『オズのホボ王子』




               第五幕  太閤さんと粋な作家さん

 一行はその街に着きました、その街はといいますと。
 五層七階の青緑の瓦の天守閣があるお城があって色々な色に光る鉄筋の塔にです。
 河豚の模型の看板、動く蟹のそれやエイリアンそれに紅白の縦縞の服を着たおじさんのそういったものがあって。 
 色々な生きものがいる動物園に五重の塔のある仏教のお寺、とても広い海の神様を祀った神社がありまして。
 街のあちこちを川が流れていてお堀があります、そしてとても橋が多くて庶民的な家が建ち並びお店も人も一杯です。
 その街に入ってです、王子は目を輝かせました。
「いい街だね」
「そうでしょ」
 王女が笑顔で応えました。
「この街は」
「賑やかで活気に満ちていてね」
「独特の文化があるわね」
「日本の趣でね」
 それでいてというのです。
「その中でも独特だね」
「そうでしょ、これがなのよ」
「この街の魅力だね」
「そうなの、では今からね」
「カレーを食べるんだね」
「まずはね、けれどね」
「けれど?」
「この街はそれだけじゃないのよ」
 ご飯をルーが最初から混ぜられているカレーだけではないというのです。
「善哉のお話もあったでしょ」
「この子達が言っていたね」 
 王女にジョージ達を見つつ答えます。
「そうだったね」
「その善哉はお椀が二つよ」
「そのお話もしていたかな」
「名付けて夫婦善哉よ」
「ああ、二つだから夫婦だね」
「そしてね」
 それでというのです。
「鰻も食べられるわ」
「そうなんだね」
「そちらは鰻がご飯の中に隠れているの」
「そうなんだ」
「そうした鰻丼で」
 それでというのです。
「これも名物よ、あと河豚や蟹の模型の看板があるけれど」
「蟹は動くしね」
「河豚や蟹も名物だし」
「美味しいんだね」
「あとラーメンもあるわ」
 見れば立ち食いですが座る場所があるラーメン屋さんもあります。
「餃子や肉まんを売っているお店もあるし」
「実際にあるね」
「アイスキャンデーもあるわよ」
「そちらの甘いものもあるんだね」
「おうどんもあるよ」 
 モジャボロは笑ってこのお料理をお話に出しました。
「きつねうどんがね」
「あの塔は通天閣というけれど」
 教授は塔を見て言いました。
「あの下の辺りの繁華街の串カツ屋さんもいいんだよね」
「忘れていけないのがお好み焼きとたこ焼きだね」
 モジャボロの弟さんも言います。
「この街に来たら。いか焼きもあるしね」
「ここは食べものの街なのかな」 
 王子はここまで聞いて思いました。
「実は」
「そうよ、お寿司はバッテラというのもあるし」
 王女がまた言ってきました。
「だからこの街に来たからには」
「食べていくんだ」
「カレーや善哉だけでなくてね」
「それじゃ」
「さて、まずは関東煮と山椒昆布かしら」
 王女はこの二つのお料理をと思いました。
「そうかしら」
「いやいや、やっぱりカレーのお話を聞いてだから」
 それでとです、王子は王女に言いました。
「だからだよ」
「カレーね」
「あのカレーを食べよう」
「わかったわ、じゃあね」
「まずはだね」
「そのカレーを食べに行きましょう」
 王女も賛成しました、そうしてです。
 皆でそのカレーがある洋食屋さんに行きました、そこのカレーはです。
 実際にご飯とルーが最初から混ぜてあってです。
 カレーの真ん中がくぼめられていてそこに生卵があります、王子はそのカレーを見てそのうえで言いました。
「実際に見ると」
「また独特ですよね」
「独特なカレーですよね」
「他にはないですよね」
「オズの国の何処にも」
「そうしたカレーですよね」 
 ジョージ達五人が王子に応えます。
「そうですよね」
「けれどこのカレーがなんです」
「物凄く美味しいんです」
「外見だけでなくてです」
「味も他にないんですよ」
「そうなんだね、それでだよね」  
 王子は五人に尋ねました。
「生卵の上におソースをかけて」
「はい、そうしてです」
「スプーンでカレーと混ぜるんです」
「そうして食べるんですよ」
「それがこのカレーの食べ方なんです」
「食べ方も独特なんですよ」
「そうだね、それではね」
 王子も応えてでした。
 五人と実際にカレーを混ぜてから一口食べました、そのうえで言うことはといいますと。
