1月26日 (木)  PM 7:47

 

「さて……。では、行ってくる」

 

 食後のリビングで、神無はここ最近でお決まりになった科白を残して出て行こうとする。

 あの日――恭也の家で神雷さんと再会して以来、夜になるとあの人を探し歩くのが神無の日課になった。

 なぜこんな時間なのかと訊くと、あの人が探し物をするのは夕方から夜の間だろうからと答えが返ってきた。その理由までは教えてくれなかったけど。

 ともかく、当初の当てだった恭也との手合わせは済んでしまったので、今後は自分で探し出すことにするらしい。

 一度、手伝おうかと尋ねたのだが、どうやってと真面目に返されて答えられなかった。なのはちゃんたちみたいな魔法使いならなにか手があるかもしれないけど、夜の一族はそこまで万能じゃない。

 そんなわけで今わたしにできることはただ一つ、見送ることだけ。

 

「うん、じゃあ気をつけて――」

 

 と、いつものようにそこまで言ったとき、門の外に備えてある呼び鈴が鳴った。すぐさまノエルが応対に出る。

 こんな時間にアポなしで誰だろ?

 いくつか来そうな候補を考えてみるが、どれもろくでもない相手ばかり。もしそうならノエルが丁重に追い返すだろうし、別に気にすることでもないか。

 そう判断するが、しかし予想に反して、たいして間を置かずにノエルが戻ってきた。

 

「失礼します。忍お嬢様。蓮火様がお見えになられました」

「お祖父ちゃんが?」

「はい。神無様に会いに来た、とのことですが――」

「へ? 神無に?」

 

 言われてつい神無の方を振り返ってみれば、どんな感情が働いているのか眉をしかめてノエルを見詰めている。

 そういえば、お祖父ちゃんは最初から神無に会おうとしてたっけ。

 でも、事前の連絡もなしに来るとは思ってなかった。

 

「神無様、よろしいでしょうか?」

 

 そう訊かれた神無はなにを考えているのか、苛立ちを隠そうともせず舌打ちをした。

 だけど、やがてなにか諦めるようにため息を吐いて、

 

「分かった。せっかく来たんだし、話くらいは聞いてやろうう」

 

 面倒で仕方ないという態度を露わに、神無はそう答えた。

 

 

 

 

 

 

      第10話  「遭遇」

 

 

 

 

 

 

 来客はすでに応接室で待っているとのこと。

 すでに勝手知ったる他人の家だが、ノエルの先導に付いて歩く形でそこへと向かう。

 そして、さして時間を掛けず、途中の会話もないままに目的の部屋の前に着く。

 

「こちらで――」

 

 言いかけたノエルの口に手を添えて言葉を止める。

 意味はない。単に気分というヤツだ。

 そのまま音も気配も出さず、応接室のドアを開ける。

 その部屋の中央に備え付けられたテーブル。その一面を占拠するようにその人物は座っていた。

 

 月村蓮火。

 忍とすずかの祖父で、現在の月村家の当主。そして、夜の一族全体でも有数の権力者。

 

 ……あのときの若造が、よくそこまで出世したものだ。

 そう思い、こぼれる苦笑を抑えることもせず、近寄りながら声を掛けた。

 

「久しいな、蓮火。……五十年ぶりか?」

 

 正確な年数は覚えていないが、だいたいそのくらいだろう。

 対する蓮火は、わたしを見て一瞬だけ驚いたように目を見開き、それからすぐに郷愁の念を含んだ笑顔で、

 

「ええ、お久しぶりです。……知ってはいましたが、変わりませんな、貴女は。半世紀も昔のままだ」

「……そう言うあなたは、老けたな」

 

 嫌味を込めてそうは言うものの、その顔にはまだ精悍さが残っている。記憶の通りならもう七十前のはずだが、五十前でも通じそうだ。その若作りは『血吸い』ゆえか夜の一族ゆえか。……まぁ、どうでもいいことだが。

 そのまま、対面のソファに座る。

 それを確認してから蓮火はドアの方へと視線を移し、

 

「ノエル、下がっていいぞ」

「はい……? あ、いえ、しかし――」

「構わん。今夜はこの方と二人で話をするために来たのだ。……お前がいると話しにくいこともある」

「……承知しました。なにか御用があればお呼びください」

 

 恭しく一礼をして、ノエルが退室する。

 それから数秒、互いに無言。言い合わせることもなく、部屋の周囲の気配を探る。見れば蓮火も同じように周囲へと注意を向けている。

 結果、聞き耳を立てている様子はないと判断して、ようやく口を開いた。

 

「それで、話とはなんだ。わざわざこうして来るほどのものなのだろう?」

「ハハハ。なに、少し昔のことを思い出したくなっただけです。……それに、少し頼みたいこともありましてな」

「ほう……」

 

 その程度の些事で、わたしを呼び出したのか。

 その苛立ちが声に出てしまったのか、慌てた様子で蓮火は弁解する。

 

