『子豚のロビンソンのお話』





 ロビンソンはこの時お家の中にお父さんもお母さんもいませんでした。
 いるのはロビンソンと弟達です、ですが。
 弟達はロビンソンに言うのでした。
「お兄ちゃん、お腹空かない?」
「もうそろそろおやつの時間だよね」
「何かないの?」
「僕紅茶飲みたいよ」
「ああ、そういえば」
 弟達に言われてです、ロビンソンも気付きました。
「もうそんな時間だね」
「そう、午後のお茶の時間だよ」
「お茶にしようよ」
「ミルクとお砂糖をたっぷり入れてね」
「それで飲もうよ」
「おやつも出して」
「ちょっと待ってよ、一度にそう言われても困るよ」 
 ロビンソンは口々に言う弟さん達に困った声で返しました。
「皆でね」
「けれどお腹空いたよ」
「お茶の時間なのは確かじゃない」
「だから何か出して」
「何かあるよね」
「お茶は絶対にある筈だよ」 
「うん、お茶はいつも飲んでるしお母さんも昨日買ってきたからね」
 お買いものでティーパック自体をです。
「あるよ、ミルクとお砂糖も買ってたよ」
「じゃあすぐに淹れてよ、紅茶」
「お湯を沸かしてね」
「それでおやつも出して」
「お菓子もね」
「お菓子は何があるの?」
「だから皆で言わないでよ、一度に言われても困るよ」
 またこう返したロビンソンでした。
「僕だって考えて動く時間が欲しいから」
「そうなんだ、じゃあとにかくね」
「お茶沸かして」
「それで皆で飲もう」
「うん、まずはね」
 ロビンソンは台所に行ってです、そして。
 その中をきょろきょろと見回してです、まずは。
 お菓子を見付けました、そのお菓子はといいますと。
「クッキーがあるよ」
「あっ、クッキーがあるんだ」
「僕クッキー大好き」
「僕もだよ」
 クッキーと聞いてです、弟さん達は笑顔になりました。クッキーは皆が大好きなとても素晴らしいお菓子です。
「じゃあ今日のおやつはクッキーだね」
「それを出してくれるんだね」
「今からそうしてくれるんだよね」
「そうだよね」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「皆はテーブルの上で待っていてね」
「うん、それじゃあね」
「僕達ここにいるから」
「クッキー早く持って来て」
「その間にお茶を淹れて」
「僕の分も残しておいてよ」
 ロビンソンはクッキーを弟さん達が座っているテーブルの上に入っている袋ごと置きました、そして袋を置いてです。
 それから台所に戻ってです、今度はお湯とティーパック、それにミルクとお砂糖を探しました。まず見付けたのは。
 容器に入っているお砂糖です、その容器にはちゃんとお砂糖と書いています、そして実際に舐めてみますと。
「うん、お砂糖だよ」
「お塩じゃないんだ」
「同じ白い粒でもだね」
「それはお砂糖なんだね」
「ちゃんとした」
「うん、そもそもこのお砂糖黒いから」
 白いものではありませんでした、家のお砂糖は。
「黒砂糖だよ」
「へえ、黒いお砂糖なんだ」
「そうしたのもあるんだね」
「お砂糖って白いと思っていたけれど」
「黒いお砂糖もあるんだ」
「そうだったんだ」
「あるよ、市場に行けばね」 
 動物達も市場、そこに行けばというのです。
「あるよ」
「それでなんだ」
「お家のお砂糖は黒いんだ」
「だからお塩と違ってて」
「すぐにわかるんだね」
「甘いよ」
 その黒いいお砂糖もとです、ロビンソンは弟さん達に答えました。弟さん達はまだおやつを食べていなくてきちんと座って紅茶を待っています。
「黒くてもね」
「じゃあそのお砂糖紅茶に入れよう」
「黒くても甘いのならいいよ」
「お砂糖はお砂糖だからね」
「お願いするよ」
「よし、それじゃあね」
 弟さん達の言葉を受けてです、ロビンソンはお砂糖はその黒砂糖で決めました。そして次はティーパックを見付けました。
 ティーパックはかなりの数があってです、ロビンソンも言いました。
「皆の数、いや僕達全員を合わせても十杯は飲めるだけの数はあるよ」
「そうなんだ、じゃあ僕達紅茶十杯飲んでもいいんだね」
「僕何杯でも飲めるよ」
「僕もだよ、甘い紅茶大好きだからね」
「ミルクティー最高だよね」
「うん、最高だよ」 
 弟さん達はティーパックの数も聞いて笑顔になりました。