「美味しいよ」
「そうですよね」 
 ジョージが笑顔で応えます。
「このカレーは」
「僕達も最初見てこんなカレーあるんだって驚きましたけれど」
 カルロスも食べつつ言います。
「これが食べたら」
「生卵とも合っていて」
 神宝も笑顔で食べています。
「滅茶苦茶美味しいんですよ」
「何でお客さんに最初から温かいものが食べられる様に」
 ナターシャはこうお話しました。
「最初からご飯とルーが混ぜられているそうです」
「それでこうしたカレーでして」
 恵梨香も言います。
「外の世界の大阪でもあるんですよ」
「そうなんだね、こうしたカレーもあるんだ」
 まさにと頷いてでした。
 王子はそのカレーをさらに食べてこうも言いました。
「これは病みつきになるよ」
「そうなのよね」 
 王女もその通りだと応えます。
「このカレーは。それとね」
「それと?」
「別に急がないでしょ」
 王子にカレーを食べつつ応えました。
「そうでしょ」
「時間はまだまだあるよ」
「そうでしょ、だったらね」
 それならというのでした。
「この街に暫く留まって」
「そうしてなんだ」
「ええ、街のあちこちを巡りながら」
「お城やお寺や神社や塔をだね」
「それぞれ大阪城、四天王寺、住吉大社、通天閣っていうの」
「そうした場所を巡って」
「そうしてね」 
 そうしながらというのです。
「一緒にね」
「食べていくんだね」
「そうしましょう、カレーの後は鰻丼よ」
 こちらだというのです。
「それでラーメンもおうどんも肉まんも餃子も食べて」
「その他にもだね」
「お好み焼き、たこ焼き、アイスキャンデーに河豚に蟹」
「物凄く食べるものが多いね」
「バッテラも忘れないで」
 王女はさらに言います。
「串カツも善哉もよ」
「全部食べるんだね」
「ええ、だから暫くこの街に留まって」
 そうしてというのです。
「朝昼晩全力でね」
「食べていくのね」
「そうしていくわよ、いいわね」
「それじゃあね」 
 王子も笑顔で頷きます、そうしてです。
 皆でこの街を満喫しました、動物園も水族館も行って色々な生きものやジンベエザメも観てとても素敵なホテルに泊まってそちらのオリンピアというビュッフェも楽しんで。
 街を何日もかけて楽しみました、王子は天守閣に登ってその最上階から雑多でありかつとても活気に満ちた川とお堀の多い街を見回して言いました。
「こんないい街もあるなんてね」
「素敵だよね」
「オズの国ならではというだけでなくて」
 モジャボロに応えました。
「街の雰囲気自体がね」
「素敵だよね」
「うん、魔法がなくても」
「その雰囲気がね」
「最高の街だよ」
「そうだね」
「このお城も」
 大阪城もというのです。
「素敵だね、野球のチームも」
 これもというのです。
「面白いね」
「あの虎のチームだね」
 教授が笑って応えました。
「あのチームもいいね」
「観ていたら華があるね」
「そうだね」
「不思議なチームだよ」
 王子はそのチームについてこうも言いました。
「勝っても負けても華があるんだから」
「絵になるね」
「負けた時の姿までね」
 それまでもがというのです。
「凄くね」
「華があってだね」
「素敵なチームだよ」
「強いだけじゃない」
「そう、強さ以上にね」
 まさにというのです。
「華があって親しみやすい」
「負けても話題に出来るね」
「そうしたチームだね」
「全くだよ」
「あのチームの選手の人達も凄いよ」
 弟さんは試合をするその人達のお話をしました。
「村山、藤村、三宅、遠井、辻、山内、色々華があって素晴らしい活躍する人達が揃っているからね」
「そういえば素敵な選手が多いね」
「僕は景浦という選手が好きだよ」
 この人がというのです。
「そして藤村さんがね」
「ああ、あの背番号十の」
「あの人がね」
 まさにというのです。
「好きなんだ」
「いい選手だね」
「この街に相応しいね」
「そうしたチームだね」
「全くだよ」
「このお城もいいお城だしね」 
 王子は今度はお城のお話をしました。
「本当にね」
「このお城は秀吉さんが建てたのよ」
 王女がお話してきました。
「豊臣秀吉さんがね」
「日本の人だったね」
「戦国時代の日本を統一した人よ」
「お百姓さんからだね」
「ええ、そしてね」
 そうしてというのです。
