『オズのジンジャー将軍』




                第十二幕  果樹園での大団円

 ご自身とご主人の親戚の人達が皆来てくれて将軍は早速その人達と一緒に働きはじめました、この時オズマはその人達にお仕事の申し継ぎをしていました。
 それが終わってからです、オズマは将軍にお話しました。
「申し継ぎも終わったから」
「後はですね」
「都から皆が来てくれたら」
 そうしたらというのです。
「こちらでパーティーをさせてもらって」
「そうしてですね」
「お暇させてもらうわ」
「そうですか、名残惜しいですね」
「名残惜しくないわよ」
 オズマは将軍の残念そうなそして寂しそうな返事に笑って返しました。
「だってまた会えるでしょ」
「あっ、機会があれば」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「ちょっとだけ会わないだけで」
「一生のお別れでないので」
「だからね」 
「寂しく思ったりすることはないですね」
「全くね」
「そうですね」
 将軍もオズマに言われて思いなおして答えました。
「それでは」
「ええ、また会った時にね」
「楽しみましょう」
「そうしましょう」
「笑顔でお別れしたら」
 ドロシーも言ってきました、皆今は林檎の木の前にいてお話をしています。
「その笑顔を覚えているから」
「だからですね」
「お別れは笑顔で、そして再会の時もね」
「笑顔で、ですね」
「そうよ、だからね」
「私達もですね」
「笑顔でお別れしましょう」
 ドロシーはこう言いました、その足下にはです。
 いつも通りトトがいます、そのトトは果樹園の猫と犬達とお話しています。
「楽しかったね」
「そうだったね」 
 コリーはトトににこにことして答えました、見れば皆尻尾をぱたぱたとさせてそれで上機嫌であることを見せています。
「だからまた会おうね」
「何時でも来てね」
 メイプルもトトに言います。
「こちらにね」
「待ってるからね」
 杏仁もにこにことしています。
「その時は一緒に遊ぼうね」
「遊んでパトロールでお散歩もして」
 レモンは犬が大好きなお散歩のお話をしました。
「そうして楽しんだけれど」
「またそうしましょう」
 ビスケットはレモンに続きました。
「皆でね」
「この果樹園の隅から隅まで歩いて回ったけれど」  
 桜はそのパトロール、お散歩のお話をしました。
「また来たらそうしましょう」
「それで一緒にお昼寝もしましょう」
 ふわりは犬がお散歩と同じだけ好きなことのお話をしました。
「そうしようね」
「美味しいご飯も一杯食べて」 
 サフランは食べることについて言いました。
「ミルクも沢山飲もうね」
「僕達は友達だからね」 
 猫のワインも言いました、喉をぐるぐると鳴らしています。
「来たい時は何時でも来てね」
「そうさせてもらうよ」
 トトも尻尾を振っています、そのうえでの返事でした。
 ビリーナもです、臆病ライオンとお話をしました。
「あんたよく寝てよく歩いていたわね」
「そしてよく食べていたね」
「ええ、毎日ね」
「快適だったよ」
 臆病ライオンはビリーナに答えました、彼も喉を鳴らしています。
「本当にね」
「それは何よりね」
「そして君もだね」
「私も快適だったわよ」
 こう臆病ライオンに答えました。
「本当にね」
「そうだったね」
「だからまたね」
「ここに来たいね」
「そう思っているわ」
「私にとっては凄く慣れた場所だったわ」
 アン王女は周り、果樹園の中を見回しながら答えました。
「本当にね」
「君の国も果樹園の国だからだね」
 樵が言ってきました。
「だからだね」
「ええ、それでなのよ」
 王女は樵にその通りだと答えました。
「私はごく自然に入られて」
「そして動けたね」
「自然にね、快適だったわ」
「君もだね」
「そうだったわ」
「ずっと生き生きしていたよ」