「ああ、いや。それよりまず――」懐から一つ、中身の詰まった封筒を取り出し「これを貴女に渡しておくべきですか」

 

 それを差し出すように、テーブルの上を押して滑らせる。

 受け取って中身を確認してみれば、出てきたのは紙幣の束。一万円でざっと……二百枚くらいある。それをざっと確認していくと、最後に金額無記入の小切手まで出てきた。

 

「……なんのつもりだ?」

「あのとき、渡せぬままの報酬です。……まぁ、多少色はつけたつもりですが」

「ああ……。いや、確かにそうだが……律儀というか、阿呆か、あなたは」

 

 自分を殺しかけた相手。半世紀も昔の仕事の報酬。

 それなのに、今になって払うのか。わたしだって、たった今まで諦めていた――というか、それすら通り越してどうでもよくなってたことなのに。

 

「それだけ、ワシにとって意味のあることなのですよ」

 

 そう言って、遠い昔を思い出そうとするように目を細め虚空を見上げる。

 それにつられるように、わたしもこの男との出会いを思い出した。

 

 

 最初の出会いは特別なことではない。

 ちょっと危険な仕事で人を集めた裏世界のまだ若い権力者と、集められた何人かの人材の内の一人。それだけの関係だった。

 

 その仕事を選んだのは単に、報酬のためだ。

 確かにこの身は不老不死。

 それでもそれは、言い替えれば死なないだけで食事や睡眠は必要とする。人間の社会では金銭も必要とする。路銀が尽きれば給仕なり労働に勤しみ稼ぐのは、旅の常だった。

 

 ……仕事の内容がなんだったのかはどうでもいい。

 ともかく、最後まで仕事をやり遂げることができたのは二人だけ。残りは死ぬか逃げるかしていなくなっていた。

 そして最後の夜に、わたしはこの男に呼び出された。

 なんの用事かと思ったが、そこで行われたのは秘密の暴露。自分が夜の一族という種族の中で他者の血を吸って生きる、人ならざる者だという告白。

 いきなりなにを言い出すかと思ったが、それは次の決断を促すための前置きだったのだろう。自分で意識することは少ないが、どうもわたしは絶世の美少女といって差し支えない容姿の持ち主らしい。それを気に入られたらしく、秘密を知った者として契約を求められた。

 だが、そんなことを訊かれても、いつだって答えは一つ。

 

 否。

 

 それだけ答え、早々に蓮火の前を立ち去ろうとした。

 だが、こともあろうにこの男、夜の一族の持つ異常性欲を抑えようともせずわたしに襲い掛かった。

 しかし、それは相手が悪かった、としか言いようがない。

 その行為は神無という人間(?)の逆鱗に触れるものだ。過去、そういう行為に及んだ全ての人間はことごとく血の海に沈めてきた。

 結果、右下膊複雑骨折、肋骨を何本か粉砕、そして内臓破裂も数箇所。出血多量。

 普通の人間だったら、間違いなく死んでいた。

 そして倒れ伏した蓮火に放った言葉。

 

――あなたにくれてやるものなど、なにもない。この身も心も魂も、全ては神雷様に捧げるものなのだから

 

 それきりだった。

 だから、再び会うことになるなどと、考えることはなかった。

 

 

 追憶は終わり、意識は現在に。

 そして目の前の男と追憶の中の男が同じ男であることを再認識する。それでも過ぎ去った時間は確実に、良くも悪くもこの男には刻み込まれている。  

 

「今でもまだ痛むのですよ。貴女に付けられた傷跡が……」

 

 そう言って右胸を押さえた。

 あの辺りは確か、折れた肋骨が肺に刺さっていた場所だ。それに同情や罪悪感を抱くことはないが。

 ……しかし、確かに、これは二人でないとできない話だ。まさか孫娘の前で、昔目の前の女性を強姦しようとして返り討ちにあった、などと話せるわけがない。

 

「……それで、どうする。復讐でもするか?」
 

 そうは言ってみるものの、それだとこの封筒の中身が説明できないか。

 そして蓮火は、なぜか口元に笑みを張り付けて、

 

「あのときはワシが愚かだった。それだけのことでしょう。それにこの傷は一つの教訓をワシの身に刻み込んでくれました。金でも力でも手に入らないものがある、と」

 

 ……成る程、そう割り切ったか。

 

「そういう次第でそれには当時の報酬を現在の価値に換算して、慰謝料と授業料、あと依頼料を込みの値としております」

「……依頼料?」

「はい。どうも最近、この街は少々物騒なようなもので、ぜひとも貴女にすずかの護衛をお願いしようと」

「ふむ」

 

 確かにそれは正論か。今この街では連続リンチ殺人事件とやらが起きていて、犯人はまだ捕まっていないらしいし。だがしかし――

 

「勿論、事が落ち着くまでやり遂げていただければ成功報酬も――」

「忍はいいのか?」

 