「大阪という街を栄えさせた人でもあるのよ」
「そうなんだね」
「その人が築いたのよ」
「成程、凄い人なんだね」
 王子は王女のお話を聞いて秀吉さんについてこう思いました。
「それだと是非ね」
「お会いしたいわね」
「その人ともね」
「おお、それは何よりじゃ」
 天守閣の最上階の廊下のところから街を見る皆にでした。
 後ろから声がかけられました、そこにいたのは。
 お猿さんみたいなお顔で小柄で気さくな感じの表情で、です。随分と派手な金を多く暑かった着物を着ています。
 その人がです。
 人懐っこい感じで皆のところに来てです、王子の肩をぽんぽんと叩きつつ言ってきました。
「わしのことをそう言ってくれるとはな」
「まさか貴方が」
「そう、この方がよ」
 王子は微笑んで答えました。
「豊臣秀吉さんよ」
「この人もオズの国に来られているからね」
「夢のある人だから」
「この街はやっぱりこの人がいないとね」
「オズの国でも」
「さもないとこの街じゃないわよね」
 ジョージ達五人も言います。
「おられると聞いてどれだけ驚いたか」
「この人もオズの国におられるなんて」
「けれどそれでも」
「実際におられてね」
「僕達もお会い出来て何よりだよ」
「ははは、そなた達もそう言ってくれるか」
 その人、豊臣秀吉さんはジョージ達のお話にも笑顔で応えました。見ればとても人懐っこい感じの明るい笑顔です。
「嬉しいのう、それは」
「あの、何かです」
 王子は笑う秀吉さんに少し驚いた感じで言いました。
「秀吉さんは凄く親しみやすい」
「そう見えるな」
「そんな人ですね」
「天下人でもない、そして太平の国におる」
 オズの国にというのです。
「それなら威厳もいらぬ、本来のわしのままでな」
「過ごされていますか」
「家はこの城にあってのう」
 そうしてというのです。
「ねねと楽しく暮らしておるぞ」
「ねねといいますと」
「女房じゃ」
 その人だというのです。
「二人で毎日面白おかしく過ごしておるぞ」
「この街で、ですか」
「左様、尚わしはよかったら羽柴藤吉郎と呼んでくれ」
「豊臣秀吉でなくて」
「左様、豊臣は本姓で秀吉は諱であるからな」
 だからだというのです。
「相当な時でないと使わぬからな」
「だからですか」
「ほれ、オズの国には源次郎達もおるが」
「幸村さんですね」
 ジョージは源次郎がどなたかすぐにわかりました。
「真田幸村さんですね」
「左様、あの者もな」
「源次郎と呼ぶべきですか」
「本来はな、まあ豊臣秀吉と呼ばれるにも慣れたからな」
「それでもいいですか」
「それもまたな」
 こうジョージに言うのでした。
「よい、それでお主達昼飯はどうする」 
「お昼ご飯ですか」
「もう食ったか」
「いえ、まだです」
 王子はすぐに答えました。
「このお城を出てからと思っていました」
「そうか、では通天閣の方に行ってじゃ」
 そうしてとです、秀吉さんは王子にお話しました。
「そしてな」
「そうしてですか」
「串カツを食わんか」
「串カツですか」
「どうじゃ、ビールか焼酎で一杯やりながらな」
 そうしつつというのです。
「どうじゃ」
「そうですね、串カツはこれからと考えていましたが」
 王子も応えます。
「それなら」
「うむ、共にな」
「串カツを食べましょう」
 こうお話してでした。
 一行は秀吉さんに案内されてでした。
 通天閣の下にある繁華街の中にある串カツ屋さんに入りました、そして二度漬け厳禁のソースと食べ放題のキャベツがある庶民的なお店に入ってです。
 皆で食べます、そうしてでした。
 王子は串カツについても言いました。
「これもまた」
「美味いのう」
「豚肉のものも美味しいですが」
「色々あるじゃろ」 
 秀吉さんも串カツを食べています、見れば小柄ですがかなりの食欲です。
「キスに海老、烏賊に蛸に貝にな」
「茸やソーセージも」
「色々あるからじゃ」
 それでというのです。
「好きなものを食べるのじゃ」
「そうしていいですね」
「この店ではな、そしてな」
「そして?」
「串カツを食い過ぎて胸焼けすれば」
 その時はというのです。
「キャベツを食うのじゃ」
「キャベツはその為のものですか」
「そうじゃ、ではな」
「串カツをですね」
「食うのじゃ、酒も飲んでな」 
 こう言って実際にでした。 