 かかしも王女に言いました。
「普段からだけれどね、君は」
「今回は特によね」
「まるで自分の国にいるみたいにね」
「もうずっと生まれ育った国にいるみたいに」 
 本当にこうした感じでというのです。
「今回はね」
「親しむことが出来たね」
「そうだったわ」
「いや、素敵な毎日だったね」
 神宝の言葉はしみじみとしたものでした。
「いつもお日様の下で思う存分身体を動かせて」
「美味しいものをお腹一杯食べられたよ」
 ジョージは満面の笑顔で言いました。
「お菓子や果物、他のものもね」
「健康的だったわね」
 恵梨香はにこにことして言いました。
「毎日ね」
「こうした生活も素敵だわ」
 ナターシャは微笑んでいます、クールなお顔をそうさせています。
「そのことがよくわかったわ」
「何もかもが最高だったね」
 カルロスは心からの笑顔になっています。
「本当に」
「また来てね」
 ご主人は赤ちゃんを抱きながら言ってきました。
「そうしてね」
「そうさせておらいます」
「また機会があれば」
「是非そうさせてもらいます」
「そしてまた働かせてもらいます」
「そうさせてもらいます」
「是非ね、チョコもだよ」
 赤ちゃんを抱きながら彼のお話もしました。
「喜んでくれるよ」
「静かな赤ちゃんですよね」 
 カルロスはその子を見ました、見れば今もぐっすり寝ています。
「全然泣かなかったですね」
「いや、これで結構ね」
「泣くんですか」
「お昼にね」
「そうなんですね」
「けれどいつもこの子達がいてくれるから」
 お家の猫や犬達を見てお話しました。
「すぐに泣き止んでくれるんだ」
「そうなんですね」
「そうなんだ、けれど赤ちゃんはね」
「やっぱりよく泣きますか」
「泣くのが仕事だよ」 
 赤ちゃんはというのです。
「だからね」
「それで、ですか」
「そう、よく泣いてね」
 そしてというのです。
「よくミルクを飲んで」
「よく寝ますね」
「寝ることは知ってるね」
「赤ちゃんは外の世界でもよく寝ますから」
 カルロスは笑顔で答えました。
「ですから」
「そうだね、それでなんだ」
「この赤ちゃんもですね」
「毎日よく寝ているんだ」
「そうなんですね」
「そしてよく泣くんだ、そしてこの子ともね」 
 赤ちゃんともというのです。
「また会ってね」
「そうさせてもらいます」
 カルロスは笑顔で応えました、そしてです。
 五人で赤ちゃんをあやすと赤ちゃんは笑顔になりました。
「アハハ」
「あっ、笑ったね」
「そうだね」
「可愛い笑顔だね」
「やっぱり赤ちゃんは笑顔よね」
「何といっても」
「そうでしょ、私達もこの子が笑うとね」
 将軍はその赤ちゃんをお母さんの顔で見て言いました。
「それだけで幸せになれるわ、そしてこの笑顔を見たら」
「凄く優しい気持ちになれるね」
「そうなのよね」
 ご主事人にも答えました。
「本当に」
「子供が出来たら」
「これまで以上に優しくなれるっていうけれど」
「本当だね」
「そのことがわかったわ」
「それが親というものよ」 
 沢山の家族を持っているビリーナの言葉です。
「親はね」
「子供が生まれてなって」
「そして親になったらね」
「優しい気持ちになれるわね」
「これまで以上にね」
「私もそのことがわかったわ」 
 とてもとです、将軍はビリーナに答えました。
「そして他のこともね」
「何かとでしょ」
「わかってきたわ」
「親になるってことはそうしたことよ」
「色々なことがわかることね」
「成長するものなのよ」 
 ビリーナは将軍に言いました、ビリーナは将軍と向かい合っていますがそれでも全く格落ちしていません。
「そうなのよ」
「そうね、思えば叛乱を起こした時は」
「そうしたことがよね」
「わかっていなかったわ」 
 そうだったというのです。
「全くね」
「けれど今はでしょ」
「よくわかったわ」
「そうなったわね」
