「……浅い」

 

 構えていた長弓を少し下げ、闇の彼方を見つめ呟いた。

 

 彼女の放った矢は、狙った点――左目を確実に射抜いた。――はずだ。しかし、効果は薄い。眼球を射抜かれながら、それでもあの男はなんでもないように立っている。

 

 それどころかこうも言っている。

 

 あと二回で殺してみせろ、と。

 お前の憎しみの全てで、殺してみせろ、と。

 

 声が届いているわけではない。だが、一里の闇をも見通す目と読唇術があれば、何を言ってるかくらいは分かる。

 酔狂なことだ。

 それはあの男なりの償いのつもりだろうか。だけど――

 

「悪いけど、付き合うつもりはないよ」

 

 聞こえるはずがないと知りつつそれだけ言い、第二の矢をつがえた。

 

 

 

 

 

 

      第3話  「鬼」

 

 

 

 

 

 

 あと二回で殺して見せろと、虚空に咆えた青年を皆が呆気に取られ見つめる。

 この人はいったいなんのつもりでそんな事を言うのだろうか。

 と、突如彼方を見つめていた青年の目が、目の前で座り込んでいる士郎に向けられる。

 

「どうした、不破士郎。そんな所に座ったままで、巻き添えでもくらいたいか?」

 

 それは人間らしい温かみの一切を排した目と声。

 

「あ、……ああ」

 

 それには士郎さえも気圧されたように緩慢に動き始める。

 

「遅い」

「は? ッ!」

 

 容赦のない蹴りが放たれ、士郎の身体が飛ばされた。そのまま宙を飛んで、恭也たちの足元に転がる。

 

「ッ〜〜!! 痛いじゃないか。そう何度も蹴るな」

「お前が遅いのが悪い」

 

 そう答えながらも、もう青年は士郎を見ようともしない。はるか遠い襲撃者に対し、鋭い視線を向けるだけだ。

 

「……いろいろ言いたいことはあるが、今撃ってきた奴に心当たりはあるのか?」

「怨まれる覚えも狙われる覚えもいろいろある。が……昔、あいつの親友を殺した。そのときの憎しみがようやく追いついたようだ」

 

 なにを当然のことを、と言いたげに返された答えに全員が唖然となる。

 

「お前、まだそんな生き方を続けているのか? 俺にはやめろと言っておいて、何で自分はやめようとしない」

「俺は『鬼』だぞ? この程度の憎しみ、背負えなくてどうする」

 

 はっきりと、彼はそう言いきった。どこまでも誇り高く、気高く、胸を張って。

 言ってる内容と態度について、なにかそりが合わないものを感じるが、それはつまり――

 

「『夜の一族』か?」

「……恭ちゃん、なにそれ?」

 

 美由希が疑問を挟んでくる。フェイトとアルフは年末に魔法のことを話したときにすずかから聞いているのだろう、その顔に疑問が浮かぶ様子はない。

 

 『夜の一族』とは西ヨーロッパを起源とする異能の一族。吸血鬼や狼男などの総称とでも考えればいい。聞いたことはないが、その中に鬼が混じっていても不思議ではない。

 

 と、そういったことを説明していいものか迷う。恭也自身、忍に聞かされたのだが、その際の決意がどれほどか重いか少しは理解できるつもりだ。そこからすると、気軽に話していいことではないと思う。

 

 しかし、青年は恭也の疑問には答えず、するりと羽織を脱ぐ。中にいろいろと仕込んでいたのだろう、ガチャガチャと音を立ててそれは地面に落ちる。

 

 誰かが、息を呑んだ。

 

 肩から袖がない黒シャツが寒そうとか、鋼のように鍛え抜かれた右腕がすごいとか、たぶんそんな意味ではなくて、

 左腕が、二の腕の半ばから先がなかったのだから。

 断面はかなり歪で、赤黒い肉も見えている。なのに血の一滴もこぼれない不思議な傷跡。否応なく、目がそこに引き付けられる。

 その沈黙の中で、それが義務であるかのように、士郎が口を開いた。

 

「神雷。最初に見たときから気になっていたが、お前、左腕は……?」

「そこ」

 