 秀吉さんは大きなジョッキに注がれている白い泡のビールもとても美味しそうに飲みます。そうしてです。
 飲んで食べる中で王子に言いました。
「それでお主じゃが」
「何でしょうか」
「今度宴を開くそうじゃな」
「ご存知ですか」
「ははは、わしの耳は地獄耳じゃ」
 驚く王子に笑って返しました。
「だからじゃ」
「それで、ですか」
「その話は聞いておる、面白そうじゃな」
「ではよかったら」
「わしも行ってよいか」
「そうしてくれますか」
「それは有り難い、楽しいことならじゃ」
 是非にとです、秀吉さんは応えました。
「わしは大歓迎じゃ」
「それでは」
「詳しい日と場所も聞いておる」
 既にというのです。
「だからな」
「それで、ですか」
「今から楽しみにしておるぞ」
「それではいらして下さい」
「是非のう、オズマ姫ともお会いしたい」
「あの方ともですか」
「暫く振りにな、そして上様ともお会い出来る」
 こうもです、秀吉さんは言いました。
「他のお歴々にもな」
「上様といいますと」
「織田信長さんですね」
 すぐにです、ジョージは言ってきました。
「そしてお歴々は」
「そうじゃ、わしの同僚の」
「織田家の家臣の方々ですね」
「皆今ではオズの国におられるわね」
 王女も言ってきました。
「それでなのね」
「あの方々ともな」
「お会いしたいですか」
 ジョージが尋ねました。
「そうなんですね」
「今のわしはオズの国の者でじゃ」
 そうなっていてというのです。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですか」
「天下人でない、織田家の家臣に戻っておる」
「そうなのですか」
「だからな」
 それ故にというのです。
「久し振りにお会いすることも」
「楽しみですか」
「そうじゃ、ではな」
「パーティーの時は」
「楽しみじゃ、そしてわし以外のこの街の者もか」
「お誘いしています」
 王子が答えました。
「そしてどの人もです」
「来てくれるか」
「そうです」
「それは何よりであるな」
「そうですか」
「この街は面白い者が多いからのう」
 それでというのです。
「だからな」
「それで、ですね」
「宜しく頼むぞ」
「この街の色々な人達も」
「宴に招くのじゃ」
「そうさせて頂いていますし」
 それにというのです。
「これからも」
「声をかけるか」
「そうしていきます」
 是非にというのです。
「この街にいる間は」
「それではな、あとこの街の名前は大阪というが」
「そうですね」
「前は大坂といった」
 そうだったというのです。
「それがじゃ」
「名前が変わったんだね」
「そうなのじゃよ」 
 モジャボロに海老の串カツを食べつつお話します。
「これがのう」
「そうなんだね」
「うむ、そしてな」
「そして?」
「大坂城もな」
「ああ、大阪城になったんだね」
「英語だとわからんが」
 それでもというのです。
「日本語ではじゃ」
「そうなるんだね」
「そうなのじゃよ」
「成程ね」
「あと実は天守閣じゃが」
 秀吉さんはこちらのお話もしました。
「あれはわしが建てさせたものではない」
「そうだったね」 
 教授が応えました。
「貴女の天守閣は黒い壁で」
「黒塗りでな」
「瓦は金箔だったね」
「そうであった」
「貴方は派手好きだから」
「それでのう」
 その為にというのです。
「そうであった」
「そうだったね」
「あれは今の外の世界の天守閣なのじゃ」
 大阪城のそれだというのです。
「だからな」
「それでだね」
「わしのものではない」
「そうだね」
「今の大阪の者達が建てたものじゃよ」
「それがオズの国にも来ているね」
「そうじゃ、あれはあれでよい」
 今の天守閣もとです、秀吉さんは今度は烏賊の串カツを食べています。そうしながら言うのでした。
「大阪の天守閣だからのう」
「大阪だからいいんだ」
「この街のな、今のわしはこの街の市民の一人でな」
「それでだね」
「別に何でもない」
「それじゃあこの街は誰が治めているのかな」
 このことは弟さんが思いました。
「秀吉さんじゃないみたいだけれど」
「市長さんじゃよ」
 秀吉さんはあっさりと答えました。
「選挙で選ばれたな」
「そうなんだね」
「わしも選挙で投票してじゃ」
「市長さんを選んでいるんだ」