「本当にね、だからこれからもね」
「親として」
「色々なことを知っていきたいわ」
 こうビリーナに答えました。
「そうさせてもらうわ」
「そう、親になることは最高の学問の一つよ」
「人間の心についてのね」
「まさにそうよ、だからあんたもね」
「これからも学んでいくってことね」
「私と一緒よ」
「そうなるわね、ただあんたの子供の数は」
 それはどうかとです、将軍は言いました。
「凄い数よね」
「百羽はいるわよ」
「そうよね」
「それに孫も曾孫もいるから」
「余計に凄いわね」
「私が女王の国なんて」
 ご主人と一緒に治めているその国はといいますと。
「百万はいるわね」
「本当に多いわね」
「それでその百万の子供や孫や曾孫達を育てていたら」
 そうしていると、といいますと。
「もうね」
「親として」
「いつも素晴らしいことをね」
「沢山学んでいるわね」
「そうしているわ、だからあんたもね」
 将軍もというのです。
「二人も三人も」
「子供をもうけて」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「学んで成長していってね、そうしたらね」
「そうしたら?」
「あんた今異常に奇麗になれるわよ」
「奇麗にもなるの」
「今のあんた凄く奇麗よ」 
 将軍のそのお顔を見ての言葉です。
「本当にね」
「そうなの」
「人相っていうか顔立ちがね」
 それがというのです。
「凄くね」
「いいの」
「そう、それでね」 
 その為にというのです。
「本当にね」
「奇麗なの」
「母親の奇麗さね」 
 そうした奇麗さが今の将軍にはあるというのです。
「凄くいいわよ」
「そうなんだよね」
 ご主人もここで言ってきました。
「奥さん本当に子供が生まれてさらにだよ」
「奇麗になったの」
「結婚した時も奇麗で」
 そしてというのです。
「それからも奇麗だったけれど」
「今はなの」
「これまで以上にね」
 さらにというのです。
「奇麗になってるよ」
「そうなのね」
「顔の相がね」
 ビリーナの言う通りにというのです。
「それがね」
「よくなってるの」
「どんどん、そして特にね」
「子供が生まれてから」
「そうなったよ」
「それは気付かなかったわ」
 将軍ご自身もです。
「本当にね」
「そうなんだ、けれどね」
「それでもなのね」
「凄くね」
 これがというのです。
「そうなってるよ」
「成程ね」
「だからこのままね」
「赤ちゃんを育てていけば」
「もっと奇麗になるよ」
「そうなのね」
「子育ても自分を磨くということね」
 オズマはここでこう言いました。
「要するに」
「人は心を磨くと心が奇麗になるわね」
 ドロシーはオズマに応えました。
「確かに」
「そしてそれがお顔にも出るのよ」
「人相に」
「それで奇麗になるけれど」
「子育てもなのね」
「お仕事でも学問でもスポーツでもそうなるけれど」
 それに加えてというのです。
「子育てでもね」
「そうなるのね」
「私達は子供だからわからないけれど」
「将軍は結婚して」
「赤ちゃんが出来たから」 
 そうなったからだというのです。
「それでなのよ」
「そちらからも自分を磨いていて」
「赤ちゃんも育っていくし」
「自分もそうなって」
「お互いに幸せになってね」
 そしてというのです。
「奇麗になっていっているのよ」
「そういうことね」
「そうよ」
「子供にはわからないけれど」
 それでもとです、ビリーナは二人にもお話しました。
「結婚してね」
「子供が出来たら」
「その時にわかるのね」
「ヘンリーさんとエマさんはわかってるわね」
 ドロシーの家族のお二人はというのです。
「子供はいないけれどね」
「それでもなの」
「だってあんたを育てたのよ」
 そのドロシーに言いました。
「だからよ」
「あっ、私が叔父さんと叔母さんの娘ね」
「そうなるから」
「叔父さんと叔母さんもなのね」