 迷いも躊躇いも見せず、まっすぐに、士郎を指差す。

 

「なんの代償も無しに死者を現界させられると思っていたか? 依り代くらいは要るだろう」

「ッ……!」

 

 代償。依り代。それが、彼の左腕だということか。

 そして、彼はあまりにあっさりと、死者蘇生をした事実と、した者とされた者を暗示していた。

 その意味するところを悟り、フェイトが息を呑んだ。おそらく、それを確かめることこそが彼女がここにいる理由なのだから。

 

 だが、そのことについて訊き出そうと開かれた口から疑問の言葉が出ることはなく、渋々という感じで閉じられる。今はそれどころではないと理解しているのだろう。

 事実、その通りだ。相手が何者かは知らないが、いきなり寸分違わず目を射抜くほどの手練。そんな相手にあと二回も好きにさせたら――

 

「お前、殺されるぞ……」

 

 恭也と同じ思考に至ったらしい士郎がそう漏らす。

 

「そうかもな。だけど――」するりと腰の後ろから小太刀を鞘ごと抜き出しながら「そうなったら、そうなっただ」

 

 ガチャン、と足元に無造作に放り出す。そのあまりにあっさりとした態度に、そこにいる全員が絶句する。この男は、自分の命に対してまったく執着を持っていない。

 そんな周りの困惑などよそに、彼は残っている右目で闇の彼方を見据え――

 

「……来る」

「えっ……?」

 

 確信を持った呟き。彼の視線を追ってみるが、なにも見えない。それでも見ようと闇に目を凝らして――

 

 ドスッと鈍い衝撃音。振り返って見れば、さっきと同じ黒い矢が今度は彼の喉を貫いている。

 

 普通ならそれで死んでいておかしくないはずである。

 だが彼は、まるで虫でも止まっただけかのように、刺さった矢を無造作に引き抜いた。そのまま引き抜いた片手で矢を折り、後ろに放り捨てる。その時点で彼は、すでにその矢に対する関心をなくしている。

 

 しかし、どうやら彼は本気で飛んでくる矢を受けるつもりらしい。矢の接近を予言しておきながら、微動だにしていなかったのだから。

 だというのに、いったいなにが不満なのか、彼はため息を吐き、再び、国守山の方向を見据え――

 

 再び、ドスッと今度は背後から彼の胸を貫く矢尻。今度のそれは赤く、刺さっているのは胸のやや左側、心臓のある位置。

 だが彼はそれでも揺らぐことなく、

 

「……やる気あるのか?」

 

 胡乱気な目で胸から突き出た矢を見やり、さっきと同じように無造作に引き抜いて――

 

 パチン、となにかが弾ける音がした。

 

 その音を皮切りに彼を中心にして、黒と銀の雷がバチバチと唸りを上げて奔る。一年半ほど前に久遠が『祟り』として暴走したときと同じ――いや、それ以上に雷を撒き散らしている。近づくだけで感電することは間違いなしだ。

 

「まあいい。そろそろ――」

 

 そこで言葉が一度途切れ、眼前を通り過ぎようとした赤い矢を掴み取った。

 

「あれ……?」

 

 違和感があった。

 その正体にすぐ気づいた。青年はさっき久遠の突進を避けたときのように、予備動作も残像も残さずに半歩分だけ下がっていた。もしそうしていなければ、その矢はこめかみに刺さっていただろう。それだけで青年の技量の高さが伺える。

 

 それから青年は、なにか意味があるのか、その矢もペキリと折って捨ててから、スッと掌を眼前にかざし――

 

「本分に戻ろうか」

 

 バヂィッ! とその掌で、一際強い雷が生まれる。周囲に纏わりついていた雷も右手に集約されていき、ヂヂヂヂヂと、それは千もの鳥の囀りのようにものすごい音を奏でる。

 

「すごい電気……」

 

 自身が雷を扱う魔導士たるフェイトには分かる。あれは自分が使えるレベルをはるかに凌駕した雷だと。というより、人の身で扱っていいレベルではない。

 

「不破士郎。よく見ておけ。あのとき、お前がどんな化け物に喧嘩を売ったのかをな!」

 