「うむ」
 そうだというのです。
「そうしておる」
「そこはオズの国の多くの街や村と同じだね」
「そうじゃ、わしはもう天下人でなくな」
「大阪の市民なんだね」
「そうじゃ、しかし随分とじゃ」
 秀吉さんは笑ってこうも言いました。
「皆わしを好いてくれておる」
「それは秀吉さんだからですよ」 
 恵梨香はほたて貝の串カツを食べながら言いました。
「皆好きなのは」
「天下無双の人たらしと言われてましたよね」
 ナターシャは鱚のそれを食べています。
「私達にも気さくですし」
「何か自然に親しみを持てます」
 神宝は蛸の串カツです。
「本当に」
「飾らないで愛嬌があって楽しくて」 
 カルロスは海老の串カツを食べています。
「それで、ですよ」
「皆が好きになるのも当然です」
 ジョージは烏賊の串カツです。
「そうでしたら」
「確かに僕達も秀吉さんが好きになっています」
 王子は鱧の串カツを食べつつ秀吉さんに言います。
「今お話をしていて」
「そうなのじゃな」
「皆から好かれることも」
 それもというのです。
「当然ですよ」
「本当に」 
 王女は普通の串カツを食べています。
「秀吉さんはそうした人です」
「ははは、だといいがのう」
 秀吉さんはビールを飲みながら笑いました。
「では今はな」
「こうしてですね」
「皆で食おうぞ、あとじゃ」
「あと?」
「オーソドックスにじゃ」
 あえて英語を使って言うのでした。
「肉の串カツも食わんとのう」
「ああ、串カツの標準の」
 王女はエリンギのそれを食べつつ言いました。
「ちゃんと」
「そうじゃ、そちらも美味いからのう」
「では次は」
「それじゃな、皆で食おうぞ」
 こう言ってでした。
 秀吉さんは自分からお肉の串カツも食べます、そうして皆もそうしてです。
 串カツを楽しみました、その後で一緒に通天閣を登りますが。
 秀吉さんはビリケンさんの像を観つつ王子達に言いました。
「一人紹介したい者がおる」
「それは誰ですか?」
「織田作じゃ」
 王子に笑って言いました。
「小説家のな」
「織田作さんですか」
「本名は織田作之助といってじゃ」
 それでというのです。
「お前さん達が行った店のカレーが大好物でな」
「あのカレーがですか」
「そしてじゃ」
 さらに言うのでした。
「善哉が好きでのう」
「夫婦善哉ですか」
「うむ、多分そこに行けばな」
 夫婦善哉というお店にというのです。
「会えるぞ、何ならわしがセッティングするぞ」
「僕達がその人と夫婦善哉でお会い出来る様に」
「そうするが」
「そうしてくれますか」
「それ位はお安い御用じゃ」
 こう言って自分のスマートフォンを袖から出します。見ればスマートフォンもキンキラキンで眩しい位です。
「そうするぞ」
「今からですか」
「遠慮はいらん、どうじゃ」
「ではお願いします」
 王子は秀吉さんの好意を受けることにしてこう答えました。
「今から」
「ではのう」
「お願いします」
「連絡するぞ」
 秀吉さんも応えてでした。
 すぐにスマートフォンで連絡しました、そしてです。
 それが終わってからです、秀吉さんは王子に言いました。
「今から夫婦善哉に行くとじゃ」
「織田作さんにお会い出来ますか」
「うむ、どうじゃ」
「はい、今すぐ行きます」
 王子は秀吉さんに答えました。
「そうさせてもらいます」
「ではのう、チンチン電車に乗ってな」
「街の中の路面電車ですね」
「あれに乗って行けばすぐじゃ」
「ではそうさせてもらいます」
「外の世界の大阪ではもうないそうじゃが」
 路面電車はというのです。
「よかったらな」
「はい、使ってですね」
「行くといい」
「そうさせてもらいます」
 王子も応えてでした。
 秀吉さんと一時のお別れの挨拶をお互いに左手を大きく振り合って行ってです。その後でなのでした。
 皆で路面電車に乗ってです。
 そうして夫婦善哉に行きました、するとです。
 木造の昔の日本のお店の前に淵が周りにある粋な帽子を被ってです。
 着流しの着物の上にマントを羽織った面長で小さな目の男の人がいました、男の人は王子達に笑顔で言ってきました。
「はじめまして、秀吉さんからお話は聞いてるで」
「貴方がですね」
「織田作、織田作之助や」
 ジョージに微笑んで答えました。
「外の世界では小説書いてたわ」