「親でね」
 それでというのです。
「あんたを育ててよ」
「奇麗になったのね」
「お顔はお爺さんとお婆さんだけれど」
 もうすっかり歳を取っているけれど、というのです。
「心はよ」
「そうね、二人共凄くいい人ね」
「そうなったのはね」
「私を育ててくれたから」
「このことも大きいわよ」
「そうなのね」
「私も親になってわかったわ」
 その時にというのです、ビリーナも。
「その時からね」
「成程ね、私にはわからないことね」
「あんた達は永遠の子供だからね」
「そうね、それは仕方ないわね」
「だったら他のことで磨けばいいわね」 
 こう言ってきたのは王女でした。
「親になること以外で」
「そうね」 
「他にも心を磨く方法は沢山あるわ」
 ドロシーだけでなくオズマも王女の言葉に頷きました。
「言われてみればね」
「子供を育てるだけじゃないわ」
「だからね」
 それでというのです。
「私達は他のことでそうしましょう」
「それじゃあね」
「その時はね」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「私達も心を奇麗にしていきましょう」
「今以上にね」
「そうしていきましょう」
「是非ね」
 王女も言いました、そしてです。
 三人で色々お話をしているとでした、かかしと樵がお空の西の方を見てそのうえで皆に言いました。
「来たよ」
「遂にね」
「飛行船が見えてきたよ」
「王室の飛行船だよ」
 こう皆にお話します、その飛行船を見て。
「皆来てくれたよ」
「都から」
「そう、来てくれたのね」
 オズマもそのお話を聞いて見ました、するとです。
 そこに確かに王宮が持っている飛行船を見て笑顔で言いました。
「では今からね」
「パーティーね」
「その用意をしましょう」 
 ドロシーに答えてでした。
 皆でパーティーの用意をします、そしてそれが終わった時にです。
 果樹園に皆がやって来ました、トロットとベッツイを先頭にして。
 ロバのハンクにキャブテンビル、魔法使い、つぎはぎ娘、ムシノスケ教授、モジャボロ、モジャボロの弟さん、チクタク、カエルマン、クッキー、腹ペコタイガー、ガラスの猫、エリカ、木挽きの馬、かぼちゃ頭のジャック、ファイター大尉、ジュリア=ジャム、ポリクロームといった人達がです。
 やって来ました、しかもです。
 ビリーナはここでプリンの木の下で寝ている子を見て言いました。
「ボタン=ブライトもいるわよ」
「あら、久し振りね」
 将軍はそのボタンを見てビリーナに応えました。
「この子もなんて」
「あんたもこの子知ってるの」
「ええ、何度かここにいたことがあったの」
「寝ていたのよね」
「今みたいにね」
「この子は寝ている間に何処かに姿を現すから」
 そうした子だからというのです。
「ここにもなのよ」
「何度か出て来ているのね」
「そしてまたね」
「何処かに行っちゃうのね」
「そうなの」
「この子らしいわね、それでこの子も出て来たから」
 それでとです、ビリーナは言いました。
「この子もね」
「ええ、パーティーにね」
「参加してもらいましょう」
「是非ね」
 二人でこうお話してでした。
 ご主人がボタンを起こしました、そうしてこう尋ねました。
「君は何処から来たのかな」
「わかんなーーい」
 ボタンは寝ぼけ眼を摩りながらご主人に答えました。
「ご主人とも将軍さんとも久し振りだけれど」
「そうなんだね」
「うん、それで何か賑やかだけれど」
「これから皆でパーティーをするんだよ」
 ご主人はボタンに笑顔で答えました。
「それで君もどうかな」
「僕もいいんだ」
「今ここに来たのも何かの縁だしね」 
 それでというのです。
「君がよかったらね」
「うん、じゃあね」
「参加してくれるかな」
「そうさせてもらうよ」
「今王宮はボームさんがお留守番をしてくれているから」
 トロットがオズマにお話しました。