 言う間にも雷は輝きと音を増していく。

 

「いや、お前が化け物じみて強いのはよく分かってるから」

 

 そんな士郎の言葉など、もう青年に届いていない。

 

 雷の輝きに照らされて、青年は獰猛な笑みを浮かべる。それはもはや、獣の笑みですらない。

 それは彼が言ったように、鬼の笑み。殺し、壊し、潰したいと。ただその本能と渇望だけが作り出せるもの。

 

 その青年の姿に見とれてしまった。それは鬼の笑みへの恐怖にか、それとも黒と銀の雷の美しさにかは分からない。だが、そのうちに青年は次なる行動に移っている。

 

 雷を帯びたままの右腕を真横へと向けるように動かし、掌の雷球がぐしゃりと握り潰され、黒と銀の雷が細く、長く形状を変える。

 それはまるで、槍のように、青年の手に収まる。

 右半身をわずかに後ろに下げて構える。そのまま、全身の筋肉が躍動し、美しいとしか言いようのないフォームで雷の槍を投擲した。

 

 だが、その槍は国守山に届かなかった。

 

 途中で落ちたわけでも消えたわけでもない。一瞬のことで自信はないが、ほとんど同時に向こうの狙撃手も似たような光を撃ちだしていた。それがちょうど高町家と国守山との中間あたりでぶつかったのだ。

 

 強烈な閃光。その光は、一瞬とはいえ昼間のように海鳴市を照らした。

 そして数秒遅れて轟雷が高町家にまで届く。

 

「おわっ!」

「ぐっ……」

「「キャッ!」」

「ひゃーー」

 

 ガラスが震える、どころではない。人体の骨の髄までも痺れさせるほどの轟音と衝撃波。

 その衝撃波で、空を覆っていた雲が、わずかに裂けた。

 

「しくじった……」

「え?」

 

 さっきの閃光と轟音で、目と耳が少しおかしくなっている。

 だから彼がなにを言ったのか聞き取れなかったし、どんな表情をしているのかよく分からなかった。

 だけど、恭也はそれを見てしまった。

 

 それはまさに、一瞬だった。

 

 瞬きをしていたら見逃してしまっただろうし、それでなくても目の錯覚かと自分を疑ってしまうほどの刹那。

 回避も、防御も、抵抗も、何一つできないその一瞬だけ白く、太いとも細いとも言えない光が、彼の右肩を通り抜けた。

 それだけで青年の右肩はなくなり、右腕が勢いよく回転してどこかへと飛んでいった。

 

「ッ……!!」

 

 何人がその瞬間を目撃できていたのか。

 あまりに突然で、あまりに一瞬のことに、皆言葉が出ない。

 

 そんな恭也たちの反応に対して、青年は腕のなくなった肩を見て、笑みを浮かべる。それはさっきまでの暴虐の笑みではない。その笑みは自虐か恍惚か、それを判断する余裕すら周囲に与えず――

 

 次なる光が、胸の中心を貫いた。

 

 その光は先の光条と同じく、またもわずかな余韻も残さず消える。しかし、その光に穿たれた青年はドス黒い血を撒き散らしながら、まるで冗談かなにかのように派手に転がり、道場の壁に当たってようやく止まった。背中の半分で壁にもたれるような姿勢で、ピクリとも動かない。

 

 それから考えられることは一つ。

 

 死んだ。

 

 誰の目にもそれは明らかだった。胸に、向こうが見えそうなほど大きな風穴を開けられて生きていられる生物はいない。

 

 静寂が戻ってくる。

 突然の襲撃で生まれた混乱も収まり、ようやく、事態を冷静に受け止める余裕が出てくる。

 その冷静になった視線の先には倒れて動かなくなった青年が一人。考えてみればまだなにも訊いていない。いきなり現れて、やりたいようにやって、勝手に死んで。まさに士郎の言ったとおりにわがままとしか言いようのない人物だった。

 

「じんらい……」

 

 背後から弱々しい声が聞こえた。振り返ってみれば、久遠がよろめきながら歩み寄ってきている。

 