 蓮火の言葉を遮り問う。

 さっき蓮火は『すずかの』としか言っていない。孫を心配するのなら『忍たちの』とでも言えばいいものを。

 

「……忍はすでに一族の力を使えますし、ノエルもおります。並の人間なら束になってかかろうと相手ではないでしょう」

 

 だが蓮火はそう答えた。

 それも正論だろうが、しかしそのはぐらかすような態度がわたしの中の疑惑を確信へと昇華させようとする。

 だから、はっきりと問いただす。

 

「……はっきりと訊かねば答えないか」そこで一度区切ってから「忍とすずかは、本当に姉妹か?」

 

 その問いに、蓮火は内心の動揺を隠すこともせず目を見開いた。

 

「……気づいておられましたか?」

「些細な違和感を感じただけだが……そう言うからには、なにかあるようだな」

 

 あの二人の間にある信頼は、確かに姉妹のものだろう。

 だが、なにかが違う。勘としか言いようのない感覚だが、それを疎かにする気はない。それに、子を産んだことも名を与えたこともないから断言はできないが、あの二人は名前の趣向さえ違わないか?

 

「…………そうですな。貴女には言ってもいいかもしれません」

 

 訊いておいてなんだが、なにを根拠にそう言うのか。

 そんな疑問に気づかず、蓮火は告げた。

 

 

「あの子は――すずかは、ワシや忍と血の繋がりを持ってはおりません」

 

 

 一瞬、聞き違えたかと思った。

 

「……なんだと?」

「あの子は生まれてすぐに養子として預かった子でしてな、いつか――あと数年も経てば、本来いるべき場所へ帰るはずだったのですが……」

「……そうか」

 

 その先を濁すような口ぶりから、帰るはずの場所になにかあったと察するのは簡単だった。

 

「そのことをすずかは知っているか?」

「いえ、知らぬでしょう。忍はすずかが養子であることは知っておるでしょうが、それ以上は知らぬはずです」

「…………」

 

 返す言葉がない。せいぜいどちらかが妾の子程度にしか考えていなかったが、どうもそれ以上に事情は複雑らしい。

 そんな動揺に気づかないように、蓮火は続ける。

 

「……今でもまだ、答えが出せぬのですよ。あの子に真実を語るべきかどうか。いずれ気づくことと判断し『力』に目覚める前に教えるべきか、それとも今のあの子らの絆と平穏を壊さぬよう最後まで隠し通すために足掻くか。どちらが正しいのかワシには分からんのです……」

 

 それは相当苦悩したのだろう、そう語る蓮火の顔に覇気はない。

 しかし――

 

「……それは分かった。だが、なぜわたしにそこまで教える?」

 

 話を振ったのはこちらだが、それに答えるには喋り過ぎだ。まさかわたしに答えを出して欲しいとか、わたしから打ち明けて欲しいとかいうわけではないだろう。

 

「……これが今夜、わざわざこちらへと参った本題でしてな。……いや、護衛の件も偽りではないのですが、ぜひとも貴女に、あの子に戦い方と『力』を持つ者の気構えを師事していただきたいと」

「なぜ、わたしにそんなことを……」

「ワシの知る限り、貴女より強い者などおりませんからな。それほどの方を師として迎えればこの上ない贅沢でしょう」

「……それは、買いかぶりすぎだ」

 

 わたしより強い者など、この街なら探せば見つかりそうなものだ。それにそもそも、わたしに戦い方や覚悟を教えてくれたのも神雷様だ。あの方にはあらゆる手段を使おうとも勝てるなどと思えない。(……勝とうとも思わないのだが)

 ともかく、わたしの戦術は柔術めいた我流の体術と、暗殺用の暗器術。(最強の剣士たるあの方に師事を受けておいて、なぜそうなったのか自分でも不思議だ。が、相性とか適性とか、そういう結果だろうと納得している)

 そしてそれは、あの少女に教えるには少々どころではないほどに血生臭い。

 だというのに、蓮火は引き下がらない。

 

「時間ができたときに、護身術程度のものでも構いません。どうか承諾してもらえませんか」

 

 テーブルに額をつけるように頭を下げられる。床に座っていたなら土下座でも遠慮なくしていそうな勢いだ。

 ……こうまでさせるすずかの素性とは、いったいなんなのか。

 そう疑問を持つが、すぐに捨てた。他人に踏み込むのは自分の性に合わない。

 

 それより今考えるべきは、この依頼をどうするか。

 あの少女たちとはまだそう長い付き合いではないし、その付き合いさえ蓮火の名を切っ掛けにして始まった繋がり。それでも、義理や人情といった観点からすれば十分なだけのものにはなっている。

 

 だが、わたしにも絶対的な目的はある。

 それは神雷様の隣に在るということ。

 そのために千年生きてきたのだ。そしてあの方の真意を知った今、拒絶されようといかな障害が発生しようと、それを違えるつもりはない。

 