「安心してね」
「あの人がいてくれたら」
 ベッツイも言います。
「安心出来るわね」
「ええ、オズの国のことを何でも知ってくれている人の一人だから」 
 オズマも答えました。
「あの人がいてくれたら安心ね」
「あの人も誘ったんだよ」
 キャプテンはそうしたみたいです。
「けれどいつも通りだったよ」
「外出を好まない人だから」
 モジャボロは残念そうに言いました。
「だからだね」
「いつもそうだから」
 こう言ったのはムシノスケ教授でした、少し寂しそうです。
「仕方ないね」
「外出を好まない人もいるってことだね」
 腹ペコタイガーはこう考えました。
「やっぱり」
「そうした人もいるよ、実際にね」 
 魔法使いがこう言いました。
「オズの国でもね」
「そういうことですね」
 モジャボロの弟さんは魔法使いの言葉に頷きました。
「人それぞれということで」
「だから仕方ないんだね」
 ハンクもこう言いました。
「そのことは」
「それじゃあ皆で楽しもう」
 こう言ったのはカエルマンでした。
「ボームさんはボームさんで本を読んで楽しまれてるし」
「そう、私達は私達よ」 
 ガラスの猫はドライでした。
「そしてボームさんはボームさんよ」
「そういうことね」
 エリカはガラスの猫の言葉に頷きました。
「人それぞれの楽しみ方ってあるから」
「王宮に大尉とジャックがいて」
 木挽きの馬はこう言いました。
「一緒に来てくれて」
「私とカエルマンさんもね」 
 クッキーは木挽きの馬に応えました。
「来ていてね」
「これも縁だね」 
 ジャックは素直に喜んでいます。
「たまたま遊びに来ていたらだから」
「本当に縁だね」
 大尉は見るからに喜んでいます。
「これもまた」
「そしてお空を行っていたら貴女も飛行船の方に来てくれたし」
 ジュリアはポリクロームを見ています。
「このこともよかったわ」
「何か面白そうだったから来たの」
 ポリクロームはいつも通り踊りながら答えました。
「そうしたの」
「それでパーティーは何時はじまるの?」
 つきはぎ娘はオズマに尋ねました。
「今かしら」
「ええ、今よ」
 オズマはつぎはぎ娘ににこりと笑って答えました。
「今すぐにね」
「はじめられるのね」
「そうよ」 
 まさにその通りだというのです。
「もう食べものも出したし場所も整えたから」
「わかったわ、じゃあはじめましょう」 
 つぎはぎ娘が応えてでした、皆そのパーティーをはじめました、この時アン王女はパーティーの場に出て来た様々なご馳走を見て言いました。
「豪華ね」
「そうだね」
 臆病ライオンは王女の言葉に頷きました。
「これはまた」
「お寿司があってお刺身があって」
「ローストビーフも蒸し餃子もお饅頭もあってね」
「ハンバーガーやチキンナゲットもあるよ」
 トトはそういったものを見て目を輝かせています。
「凄く美味しそうだよ」
「どれもね」
「本当にそうだよね」 
 トトも王女に言います。
「では食べようね」
「はい、食べましょう」 
 ワインも言ってきました。
「皆で」
「何なら踊りますよ」
 こう言ってきたのはサフランでした。
「僕達も」
「実は私達踊れるんですよ」
 ふわりも言ってきました。
「犬の踊りが出来るんです」
「奥様がご覧になられていたテレビで犬のダンスがありまして」 
 桜がどうして踊れる様になったのかをお話しました。
「それで観ていて踊っているうちに覚えました」
「だから皆踊れるんです」
 ビスケットも言います。
「それも色々な種類を」
「これでも自信ありますよ」
 こう言ったのはレモンでした。
「踊りについては」
「それじゃあですね」
 杏仁はもう踊りたくて仕方ない感じです、言葉にその感じが出ています。
「今から」
「もう踊ってくれと言って頂けましたら」
 メイプルは尻尾を振りながら言いました。
「早速です」