「じゃあ今日は紅茶たっぷり飲もう」
「そうしよう、ミルクも入れてね」
「お砂糖もたっぷり入れてね」
「それで飲もう」
「これからね」
「ミルクもあるよ」 
 ロビンソンはミルクも見付けました、ミルクはちゃんと冷蔵庫の中にあります。ミルクの量もかなりのものです。
「こちらもかなりあるから」
「じゃあ全部ミルクティーだね」
「やっぱりミルクティーいいよね」
「うん、そうだよね」
 ミルクティーを飲めることをまた確認するのでした、そして。
 最後にです、ロビンソンは。
 ポットの中にお水を入れてそこから火を点けました、弟さん達はそのお兄さんの行動を見て心配になって尋ねました。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「火使えるの?」
「お母さんやお父さんみたいに」
「出来るの?」
「火事にならない?」
「大丈夫だよ、僕だってね」
 ロビンソンは心配そうな弟さん達に少しむっとして返しました。
「この前お母さんに教えてもらったから」
「だから出来るんだ」
「火を使えるんだね」
「お湯も沸かすことが出来るんだね」
「お兄ちゃんも」
「そうだよ、だから心配無用だよ」
 実際に火を点けてその様子を見ながらの言葉です。
「これでもね」
「だといいけれどね」
「火事になったら大変だからね」
「じゃあお湯を沸かして」
「コップの中にティーカップ入れてね」
「そこにお湯を注いで」
 まずはそうして紅茶を作ってです。
「ミルクも入れてね」
「お砂糖も入れてそうして」
「飲もうね」
「皆でね」
「まだクッキーは食べてないよね」
 ここでロビンソンはです、弟さん達に咎める顔で尋ねました。
「まだ」
「うん、待ってるよ」
「お兄ちゃんが紅茶を淹れるのをね」
「お母さんがいつもお菓子は皆で、紅茶を淹れるまで待って食べるって言ってるから」
「だから待ってるんだよ」
「お兄ちゃんが紅茶を淹れてそれでテーブルに来るのをね」 
 まさにその時をというのです。
「だから早く淹れてね」
「待ってるんだからね」
「甘いミルクティーね」
「お湯を沸かすことが出来たら」
 こうお話してでした、そしてです。
 ポットから湯気が出たのを見てです、ロビンソンは火を止めてです。
 カップを出してそこにティーパックを一つずつ入れてです、お湯を注いで。
 パックを取り出してからミルクも注いでお砂糖も入れてです、それからお盆の上にそのカップ達を乗せてテーブルのの上に持って来て言いました。
「はい、出来たよ」
「うん、待ってたよ」
「やっと出来たね」
「何時出来るかって思ってたけれど」
「やっとだね」
「やっと出来たね」
 弟さん達は実際にやっとだね、という口調でお兄さんに応えてです、そのうえで。
 それぞれカップを取って自分達の前に置いてでした、ロビンソンも自分の席に着いてそれからなのでした。
 皆でお祈りをしてからクッキーを食べて紅茶を飲みました、紅茶のおかわりはロビンソンが入れましたが。
 皆三杯目になるとです、こう言うのでした。
「もういいかな」
「うん、そうだよね」
「お腹一杯になってきたね」
「三杯目だからね」
「僕もね」 
 ロビンソンも三杯目を飲みながら言いました。
「いいかな」
「クッキーも食べたし」
「もうクッキーないよ」
 袋の中にあったクッキーがそれこそ全部です。
「食べたよ」
「一枚残らずにね」
「美味しいクッキーだったね」
「凄く甘かったね」
 そのクッキーもというのです。
「紅茶も飲んだし」
「もうお腹一杯」
「じゃあいいね」
「もうこれでね」
「おやつはいいね」
「紅茶も」
「そうだね、僕も出来たよ」
 ここでロビンソンは満足してです、弟さん達にこんなことを言いました。
「全部出来たから」
「紅茶?」
「紅茶を?」
「そう、それにね」
 しかもというのです。
「おやつも出せたしね」
「うん、紅茶淹れる時に火も点けたけれどね」
「火事にもならなかったね」
「お湯もこぼれなかったし」
「何もなくてね」
「無事に出来たからね」
「最高だよ」
 全部無事に出来てというのです。
「こんないいことないよ、じゃあお腹一杯になって眠くなったし」
「皆でお昼寝しよう」