「久遠」

「くーちゃん」

 

 その後ろからかかる那美となのはの呼び止める声をも無視して、青年へと近づく。

 その顔に浮かぶ必死の表情に圧されて止めるタイミングを損ねた恭也たちの横を通り過ぎ、青年の下へと辿り着く。

 

「じんらい……じんらい……」

 

 何度も青年の名を――迅雷……だろうか、呼びながらその体を揺さぶる。

 

 だが、それも結局は無駄だった。

 

 青年はまったく反応しない。

 それでもまだ諦めず、何度も揺さぶって――

 理解してしまった。青年がどうなってしまったのかを。

 

 青年の体に掛けられていた手が滑り落ちる。絶望をそのまま絵にしたらこうなると見せるように、力なくうなだれる。

 

「久遠……」

 

 誰も、なにも、掛ける言葉が見つからない。その沈黙の中、久遠がポツリと呟く。

 

「よく……も……」

 

 その呟きを成すのは純粋な憎悪と殺意。よくよく見れば、久遠の周囲でパチパチと弾けるものがある。

 

「ッ!! 久遠、駄目!」

 

 その意味に気づいた那美が制止の声を上げる。だが間に合わなかった。

 

 目を焼くほどの閃光。

 それが晴れたとき、そこにいたのは子供の姿の久遠ではなかった。

 そこにいたのは五本の尾を持つ長身の女性。かつては『祟り』と呼ばれ、酒呑童子や八俣の大蛇と並び称された大妖怪。

 

 その大妖怪が明らかな殺意を持って、先ほど青年が扱ったのとほとんど同じ量の、今度は金色の雷を撒き散らす。

 

「よくも……よくも!」

 

 その目に宿るのは一年半前と同じ――いや、それ以上の憎悪の火。久遠にとって青年がどういう存在か分からないが、どれほど重要な存在かは無理にでも理解できてしまう。

 

 封印はできるか、と恭也が視線で那美に問う。

 無理です、と那美は首を横に振って答える。

 

 あのときは、確かに那美の一撃で『祟り』を払った。だがそれも、神咲薫という最強クラスの退魔士の援護(?)、そして久遠自身の『祟り』への抵抗があって、かろうじて成功したようなものだ。

 だが今は薫はおらず、久遠自身の意思で『祟り』化しようとしている。

 

 止められない。一息で雲を払い、山を薙ぐ大妖怪がここに復活する。

 その意味を寸分違わず理解できる二人――恭也と那美は無理と知りつつそれを止めるべく動こうとして、

 

「久遠、やめろ……」

 

 恭也のものでも、那美のものでもない、たった一言で、その殺意は止められた。

 

 しかし、それはありえないと、その声の主へと全員の視線が集中する。

 だが、そのありえないはずのことは、目の前で現実として存在していた。

 

 青年はまだ死んでいなかった。

 

 一言ごとに、言葉と一緒に血を吐き出しながら、それでも眼光はまったく衰えることはなく、久遠を睨んでいる。

 

「これは俺の戦い、俺のけじめだ。お前だろうと誰だろうと、横槍は許さん」

 

 その言葉は決して声が大きいわけでも、殺気かなにかが籠められていたわけでもない。なのにそれだけで久遠の殺意と雷を鎮めてしまった。

 それでも、久遠はまだ弁解しようとする。

 

「神雷、でも……」

「二度は言わんぞ」

 

 ビクリっと萎縮する。

 

「く、……くぅ、分かった」

 

 再び閃光。そして久遠が子供形態に戻る。叱られるのを怯えるようにオドオドとして、それでも青年のそばから離れようとしない。

 

「それでいい……」

 

 腕があったなら頭を撫でているかもしれない、そんな穏やかな口調。それを感じてか久遠の緊張も解ける。

 が、そんな和やかな雰囲気のままにしておける状況でもなく、士郎が口を開く。

 

「死んでなかったのか」

「ああ、このてい――」

 

 そこでビクンッと胸から上だけで大きく痙攣して言葉は止められた。

 

「すこし……まて……」

 

 それだけ言ってから胸をかすかに上下させ、ゴボリ、と大量の血を吐き出した。

 