「皆で踊りますよ」
 シュガーも言います。
「今この場で」
「では踊ってくれるかしら」
 将軍は赤ちゃんを抱きながら犬達に笑顔で言いました、立っている前にあるテーブルの上にはサラダがあります。
「今から」
「はい、それでは」
「躍らせて頂きます」
「今からそうしますね」
「皆で」
 皆こう言ってでした、ワインも入れてです。
 皆で踊りはじめます、つぎはぎ娘はその彼等を見て両手を叩きながら言ってきました。
「上手じゃない」
「そうだね」
 カルロスはつぎはぎ娘のその子おt場に頷きました。
「犬のダンスもあるなんて知らなかったけれど」
「かなりいいと思うわ」
 ナターシャも言いました。
「これは」
「それじゃあね」
 恵梨香も観ながら言います。
「最後まで見せてもらいましょう」
「そうだね」
 ジョージはじっと見ています。
「こんないいものだから」
「最後まで見せてもらわないと」 
 神宝も目を離していません。
「駄目だよ」
「こんないいダンスがあるなんて知らなかったわ」
 誰よりも踊りが好きなつぎはぎ娘はこう言ってでした。
 彼等の中に入って一緒に踊りはじめました、そのぴょんぴょんと跳びはねるリズミカルでダイナミックな踊りを見てです。
 犬達も負けていられないとさらに踊ります、将軍とご主人のご家族はその彼等を見て唸ってしまいました。
「これはまた」
「素晴らしいわ」
「ここに来て早々こんなものを見られるなんて」
「私達は幸せね」
「凄い踊りだね」
「ワンちゃんや猫ちゃん達もだけれど」
「つぎはぎ娘の踊りもね」
「かなりのものよ」
 こう言います、そしてです。
 かかしもです、見て言いました。
「うん、犬や猫達に加えてね」
「つぎはぎ娘もだからね」 
 樵がかかしの言葉に応えました。
「だからね」
「尚更いいね」
「これは相乗効果だね」
「それになるね」
「いや、それを見ているとね」
「本当にいいね」
「そうね」 
 ドロシーがかかしと樵の言葉に頷いて言ってきました。
「私もそう思うわ」
「そうだね」
「君もそうだね」
「これはいいと思うね」
「最高のダンスの一つよ」
 これがドロシーの感想でした。
「本当にね」
「完全に同意だよ」
「これはいいね」
「それじゃあだね」
「このまま観ていくね」
「最後までね」 
 カルロス達と同じくです、そしてでした。
 実際に皆猫や犬達そしてつぎはぎ娘のダンスを最後まで観ました、ダンスが終わると拍手で迎えました。そうしてです。
 それから皆でご馳走を食べます、テリーヌもソーセージもマリネもカルパッチョも何でもあります。そうしたものを食べて。
 そしてです、カルロスは笑顔で言いました。
「いや、最高だね」
「どれも美味しいね」
「色々な食べものがあるし」
「今日も素敵なパーティーね」
「今日も幸せだわ」
 ジョージ達四人も言います、色々なものを食べながら。
「お握りも美味しくて」
「サンドイッチもよ」
「いや、麺もあるしね」
「ホットドッグもいけるよ」
「これを全部食べていいだけでも素晴らしいのに」 
 カルロスはさらに言いました。
「オズの国の素敵な人達もこれだけ集まっているし」
「オズマ姫に呼ばれた時は嬉しかったよ」
 魔法使いはカルロスにサンドイッチを食べながら言ってきました。
「私もね」
「魔法使いさんもですね」
「これは楽しいパーティーになるってね」
 その様にというのです。
「確信してここに来たんだ」
「そうだったんですね」
「そして実際にだよ」
「楽しいものになって」
「とても嬉しいよ」
「いや、お酒もあってね」
 カエルマンはいささか気取っていますが紳士的な仕草でグラスを手にしてその中にあるシャンパンを飲んでいます。
「実にいいね」
「全くだよ」
 教授もシャンパンを飲んで言います。
「ご馳走に美味しいお酒」
「この二つがあるとね」
「最高だよ」
「しかも踊りまであるなんて」