「貴方があのカレーが大好きな」
「大好物やで、それでな」
 織田作さんはジョージに帽子とマントを脱ぎつつ言いました。
「ここの善哉も大好物や」
「そうですか」
「他にも鰻丼や関東煮も好きやで」
「串カツやたこ焼きは」
「お好み焼きもきつねうどんもな」 
 こちらもというのです。
「そやで」
「そうなんですね」
「この街も大好きで」
「この街の食べものもですね」
「大好きや、ほな今からな」
「善哉を食べて」
「そしてな」
 そのうえでというのです。
「話しよか」
「それじゃあ」
 ジョージも応えてでした。
 皆でお店に入りました、そして木造で椅子やテーブルもそうであるお店の中で人数分の善哉を注文しました。するとです。
 皆の前の二つのお椀が出されました、そこにそれぞれ善哉があります。織田作さんはその善哉を観つつ言いました。
「これがや」
「夫婦善哉なのね」
「そや、かみさんと一緒に入ってな」
 王女にこう答えます。
「よお食べてる」
「奥さんと一緒に」
「夫婦やからな」
 それ故にというのです。
「そうしてるわ」
「そういうことね」
「それでな」
 織田作さんはさらに言いました。
「これからや」
「善哉を食べながら」
「話そな」
「それじゃあね」
 王女が皆を代表して応えてでした。
 皆で善哉を食べながらお話をします、甘い善哉はお椀が二つあるだけに量がかなり多いです。それで量も楽しみつつです。
 善哉を食べてお話をしていますと。
 織田作さんは善哉やこの街のお話からこう言いました。
「太閤さんからお話は聞いたで」
「パーティーのことかな」
「そや」
 モジャボロに笑顔で答えました。
「そのことをな」
「そうなんだね」
「返事はな」
 それはといいますと。
「私でええんかいな」
「是非共」
 王子は笑顔で答えました。
「来てくれるならだよ」
「ええんやな」
「そうしてくれるかな」
「ほなな」
「秀吉さん以外の大阪の人達にも来てもらうけれど」
「私もやな」
「そう言ってくれるならね」
 参加させてもらうと、というのです。
「是非だよ」
「ほなな」
「藤村さんに村山さんに」
「阪神の人達やな」
「それに寛美さんに仁左衛門さんに藤十郎さんもだけれど」
 そうした人達だけでなくというのです。
「秀吉さんもで」
「私もか」
「そうしてくれるよ、ビリケンさんもね」
「ああ、大阪の神様もやな」
「来てくれるかな」
 パーティーにというのです。
「ではね」
「私も行って」
「楽しんでね、作家さんなら開高健さんや司馬遼太郎さんも来てくれるし」
 この人達もというのです。
「待っているよ」
「私もやな」
「そうさせてもらうよ」
「ほなな」
「うん、楽しみにしているよ」
「佐助さんも来るそうよ」
 王女がこの人もと言ってきました。
「幸村さんそしてね」
「十勇士全員でやな」
「そうしてくれるそうよ」
「外の世界でもあの人書いたわ」
 織田作さんは佐助さんと聞いてこう言いました。
「それでこっちの世界でもな」
「書いてるのね」
「あの人のことをな」
「そうなのね」
「やっぱり私は作家や」
 だからだというのです。
「そやからな」
「今もなのね」
「小説書いてるわ」
「それで佐助さんも書いているのね」
「他にもな、かみさんに助けてもらって」
 そうしながらというのです。
「書いてるわ、そしてこうしてや」
「美味しいものも食べているのね」
「そうしてるわ」
「貴方はそうしているのね」
「楽しくな、時々オズの国も旅して」
「そうもしてるの」
「基本この街におるけどな」 
 それでもというのです。
「旅もな」
「してるのね」
「そうしてるで、ただ司馬遼太郎さんみたいにはな」 
 この人位にはというのです。
「しとらんわ」
「そうなの」
「これがな」
「そうなのね」
「やっぱり私はこの街の人間で」
 善哉を食べてお茶を飲みつつ言います。
「この街とこの街の人達をよお書いてるからな」
「それでなのね」
「この街を離れることはな」
「あまりないのね」
「そや」
 王女に笑って答えます。
「何処に行っても最初は喫茶店に入るし」
「喫茶店なの」
「そこでコーヒー飲むのが好きやさかい」
 それでというのです。
「そうしてるんや」
「コーヒーも好きなの」
「学生やった頃からな、それでこの街のカレーとかな」
