最近西瓜作りにも力を入れていて」
 そうしてというのです。
「美味しくなる様に作っているから」
「だからですね」
「美味しいならね」
「将軍も嬉しいですか」
「ええ。それで今のおやつの後は西瓜を収穫するけれど」 
 それでもというのです。
「皆でしましょう」
「わかりました」
 カルロスは笑顔で応えてでした。
 おやつを食べた後は皆で西瓜畑に行ってそのうえで収穫にあたりました、そして実際に収穫にあたっているとです。
 ふとカルロスは畑の横にモグラがお顔を出していることに気付きました、それで思わず皆に言いました。
「あそこにモグラがいるよ」
「あっ、お顔出してるね」
「そうしているね」
「それで私達の方を見ているわね」
「何をしているかって興味あるみたいよ」
 神宝達四人も応えました。
「どうやらね」
「畑仕事を見ていて面白いのかしら」
「それで見ているのかな」
「わざわざお顔を出して」
「あんたどうしたの?」
 ビリーナがモグラのところに来て尋ねました。
「一体」
「あっ、何でもないよ」
 モグラは自分のところに来たビリーナに答えました。
「ただ穴を掘っていたらね」
「そうしていたらなの」
「たまたまここに出ただけで」
「特に何もないのね」
「そうだよ、だから気にしなくていいよ」
「そうなのね」
「うん、それで君は確か」 
 モグラはビリーナを見てこう返しました。
「オズの国の鶏の女王の」
「ビリーナよ」
 ビリーナは胸を張って答えました。
「子沢山孫沢山のね」
「そうだったね」
「あんたも私のこと知ってるのね」
「うん、君はオズの国で有名人だからね」
「誰でも知ってるよ」
 今度はハリネズミが来て言ってきました。
「ここにいる人達のことはね」
「それじゃあ僕達のこともかな」
 カルロスは西瓜を両手に持って運びながらハリネズミに尋ねました。
「そうなのかな」
「うん、君達はオズの国の名誉市民の子達だよね」
「そうだよ」
 その通りだとです、カルロスは答えました。
「僕達はね」
「あんた達も有名人よ」
 ハチドリが来て言ってきました。
「オズの国で知らない人はいない位にね」
「そうだったんだね」
「ええ、そうよ」
 その通りだとです、ハチドリは答えました。
「本当にね」
「とはいっても君達に会ったのは今回がはじめてだよ」
 クロアシイタチも出てきました。
「僕達はね」
「そうなんだね」
「うん、実はね」
「いや、しかしね」
 今度はマツカサトカゲが言ってきました。
「君達と出会えて僕達も嬉しいよ」
「それは何よりだね。ただね」
 カルロスは次から次に出てきた生きもの達を見て言いました。
「君達も多彩だね」
「将軍のお家の果樹園は広くて自然も豊かだけれど」
 神宝も言いました。
「生きものも多彩だね」
「そうだね、これまでも沢山の生きものを見てきたけれど」
 ジョージはその彼等を見ています。
「今もこうして集まるからね」
「こうして見ると」
 今度はナターシャが言いました。
「本当に自然豊かな場所ね」
「ただ色々なお菓子や果物があるだけじゃないのね」
 恵梨香の口調はしみじみとしたものでした。
「生きものもこうして色々いるのね」
「柵は周りにしているけれどね」
 家の壁としてです、ご主人がお話してくれました。
「けれど小さい生きものが入る分にはね」
「いいんですね」
「そうなんですね」
「この子達が入ってきても」
「別にいいですか」
「柵はしていても」
「そうだよ、お菓子や果物を食べるには僕達の許可が必要だけれど」 
 ご主人達のお家のものだからです。
「それでも別に入るにはね」
「構わないですか」
「こうした小さな生きもの達は」
「別に構わなくて」
「それで、ですか」
「今もこうして皆いるんですね」
「そうなんだ、ただ犬達がパトロールをしているのは」
 それはどうしてかといいますと。
「収穫とね、食べたいならね」
「あっ、犬の皆も家族だから」
「それで、ですね」
「皆も許可を出す」
「そうするんですね」
「食べたいなら」
「うちのお菓子や果物は幾らでもあるから」
 量はかなりです、実際に。