「これ以上のことはないよ」
「音楽も必要よね」
 トロットはここで、でした。
 ステレオを出しました、そして音楽を出しましたがその音楽を聴いて言うのでした。
「これで尚更いいわね」
「そうね」 
 ベッツイはその音楽を聴きながら頷きました。
「パーティーはね」
「音楽もあると尚更いいわね」
「その通りよ」
「いい音楽だね」 
 ジャックはもう踊らんばかりになっています。
「これはまた」
「いい音楽は皆が聴くもの」
 こう言ったのはキャプテンでした。
「そして皆が楽しむものだよ」
「音楽は誰の耳にも入りますからね」
 モジャボロは蒸し餃子を食べながらその蒸し餃子をキャプテンのお皿にも入れました。
「そうですね」
「そう、だからね」
「皆が楽しむものですね」
「そうしたものだよ」
「僕は食べることが大好きだけれど」 
 腹ペコタイガーは今はとても大きな丼の中にある麺、海鮮麺を食べつつ言います。その食べっぷりは実に見事なものです。
「若しもだよ」
「若しも?」
「若しもっていうと」
「音楽がなかったら」
 自分と同じ海鮮麺を食べているトトとエリカに答えました。
「やっぱり寂しくなるよ」
「君も音楽が好きだし」
「だからだね」
「そうだよ、だから今はね」
「最高の気分だね」
「音楽のことについても」
「そう思っているよ」
 実際にというのです、こう言って笑顔で食べ続けます。
 ガラスの猫はテーブルの上にちょこんと座って聴いて言いました。
「耳から栄養を摂っているわね」
「そうだね」 
 木挽きの馬はガラスの猫の言葉に頷きました。
「僕達はそうしているね」
「ええ、音楽を食べているわね」
「こちらのご馳走をね」
「悪くないわ、いえ」
 ガラスの猫はこうも言いました。
「かなりね」
「いいね」
「そう思うわ」 
 実際にという返事でした。
「私もね」
「こうして聴いていたら」 
 ボタンはお寿司を手にして言いました。
「幸せな気持ちになるね」
「君もそうなるんだね」
「うん、そうだよ」 
 こうハンクに答えました。
「そのことは僕もわかるよ」
「成程、そうなんだね」
「僕はわからないことも多いけれど」  
 それでもというのです。
「このことはわかるよ」
「そうだね」
「それもよくね」
「さて、今はじまった曲ですが」 
 大尉はその曲を聴いて言いました。
「これは剣の舞ですね」
「凄くいい曲ね」
 ポリクロームもその曲を聴いて大尉に応えました。
「賑やかで」
「この曲の通り剣の舞を舞えますが」
「貴方の手にしている剣を使って」
「そうしていいでしょうか」
「そうしてみたらいいと思うわ」
 ポリクロームは大尉に答えました。
「私も踊りたくなったし」
「それでは」
「ええ、一緒に踊りましょう」
「今度は私達が」
「そうしましょう」
「それでは」
 大尉も頷いてでした。 
 猫や犬達、つぎはぎ娘の次はでした。
 大尉とポリクロームが踊りました。ドロシーはその踊りも見て言いました。
「大尉とポリクロームの踊りも素敵ね」
「そうね」
 オズマはドロシーと一緒にマリネ、鱒のそれを食べつつ頷きました。
「これもまた」
「観られてよかったわ」
「幸せね」
「ええ」
 ドロシーはマリネを観ながら答えました。
「観られて」
「そうよね」
「幸せって思えることはね」
「それだけで素晴らしいことよ」
「その通りね」
「それじゃあね」
「さらに観ましょう」
 こう言うのでした、そうしてでした。
 ドロシーはオズマに今度は鮭のカルパッチョを勧めて二人で一緒に食べながらこんなことを言いました。
「この食べものもね」
「素敵な味よね」
「お魚もね」
「オズの国では最初はこんなにお魚食べなかったわ」
「そうだったわね」
 かつてのオズの国を思い出しながらお話しました。
「私達が出会った頃のオズの国は」
「暫くはね」
「海老もね」
「今みたいにだったわね」