「美味しいものも好きで」
「それでや」
「基本この街にいるのね」
「この街の全てが大好きやからな」
 だからだというのです。
「そうしてるで、けれど招待してもらったし」
「パーティーにはだね」
「喜んでね」
 そうしてというのです。
「参加させてもらうで」
「僕達の国に来て」
「そうしてな」 
 また王子にお話します。
「そうさせてもらうわ」
「それではね」
「ああ、そういうことでな」
 善哉を食べつつ笑顔でお話しました、そうしてです。
 皆は織田作さんと一緒に善哉を食べてでした、その後で。
 織田作さんとも一時のお別れをしました、するとジョージ達は町の中を歩きながらこんなお話をしました。
「織田作さんの服粋だったね」
「そうだね、マントに着流しって」
「それに帽子ってね」
「和洋折衷っていうのね」
「随分よかったわ」
 こうお話するのでした。
「昔の日本のファッションね」
「そうよね」
「着物にマントと帽子って」
「合わない様で」
「随分よかったよ」
「僕もそう思ったよ」
 王子も同意でした。
「あのね」
「和洋折衷よかったですね」
「あの組み合わせが」
「本当に粋って感じで」
「ダンディズムっていうかそういうのもあって」
「よかったですね」
「あんなファッションもあるんだね」
 王子の口調はしみじみとしたものになっています。
「そうなんだね」
「そうですね」
「あのファッション僕達もしたくなりました」
「和洋折衷ですね」
「日本の服に外国のものを合わせた」
「ああしたものが」
「オズの国でもちょっとないね」
 こうも言う王子でした。
「だから余計に印象的だったよ」
「そういえばね」
 王女も言います。
「日本って振袖に袴と靴も」
「女の人の恰好ですね」
「それにパラソルもあったりしますね」
「あのファッションもありますね」
「日本には」
「そうですよね」
「あれもいいわね、オズの国でも」
 色々な不思議があるこの国の中でもというのです。
「滅多にみたいな」
「ですね、本当に」
「あのファッション魔法みたいですね」
「そこまで凄いです」
「オズの国でもそうはない」
「そこまで」
「全くよ、国に帰ったらお話するわ」
 王女のお国の人達にというのです。
「そうするわ」
「そうするといいですね」
「いいファッションですから」
「そうすべきですね」
「いいものは伝える」
「そうしないと駄目ですね」
「だからね」
 それでというのです。
「私はそうするわ」
「いや、私も思うよ」 
 教授も言ってきました。
「ファッションの研究も学問だけれどね」
「その学問と見てもなの」
「あの組み合わせは興味深いよ」
「そうなのね」
「僕もよかったと思うよ」
 モジャボロも同じ意見でした。
「織田作さんのあのファッションはね」
「モジャボロさんにしてみても」
「僕には似合わないと思うけれど」
 それでもというのです。
「織田作さんの服装はね」
「よかったのね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「織田作さんはお洒落だとね」
「思うのね」
「凄くね」
 そうだというのです。
「いかしていたよ」
「オズの国とは少し違っていても」
「他の国のとは」
「そうよね、しかし」
「しかし?」
「私は似合わなくても」
 王女が思うにです。
「それでも着たいわ」
「王女の場合は」
「振袖、袴にね」
 それに合わせてというのです。
「靴ね」
「女の子のファッションだね」
「それになって」
 そうしてというのです。
「お洒落してみたいわ」
「王女はそうなんだね」
「織田作さん見て思ったわ」
 心から、そうした言葉でした。
「本当にね」
「そうなんだね」
「そしてね」
 王女はさらに言います。
「私もあのファッションをしてみるわ」
「是非だね」
「ええ、機会があれば」 
 その時はというのです。
「そうするわ」
「その機会が来ればいいね」
「そうだね、ではね」
「うん、この大阪から」
「次の場所に行こう」
「そうしましょう」
 笑顔でこうお話してでした。
 皆で大阪から次の場所に向かいました、皆の旅は続きます。








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