「お母さんが帰って来るまでね」
「それでお父さんが帰って来たら晩御飯だね」
「晩御飯も食べて」
「それでね」
「晩御飯も食べようね」
 こう皆でお話してでした、そのうえで。
 ロビンソンは弟さん達を連れて子供部屋に入ってでした、ベッドの中で気持ちよく寝ました。そして皆が気持ちよく寝ていますと。
 お母さんがお買い物から帰ってです、それからお父さんも帰ってきました。お父さんは晩御飯を作っているお母さんのお顔がやれやれといったものになっているのを見て尋ねました。
「どうかしたのかい?」
「ええ、帰ってきたらね」
「また子供達が悪さをしていたのかい?」
「悪いことはしていないけれど」 
 それでもというのです。
「おやつ食べてそのままだったのよ」
「ああ、袋をテーブルの上に置いたままだったんだね」
「紅茶のカップもね」
 それもというのです。
「飲んだままで、ティーカップも物凄く使ってるし」
「あれっ、自分達でおやつ出したんだ」
「お買い物に行ってそれでお喋りして帰るのが遅れたのよ」
 お母さんにはよくあることです、ロビンソン達のお母さんに限らず。
「そうしたら自分達で用意して飲んで食べてたのよ」
「紅茶も淹れてたのかい」
「多分ロビンソンがね」
 兄弟の中で一番上の彼がというのです。
「淹れたのよ」
「ほう、あの子もそんなことが出来る様になったんだな」
「火事も起こさないでね」
「それはいいことだな」
「そのことはいいことでもね」
 それでもと言うお母さんでした。
「カップも袋も出したまま、後片付けはしていないで」
「ティーカップも使い過ぎていて」
「一人一杯に一個ずつ使っていたのよ」
「それはまた使い過ぎだな」
「一人二杯で一個なのにね」
「それが普通なのにな、うちじゃ」
「あの子達そのことに気付いていないで」
 それでというのです。
「一杯ごとに一個使っていたのよ」
「それは使い過ぎだな」
「ティーパックも節約しないとね」
「そうだな、それもな」
「しかもあちこち汚したままで」
 子供が用意して食べたからです、あちこち食べカスや零したミルクやお砂糖があって凄く汚れていたのです。
「帰ったらお掃除しないといけなかったのよ」
「それで今はか」
「そう、お料理作ってるけれど」
「まずはそれだったんだね」
「ちょっと大変だったわ」
「ははは、そうだろうな」
 ここで笑って言うお父さんでした。
「子供が食べた後はな」
「全く、ちょっと困ったわ」
「それで子供達はどうしてるんだ?」
「まだ寝てるわ」
 お昼寝がそのまま続いているというのです。
「私が帰った時からね」
「もう夜だけれどな」
「幾らでも寝られる子達だから」
 それこそというのです。
「起こさない限りずっと寝てるわよ」
「そうなんだな」
「そう、それでね」
「まだ寝ているんだな」
「そうなの」
「じゃあ御飯が出来たらか」
「起こすわ」
 そうするとです、お母さんはお父さんに言いました。
「それで後はね」
「その時におやつのことを怒るのか?」
「怒らないわ。確かに散らかしてくれてティーパックも無駄使いしたけれど」
 それでもというのです。
「あの子達で全部したことはいいことだから」
「そのことを褒めるんだな」
「子供は怒ることも必要だけれど」
 それでもいうのです。
「褒めることも大事だから」
「だから今回はか」
「褒めるわ、けれど少し注意も入れてね」
「そうしてだな」
「あの子達だけでちゃんと出来たからね」
 おやつのことをというのです、そうお父さんとお話しながらです。 
 お母さんは晩御飯を作るのでした、そして出来てからロビンソン達を起こしました。


子豚のロビンソンのお話   完


                        2015・6・11



子豚たちのお留守番か。
美姫 「お兄ちゃんのロビンソンが頑張ったわね」
だな。まあ、多少の失敗はあれど、母親も褒めるみたいだし。
美姫 「ほのぼのとしてて良かったわね」
だな。では、この辺で。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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