「食べてもいいけれどね」
「やっぱりそうしたことはしっかりしませんと」
 ワインが見張り役の場所から言ってきました。
「よくないですからね」
「だからです」
 サフランも言ってきました。
「僕達もパトロールして皆に会って食べたいならどうぞって言ってます」
「うちのものですから私達の許可が必要ですが」
 それでもとです、ふわりも言いました。
「食べたいというなら絶対に出しますよ」
「オズの国で惜しむことはないですから」 
 桜もこう言います。
「だからです」
「本当に次から次に実りますからね」
 この果樹園のお菓子や果物はとです、ビスケットも言いました。
「ですから」
「好きなだけ食べていいんですよ」
 レモンは笑顔でお話しました。
「皆。ですが」
「その前に家族がいいと言ってから」
 杏仁も笑って言います。
「それからです」
「それなら幾らでもですから」
 メイプルは赤ちゃんの揺り篭の横から言いました、ちゃんとお守りもしています。
「私達に行って下さいです」
「駄目とは絶対に言わないですよ」 
 シュガーもこのことは保証します。
「食べたいものは断らない、皆で食べて楽しむのがオズの国ですからね」
「そう、充分にあるのなら皆で食べる」
 かかしも言ってきました、勿論彼も樵も頑張っています。
「楽しんでね」
「それがオズの国だからね」
 樵も言います。
「だから惜しむことはないんだよ、充分にあれば」
「そうだよね、だからさくらんぼだってね」
 トトはこの果物のお話をしました。
「鳥さん達も食べているね」
「そうだね」
 臆病ライオンはトトの言葉に頷きました。
「そうしているね」
「そうだよね」
「食べないなら食べないでいいけれど」
 それでもとです、将軍もお話します。
「食べるならね」
「家族がいいと言ってから」
「そうしてもらうわ」
 それは絶対とです、将軍はドロシーに答えました。
「オズの国の決まりだから」
「そういうことね」
「法律は守らないとね」
「そこはちゃんとしてね」 
 この法律を定めたオズマもにこりと笑って言います。
「やっぱりね」
「そうよね」
「そうしてね」 
 オズマはさらに言いました。
「皆で仲良くね」
「食べるべきね」
「そうよ。だから貴方達も」
 オズマはモグラ達にお話しました。
「将軍達がいいって言ったら」
「そうしたらですね」
「食べていいですね」
「この農園のお菓子や果物を」
「ええ、そうよ」
「いいわよ」
 ここで将軍が笑顔で許可を出しました。
「好きなものを食べていいわ」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあ西瓜を」
「それを頂きます」
「わかったわ、じゃあどうぞ」
 将軍は生きもの達に西瓜を二個取ってでした。
 差し出したうえで包丁で二つの西瓜をそれぞれ真っ二つに切ってあらためて言いました。
「それじゃあね」
「はい、頂きます」
「青い西瓜美味しそうですね」
「それじゃあです」
「ご馳走になります」
「召し上がれ。それとだけれど」
 将軍は今度はでした。
 足下にいる蟻達を見て言いました。
「この子達には角砂糖ね」
「お砂糖ですか」
「それをあげましょう」
「蟻は甘いものが好きなので」
「だからね」
 それでというのです。
「あげるわ」
「蟻にもですか」
「そう、この果樹園は自然が豊かでしょ」
「それで蟻もですね」
「虫もね」
 この生きもの達もというのです。
「沢山いるから」
「だからですか」
「時々こうしてね」
 蟻達のところに角砂糖を何個か出して言いました。
「あげてるの」
「甘いものをですか」
「蟻は本当に甘いものが好きだから」
 それ故にというのです。
「そうするわ」
「そうですか」
「他の虫にもね」
「ここにはカブト虫もいるわね」
 アン王女は自分達の近くにカブト虫が飛んだのを見ました、そしてです。
 近くに蛙も見ました、蛙は一個の西瓜の上にいます、緑色でお腹は白い蛙でじっとこちらを見ています。
 王女はその蛙に笑って尋ねました。
「貴方は何か食べたいの?」