 そういった諸々の状況の総和から導き出せる答えは――

 

「……分かった、請け負おう」

「本当ですか!?」

「ああ。……とはいえ、とりあえず護衛の件だけだ。そこから先は様子を見て、ということにするが――」

「ええ、ええ。構いません。今はその答えだけで十分でしょう」

 

 今は、と言う。最終的には師事の件も引き受けると思っているようだ。

 ……その可能性を否定できないのが、なんだか悔しい。

 

 本当に、わたしは女の子には甘い……

 

 

 

  1月27日 (金)  PM 3:34

 

 冷たい、というより涼しい、というくらいに気持ちのいい風が髪を揺らす。

 

「いい風ですね。主はやて」

「そやなぁ。もう冬の一番キツイところは過ぎたんかもしれんなぁ」

 

 今は昼間で陽が差しているとはいえ、冬とは思えないくらいには暖かい。今年の冬は暖冬ということで、まだ数える程度にしか雪が降っていない。その数える程度の中に、あの子との別れのときがあったのは運命的と言うかなんと言うか……

 

 先週までは今頃は定期検査で病院だったのだが、前回から週一になったため今日の通院はなし。

 せっかくの空いた時間だからと晩ご飯の買い出しついでにちょっと遠出しての散歩の途中、気がつけば臨海公園まで来ていた。

 

「せっかく来たんやし、皆のお土産にたいやき買ってこーか」

「たいやき……。ああ、あの魚の形をした菓子ですか。シャマルが賞賛してましたね」

「そやなぁ」

 

 でも、気に入ったからって一人で三つは多くないかな? 最近お腹のぽよぽよがどうなってるか気になるなぁ。

 

「ほんなら買ってこ。たいやき屋さんの屋台はあっちにあるから、お願いな」

「はい、主はやて」

 

 今いる場所からだと見えないたいやき屋さんへと向かうため方向を変えて進む。途中角を曲がって――

 

「あ……」

 

 あの人がいた。

 白い髪、赤いコート。間違えようもなく神雷さんと呼ばれていたあの人。

 その人が曲がり角から一番近いベンチに座り込んで、カップ酒を片手にボーっとしている。こんな昼間からお酒なんて、ダメな大人の見本みたいだ。

 でも、この人の本質はそんなことで霞むような、安っぽいものじゃないことを知ってる。

 

 それに、あの日からずっと思ってた。

 この人と、話してみたいと。

 この人は、わたしの夢を聞いたらどんな評価をくれるのかと。

 

「シグナム、ちょっと止まって」

「はい? 構いませんが……」

 

 だから、思い切って話しかけてみた。

 

「あ、あの……こんにちは」

「? …………」

 

 怪訝そうな雰囲気で、顔だけを向けてくる。まるで知らない人に馴れ馴れしい態度で接されたような対応。

 ちょっと不安になって訊いてみた。

 

「わたし、八神はやていいます。前に一度お会いしたんですけど、覚えてますか……?」

「…………ああ。あのときの娘か」

 

 覚えててくれた。

 ただ、その声になにか不機嫌な雰囲気が混じってるのが気になるけど。

 

「それで、なんの用だ? もう教えることはないはずだが」

「それは……そうですけど……。なんや、不機嫌そうに見えますけど、なにかあったんですか?」

「あの日の己の迂闊さを呪っているだけだ。あの場にいたなら、フェイト・テスタロッサと知己でもおかしくなかったというのに……」

「フェイトちゃん?」

 

 なんで今その名前が出てくるんやろか。

 

「わたしがフェイトちゃんと友達やと、問題あるんですか?」

「ある」はっきりと断言して「もし俺の考える通りならあの娘は――」

 

 そこで区切られた言葉の先を待つが、それ以上はまた失言になると気づいたのだろう。口を堅く閉ざして喋る様子はない。

 さらに、その沈黙がなんとなく気まずい空気を作ってる気がする。だから少し強引かと思いながら、話題を変えることにする。

 

「でも神雷さん、教えてくれましたよね。……ちょっと気になってたんですけど、あんな簡単に教えてもらってよかったんですか?」

 

 聞いた話だとフェイトちゃんや恭也さんも、前に探りを入れてはぐらかされたらしいし。なんでわたしが訊こうとしたときになって教えてくれたんやろ。

 

「……神無がいたからな。あのとき話したのと、同じだけのことはあいつも知っている」

 

 自分が言わなくても、神無さんから聞くことはできる。だから、無駄な足掻きはやめよう。

 そういうことやろか。

 

「じゃあ、あのとき神無さんがおらんかったら……」

「言うわけがないだろう。そのときは偽りは語らず、しかし全ても語らずに終わらせる。今までもそうやってきたように」

 

 ってことは、運がよかったってことかな? そうでなかったらきっと話してくれんかったと思うし。

 なにせ『不老不死』だ。わたしはあの日のうちに信じたけど、普通の人はそう簡単に納得できないだろう。それどころか、おかしなことを言う変な人で済ませるかもしれない。……というか間違いなく、魔法を知らなかった頃のわたしだったらおかしな人で済ませる。