「これで少しはまともに話せる」

 

 確かに、その声はまだ掠れてはいるもののさっきより流暢になった。

 

「この程度なら死にはしない。……少し意識は飛んだみたいだが」

「この程度って……」

 

 胸の中心を貫かれて言う言葉ではないのではないだろうか。

 

「だが、両腕はなくなった。両足も動かない。あとは、あと一撃で頭を潰されるくらいしかできないが――」右目で国守山の方を見据えて「無刃も、もういなくなっている。今夜はこれで終わりだ」

 

 終わりと、そう言う彼の表情は本当に残念そうに見える。自分ではもう何もできないと知っていてなぜそんな態度を取れるのか、恭也たちにはさっぱり分からない。

 

「いなくなったということは、相手はもうお前を殺したと……」

「まさか。久遠が間に入った所為で集中が切れたとかだろう」

 

 呆れたように答えた。これだけの傷を負わせておきながら、まだ終わったと思っていないという。

 いったいどういう人たちなのか、まったく、理解できない。

 

「久遠」

 

 突然の青年の指名に、少女はびくりと大仰に反応する。

 

「主として命じる。俺の右腕を探して持ってこい。その後は不破士郎が、誰にも触れないように見張っていろ」

「くぅ……わかった」

 

 青年に命じられて、久遠は渋々といった感じで彼の右腕が飛んでいった方向へと駆けていく。その後姿を見送りながら、肺の中の空気すべてを吐き出すように、ついでに血も混じえながら、深い、深いため息。

 

「また、死に損ねた」

 

 そこにどれだけの無念があるのか窺い知ることはできない。というか、死に損ねたって……。

 

「最初から死ぬつもりだったのか?」

「さあな」本当に、自分でもどうしたかったか分からないように答え「だが、今夜は最初から敗北以外の結末はなかった。一里もの遠間があって、その間合いを詰めることもできず、どうやって剣士が射手に勝てるんだか」

 

 士郎の詰問に対し、呆れたように返された説明で納得する。それだと確かに勝ち目などない。というか――

 

「剣士……ですか?」

 

 恭也の口から呆然と疑問が漏れた。

 

「ん? ああ、たいていのものは使えるが、得意なのは刀だな」

 

 正直信じ難い。始まる前から小太刀を放り捨て、その後も雷を槍にして投げただけなのに。

 そんな恭也たちの困惑などよそに、

 

「不破士郎」

 

 青年は次なる言葉を放っていた。

 

「どうする? 今なら俺の首を取るくらい簡単だろう?」

「……いや、いまさらそんなことをしても意味がない」

「そうか……」

 

 またもどこか残念そうな声。その様子を見ると、やっぱり死にたがっているように見える。

 

「まぁいい。訊きたいことは聞いたし、ここが『開かれた霊穴』であることも確信できた。さっき言ったとおり、夜明けまでの残った時間はお前にやる。せいぜい、誰にも触れないように気をつけることだ」

 

 そう言って、もう一度だけ息を吐いて、青年は残っていた右目を閉じた。

 

 

 


 

 第3話お届けしました。

 ……とことん、読者と登場人物を置き去りにして話が進んでいます。いいのかこんなので……。

 

 まぁ、『序章』の括りから察してもらいたいのですが、この辺りはまだゲームで言うところのオープニングであり、プレイヤーは操作できず見てるだけ。大昔のラスボス級のバトルやら訳分からない展開やらがあり、後から見て、ああ、あれはこういうことだったのかと納得してもらえるようなそんな内容を……書いているつもりです。

 

 とりあえず、次回で序章は終わり、1月9日の夜も終わります。士郎と久遠の口から語られるオリキャラとの過去を中心にして話は進む予定です。

 

 なお、作中『神雷』と『迅雷』の二つの表記が出ていますが、『神雷』の方が正しいです。過去に会ったことのある士郎と久遠が呼んでいるんだから間違いないです。

 





うーん、とてつもない出来事が。
美姫 「いよいよ語られる過去」
そして、物語は本格的に動き出す。
美姫 「そこには一体何が待っているのかしらね」
次回も待ってます。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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