「僕はお菓子や果物はいいよ」
 蛙はこう答えました。
「今はね」
「そうなの」
「お腹減っていないから」
 だからだというのです。
「今はいいよ」
「それじゃあどうしてここにいるの?」
「西瓜を見たくなってなんだ」
 それでというのです。
「だからね」
「貴方はここにいるの」
「そうなんだ」
「それでお腹は空いていなくて」
「お菓子や果物はいいよ」
「わかったわ、じゃあね」
 王女も頷いて言いました。
「そこにいてね」
「そうさせてもらうよ」
「貴方が今いる西瓜は収穫しないから」
 だからだというのです。
「ずっとそこにいていいわよ」
「今日は」
「それじゃあね」
「ええ、あと貴方は普段何処にいるのかしら」
「この果樹園の中のお池にいるんだ」
「ああ、あそこね」
 王女もそう聞いて納得しました。
「あそこになのね」
「そう、お家があって」
 そうしてというのです。
「家族もね」
「いるのね」
「そうなんだ」
 こうお話するのでした。
「それで今は西瓜を見たいから」
「ここに来ていて」
「夜までには帰るよ」
 お池にというのです。
「そうするよ」
「そうするのね」
「うん、じゃあそういうことで」
「わかったわ」
 王女も笑顔で応えてでした。
 西瓜を一つ収穫してリアカーに入れました、何時しかリアカーには西瓜が山の様に積まれていました。 
 その西瓜達を見てです、将軍はご主人に言いました。
「もう全部積んだし」
「それじゃあね」
「ええ、お家までね」
「リアカーを向かわせましょう」
「それでいいね」
「ええ、それにしても今日もかなりの収穫ね」
 将軍は笑顔でこうも言いました。
「何よりよ」
「そうだね、これだけ収穫出来てね」
 ご主人も笑顔で応えました。
「本当にね
「よかったわね」
「西瓜もね」
「苺もかなり獲れたし」
「よかったわね」
「そうだね、じゃあこれで今日の仕事は終わりだね」
 西瓜の収穫でというのです。
「そうだね」
「ええ、リアカーをお家の倉庫に行く様に操作して」
 そうしてとです、将軍も答えました。
「後はお家に帰りましょう」
「そうだね」 
 ご主人も応えてでした。
 皆で将軍のお家に帰りました、そしてお食事はといいますと。
 キーウィやパイナップルを沢山入れた甘いサラダにシャラスコでした、そのシェラスコはラムのもので。
 それでアン王女も目を輝かせて言いました。
「これはいいわね」
「どんどん食べてね」
 将軍はお肉を切りながら王女に応えました。
「私も食べるから」
「シェラスコをね」
「お肉は次から次に焼いて」
 鉄の串に刺したそれをです。
「そうしてね」
「焼けたところを切っていって」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「食べてもらうわ」
「そういうことね」
「そう、それとおソースはね」
 お肉にかけるそれはといいますと。
「林檎のソースよ」
「林檎なの」
「お家の林檎を使ったの」
 それをというのです。
「だから美味しいわよ」
「それはいいわね、じゃあ今から」
「どんどん食べてね」
「そうさせてもらうわ、いや林檎のソースなんて」
 王女は自分の席でにこにことして言いました。
「最高ね」
「王女は林檎は大好きだから」
「そう、だからね」 
 それでとです、王女はカルロスに応えました。
「嬉しくて仕方ないわ」
「やっぱりそうですね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「サラダも美味しそうね」 
 そのパイナップルやキーウィを沢山入れたサラダを見ています、レタスの他にはトマトやラディッシュがあります。
「こちらも」
「ですね、甘そうで」
「そう、こちらもね」
 サラダもというのです。
「楽しみよ」
「そしてデザートは苺だよ」
 ご主人も言ってきました。
「そちらも楽しんでね」
「わかりました」
 カルロスは笑顔で応えました、そうしてです。
 皆で実際にサラダとシェラスコを食べてみました、すると実際に美味しくてでした。