 

「そうですか……」そんな自分に複雑なものを感じて「あの……、今日は聞きたいことというか、ちょっとお話してみたくて……」

「……俺とか?」

「はい。前に神雷さんが恭也さんと話してるの聞いてて、わたしもちょっとお話したいと思いまして……」

 

 そう言うと神雷さんはなにか苦悩するようにおでこを押さえて、

 

「珍獣か、俺は?」

「へ? あ、いいえ。言い方変えると、人生相談みたいなことしてもらえんかな〜っと」

「……俺にか?」

 

 さっきと同じ勢いで、怪訝そうに聞き返してきた。

 だから、自信を持って答える。

 

「はい。神雷さんの言うことやったらきっと間違ってない、わたしの不安とか迷いとかどうすればいいか答えをくれる。そう思うんです」

 

 その言葉で神雷さんの雰囲気が少し変わる。それはまるで、不思議なものを観察するような……

 そんな信頼がすでにあるのはおかしいんかな?

 そんな疑問が浮かんだ隙に、今まで後ろで車椅子を押さえて静観していたシグナムが、不意に口を挟んだ。

 

「どうやら、シャマルの言っていたことは本当のようだな」

 

 それを耳ざとく神雷さんは聞き取る。

 

「? なにがだ?」

「まさか貴様のような相手を主はやてが「わーっ! わーっ! わーっ!」……主はやて?」 

 

 いきなりなにを言い出すかな、この子は。

 

「あかん、あかんてシグナム。それは言うたらあかん!」

「は? いえ、しかしこういうことは気づいたのなら早急に話を進めるべきで――」

「それでもや!」

 

 がーっと、吼えるような勢いで一喝する。言うことは分からなくもないけど、本人の気持ちとか女の子の純情とか、そういうものを無視して勝手に話を進められても困る。

 

「……分かりました。失礼をしました」

 

 まだ腑に落ちない様子でも一応は納得してくれたらしい。そこへ今度は逆方向から追い討ちがかけられる。

 

「……で、そこの八神はやてが、なんだって?」

「え……? あ、それは……あの……」

 

 なんて言ったらええんやろ。変なこと言って嫌われたり今後の関係をおかしな方向に行かせたくはない。

 その答えが出る前に、またしてもシグナムが口を挟んだ。

 

「いや、今のは失言だ。忘れてくれ」

「……そうか」

 

 それで本当に忘れてしまいそうな神雷さんの様子に、安堵しながら複雑なものも感じる。まだ会ったばかりも同然だけど、わたしのことなんてどうでもいいような、そんな態度に少し傷つく。

 そしてそんな空気を読まない子が一人。

 

「それより、先日は恭也と手合わせしていたな。それで、私とも一度手合わせを願いたいのだが、いいか?」

 

 さすがヴィータ曰く『バトルマニア』。その称号を欲しいままにするだけのことはある。

 

「それは構わんが……」

「そうか。では、いつがいいか……」

 

 その様子が、承諾さえしてもらえれば今からでも始めそうに、楽しそうに見えるのは気のせいだと思いたい。

 けれど、神雷さんがそれが気のせいでないことを証明するように、呆れたようにため息を吐いて、

 

「いつでも構わんが、戦いを楽しみたいというなら少し待て。今夜にでも両の目が開けるようになる。その後でも遅くはないだろう」

 

 そう言って眼帯の上を撫でる。普段の仕草が自然なせいで忘れそうだが、この人の両目は今確かに塞がれている。

 

「ふむ。なら明日にでも――」

「――いや」

 

 シグナムの提案を遮り、神雷さんはまるで苦いものを噛むような顔になって、

 

「そういえば、先約があったな」

 

 そう言う神雷さんは、わたしたちが来たのとは反対側の公園の入り口の方向を見ていた。

 

 

 

      *   *   *

 

 今日はリスティの運転する車でちょっと遠出して、臨海公園まで来てみた。

 この街の山側にあるさざなみ寮からは割と離れている場所だが、他の寮生たちもたまに足を運ぶらしい。まぁ確かに、気分転換やリラックスにはちょうどいい環境だと思う。

 

「ふ〜〜ん。結構、いい場所だね」

「だろう? ボクも気に入ってる場所だしね」

 

 煙草を咥えたまま隣からそう答えるリスティは最近、あたしの街の散策に付いてくるようになっていた。

 理由は地名の認識を一致させるためとか。それに、こうして歩いている間に偶然犯人たちに出会うかもしれない、という希望的観測もあるのだろう。今犯人たちの顔を知っているのはあたしだけらしいし。(那美ちゃんは覚えていなかったし、あたしに記憶を頼りに似顔絵を描く技術はない)

 まぁ、こうして誰かと一緒に歩くというのは嫌いじゃないからいいけど。

 