「海老ですけれど」
 将軍が言ってきました。
「私はずっと馴染みがなかったです」
「将軍はそうだったの」
「海老にはなの」
「はい、オズの国では長い間海や川のものはあまり食べなかったので」
 それでというのです。
「ですから」
「将軍もなの」
「そうだったのね」
「はい、ですが今はよく食べまして」
 海老の握り寿司を食べつつ二人にお話しました。
「このお寿司の海老も大好きです」
「そうなのね」
「今ではそうなったのね」
「お寿司も食べる様になりましたし」
 今ではというのです。
「私も変わりました」
「この前オマール海老を二人で食べたんですよ」
 ご主人が笑顔で言ってきました。
「ブイヤベースに入れまして」
「それも美味しいわよね」
「オマール海老入りのブイヤベースもね」
「私も好きよ」
「私もよ」
「私も随分変わったと」
 将軍はご主人にも海老のお寿司を差し出しつつ言いました。
「思います」
「今じゃすっかり奥さんですね」
「そしてお母さんですよね」
「将軍もそうですね」
「そうなりましたね」
「すっかりね」 
 将軍はカルロス達五人に笑顔で答えました。
「そうなったわ」
「もう反乱軍を率いていた頃とは違って」
「軍服も着ておられなくて」
「果樹園で働いておられて」
「ご主人といつも一緒で」
「人は変わるものですね」
「そうよ、変わらないものはこの世にはなくて」 
 将軍はこうも言いました。
「私もよ。そしていい方に変われるなら」
「それならですね」
「もう最高ですね」
「これ以上はないまでに」
「そうですよね」
「将軍にしても」
「そう思うわ」
 実際にというのです。
「私自身変わって思えることよ」
「そうね、将軍はね」
 笑顔で、でした。オズマが言ってきました。
「実はあの反乱の時は恰好いいと思っていたけれど」
「今は奥さん、お母さんとしてですね」
「凄く奇麗で立派な人になったわ」
「恰好よくからですか」
「恰好よさもいいけれど」
「今の方がですか」
「総合的にね」
 その奇麗さや立派さが凄くてというのです。
「さらに素敵になったわ」
「そうですか、それではこれからも」
「変わっていくわね」
「そうしていきます」
 笑顔で言うのでした。
「努力していって」
「是非ね」
「では僕達も」
 カルロスも笑顔で言いました。
「努力してです」
「いい方向に変わっていくわね」
「そうしていきます」
 こうオズマに約束しました。
「僕も」
「そうしていってね」
「はい、それで今回の旅も最高だったので」
 カルロスは笑顔でお肉を食べつつ言いました。
「またです」
「オズの国に来てくれるのね」
「そうさせてもらっていいですね」
「貴方達はオズの国の名誉市民で私達の友達よ」
「ならですか」
「遠慮はいらないわ」
 それはというのです。
「だから来たい時にね」
「オズの国に来てですね」
「楽しんでね」
「そうさせてもらいますね」
 オズマが言うならとです、カルロスは笑顔で答えました。
「是非」
「またここにも来てね」
 将軍も笑顔で言ってきました。
「そして楽しんでね」
「お仕事と甘いものを」
「全部ね、そしてね」
「そして?」
「若しかしたら」
 将軍はカルロスににこりと笑ってお話しました。
「家族が増えるかも知れないわよ」
「ご家族っていいますと」
「もう一人赤ちゃんが出来ているかもね」
「そうですか」
「だからその時はね」
「はい、その赤ちゃんともですね」
「仲良くしてね」
「そうさせてもらいます」  
 カルロスは笑顔で答えました、そしてです。
 皆で仲良くパーティーを楽しみました、それはずっと皆の心に残る位のものでした。


オズのジンジャー将軍   完


                 2021・3・11








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