 王女は自然に笑顔となりました、そしてまた言いました、
「素敵な味ね」
「そうですね」
 カルロスも両方食べてから言います。
「サラダもシェラスコも」
「両方ね」
「適度に甘くてしかも酸味があって」
「お肉にもサラダにも合っていて」
 そしてというのです。
「とても美味しいわ」
「はい、幾らでも食べられますね」
「そうね」
「私も焼きながら食べてるけれど」 
 見れば将軍は実際にそうしています。
「美味しいわ」
「全くだね」
 将軍と一緒に焼いて切っているご主人も言います。
「そしてこうした時は」
「ええ、お酒もね」
「飲みたいね」
「お酒は」
 それはといいますと。
「ワインね」
「そうね、丁度あるし」
「二人で飲みましょう」
「そうしましょう」
「そして皆にも」 
 将軍は他の皆も見て言いました。
「出しましょう、そしてね」
「子供達にはね」
「ノンアルコールのワインを出しましょう」
 それをというのです。
「そうしましょう」
「それがいいね。酔うけれど」
「身体には影響がないから」
「子供も飲んでいいから」
「出しましょう」
 こう言って実際にでした。
 すぐにそのアルコールは入っていませんが酔うことは酔うワインも出されました、そして皆飲むとでした。
 ドロシーはお顔を真っ赤にして言いました。
「ワインのこの味がね」
「いいわね」
 オズマも飲みながら応えます。オズマも真っ赤になっています。
「甘くてそれでいて渋みもあって」
「お肉に合うのよね」
「焼いたそれにね」
「だから」
 それでというのです。
「幾らでも飲めるわ」
「そう、しかもアルコールはないから」
「朝起きたらすっきりしているわ」
「そうよね、私達子供だから二日酔いは知らないけれど」
「その心配もないから」
「いいのよね」
「そうですよね、ただ私達は大人ですから」
 ここで将軍がワインをごくごくと飲みながら言ってきました、木の大きな杯に入れたワインをむしろご主人よりも飲んでいます。
「こうしてです」
「普通のワインをなのね」
「飲んでいます」
 こう言うのでした。
「こうして楽しんで」
「そうよね」
「それで明日の朝はです」
 将軍は笑ってこうも言いました。
「夫婦で二日酔いかも知れないですね」
「もうそれが前提なの」
「私達はよく飲み過ぎるんですよ」
 ご主人も言ってきました。
「実は」
「そうなの」
「はい、ついつい」
「普通に好きですが」 
 お酒、それをというのです。
「二人ですと」
「ついついなのね」
「仲良く飲んでしまって」
 それでというのです。
「その量が過ぎて」
「それで今もなの」
「僕もこうして飲んでいますし」
 将軍程でないですが結構な勢いです。
「そして妻もね」
「ですから二日酔いですと」
 その時はというのです。
「朝起きてすぐにお風呂に入りまして」
「お酒を抜くのね」
「気分もすっきりさせます」
「そうなのね」
「ですから」
「明日もなのね」
「頑張れます」
「それじゃあ」
 将軍に応えてでした。
 オズマとドロシーはアルコールの入っていないワインを楽しみました、ワインもマンチキンなので青です。
 その青いワインを飲みつつドロシーは言いました。
「じゃあ明日も頑張ってね」
「お仕事しましょう」
 王女も応えました。
「そしてね」
「将軍とご主人のご家族が来られるまで」
「一緒にね」
「頑張っていきましょう」
「楽しんでね」
「今も楽しんでいるし」
「そうそう、シェラスコも」
 王女は今度はお肉を食べつつ言いました。
「美味しいしね」
「ステーキもいいけれど」
「ええ、シェラスコもいいわよね」
「こちらはこちらでね」
「ワイルドでね」
「そのワイルドさもいいし」
 ドロシーは食べながら言いました。
「開放的に食べられるし」
「いいわね」
「こちらもね」 
 笑顔でお話してでした。
 皆で楽しく食べて夜を過ごしました、そうしてです。
 一行は晩ご飯を楽しみました、そのうえで明日への英気を養うのでした。








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