「さて、せっかく来たんだし――」

 

 なにかと思えば、リスティの視線の先には屋台がある。たいやき、たこ焼き、お好み焼き、……節操ないなぁ。

 

「今日はたこ焼きにしようか。……志乃はどれにする?」

「どれって、いきなり訊かれても……」

 

 呆れながら屋台を見渡して、たいやき屋のメニューに初めて見る名前を見つけた。

 

「か、カレー? ……チーズ?」

「あ〜。やっぱり珍しいかい?」予想通りという感じで笑みを浮かべ「ボクの知り合いでもそれを食べるのは一人しかいないしね。あまりお勧めはできないよ」

「ふーん」もう一度、メニューを見直して「じゃあ、それ一つずつ」

「……なかなかチャレンジャーだな、キミは」

 

 呆れたように言われた。それにふっ、と笑みを返して、

 

「まあね。長く生きてるせいか、こういう珍しいものには惹かれるんだよ」

 

 不死者の最大の天敵は退屈だ。

 どれほど長く生きようと――いや、長く生きるからこそ、変わらない毎日はいずれ苦痛へと変わっていく。

 そうならないように、常に刺激や変化を求めてしまう。それは自分の本能の域にまで刷り込まれた習性。

 ……もう一人、さざなみ寮にいる不死の『呪い憑き』には、そんな余裕もなかっただろうけど。

 

「はい、お待ちどお」

 

 物思いに耽るうちに、注文したものが出てきた。財布から代金をお釣りのないように払って紙袋を受け取り、もう用はないとばかりに踵を返し屋台の前を離れる。

 できればお茶でも欲しいけど、見える範囲に自動販売機はないので諦めた。手に持った紙袋から片方を取り出しかぶりつく。

 中身はカレーだった。口に含んだ分をしっかり味わってから呑み込む。

 

「悪くないよ。ちょっと変わった味だけど、普通に食べれる」

 

 インドだかどこだかでは、カレーはナンだったかパンだったかに付けて食べるらしいし、たいやきの衣くらいはおかしくないかな。

 けれど、その感想に疑わしい視線が一対。

 

「……ホントかい?」

「うん。……でも、甘味じゃないよね、これは」

「ああ、そりゃそうだ」

 

 そう言って、リスティは納得したのか愉快そうに笑う。それにつられるように自分も笑いそうになって――

 

 チリッと、脳の裏を電気が走るような感覚を覚えた。

 

 何日か前にも感じた、同類――『呪い憑き』だけに分かるこの感覚。

 近くに、『呪い憑き』がいる。

 誰かと特定まではできない。でも、今この街に少なくとも三人いることを知っている。その三人のうちの誰かか、それともまだ知らない四人目か。

 深呼吸をして自身の状態を確認する。『万里』は手元にないが、最近は錬鉄をしていなかったから呪具の弾装は十分。よほど化け物じみた近接高速型でもなければ――

 

 

「こんなところで、なにをしている?」

 

 

 突然、背後から掛けられた言葉に過剰なほどに勢いよく振り返る。

 そこにいたのは――

 

「こうして顔を合わせるのは初めてか? 無刃」

「神雷……ッ」

 

 この五百年、一度たりとも顔を忘れることのなかった仇敵だった。

 瞬間、『呪い憑き』としての殺戮反応と、長年溜め続けた憎悪。その二つが相まって一瞬で理性が切れそうになり、

 

「そう殺気立つな」

 

 静かなようでいて、踏み出そうとした一歩を抑えつけるほどの威圧感の篭った声。それでわずかばかり冷静さが戻る。 

 

「なにも、こんな場所で始めることもないだろう?」

 

 改めて言われて気づく。というのもどうかと思うが、確かにここは真昼間の公園で、数は少ないものの無関係の一般の人もいる。そのうちの何人かはあたしたちの間のアブナイ空気に気づいているのか、こっちを見て離れようとしている。……なんというか、そのアブナイものを見る視線の対象にあたしも含まれているのはいたたまれない。

 けどそれは目の前の男は感じていないように、

 

「それでも、もしお前がやると言うのなら、今回は俺にも引く理由はないからな。一瞬で終わらせるが……」

 

 悪寒が走る。

 互いを視認し、張り上げることもなく声の届く距離。この間合いはあたしではなく、神雷のものだ。今ここで始めれば間違いなく、疑いようもなく、この男の言う通り一瞬であたしの首を落とされて終わる。

 

「どうする? やると言うなら、遠慮はしないが」

 

 そう問われても動けない。答えれない。

 バチバチと凶悪なまでの雷を右手に纏わせ、無慈悲に死を突きつける。その姿はまさに鬼の具現。

 

「それとも」かざした手を少し横に滑らせて「もう一度、連れ添いをなくしてみるか?」

 

 薄く笑う、その手の先にいるのは――

 

「ッ! ……卑怯者」

「どうとでも言えばいい。残るのは結果だけだ。お前はなにも守れない、という結果だけ」

 

 その手の向けられた先にいるリスティは気圧されているのか動かない。あのHGSとかいう能力で逃げてくれればいいのに。

 そんな矛先の分からない苛立ちを持つ一方、頭の中のわずかに残る冷静な部分は、自分が今打てるあらゆる手段とその結果を高速で打ち出していく。

 が、そもそもの前提として『万里』が手元にないのが痛い。超長距離からの狙撃が自分の戦術の主軸で、近接戦闘はおまけ程度にしかできない。なんの準備も仕込みもなくこの男を相手にするにはお粗末過ぎる。

 いくつもの手段と結果を想定しても、その全ての答えは絶望的。気づかないうちにこの状況になった時点ですでに詰んでいるも同然で――

 それを見越したかのように、神雷が口を挟む。

 

「……いいかげん、諦めたらどうだ?」

「!? なにを……」

 

 聞き分けのない子供に諭すような口調。だけどそれでなにを諦めろと言うのか、どうせ勝てないのだからリスティを見捨てろとでも言う気か。

 だけど神雷は左目を撫でるようにして、

 

「このときの矢で確信した。お前に俺は殺せない」

「なっ……!」

 

 愕然とした。

 この男が言っているのはあの夜のことだろう。目を潰し、喉を刺され、両腕を失って、心臓を吹き飛ばされて――

 それでも、それでは死なないと、この男は言う。

 

「だから今日は、もう無駄なことはやめろと言いに来たんだが……」

 

 その提案に毒気を抜かれた気分になる。今もなお、あたしの中で声なき声は「殺せ」と囁き続けているというのに――

 

「……なんで、君はそう自然な感じでいられるのかな? あたしと同じ『呪い憑き』なのに、なんで……」

 

 『呪い憑き』は互いを殺し合うようにできている。

 それに例外がいることは《獅子姫》で知っているが、それにしてもこの男の態度はやけに空虚だ。

 その問いに神雷は、自嘲するように答えた。

 

「心の欠けた鬼に、そんな小細工が通じると思うか?」

 

 唖然とした。

 この呪いは、あたしたちの殺意や敵意に干渉して『呪い憑き』同士で殺し合いをさせる。しかし、その前提として殺意や敵意――『心』がなければ干渉のしようがない。

 そう言外に言っている。

 

「俺が殺すのは不老不死を求める人間と、俺の『敵』になった人間、それと呪いを解くための可能性だけだ。しかし、俺はお前には興味がない」

 

 目の前で断言された言葉に、驚きや呆れを通り越して真っ白になった。

 この男があたしを『敵』と認識しているか分からない。

 それは前に久遠の問いに答えた言葉。

 だが、その答えをまさかこんな形で知ることになるとは思いもしなかった。

 あれだけのことをされながら、この男はあたしを『敵』としてみなしていなかった。

 

「そういうわけだ。もう俺に関わろうとするなよ」

 

 一方的に、(そのためだけにここに来たのか)ただ自分の都合だけを言って終わらせようとする。

 だけど――

 

 五百年前、あの子を失って、どれだけ泣いたかを覚えている。

 互いに殺しあう『呪い憑き』という関係にありながら、それでも共にいることができて、妹のようだったあの子を失い、どれほどこの男を憎んだか。

 どれほど孤独に苦しんだか。

 

 それを、そんな言葉一つで、その全てを否定されてたまるものか。

 握りこんだ拳から血が滴るのも気づかず、頭は怒りで煮えたぎっていながら、どうにも手の打ちようのない状況のせいで行動に出れない。

 いっそのこと、最後の悪あがきでも――

 

「だから、やめとけと言ったろう」こっちの思考を呼んだかのように絶妙なタイミングで「それとも、隣の奴を道連れにしたいのか?」

 

 背を向けたまま神雷がそれを押し留めた。でも――

 

「だったら、どうしろって言う気? 君には分からないんだろうけど苦しいんだよ? 大切な人を殺されて、なのに自分にはなにもできないって、そんな……」

 

 そんな自分の無力感を何度も味わってきたけど、それでも慣れることはない。その度に悲哀と憎悪を抱き、しかしそれらは時の流れの中で磨耗していくけど――

 だけど、『あの子』に関しては時間は何一つ解決してくれなかった。なにせ相手が不老不死として生き続けているのだから。
 その相手は、今の言葉になにを感じたのか去ろうとしていた足を止めて、

 

「そうだな。確かにそれは苦しいな……」

 

 ッ……知った風な口を。少なくとも、君にだけは分かった風に言われたくない。

 もはや理性が残っているのが不思議なくらいに頭は怒りで沸き立ち、どんな些細な切っ掛けが錬鉄の引き金になるのか自分でも判断できない。暴れ馬の手綱を握っているような感覚に眩暈を覚える。

 そこへ、神雷は言った。

 

「……なら、最後にもう一度だけ機会をやろうか」

 

 どういう意味かと神雷を見ると、目の前の男は振り返りトントンと足で拍子をとるように地面を踏んで、

 

「今夜零時、俺はここにいる。今度こそ、お前の全てを出し尽くし、殺してみせろよ?」

 

 息を呑む。

 あの夜、遥か彼方にいたあたしに吼えた言葉をもう一度繰り返す男を見詰める。

 なぜそんな言葉を言えるのか、なぜそんな展開に誘導するのか理解できない。あの夜にけじめも罰も済んでいると、そう判断してこの場で殺されてもおかしくないのに。

 いや、そもそもこの男を理解しようという方が無理か。心の欠けた鬼の気まぐれなど、理解できるはずもない。

 だから、今あたしに言える言葉は一つだろう。

 

「分かった。必ず、君を殺してみせる」

 

 その答えになにを感じたのか、神雷は薄く笑う。

 その笑みが気に入らない。お前にできるはずがないと、嘲られているようで……

 ともかく、もうすでに果し合いの約は成立した。これ以上ここにいる意味もない。

 

「行こう、リスティ」

「あ、ああ……」

 

 完全に話に置いていかれた感じで呆然としていたリスティに呼びかけて足早に歩く。

 今背後から襲われたらひとたまりもないが、そんな警戒はいらないだろう。何度かこの男を見た際の行動から考えるに、この男は有言実行型の阿呆だ。それがどんな言葉で、誰を傷つけようと自分が傷つこうと、己の言葉を貫き通す。

 その男が今夜零時と言ったのだから、それまでは一切干渉してくることはないだろう。

 だが、その予想は少しだけ外れた。男の手ではなく、声が去ろうとする背中に追いすがる。

 

「だが、今夜は俺も遠慮なしにやらせてもらう。来るのであれば、決死の覚悟を抱いておけ」

 

 恐ろしく不吉な言葉を背に受けて、臨海公園を後にした。

 

 


 

 

 さて、第2章第10話お届けしました。今回のゲストにはたぶん出番は今回だけのキャラ、月村蓮火を呼んでおります

「うむ。しかしこのような場所、ワシでよいのか?」

 そう言われるとなんだかここの主旨が変わり始めてるような……。まぁ、今回の中心人物、もしくは活躍したキャラは誰かと問われて自分で分からないからだけど……。まぁいいか、どの道今回限りの登場だし、花持たせるということで

「ふむ……、まあよい。それで、今回はなにを言い訳する気だ?」

 ……はい?

「ないのか? 前任者たちの何人かは愚痴に付き合わされたと言っておったが」

 あいつら……

「それで、本当にないのか? 若者の悩みを聞くのは年寄りの役目だ」

 ……そこまで言うなら言わせてもらおうか。そもそもあんたの話なんだし

「ワシの?」

 そう。前に名前を確認しようとしてリリカルおもちゃ箱やったんだけど、忍の両親の名前(征二と飛鳥)しか見なかったんだよ。そんなわけで急遽オリジナルの名前をつけて登場、と。それに登場させた理由も神無を物語の流れに組み込みやすくするため、といったものだし。神無には、神雷は士郎と旧知、志乃はさざなみ寮に下宿、あすかはHGS、といったような理由がないからな

「確かに……。いやそれより、すずかのことはよいのか?」

 構わんだろう。どの道しばらく使わない設定だし。

「使わない?」

 そう、使わない。すずかとファリンは設定だけはあるけど、それだけ。使うなら第二部になってからだな

「それはまた……遠大と称えるべきか、『捕らぬ狸の皮算用』という言葉を教えてやるべきか」

 どちらでも結構。それを書くまで続けられるか、自分でも分からないしな。さて、それではそろそろ次回予告。次回では神雷と志乃、二人の戦いが始まるまでの準備時間でなにをするのか、それを語りましょう

 

 

 あと、どうでもいい補足 その1

 

・オリキャラ四人の経済状況

 ?? (神雷) ―― 十数年前にいくつか潰したヤクザや暴力団から掠め取った金、約七十万を所持。収入はないが出費もない。

 神無 ―― 常に現在の価値で二十万相当の金銭を持つようにしている。収入源の仕事はある一種類を除き、拘りなくこなす。

 志乃 ―― 四人の中で唯一(偽造戸籍による)口座を持っており、最大の貯蓄額を持つ。主に裏世界の仕事で一気に稼ぐ。

 あすか ―― ほぼゼロ。さざなみ寮に来るまで食事は生ゴミを漁るか、野良犬や野良猫を焼いて食べるか、アポートで盗むかのどれか。





今回、色々と展開が。
美姫 「やっぱり、すずかの秘密が驚きよね」
だな。まあ、忍の祖父と神無の接点も驚きだったが。
美姫 「うーん、すずかの力とかも気になるわね」
これからどうなっていくのか。
美姫 「今回はこの辺りで」
ではでは。



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